大阪出張3日目の夕方は、先輩と大阪梅田阪急奥の飲み屋街で、飲み会を催した。この阪急界隈は、巨大なモダンビルが立ち並んだことで、大幅に環境が変わったところではあるが、昔ながらの飲み屋街も残っていた。そんな中、適当な店を探していると、地下へと入る入り口に炉端焼き「漁火」の看板があった。炉端焼きは、最近とんとお目にかかっていない。あのオープンスペースの中、開催物がたくさん並べられており、その奥では炭火で焼きものをした後、大きな長いしゃもじで、焼きあがったものが客前に差し出されるという居酒屋なのである。
入ってみると、客席の前にはたくさんの魚介類が氷で冷やされながら横たわっていた。そして、兄ちゃんがその先の焼き場に立って、大きな長いしゃもじで料理をお客に渡していた。これぞ、東京ではほぼ無くなってしまった炉端居酒屋である。何とも言えない、ノスタルジックの雰囲気、あの活気あった、そして夢を抱いていた昭和の時代にタイムスリップしたような、心地よい世界がそこにはあったのである。あの「ALWAYS 三丁目の夕日」に出てきそうな、素敵な居酒屋・・・、それがこの大阪梅田には残っていたのである。
生ビール大を注文し、ホタテ焼、いか焼き、焼き鳥、車エビの塩焼き等を注文。それらは、長いしゃもじに乗ってやってくる。実に味わい深い、炉端焼き屋である。新鮮な魚介類が、炭火で焼かれて出される。実に香ばしいのである。裸電球のような赤いライトで照らされた店内には、順次多くのお客が入ってきている。19時過ぎにはもう満席の状況になった。やはり、雰囲気の良い店で飲む酒は、多くの人にとって格別なのである。心が癒されるのである。やさしく包まれた感じの雰囲気が、たまらなく良い。