空手道を極める『空手バカ一代』

　　　　　　　　　　　
　この「空手バカ一代」のアニメは、実に良いものである。空手道という、言わば武士道を極めるため、飛鳥拳（実際には、極真空手創始者・大山倍達）が、空手バカとして、あくなき修行を行う様が描かれている。一途に、道を極めることが、本当に素晴らしく、感動的であることが分かる。空手は、日本では実際に相手に当てる寸前で止める゛寸止め゛がルールであった。しかし、この寸止めでは、本当の空手の強さがわからない。あくまでも、゛一撃必殺゛を標榜し、相手に打撃を与える゛フルコンタクト制゛が必要だとし、極真空手を旗揚げして、国際空手連盟を設立するまでになる。その、修行時代の大山空手の半生が、この「空手バカ一代」のアニメに凝縮さえているのである。
　千葉県清澄山での山篭り、闘牛との素手での決闘、挙句の果てには、地上最強の猛獣ヒグマとの素手での決闘までに発展する。゛超人追求゛の野望は、計り知れない。その後、国内でのイカサマ批判に嫌気が差し、柔道六段の五十嵐（実際には、遠藤幸吉）と組み、アメリカの異種格闘技戦に挑戦し続けるのである。太平洋戦争敗戦間もない時期でも合ったため、アメリカ人の日本人に対する憎悪は、真珠湾攻撃等の影響で、凄まじいものがあったが、最強空手追求の果敢な挑戦に、アメリカ人の中にも多くのファンができていく。ＦＢＩの武術教官になったのも、その最たる例である。一心に道を極めていく行動に、凄さを感じるのである。
　この作品は、梶原一騎原作のアニメであるが、同氏の作品である「タイガーマスク」「あじたのジョー」等とは異なり、実際の人物の半生が描かれている点であることだ。実際の出来事が、アニメ化されているのである。この点では、キックの鬼と評された沢村忠の「キックの鬼」という作品と同様である。しかし、この「空手バカ一代」には、多くの日本人が愛する゛武士道゛が展開されていることである点が大きく異なる。大山空手にしかできない「自然石割り」「ビール瓶の手刀による切断」「三段飛び」等秘技が多く登場する。この点でも、非常に興奮する内容になっているのである。

【空手バカ一代主題歌】
　　　　　　　作詞：梶原一騎　　作曲：平尾昌晃　　編曲：小谷充　　
　　　　　　　　 歌：大安蓮、パイオニア児童合唱団　　

空手一代 誓った日から 命も捨てた 名もいらぬ
空手ひとすじ バカになり
果てなき修行 まっしぐら
見つめた星を つかんでやるぞ
天下無敵の空手の星を 天下無敵の空手の星を

ひとはバカだと 笑おうが この世にリコウは あふれてる
空手ひとすじ バカになり
七たび転んで 八度起き
誓った星を めざしてやるぞ
天下無敵の空手の星を 天下無敵の空手の星を

醜いリコウに なるよりは きれいなバカで 生きてやる
空手ひとすじ バカになり
鉄の拳に　火のファイト
仰いだ星に　アタックするぞ 
 天下無敵の空手の星を 天下無敵の空手の星を