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南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎(サントリー美術館)

2011-10-25 23:19:56 | アート系

サントリー美術館で明日からスタートする「南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎」の内覧会に行ってきました。

なんと、会員になっていたおかげで内覧会にご招待いただけるとは。

嬉しい限りです。



○「南蛮屏風」(部分)

今回は南蛮屏風が何点もでています。

それぞれに特徴があって面白いです。南蛮人が描かれていようと金雲は健在。

屏風によって彼らのプロポーションや肌の色、鼻の高さなどが異なってるのがよく分かります。

にしても灰色っぽい肌の色はどうしてそう描いたのか気になりました。


今回、驚いたのは日本の螺鈿、蒔絵などの装飾を取り入れたキリシタン美術。

観音開きの中央にはキリスト教絵画でその左右の扉の装飾が楓と鹿の螺鈿。

ところがこれがちゃんと合っている。

他にも同構成のものが数点。どれも和洋折衷で美しい。



○「泰西王侯騎馬図屏風」(部分)

こちらはサントリー美術館所蔵の「泰西王侯騎馬図屏風」。

どちらも会津藩若松城(鶴ヶ城)にあったもの。

4面には一人ずつ馬に騎乗した王が描かれている。

描かれているのはペルシア王、アビシニア王(エチオピア王)、フランス王アンリ4世、イギリス王あるいはギーズ大公フランソワ・ド・ローランともカール5世とも。

見てのとおり特徴のある絵です。

宣教師らによる指導があったとはいえ日本人が見よう見真似で西洋絵画を紙に岩絵の具で描いているのです。

人物はとてもスマートに描かれているものの、この馬の目がともて表情があっていい顔をしています。

遠近法も使ってますがどこかぎこちなく独特の妙味が出ています。しかも背景は金箔です。

こちらは単に騎乗しているだけ。馬も王もおとなしいもんです。



○「泰西王侯騎馬図屏風」(部分)

こちらは鶴ヶ城から神戸市立博物館へ。

描かれているのは神聖ローマ皇帝ルドルフ二世、トルコ王、モスクワ大公、タタール汗(かん)。

こちらは剣を持っていて人馬ともに今から戦わんと言わんばかり。

まさに「動」と「静」。

それと特筆すべきは掛け軸の表装にあたる部分。パターン模様や角の金具の装飾性など。とてもマッチしています。


そして、今回はこの2つの屏風を調査していてそのパネルの内容も見ごたえあり。

近赤外線透過画なるものもありました。


○「日本イエズス会士殉職図」

こんな絵は見たことがありません。

視界に入ってぞっとしました。

横長の画面は3段構造。一番上段にはフランシスコザビエルなどの宣教師が十字架を抱いている安らかな顔つきはすでに天に召された後なのだろうか。

そして二段目には棒につながれた宣教師。しかも背後には業火まで見える。こちらは完全に拷問モード。

一番下の三段目。こちらはロープに縛られてつるされた宣教師。

二段、三段目の横に二、三十人が並んで拷問をうける様は異様でした。

ただ、じっくりみていると思ってたほど描写は生々しくはありません。

対象との距離感がどこかしらルソーの絵に似ているような気がしました。


○「元和八年、長崎大殉教図」

凄惨な光景はまだまだ続きます。なんだかこちらは見てて泣きそうになりました。

描かれている人数が多く、その並びがとてもよく絵画的に整理されています。

大勢の見物人たちの見る真ん中で首を切られて殉死する信徒たち。

こちらは生々しく、色も鮮やかでつらいです。



○「聖フランシスコ・ザヴィエル像」

これ、すごくポップなんですよね。

まるでポスターのよう。

心臓にズキュンとささる十字架!そしてこのザビエルの目線。

実はよく見ると手のところの描写だけはものすごく変。なんでこんな妙な折れ方にしちゃったのか謎。


内覧会の時間は20時まででぜんぜん足りず、再訪することは必至です。

展示替により4期(10/26~11/7、11/9~11/14、11/16~、11/21、11/23~12/4)に分かれています。

12/4まで。

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