超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

ブーバーの説く、対話の神秘

2023-05-29 06:08:09 | 無題
読みたいと近頃思っていた、マルティン・ブーバーの
入門書、『ブーバーを学ぶ人のために』を読む。
基本的に、「我と我」「我と汝」
「我とそれ」の三つの事態がある。
「我と我」とは、私が私であること、加えて自分との対話を
指している。
「我と汝」とは、私とあなたが対話して成り立つ世界
のこと。ブーバーは、ここを重視して、対話の思想家と言われる。
さらに言えば、根源的な「汝」として、神の深淵がある。
ブーバーが、現代の神秘家と言われる所以ゆえんである。
最後の「我とそれ」の「それ」とは、対象一般や、対象化された相手を指す。

「我と汝」の対話を何より重視するブーバーは、我とは今躍動する私であり、
汝とは今躍動するあなたであるとと捉える。
「あなた」との対話なしに「私」は成り立たない。「あなた」とのかかわりの
なかで「私」は生きられる。このことは、主著「我と汝」の根幹をなす。

ユダヤ教を支えとするブーバーにとって、神とは「永遠の汝」であり、
いま話している「あなた」の奥にある深淵である。
ブーバーは、クリスチャンではないが、聖書とは「我と永遠の汝」の対話の書であり、
キリスト教徒は「永遠の汝」をイエスを中心に捉えている、と共感を示す。

対話の哲学者の稀有な思想を、ブーバーのなかに見いだせる。


汝との対話を抜きに我はなく汝の奥に深淵がある

コメント
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