「ピピロッティ リスト:からから」を見に原美術館に行ってきました。
品川の駅を出ると異様な数のひと、ひと、ひと。
うむ?何やら某新聞社の赤い旗を配ってる。
あちゃあ~、何と東京国際女子マラソンとかいうのですよ、これは。
問題は信号です。規制をかけてて渡れない。
仕方なく歩道橋に向かったのですが、何せ人がいっぱいでめちゃめちゃ時間がかかりました。
そんな予期せぬトラップを乗り越え、なんとか原美術館に辿り着きました。
ピピロッティ リストはスイスのチューリッヒの映像作家です。
なんでも今回の「からから」というタイトルはピピロッティ自らが、日本語の「からから」からつけたそう。
去年、同じ原美術館で開催された束芋の個展のタイトルは「ヨロヨロン」。
ちょっと似てるなという感じはしたのですが、あくまで別のもんですね。
さて、会場を入ってすぐの部屋では「星空の下で」なる作品が流れていました。
これは飽きないで見てることが出来ました。
くるくると回るカメラ、人物の口など体の一部にズームインしてくと光の粒子が溢れる映像が展開されるのです。
どことなく、手塚治虫の「火の鳥」を思い出しました。
ミクロな細胞のうごめきが、宇宙の銀河のそれに等しいみたいな。
とにかく見ててふわふわしてきちゃう。
で、ラストが圧巻です。
水に浮かびくるくると回転する全裸の女性。股間から赤い液体が流れ出し、生命の予感を感じさせて終わるのです。
すごく神々しく、美しいのです。
この作品、階段の途中から入った小部屋からだと見下ろして鑑賞出来て、そうするとまた違った印象で見ることが出来ます。
束芋「ヨロヨロン」でも同様の使い方で上から見られてよかったです。
さて、このチラシの「あなたに大賛成」。
これはものすごく謎な作品でした。
スーパーや自宅での女性の姿を映してるのですが、彼女の背後に全裸の男女が交互に登場するのです。
これは彼女の妄想?願望?
見ててなぞが解けるかと思いきや、ますます深まるばかり。
後で夢に見そうな妙な印象が残りました。
「エヴァー イズ オーヴァー オール」
にこにこした女性が花を携えて街中を歩いてく。右の画面にはその花のアップになった映像が流れています。
やがて彼女は駐車してある車の窓ガラスを持った花(花+茎)でぶち壊してくのです。
しかも、写真にあるように警官とにこやかに挨拶をかわし、それでも窓ガラスをぶち壊してく。
なんでしょうね、この状態は。
どんどん確かなものがゆらいでく感じです。
あと楽しかったのは「膝ランプ」。
1Fの一番奥の窓ガラスから光がふりそそぐ部屋にその展示はありました。
ランプの横にイスがあり、座った鑑賞者の膝に映像が投影されるもの。
並んで実際に自分の膝の上で映像を見てきました。
気になったには映像がどこから映されているかということ。
確認してみたら、至極かんたんでランプシェードの内側にプロジェクターが仕込んでありました。でも、見た感じそう思わせないところが立派です。
ちょうどこの日は白いトートバッグだったのでそこに映像を映してみました。
みどりの中をマクロで這ってく映像。
なんだか虫になったみたい。でも、映像は膝の上に投影されてるので客観性は残したままなのです。
あと、見逃してしまいそうな展示が一点残ってました。
説明書きを見て、ふと気付きました。
その作品は展示室には存在しないのです。
場所はなんと1Fの身障者用トイレ。
ショップを通り抜けた奥にそのトイレはあります。
タイトルは「隠れたサーキット」。
なんとトイレの便器の中にカメラを仕込み、用を足す様子をモニターで見られるというもの。
ドアの横には盗撮していない旨とけっこうショッキングですよという断りがありました。
ううむ、実際に用を足してみましたが、これは見たことのない画でした。
たぶん、2度と見ることのない光景だと思います。
やはり、原美術館の展示って独特だなあと思いました。
来年2/11まで。
リストの個展、楽しみにしていました。
あおひーさんの記事を拝見してますます
期待高まってます。
原美術館の建物をいかした上手い展示が
されているようですね。
リスト、ぜんぜん知らなかったのですが、なかなかのクオリティに満足でした。
あと記事には書いてませんでしたが、カタログとポスターを一緒にしたようなからから缶なるものがショップに並んでます。是非、チェックしみてください。