無くした心はね
心によってしか埋められないんだよ
刹那時の間の瀬は
刹那時の間の風とともに流れ漂い希薄になっても
風とともに流れ漂い空無に返ってゆく桜の花びらが
いつまでも心のどこかに残像となって留まるように
一瞬の他愛ない灯りでも
幾重にも幾重にも何度でも何度でも
消えても消えても再び灯すことを諦めないで
そうしているうちにいつかわたしが死んでしまっても
ポッと灯った小さな灯りは
風に流れゆく桜の淡いピンクの花びらとともに
わたしの心を温めてくれる
刹那時の間のよすがとして
温かな瀬の想起をして。
相手のいる吐露なら
相手のことを最大限憂慮しろ
把握し得ない相手なら
自分の胸に収めろ
確認の糸を紡げないのなら
押すな
引け
それで尚愛していると言うのなら
引けるだろう
いくらでも。
欲しいと思っていたものに
出合ってみたら
本当に欲しいものが見えてきた
やりたいことを
やってみたら
必要なことが見えてきた
借り物も
にせものも
付け焼刃も
要らないということ。
体への嫌悪がメンタルの不調に拍車をかける
病変は全て採りました
へえ
能面なわたしはそう反応することしかできない
癌から免れたというのに
嬉しくないの?
そんなことより
この体へのつらつらとした症状への嫌悪が
わたしを希薄に希薄に
する
体もメンタルも音楽も生活もどうでもよくなる
何にもしたくない
ただ寝ていたい
寝ていたい
猫を抱いて
毛布を抱いて。
ああこのあと買い物しないといけないんだ
思うだけで発作
買い物は
しんどいですか
買い物に行く
とてつもなく不安で恐怖で嫌悪で
泣きたくなる
買い物は
しんどいですか。
終りも始まりも
まるで定まりの無い切り刻んで
途切れ途切れのわたしの脳は
人生まるまるがただの長い一日
早く夜が来ないかな
眠りたいんだ
患うことなく。
あとどれくらいの涙をしたら
子供心を取り返すことができるだろう
脳は認可してくれるだろう
何年分の涙は
あと何回ですか
その後の何十年分の涙は
あと何回ですか
あと何回泣いたら
サガの許しを貰えるでしょう
超自我なる絶望の番人は
消え失せてくれるでしょう
何回ですか
あと何回泣いたら漏出した分の水滴で
穴は塞がりますか
そんなに継続しますか
涙は。
見てる間に
上がって来る
浴槽の水平線
ぶくぶくぶくと
脳の澱みは沈む
上がりつつ
変わりのない水位に
安心して沈みたい
湯寝の緩慢な海草のようで
破船の緩慢な海墓のようで
出まくり出まくり出まくり
もうイヤ!
イヤイヤイヤ
ああ何で
いつまで続くのわたし
薬効かないよ
増やしてよ
いっぱいいっぱい飲みたい
心臓が
顔面が
脳内が
足が
震えが
痺れが
体中が
心中が
音楽は
もうイヤ!
イヤイヤイヤ
ああ何で
いつまで続くのわたし
薬効かないよ
増やしてよ
いっぱいいっぱい飲みたい
心臓が
顔面が
脳内が
足が
震えが
痺れが
体中が
心中が
音楽は
何処へゆくの?