Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中のボストン美術館所蔵「俺たちの国芳 わたしの国貞」に行ってきました。
ボストン美術館所蔵とくればもうこれは!いい印象しかありません。
2008年 ボストン美術館浮世絵名品展(福岡市美術館)
2011年 ボストン美術館 浮世絵名品展(山種美術館)
と過去2回、ボストン美術館の所蔵品の展覧会を見ています。
特に経年劣化しやすい紫がキレイに残っていた状態のよさはよく覚えています。
しかも国芳ときたらもう間違いなくキャッチーでよさげな感じ。
ということでわたしとしては珍しく会期スタートして早々に行ってこれました。
各ブロックの見出しがとてもよい展示となっていました。
この後、登場していきますがキャッチフレーズがとてもわかりやすく入って行きやすいのです。
では気になった作品を順番にとりあげてみたいと思います。No.はリストに記載されている番号になります。
なお、キャプションには国芳と国貞の作品それぞれが一目でわかるように、国芳は緑の○で芳、国貞はピンクの○で貞と表示されています。これも親切でわかりやすいです。
一幕目の一
スカル&タトゥー・クールガイ
髑髏彫物伊達男
もうこの見出しがイカすでしょ?
文中にも「背徳」って書いてパンクとふってあったりよい感じ。
7.歌川国芳「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」
冒頭のチケット画像のメインビジュアル。
単にスカルだけでかっこいいと思ってたら、着物の柄の髑髏がにゃんこが集まってて実はかわいいという仕掛け。
シャレてますよね。ほんと粋だと思います。
下駄の髑髏もかっこいいです。
一幕目の二
モンスターハンター&ヒーロー
物怪退治英雄譚
14.歌川国芳「清盛入道布引滝遊覧悪源太義平霊討難波次郎
オレンジのグギグギした直線が印象的。
黒とインディゴとのコントラストもよい。
画面構成でもう引きつけられっぱなし。
マーク・グロッチャンを横に並べてみたいなあと思ってしまいましたよ。
20.歌川国貞「天竺徳兵衛実ハ義仲一子大日丸」
縦2枚続き。下にはでっかい蝦蟇。
上はカエルの上に立つ大日丸。
このカエルの表情がなんか好きなんですよ。かわいいわけでもかっこいいわけでもないのですけど。何を考えてるんだろうって。
一幕目の三
ホラー・オブ・ウォーター
畏怖大海原
22.歌川国芳「大物之浦海底之図」
画面左のカニが奥へどんどん続いてく様が異様。
そして、何故か海底でちょんまげのサムライが挑んでいるという姿がシュール。
一幕目の四
ゴースト&ファントム
異世界魑魅魍魎
30.歌川国芳「木曾街道六十九次之内 細久手 堀越大領」
背後に浮かぶ磔モチーフの人形が本気で怖い。大根のようでヤバイ表情を見せている。
袖口から細い手がにょろーと伸びてるのも怖い。
全体の風景がきちんと描かれた中でこの部分だけ出来の悪いイラストをコピペしたかのような居心地の悪さ。
一幕目の五
サムライウォーリアー
天下無双武者絵
一瞬、トルーパーとか空目したのは気のせいってことでw
37.歌川国芳「和田合戦 義秀惣門押破」
怪力で門の閂(かんぬき)をぶっ壊している光景。ダイナミックな壊れっぷりが気持ちいい。
構図における画面上のパーツの配置がハマっています。
二幕目の一
トライアングル・オブ・ラブ
三角関係世話物
45.歌川国貞
筆魁曽我福贔屓
「近江の小ふじ 坂東しうか」、
「八幡屋お三 尾上菊次郎」、
「曽我十郎祐成 市むら羽左衛門」
縦3枚続き。
上2枚、石階段の上で刃を合わせる女性2人。解説によると仇討ちのよう。
見てハッと息を飲む。拮抗する様が上下で緊張感が走る。
二幕目の二
カブキスター・コレクション
千両役者揃続絵
48.歌川国貞「大当狂言ノ内 八百屋お七」
五代目岩井半四郎
目千両と言われたほどの目力っていったいどんなものだったのでしょう。
妙味のある表情でチカラ強さよりもむしろいたずらでかわいらしい雰囲気も少し感じられる。
二幕目の三
オフステージ
楽屋裏素顔夢想
歌舞伎役者が準備してたりくつろいでたり。
建物の中のいろんな場所でいろんなおとやってるのを見るとどことなく山口晃さんの絵を思い浮かべてしまったり。
二幕目の四
ザッツ・エンターテイメント
痛快機知娯楽絵
85.歌川国芳「開運出世合躰七福神」
七福神のいいとこ全部どり。
っていうか、なんか超合金の合体ロボな感じ。
日本的ですよね~、こういうの。
二幕目の五
ファニー・ピープル
滑稽面白相
91.歌川国芳「子供遊土蔵之上棟」
梁や柱がどうなってるのかついつい目をこらしてしまう。
実はエッシャー的に見えてしまって意外や意外。
二幕目の六
エドガールズ・コレクション
今様江戸女子姿
129.歌川国貞「春夕美女の湯かゑり」
画面左の女性の持つ提灯からの明かりがプロジェクター投影みたい。
注目すべきは背景の人物がシルエットで描写されていること。
これが今回、絵画的(まあ、版画ではあるけども)には一番ぐっときましたね。
二幕目の七
フォーシーズン・レジャーガイド
四季行楽案内図
151.歌川国芳「四季遊観 納涼のほたる」
なんでもない草が風にそよいでいるラインがとても自然で見ほれましたね。
二幕目の八
アデモード・スタイル
当世艶姿考
なんとこのコーナーは4/18まで期間限定で写真撮影が可能なのです。
※三脚、フラッシュ、セルカ棒は使用不可等々の注意事項あり。専用のペーパーがリストの隣に置かれていますのでご一読を。
少しでも写真が手元に残ると嬉しいですね~。
158.歌川国貞「花鳥風月 風」
というわけで会場で撮影した画像です。
この障子の部分のシルエットも素敵なのですが、実はこの障子の枠の線がエンボスになってて手間がかかっています。
平面であるけどもこういう奥行きを出す表現が使えるというのがやはりよいなあと。
というわけでかなり満足のいく内容でしたよ。おすすめです。
6/5まで。