思いの外、出る湯気が地味!
「これじゃ毒ガスには無理だよね」
・・・と、これに関して、少し説明させていただきます。
このスチーマーの湯気を見た、ボケたおじいちゃんが、
昔の戦争の記憶がよみがえり、
「毒ガスだー!」と騒ぎ出すシーンがあったんです。
だから、このスチーマーは、
おじいちゃんに毒ガスを思い出させるほど、
すごい勢いで!
湯気が出ないと困るのです。
しかし、おじいちゃんが間違うほどの、
そして、客席からもしっかり見えるほどの湯気って、
いったい、どうやって出せばいいんだ?
舞台監督さんと照明さんが知恵を絞って、
試行錯誤を重ねたものの、
どうしてもうまくいきません。
台本の書き直しか、という所まで行ったときに、
「ロスコで行くか」
と、舞台監督さんがつぶやきました。
ロスコとは、
舞台でスモークを出すときに使われる装置で、
煙だけでなく、モヤだったり、雲だったり、
はたまた、
過去とか空想といった、
なんとなくぼんやりとしたイメージのシーンを作るときにも、
とにかく頻繁に使われます。
「あ、そうだよね~」
「なんでそこに気づかなかったんだろう」
「それしかないなー」
「だよねぇ」
「いやー、よかったよかった」
などと取りあえずホッとして話していた役者陣が、
はっと我に帰りました。
ロスコを・・・、
顔に・・・、
もろに当てるの?!!
ロスコはスモークマシンですから、出すのは煙です。
それも舞台用ですから、
いくら絞ったところで、かなりの勢いで出ます。
もちろん、物を焼く煙ではないので、
あんな焦げ臭さはありませんが、
私みたいにのどが弱い人間は、
袖で待っているときにロスコを焚かれると、
のどがイガイガしたり、咳込むこともあります。
以前、ロスコをマックスに焚いた中から登場する、
なんてシーンがあったときには、
咳込まずに響く声を出すのがもう、ドキドキでした。
そんなロスコを、顔に???
<つづく>
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