山種美術館で開催中の「竹内栖鳳ー京都画壇の画家たち」に行ってきました。
前期は伺うことが適わず、来週で会期終了を迎えるというタイミングでなんとか行ってくることが出来ました。
やはり行ってきてよかった!!
これだけ質の高い作品をじっくりと見られるのはやはり嬉しいこと。
先日、天皇皇后両陛下がご鑑賞されたとのことでその影響もあってなのでしょうか。
会場は混雑しておりました。
第1章 先人たちに学ぶ
★森狙仙「春風猿語図」
桜の木に登ってその花を散らさんとする猿たち。
体毛はホワホワと輪郭のない描写をしているが顔と手だけはしっかりとした線で描かれてる妙。
五匹描かれたうち一匹だけいる小猿がむしろ暴れる親猿たちをたしなめているように見えるのがまた面白い。
★円山応挙「竹雀図小襖図」
小さな襖4枚に描かれた雀。
一番左の襖は真っ白。何も描かれていない。
残りの三枚に各一羽ずつ異なったポーズの雀が描かれている。
モノトーンの笹をバックにほんの少し茶色が乗った雀の佇まいが美しい。
後に出てくる栖鳳の雀とはまるで印象が異なる。
第2章 竹内栖鳳の画業
★「百騒一睡」
わんこ三匹は明らかに応挙のわんこ。ころころとしていて可愛らしい。
でもその後ろの洋犬の目を閉じた表情がなんともよい。ビクターの犬ではないけれども。どこか聡明に見えるような気がしてしまう。
そして、画面を追うと徐々に増えてく雀。
苅田に飛来する雀が美しいというよりもむしろ不細工で愛らしい。
動きも洗練されておらず折り重なるようになった様も皆不器用そう。
でもなんだか見てて楽しく微笑ましく思えてくる。
応挙の雀にはこういう感情を抱くことはない。
栖鳳の描く動物はどこか生っぽさがあるのだなあと。
★「虎・獅子図」
金箔バックの派手な屏風。
虎は悠然と寝ていて、ライオンは対照的に岩に前脚を乗せいきり立っている。
虎とライオン以外に描かれている岩は墨の黒で描かれており派手な画面に楔を打ち込んで引き締めているかのよう。といいつつもその線は結構ヘロヘロとはしてるのだけれども。
★「飼われたる猿と兎」
猿はチェーンで首輪をつながれでも威勢がありそうで刃向かってきそう。
逆にうさぎはだらーんと横になってまるで抵抗とかをする意志などなさそう。
どちらも境遇は同じようなものなのにこの違いは何だろう?
★「蹴合」
二羽の軍鶏。
これからいざ闘わんとしている様。
蹴り出した脚がまるでじゃんけんで拳を出し合っているかのよう。
この後の瞬間には互いがぶつかり合うのだろうが、いま現在の対象同士が関わりを成就できないもどかしさにも似た感じを孕んでいる。
★「旭日老松」
画面をどーんと占める老松。
その向こうに見える太陽。
広重の大胆な画面が頭をよぎりました。
淡彩の中国っぽい風景画の流れは一瞬?と思ったものの二作続いたカラーの先の水墨を見て納得。
ぼかしと濃淡で魅せる手法をカラー(「城外風薫」、「潮来小暑」)からモノトーン(「水墨山水」、「晩鴉」)に変えていくという流れにうなる。
しかもその水墨は画面の中央にどんよりとした濃い黒の墨があることでその左右に目がいくという構成。
消失点を意識していたのだろうか?
ふと横尾忠則のY字路のシリーズがあたまをよぎった。
★「雄風」
虎2体。
こちらはとてもスタイリッシュ。
線や色使いが面白いタッチ。
金バックの虎とライオンとはまるで印象が異なりました。
★「絵になる最初」
これは見られてよかったなあと思いました。
着物を脱ごうとしている女性の恥じらう姿。
東本願寺の天井画のモデルになった女性を描いた時の様子を絵にしたというもの。
そういう瞬間を作品にしてしまうのが作家の性分ですね。
第3章 栖鳳をとりまく人々
★山元春挙「冷夢図」
タイトルからは?という感じですがおそらくは滝。
画面の上方と下方に描かれた部分の少ない描写だけでそう見せていて、画面の大半はかなり白に近い。
流れる水の描写を白にすることで面白い立ち位置を得ているなあと。
★上村松園「新蛍」
何度となく見てるけど、はっと息を飲むかのような美しさがたまらない。
簾の向こう、団扇の向こう。
その隠された顔を覗き見たいと思ってしまう。
来週11/25まで。
日本画と動物の画が好きな人は必見です!
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