またもや横尾忠則さんの個展に行ってきました。
今回は西村画廊。タイトルがいかしてます
その名も「温泉主義」。聞いただけでわくわくしてきます。
作品にはそれぞれ温泉名がついています。
見応えのある内容でした。
下田幻想(下田温泉)
緑の画面が圧巻でした。
坂の途中の暗夜行路なのですが、かなりフィクションで面白い。
なんと海の中の景色になってしまってるのです。
海藻のような植物、鮫、潜水夫、魚、はては難破船まで。
とどまることを知らないエネルギーが画面全体に溢れてました。
夢千代日記(湯村温泉)
三差路なんですが、道でなくってなんと川なのです。
しかも、中に温泉があるのです。
温泉の石の描写で遊んでてソフトクリームはまんまですが、よく目を凝らして見てみるとなんと男性と女性シンボルの隣あってる。
三差路にはお堂があって、画面上方には赤いカーテン。その柄が黄色い三角で放射能マークっぽいもの。
画面奥には左右を横切る鉄橋があり、汽車が走ってる。
これだけ異なる要素をぶち込んでるのにひとつの統合されたスタイルになってることに脱帽です。
城崎幻想(城崎温泉)
トップのメイン画像の絵です。
黄色ベースの画面に緑の柳(だと思う)が印象に残ります。
天井の星空の星座たちが川の水面にもまたたいてる。
手前のボートには花が敷き詰められて、裸の女性が横たわる。
よく見ると赤い花の中に黄色の花で「きのさき」の文字が。
今回、やたらと性的なイメージが多いなあと思いました。
この絵に直接温泉は出てきませんが、温泉の心地よい気分が伝わってくるように思いますね。
さて、だいぶ見ておおよそこんな感じかなってタカをくくってたらとんでもないのがありました。
なんと立体!しかも紙で出来た飛び出す絵本。
31,500円で限定100部だそう。
いかしてます。あたりまえですが畳むと本になるので収納的にもよさそう。
その元になった作品がすぐとなりに展示されてました。
思い出劇場(石和温泉)
中央に救急車、右手に温泉、三叉路の建物には三島由紀夫が!
奥にはストリップ劇場、オーロラも富士山も見えます。
あと、タイトルは失念してしまったのですが、印象に残った作品がありました。
画面の上方にはいくつもの銀河。そのなかの一つに矢印が。
下の画面には温泉の桧っぽい湯船。左には逗留してると思しい
男性の姿。
でも、画面中央には男女のまぐわっている像が。
さらに右下のに四角く区切られた箇所には宇宙人。
くらくらしちゃいます。
横尾さんにしか描くことの出来ない世界。
それが見たくっていつも足を運んでしまうのだと思います。
4/12まで。
・横尾忠則「横尾忠則の壺」(SCAI THE BATHHOUSE)
言葉は悪いかもしれませんが、横尾の温泉の絵は、日本の温泉地のダーク、または猥雑な部分が持つ力強さやアクの強さが巧みに表されているなと思います。少し昭和の懐かしさを感じる作品でした。
見ててどんどん自分の中のテンションが上がってくなあと思いました。
>横尾の温泉の絵は、日本の温泉地のダーク、または猥雑な部分が持つ力強さやアクの強さが巧みに表されているなと思います。
ですね~。
秘宝館が何気に立ってたり、土着的な匂いだったりがそう感じさせてくれるのでしょうね。