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アートネタなど日々のあれこれ

自然と人のダイアローグ/THE GREATS

2022-07-18 13:37:37 | 美術
猛暑の中、ひさびさに上野で展覧会のはしごをしてきました。

最初に向かったのは国立西洋美術館。1年半に及ぶ改修工事の後、リニューアルオープンしたのですが、その記念展が「自然と人のダイアローグ」。国立西洋美術館とドイツのフォルクヴァング美術館との共同企画で、両館の名品約100点が共演しています。奇しくも同時代を生きた松方幸次郎とカール・エルンスト・オストハウス、この二人が収集した作品がどのように響きあうのか…。1章は「空を流れる時間」。この展覧会、各章のタイトルが綺麗なんですよね…。時間とともにうつろう空を描いた作品たち。とりわけモネの「舟遊び」とリヒターの「雲」の並びが素晴らしい。リヒターの作品はフォト・ペインティングの手法を使って描かれていますが、不思議な圧迫感…。2章は「彼方への旅」。この展覧会に来たのはフリードリヒの作品が目当てでもあったのですが、「夕日の前に立つ女性」にはいつまでも見入っていたいような謎の引力がありました。橙と紫が入り混じったような空の色が神秘的…。いつか彼の個展を見てみたいです。3章は「光の建築」。セザンヌの「ペルヴュの館と鳩小屋」が。セザンヌというと構築された作品のイメージが強いのですが、こういう作品を見ると彼も印象派の画家だったのだなぁ…と思います。どこか懐かしい光。シニャックの「サン=トロペの港」は七色に光る空と海が眩しい。アクセリ・ガッレン=カッレラの「ケイテレ湖」は透きとおる水の描写がみごと…近年、世界的に注目を浴びている方なのだそうです。4章は「天と地のあいだ、循環する時間」。ゴッホの「刈り入れ」の圧倒的な輝きには、死が内包されていますが、それは哀しいものではないのです…。そして、モネの「睡蓮」。水面をうつろい続ける色と光…。

続いて、東京都美術館で「THE GREATS スコットランド美術館 美の巨匠たち」を見てきました(展示は既に終了しています)。この展覧会ではスコットランド美術館のルネサンス期から19世紀後半までの巨匠たちの作品約90点を紹介していました。美術史に名を残す巨匠たちの作品の数々…。深紅の壁がより現地気分を盛り上げてくれます。ヴェロッキオ「ラスキンの聖母」の清楚な美しさ、ラファエロ「魚の聖母のための習作」の調和の美。エル・グレコの「調和するキリスト」はやはり異彩を放っています。そして、メインビジュアルにもなっているベラスケスの「卵を料理する老婆」。この絵を描いた時、ベラスケスは19歳前後。とんでもない描写力を発揮…これだから天才は…。レンブラントの「ベッドの中の女性」の異様な緊迫感。ブーシェの「田園の情景」はザ・ロココみたいな作品です。思わず見とれてしまったのはミレイの「古来比類なき甘美な瞳」。橋本環奈ちゃんと安達祐実さんを足して2で割ったような(?)ザ・美少女。ゴーガンの「三人のタヒチ人」はどこか意味深…。名画でお腹がいっぱいになったところでクールダウンさせてくれたのがフレデリック・エドウィン・チャーチの「アメリカ側から見たナイアガラの滝」。画面からマイナスイオンが漂ってきそうな作品。絵の前で涼んでいる(?)お客さんも多数。右下隅に描かれた小さな虹がなんだか嬉しいこの作品は、スコットランドで生まれ、アメリカで成功した実業家が母国への感謝の意を表して寄贈したのだそうです…。

そんなわけで、名画の数々を堪能してまいりました。まだまだ暑い日が続きそうな今日この頃ですが、そんな時はあの滝の絵を思い出して涼しくなることにします…。
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