Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ダマスクローズ 84

2020年07月14日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

            

            ※2 Regimen sanitatis Salernitanum 1480年表紙絵 

         https://en.wikipedia.org/wiki/Regimen_sanitatis_Salernitanum 

上の絵のRegimen sanitatis Salernitanum(又は The Salernitan Rule of Health, Flos medicinae, Lilium medicinae, The Flower of Medicine)はヘクサメトロス(Hexameterの形をとる詩で、1行が6つの(hexa)の韻脚からなる)の形式で書かれた医学書です。本書は12世紀から13世紀に書かれたと言われていますが、1050年頃にその存在がすでに知られていました。この本はSchola Medica Salernitana(サレルノ医学校)の著述であると言われていますが、いささか疑問です。

 

しかし、サレルノは1100年代最高の、そして先進の医学校です。そんな医学校の医学書には何が書かれているのだろうと、興味が湧きました。現在にも通じると思われる項目を取り上げました。

 

第五章 Regimen sanitatis Salernitanum 1492年刊 “時間と食事”

『食事をするのに適切な時間とは、上記の第3章で述べたように、真に空腹であるときです。つまり、夏は涼しい時間、日の出前と夕方の夕べに選ぶのがよいでしょう。そして、本当に必要なのは食物を摂取する必要があるときに摂る事です。GalenはRegemine sanitatisの中で、健康の規則を遵守するように強いられるべきではなく、そうでない人はそうすべきだと述べています。強制的な理由に縛られず、あらゆる事に自由である時、人間は完全に元気でいることができます。

冬は春と秋のように、暖かい時間を選び食事をします。これらの暖かい時間は、夏と、冬にも割り当てられています。夏に近い時間帯と冬に近い時間帯では適度な暖かさの時間を選びます。』

       

フナイン イブン イスハーク  A physician with a flask of urine, possibly comparing it to pictures or descriptions of variously colored urine in a book. Fol. 42v

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/123284/1/22yaguchi.pdf

フナイン イブン イスハークが書いた『医学の質問集(Kitāb masā᾿il fī al-ṭibb)』、『学習者のため の医学の質問集(Kitāb masā᾿il fī al-ṭibb lil-mutaʻallimīn)』、『医学入門(Kitāb madkhal fī al-ṭibb)』が上記 pdf で紹介に述べられています。フナイン イブン イスハークに関する説明文(『』内)は上の pdf から引用させていただきました。

 

※フナイン イブン イスハーク

『フナイン イブン イスハーク { ’Abū Zayd Ḥunayn ibn ’Isḥāq al-‘Ibādī、ca.808–873、バグダードに置かれた学術機関 (バイト アル=ヒクマ)で活躍した学者。}

は、ネストリウス派のキリスト教徒で、翻訳者、医者、神学者でした。バグダードでユーハンナー イブン マーサワイヒ Yūḥannā ibn Māsawaih(777–857)のもとで医学を学び、ギリシャ語に習熟したといいます。その後アッバス朝カリフのマアムーンから、「知恵の館(Bayt al-Ḥikma)」で翻訳活動の総指揮を任されることとなり、息子のイスハーク イブン フナイン Isḥāq ibn Ḥunayn(d.910)や甥のフバイシュ イブン アル ハサン Ḥubaish ibn al-Ḥasan al-Dimashqī(fl.ca.860)らと共に、ギリシャ語で書かれた哲学書や医学書などを翻訳しました。キリスト教徒にはシリア語に、イスラム教徒にはアラビア語で翻訳を作成したのです。翻訳の際フナインは原典の写本を複数集め、まずそれらを校合して正確なテキストを決定することから始め、既存の翻訳を参考にして、それらを改訂することもありました。訳文についても、原文の意味を自然なアラビア語やシリア語で表現することを目指しました。フナインらが翻訳した文献はプラトンやアリストテレスの著作も含まれていましたが、 ヒポクラテス、ディオスコリデス、ガレノスといった医学の著作が主でした。医学に関する文献の翻訳は、フナイン以前に既にいくつか存在していましたが、その正確で優れた翻訳によって、彼らはギリシャ医学のイスラム圏への伝達において最も重要な役割を果たしました。さらに、アラビア語に専門用語として使える語彙を生み出したのです。彼らは既存の医学をイスラムの医学者が使用できるようにしただけでなく、医学を研究するための言葉という道具を用意することで、その後の医学の発展の基礎を造りあげたのです。』

 

このところ ”ダマスクローズ” の話題に全く触れていません。いったいどうしたのか?と疑念を抱いておられる方も多いのではないでしょうか。かくいう私もいささか消沈気味です。この梅雨の、無残な雨にも。ここいらでバーッと薔薇の花を咲かせましょう。それから次に入ることにしましょう。

  

ぱあーっと一発、二発、三発!!  香りに酔いそうです。

    

カムサール(Qamsar)はイラン中心部の小さな町ですが中東一のローズウォーターの産地です。メッカのカーバ神殿では毎年この地のローズウォーターが使われます。  https://alchetron.com/Qamsar

( カーバ神殿については少しあとで触れることになります。)