望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

ウラの話のつづきのオマケの続き、のつづき

2009-03-15 18:06:21 | 舞台・ウラ話
なんちゅうタイトル  
でも、今日こそ終わらせるぞ~~~

昨日は代役を引き受けた私が、
みんなに感謝されて・・・というところまででした。

さて、
青春ドラマのような盛り上がりを見せている場に、
演出助手が、
両手に色々なものを抱えてやってきました。

「で・・・すみません。これ台本です。
 長ゼリ(長いセリフ)は1個だけで、
 あとは普通のセリフが20ほどあるだけです。

 これが楽譜です。
 7曲ありますけど、ソロじゃありませんから。
 曲と歌詞を覚えていただければ大丈夫です。

 ダンスの方は、簡単なのに3曲ほど、入っていただければ、
 それ以上はいりませんので 


・・・って。

なに?

長ゼリに普通の台詞20個?
歌7曲?
ダンス3曲?

「今日は帰っていただいて、
 台詞と歌を覚えて、明日来てもらえれば、
 明日はダンス3曲教えます。
 
 とにかく明日は1日、望子さん中心の稽古にしますので。
 で、あさっては最後の仕上げの通し稽古をして、
 その翌朝からツアーです。
 
 今回の会場はみんなデカいですよ~。
 平均800人。大きいところは1000人収容の大ホールです
 楽しんでくださいね~~
    ・
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    ・ 
    ・
楽しめるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ 

ああ~、ああ~、受けなきゃよかった 

そうなんだよなぁ。
またやっちゃったよ。悪いクセ。
《 無責任な安請け合い!》

こないだだって、ひどい目にあって、
あんなに反省したのにさ。
なんでまた、やっちゃったんだろう
  ・・・クヨクヨ、グズグズ
 

といっても、
今さら、何を言ってみたところで始まりません。
早速家に帰って、覚え始めてみたものの・・・。

歌は曲よりも歌詞が問題でした。
メロディは覚えられても、歌詞が覚えられません。
だいたい歌詞って、1番と2番が対になってたりするので、
かえってゴチャゴチャになっちゃうのです。

ふぅ・・・・・・む。
こうなりゃ、
わからなくなったら、
    ・
    ・
口パク、だな 

無責任って思うでしょ?
でも、その程度で進めていくしか、
道はなかったんです。

しかし!!
口パクといかないのが・・・セリフ!
これだけは、何が何でも頭に叩き込まねばなりません。


そして、翌日。

頭を振ると、台詞や歌詞がこぼれそうになりながら、
ダンスの振り付けを、また死ぬほど稽古し、
その翌日は、本番そっくりにやってみる通し稽古。

たった2日間で、5キロ痩せました。

そして本番。

本気で「逃げよう!!」と思いました(笑)
いや、ホントに

何が怖いって、ダンスは群舞なので、
1人間違えると即バレちゃうんです。
1日1曲でもしんどいのに、
一気に3曲も詰め込んだために、
頭と体がつながらなくなっていました 

全員が右手を上げているときに、
    左手を上げたらどうしよう・・・  
 
これって、ある意味では、
セリフよりもオソロシイんです 

舞台のそでで出番を待っていても、
恐怖で叫びだしそうでした。


でも、
カンパニーのみんなが、
「よくぞ入ってくれた」と感謝してくれて、
それはそれは全力でサポートしてくれた。

・・・その気持ちに応えなきゃと、
ただそれだけで、
800人のお客様の前へ飛び出していきました。

はい。なんとか、なりましたよ、全公演。
火事場の馬鹿力ですね。
口パクは、ときどきやりましたが 

でもそれ以来、
かなり安請け合いのクセはおさまりました
でも、たぶん、間違いなく、
寿命は縮んだなと思ってます。ははは。

あ・・・、

そういえば・・・、

最初に書きたかったのは、
出演者の急な降板のとき、どうするか、って話でした。

方法は3つ。

その1が、代役をたてること、
・・・そこまで終わったんですよね。

あれだけ長く書いて、
3つのうちの1つしか書けなかった 
ははははは。

さぁっ、あとはサクサク行くぞーー。

次に、
その2・台本を書き換える。

いなかったこと、にはできなくても、
 「あの人がこう言ってね」などという、また聞きの台詞にする。
その人が沢山登場するシーンをばっさり切る。
切れなきゃ、まとめてばらして、とにかく1人なくしてしまう。

できるだけ他の人に台詞を振り分けて、チョイ役にしておき、
 誰かが2役やる、なんて荒業もあれば、
なぜか死んじゃう、って無茶苦茶も(笑)
 
でも、これらはメインキャストでは無理です。
そこそこの役で、無理くりに、できるかできないか、です。

それに、本番寸前にあんまり台本を変えると、
今度は他のキャストがパニックになってしまいます。

つまり、とどまるところ、
1の代役も、2の書き換えも、
できないことがけっこうあるんですね~。


ということで、
最後の3は・・・、

「意識があって、言葉が喋れる限り、本人を出す!」

結局こういうことになるんですね。
(これだけ書いて、ふりだしに戻っただけかいっ!)

私の眉間の傷くらい、軽いもんです。

ある若い女優さんは、ミュージカルの主役で、
本番寸前に盲腸炎になって入院したものの、
代役の出来が悪いと聞いて、
本番には病院から劇場に通って、主役をつとめたそうです。

病院脱出はけっこうあって、
救急車で運ばれ、絶対安静を言い渡された病院から、
こっそり抜け出して舞台に出て、また病院に戻った人もいます。

初日の前日に、足首を骨折。
それでも、ストーリー上、どうしても踊らねばならず、
舞台の袖まで杖をつきながら、舞台では毎回、踊りきった人もいます。


そういえば、ゴン中山でしたっけ?
2本ゴールして、あとで骨折が判明したってことがありましたよね。

人間の力ってすごいと思います。


生の怖さや理不尽さ。
でも、それだから、感動もあるんです。

なーんて、
・・・ちょっとカッコつけて締めてみました。

長文のお付合い、ありがとうございました~!



コメント (8)
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