あお!ひー

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荒木経惟展「彼岸」(RAT HOLE GALLERY)

2011-09-18 22:43:22 | アート系
荒木経惟展「彼岸」に行ってきました。

はて、何ゆえこのタイトル?

見ていくうちに構成の見事さに気づいた。

冒頭には35mmのコンタクトプリント。モノクロ。

荒木さんのマンションから撮った空がずっと続く。で最後のほうになって、死した愛猫チロの骸が写っている。

彼岸。

此岸ではなくって向こう側の世界。

これが導入。

その後には小さなサイズで整列したモノクロプリントが並ぶ。

連続するショットは街の景色もあるけれどもその大半を占めるのは行き交う人々の姿。

これが誰もみなどっかしらの在らぬ方を向いている。

近い距離のものはおそらく車の中からさっと撮ったと思しきカットは向こうが気づいてちゃいない。

さらに今回は望遠で撮ったショットが入っててこれはなんだか珍しいなと思った。

いつも身近なところの距離感でのスナップのイメージだがそれとは趣が異なる。

もちろん、望遠で撮った人物たちもあらぬ方を向いている。

そして極めつけは数点登場するポスターの中の人物。

ポスターの人物は斜めから撮られてて見てるほうもおかしな方向で気持ち悪さを覚えた。

この構成、うますぎる。

そして、続く広いメインのスペース。

こちらには大きな写真。

コの字型になっていて中央にはカラーで撮られた荒木氏の自宅のベランダ。恐竜のオモチャの原色が印象に残る。

そしてこの両側はどちらもモノクロ。

これが明らかに震災の後の景色。

新聞のテレビ欄。震災のために空白が多い。

新幹線からの景色だろうか。富士山なのだけども電柱(だったと思う。もしくは架線柱?)が正面中央を縦に分断している。

日本の象徴的な風景。これはこたえますね。

かと思えばなんでもないお花見。

でも、某有名女優の葬儀まで。

これまでの日常の景色と同じところと違うところがきしんで現在のわれわれの住んでいる場所がある。

ここは彼岸なのだろうか?それとも此岸なんだろうか?

あまり写真展は見ないし書くことはないけどもこれはほんとよかったです。

9/25まで。
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荒木 経惟
平凡社
チロ愛死
荒木 経惟
河出書房新社

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