冷え込みのひどい朝だったが、朝食を終えて自分の部屋に戻った頃には、南の窓いっぱいに陽が入る。
障子を開けてガラス窓越しに田圃を眺めていた。
先日までは、アオサギが時々遊んでいた田圃に、今朝はトンビが数羽見える。
2枚の田を経だてた向こうの枯れ草の中から、1羽、2羽と飛び立っては田に降りる。
悠々と、のんびりと高く低く、まるで遊んでいるようだ。
ところが、トンビたちは一斉に飛び立って私の視野からいなくなった。
どこから来たのか3つの群れが上空にやって来る。
それらが一つの群れになったかと見ているまに、また3つのグループに分かれる。先ほどまでいたトンビの遊び場の上空を群れて旋回している。
彼らは決して下には下りてこない。
ただひたすら旋回だ。
トンビの方がカラスより強いと思っていた。
しかし、トンビはほうほうの態で逃げ出したとしか思えない。
集団にはかなわなかったのだろうか。
バードウォッチャーにとって、時にカラスはありがたい存在でもあります。というのは、タカを見つけたカラスが集団で追い立ててタカを飛び立たせることがあるからです。林の上空に突然、騒がしいカラスの群れが現れた時など、その先頭をノスリやオオタカがとまどったように飛んでいるかもしれません。
カラスのこうした行動はモビング(擬攻撃)と呼ばれ、同じような行動はムクドリやスズメのような小鳥類でも見ることができます。これは、自分たちを餌にしている外敵に対して先制攻撃をして追い払ったり牽制する意味があるといわれています。