大自然との共存を通して、人間の生きる意味を映像化した素晴らしい映画作品『狩人と犬ー最後の旅ー』(2004年フランス・カナダ・ドイツ制作)を観た。「皇帝ペンギン」「ディープ・ブルー」等自然界にカメラを向け、大自然の様相を映像化した作品を観てきたが、この「狩人と犬」は、そこに人間との拘わりを描いていることに凄さと素晴らしさがある。昔ながらの罠猟を通じて、毛皮を売っての生計を立てる狩人ノーマンの実際の生活を映像化した作品。バックに広がる大自然、動物たちの営み、愛犬(ヒマラヤン・ハスキー犬)の交通事故死、妻・ネブラスカとの生き様等どれをとっても感動の映像に驚きと熱いものが込み上げてくる。その日の生活に必要なものを捕るだけの生き方、それに比べ、森林伐採等人類のやっている事が、自然破壊の背徳である事が映像の随所に感じられる。人間は、自然との共存が必要なのである。流れるナレーションや感動の歌に、心洗われる感じを受ける。しかし、自然である事は、これ程美しいものなのか!!改めて、自然への畏怖と尊敬の念を覚える。
【解説】
半世紀に渡ってロッキー山脈で罠猟を続けてきたノーマン・ウィンター。彼はネイティブ・アメリカンの妻ネブラスカと7頭の犬ぞり犬と共に、人里離れた大自然の中で暮らしている。ノーマンとネブラスカは猟を通じて生態系を維持し、自然を守る猟師の仕事に誇りを持っている。そして何よりも、ほぼ自給自足の自由な暮らしと自然を愛していた。しかし森林の伐採によって、年々動物は減少。山を降りることを考え始めた2人に、リーダー犬の死が追い討ちをかける。
ロッキー山脈最後のトラッパー(罠猟師)、ノーマン・ウィンターが本人役を演じるドラマ。とはいえ彼の仕事ぶりや日常、自然の美しさを丁寧に捉えた作品になっており、ほとんどドキュメンタリーを見る感覚だ。薄氷の割れ目に犬ぞりごと落ちるエピソードも、彼の実体験の再現。リアリティのある物語、本人だからこそ説得力のある台詞など、自然と寄りそって生きる人間の姿を等身大で見せてくれる。ニコラス・ヴァニエ監督自身も、わずか20歳でラッブランド大平原の徒歩横断を成功させるなど、数々の偉業を成し遂げたフランスの著名な冒険家。それだけに自然と人間の関係性描写に哲学的な深みがあり、考えさせられる。相棒として大活躍する犬たちも素晴らしく、犬好きは必見だ。
・ノーマン・ウィンターはカナダの北極圏、ユーコンの大自然の真っ直中に住む狩人だ。すでにかなりの高齢だが、夏はカヌーで川を下り、冬はスノーモービルではなく犬ぞりで移動しながら、伝統的な狩猟を糧に生活している。本作は自らも高名な冒険家であるニコラス・ヴァニエ監督が、“最後の狩人”と呼ばれる男の生き様を綴ったネイチャー・ロマンというべき作品だ。純粋なドキュメンタリーではなく、犬ぞりを引くシベリアン・ハスキーとの交流をドラマ仕立てで盛り込み、文明社会と決別したノーマンの孤高を浮き彫りにしている。森林の伐採による野生動物の減少という環境問題も提起されているが、基本的には堅苦しい映画ではない。四季折々のユーコンの風景は圧倒的な美しさで、先住民の奥さんとの同居生活にはほんわかとしたムードが漂い、友人と旧交を温めるヒトコマには寂寥感が滲む。それに何より犬の表情や仕草が豊かで可愛らしく、そんじょそこらの俳優には敵わない年輪が刻まれたノーマンの顔が味わい深い。少々あざといドラマのパートよりも感動的な瞬間を幾つも発見できる。(高橋諭治) (PREMIERE)
・「狩人と犬ー最後の旅」公式サイト>>http://www.kariudo.jp/
・映像トレーラー>>http://www.apple.com/jp/quicktime/trailers/gaga/kariudo/
【解説】
半世紀に渡ってロッキー山脈で罠猟を続けてきたノーマン・ウィンター。彼はネイティブ・アメリカンの妻ネブラスカと7頭の犬ぞり犬と共に、人里離れた大自然の中で暮らしている。ノーマンとネブラスカは猟を通じて生態系を維持し、自然を守る猟師の仕事に誇りを持っている。そして何よりも、ほぼ自給自足の自由な暮らしと自然を愛していた。しかし森林の伐採によって、年々動物は減少。山を降りることを考え始めた2人に、リーダー犬の死が追い討ちをかける。
ロッキー山脈最後のトラッパー(罠猟師)、ノーマン・ウィンターが本人役を演じるドラマ。とはいえ彼の仕事ぶりや日常、自然の美しさを丁寧に捉えた作品になっており、ほとんどドキュメンタリーを見る感覚だ。薄氷の割れ目に犬ぞりごと落ちるエピソードも、彼の実体験の再現。リアリティのある物語、本人だからこそ説得力のある台詞など、自然と寄りそって生きる人間の姿を等身大で見せてくれる。ニコラス・ヴァニエ監督自身も、わずか20歳でラッブランド大平原の徒歩横断を成功させるなど、数々の偉業を成し遂げたフランスの著名な冒険家。それだけに自然と人間の関係性描写に哲学的な深みがあり、考えさせられる。相棒として大活躍する犬たちも素晴らしく、犬好きは必見だ。
・ノーマン・ウィンターはカナダの北極圏、ユーコンの大自然の真っ直中に住む狩人だ。すでにかなりの高齢だが、夏はカヌーで川を下り、冬はスノーモービルではなく犬ぞりで移動しながら、伝統的な狩猟を糧に生活している。本作は自らも高名な冒険家であるニコラス・ヴァニエ監督が、“最後の狩人”と呼ばれる男の生き様を綴ったネイチャー・ロマンというべき作品だ。純粋なドキュメンタリーではなく、犬ぞりを引くシベリアン・ハスキーとの交流をドラマ仕立てで盛り込み、文明社会と決別したノーマンの孤高を浮き彫りにしている。森林の伐採による野生動物の減少という環境問題も提起されているが、基本的には堅苦しい映画ではない。四季折々のユーコンの風景は圧倒的な美しさで、先住民の奥さんとの同居生活にはほんわかとしたムードが漂い、友人と旧交を温めるヒトコマには寂寥感が滲む。それに何より犬の表情や仕草が豊かで可愛らしく、そんじょそこらの俳優には敵わない年輪が刻まれたノーマンの顔が味わい深い。少々あざといドラマのパートよりも感動的な瞬間を幾つも発見できる。(高橋諭治) (PREMIERE)
・「狩人と犬ー最後の旅」公式サイト>>http://www.kariudo.jp/
・映像トレーラー>>http://www.apple.com/jp/quicktime/trailers/gaga/kariudo/