今日は、かなり遅くなった夕刻から旧友と新橋のガード下の「羅生門」で飲んだ。この新橋という地は、ガード下が聖地なのである。有楽町にもこのような場所はあるが、共通しているのは、おやじだけの聖地ではなく、若い女性も気楽に入れる酒の聖地であるということである。このような場所は、相当に居心地が良いということなので、男・女関係なくこぞってやってくる。こんな雰囲気が、やはり飲み屋としては最高なのである。おしゃれな場所で飲みたいという女性も多いのであろうが、このような昭和時代の名残である「居心地の良い飲み屋」は、本当に姿を消してしまっている。どんなに飲んでも、万円札を払わずに済むという飲み屋は、全国にそうそうない。次第に消し去られているのであろう。でも、ここ新橋にはこのような「昭和時代の極楽」が今もなお存在しているのである。
時刻は、20時に近い時間となっていた。どうしても飲みたいという誘いを、友人は受けてくれた。いつも行っているところではなく、新規開拓を条件に飲み会を催すことになったのである。しばらく、新橋界隈を徘徊すると、ガード下に、昭和時代の名残のある居酒屋を発見。たまたま、カウンターが5~6人ほど空いていたので、すんなり座れた。友人曰く、この店は有名店なので、このように空席があることが珍しいということであった。私はあまりこの店「羅生門」のことは知らなかったので、そういうものかと受け止めた。カウンターに座ると、白木の板であることが分かった。しかも、電球には油が何重にも絡まった、要するに時代を感じさせるものであった。こんな場所を、以前行ったことがあった。あの新宿西口のしょんべん横町にあるうなぎ串焼き専門の「カブト」である。裸電球の傘の上やコードの周りには、これでもかといった油が何重にも巻きついていた。これぞ、古からの伝統なのであろうと感じたのである。そこまでではないが、この店もそのような伝統がはぐくまれた状況なのである。
カウンターに2人で座り、メニューを見た。「生ビールはありますか?」。「うちは瓶ビールしかないんです」との返答。そうなのである。このように古い店は、おうおうにして生ビールを置いていない場合が多い。生ビールが邪道という位置づけなのか、昔からやっている居酒屋には、このような傾向がある。やむなく、瓶ビールを注文し、お互いのグラスに注ぎこむ。ちょっと温めであったが、腹もすいているので十分に胃袋に染み渡った。「煮込みはすぐ出せるし、うまいよ」という店の旦那の言うことに任されて、煮込み2個注文。ここは、炭焼きがうまいようである。ハツ、ぼんじり、砂肝、ネギ間を塩で2本ずつ注文。その焼き物が来るまでの間の場つなぎで、じゃがバターも注文。瓶ビールののちは、缶ハイボールに変更。ここは、市販されている缶がグラスとともに出てくる。この辺も味なものである。そののち、ピーマン、ネギ等の野菜串焼きも注文。だんだん、テンションが上がってくる。そんなことをしているうち、カウンター他もお客で一杯となり、並ぶ人まで出現する始末。やはり、新橋の人気店「羅生門」である。お客が途絶えることがない。たまたま、時間帯で私たちはラッキーだったのである。
塩焼きのやきとんが実にうまい。香ばしく、塩味が実に芳醇。じゃがバターも味わい深い。これは、中々の美味である。焼き物は1本180円なので決して安くはないが、十分に味覚に応えてくれる味わいなのである。
こうして、2時間が過ぎ、本日は火曜日ということもあって、お開きの時間となったのである。