赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

中露経済圏とドルの未来

2023-05-16 00:00:00 | 政治見解



中露経済圏とドルの未来 :230516情報


昨日の続きです。


■人民元が国際通貨になる日

さて、そうしてチャイナ経済がうまくいくかは分かりません。しかし、チャイナはロシアと一体になり、イランやシリア、北朝鮮などと1つの経済圏を作るでしょう。

すると、そこで通用する通貨として、人口の多いチャイナの人民元が最も大きな役割を果たしていくと考えられます。

また、イランにも注目したいのですがイランとロシアを結ぶ3,000キロに及ぶ鉄道の建設計画があります。今、ロシアは穀物や燃料の輸出で一番使っていたウクライナの港が使えません。しかし、この鉄道ができるとロシアはイランの港から輸出が可能になります。

ロシアの穀物や燃料を輸入したい国は、チャイナやインド、アフリカ諸国、アラブ諸国など、たくさんあるわけです。

アラブの国は石油は豊富ですが、食料はロシアに頼っていますし、アフリカやチャイナにとっては、食料もエネルギーも買いたいですね。

そうすると、ユーラシア大陸の真ん中にロシア・チャイナ・イランといった国が結びついた経済圏ができるでしょう。それはドルではなく、人民元を国際通貨として使う経済圏になっていくと思います。


■中露経済圏による日本への影響は?

この経済圏が繁栄しようが衰退しようが、外側に出てこなければ我々にとっては良いことですが、外側に膨張してくると問題です。つまり、日本や台湾に対して侵略の魔の手を伸ばしてくるということ。

この3000キロの鉄道計画がうまくいくかは分かりませんが、うまくいってしまうと日本にとっては非常に大きな脅威になってくると考えられます。

そして、そういった経済圏ではドルを使わなくて良いので、世界のドル離れを一段と加速させるでしょう。そういう意味で、これはかなりのインパクトがあると思います。



中露経済圏の発展で懸念されることはドル体制の弱体化という問題です。米ドルに支配されている資本主義国家にとってはとても信じがたいことではあるのですが、上記の解説をみていて、長年親交のあるロシア事情に詳しい物理学者からのメールを思い出しました。

・ロシアーインド、ロシアー中国では、それぞれ通貨は交えても、実質的には物々交換が進んでいるようです。ドル体制は、確実に部分的な世界になります。

・対ロシア制裁のはずが、西側の金融はぼろぼろ、経済的には人口と一次生産物が圧倒的なSCO【※1】側(オブザーバーを含めて)の圧勝になりつつあります。

【※1】上海協力機構(SCO:Shanghai Cooperation Organization)は、中国、ロシア、中央アジア4カ国の正式加盟国6カ国により、政治、経済、安全保障、文化等の広範な問題について協議を行う地域協力機構。

・ドル体制の崩壊です。

・オイル・ガス本位制、鉱物資源本位、大豆本位制・・・・で、ルーブルでも、元でも、ルピーでも何でもありの多元制となります。グローバル・ドルのもとで紙けれだった通貨も、地下に資源(物)でもあれば、生き返ります。「ロシアはルーブルで払え」と言っていますが、ドルが無くてもルーブルが無くても、例えばペソで払えば銀行が勝手にルーブルに変換するだけで簡単です。ドルを買う必要が無いので、手数料も半減です。これは、80%の貧乏国が望んでいた体制です。



ドルが通用しなくなる時代が来るかもしれないということを頭の片隅に入れておく必要がありそうです。




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中国の準鎖国傾向

2023-05-15 00:00:00 | 政治見解



中国の準鎖国傾向 :230515情報




最新の中国の貿易状況は、「一帯一路」の沿線諸国では幅広い中国製品への需要が拡大している一方、それとは対照的に、アメリカやヨーロッパとの貿易は低迷が続いている模様です。

また、国内経済は、90年代前半のバブル期の日本と酷似しているといわれています。急速な経済成長から一転、長期の景気低迷に陥った日本と中国が同じ道をたどっていると言われ、不動産バブルがはじけるとともに爆発する“時限爆弾”が、中国でも時を刻んでいるようです。

以上の状況をふまえて、国際経済の専門家は以下のように分析しています。



デカップリングを進める中露経済圏とイランの動き

今、中露両国は、積極的にデカップリングを進めています。特に最近のニュースで、明らかに習近平はデカップリングを進めているなと思わせるものがあるのです。

一面では、今、チャイナ経済は低迷しているので、外国資本にもう一度入ってきてもらい、なんとか盛り上げたいということはあるでしょう。

外国の力を利用することは利用するのですが、基本的には西側がデカップリングしていくなら我々もデカップリングして独自の経済圏を作るというのが、中露の今の基本政策だと思います。

これがどこに現れているかというと、チャイナが国営企業に対して、いずれもイギリス系である世界の4大会計監査法人との契約を更新するなという方針を打ち出したのです。

なぜ今まで外国の監査法人に頼んでいたかというと、結局、外国で上場したいからです。ニューヨークやロンドンで上場するとお金がたくさん集まるのです。

資金調達をするためにはある程度内情も見せないといけないので、外国の監査法人に頼んでいたのです。しかし、チャイナとしては国営企業の中身は出したくない。国家方針として、国内企業の財政状況を外国に出さないのが原則です。

今まで、ロンドンやニューヨークで上場してきたのには、ごまかしがあります。

これは、その会計法人のチャイナ現地法人が代わりに監査をするということで、アメリカに上場するために、アメリカ式の監査をしましたという建前で上場していたのです。

法律を厳密に解釈すれば、インチキだったわけですね。

それで世界のお金が大量にチャイナに流れ込み、チャイナが経済の実力をつけ、台湾や日本に対する軍事的圧力にまでなってしまいました。

これを、アメリカの方で厳しくすると言っているのに対して、チャイナは、それならもう海外で上場できなくてもいいと、いわば準鎖国体制を取ると言っているのです。

もう国内にあるお金を回していくだけで十分なんだという考え方でしょう。

チャイナからすれば、グローバル資本の4大監査法人に首根っこを押さえられず勝手に自分たちでやっていくのだと。アメリカにとっても、大事な資金がチャイナの経済発展に利用されることがなくなります。

インチキ上場を認めないことは、アメリカやロンドンの資本主義にとっても健全なことだと私は思います。



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中国のウクライナ和平案

2023-05-14 00:00:00 | 政治見解



中国のウクライナ和平案:230514情報

ここにきて、ウクライナ和平に中国が乗り出してきています。

まずは、4月14日のTV TOKYO Internationalをご覧ください。

――ICC(国際刑事裁判所)が出した逮捕状によって外交上の制約を受ける可能性があるロシア・プーチン大統領。国際的な孤立がより深まりそうな中、プーチン大統領はアメリカを「安全保障の主要なリスク」と名指しし、中国を筆頭に対露制裁に参加していない国との外交を強化する方針を示した新たな外交政策概要を発表した。

ロシアが欧米に牙を剥く中、ここに来てウクライナ情勢を巡り、再び頻繁に耳にするようになったキーワードが「和平交渉」だ。そしてその中心にいるのが中国の習近平国家主席だ。

ロシアやベラルーシとの首脳会談で和平交渉を議題としてとりあげる一方で、西側諸国とも首脳会談を重ねウクライナ和平について議論している。なぜここに来て、和平交渉の中心として習主席に注目が集まっているのか?そして習主席の本心はどこにあるのか? ――

 

テレビ東京は日経新聞系列のため、中国びいきであるのは確かですが、それを割り引いて、客観情勢として見るならばそれなりの見る価値はあると思います。

では、中国の本心はどこにあるのか。国際政治学者の分析を引用します。



チャイナのウクライナ和平案の実現で起きることとは?

4/26、チャイナの習近平がウクライナのゼレンスキーに電話をし、ロシアとウクライナの仲介のための特使をウクライナへ送ることが決まったということです。

チャイナの国立国営中央テレビによると、習近平はチャイナのユーラシア問題特別代表をウクライナへ派遣し、政治解決に向けて関係者と緊密に話し合うことが決まりました。

そして、ゼレンスキー大統領は外交手段による解決に向けチャイナが重要な役割を果たすことを歓迎した、ということです。

しかし、チャイナが出した和平提案にはロシア軍のウクライナ領土からの撤退という条件は入っていません。要するに、チャイナが提案する和平案はウクライナにとって極めて不利なものです。

しかし、ウクライナにとっては戦況自体が不利なので、不利な和平案でも受け入れざるを得ないところまで、ウクライナは追い込まれていると考えられます。

そして、その前兆は4月の初めには既にありました。

4月5日、フランスのマクロン大統領とアメリカのバイデン大統領が電話会談をしました。そこで、ウクライナ戦争に関してチャイナが和平仲介の役割を果たすことを望むと意見が一致。

そのバイデンのメッセージをもって、マクロン大統領はチャイナを訪問し習近平に会ったというのです。これは、この戦争をアメリカやフランス、イギリスも終結できる見込みがなくて、チャイナに頼み込んだという形になってしまっています。

チャイナは元より、本当の意味で中立的な仲介者ではありません。極めてロシア寄りの立場の国です。ここに仲介を頼むということは、ウクライナにとって不利な停戦、または休戦条件を飲まされるということです。

なぜそうしているのかといえば、戦場における状況がウクライナにとって非常に不利だからということ以外に考えられません。


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アメリカの「不正選挙」が曖昧に

2023-05-13 00:00:00 | 政治見解



アメリカの「不正選挙」が曖昧に:230513情報

当ブログでは『アメリカの中間選挙がもたらす影響』などで、「不正選挙」の話を再三掲載しておりましたが、どうもこの問題、真相が明かされないまま、幕引きにされてしまいそうです。
https://blog.goo.ne.jp/akamine_2015/e/de0f4837cb23fe15b38124f1d8033ebd

事実、2020年の大統領選で「不正選挙があった」と報道したFOXニュースが投票機械の会社:ドミニオン社に訴えられていたのですが、この裁判が「和解」で幕を閉じました。

この問題について事情通は、「不正選挙の事実を誤魔化すための“出来ゲーム”だったのではないか」と分析しています。



■「不正選挙」をめぐる裁判の行方

選挙で使用する投票集計機を作る会社:ドミニオン社がアメリカのニュース専門放送局:FOX社を訴えていたのですが、4月18日に和解しました。

これが一体何を意味するのかということを解説します。

まずは、この裁判の内容です。

2020年、アメリカ大統領選に関する報道で、FOX社が「ドミニオン社の機械を通じて不正選挙が行われた」と報道しました。

これに対してドミニオン社が名誉毀損だと、16億ドルの損害賠償を求める訴訟を起こしていたのです。しかし、裁判が始まる直前に、裁判の1日延期が決定し、急遽、4月18日に約半分の金額を支払うことで和解しました。いわば示談ですね。

当初の請求額:16億ドルはFOXの純利益の1年半分に当たりますが、実際に支払ったのは半額。つまり、純利益の約9ヶ月分ということになります。日本円にすると1,055億円です。我々からすると、1,000億円を超えるかなり巨額のお金ですが、FOXにすれば大したダメージではありません。会社が潰れるかというほどのレベルではないということですね。

結論から言うと、私は、ドミニオン社とFOX社の和解は仕組まれた“出来ゲーム”だったのではないかと推測します。訴えた側・訴えられた側として対立し、利害が相反するようでいながら、最終的には和解。

初期は本当に対立してたにしても、こういう形で終わらせることによって、両方納得のいく良い結果が得られるといういわば八百長だったのではないかと私は見ています。


■FOXとドミニオン…“共謀”を疑う4つの理由

今回の裁判の和解は共謀だったのではないか。いわば和解による「隠蔽工作」が行われたのではないかと疑う理由についてお話しします。

まずは、FOX社の立場について確認しておきましょう。FOX社は2020年の大統領選挙直後からトランプを裏切っていました。つまり初めから、「不正選挙は無かった」というのがFOX社全体の立場なのです。ですから、そもそもFOX社を訴えること自体、違和感があるのです。

そのことを前提に、今回の話を見ていただきたく思います。

今回、私が隠蔽工作ではないかと思った理由は、以下の4つです。

①「不正なし」という印象操作

今回の裁判の和解は、「大統領選で不正はなかった」という印象操作の役割を果たしています。これにより
「不正選挙を主張したトランプは嘘をついていた」と国民に思わせることができるのです。トランプの政治運動の勢いを削げるため、反トランプ勢力のドミニオン社、FOX社共に喜ぶ結果になっています。

②FOX社内のトランプ支持派を壊滅させる

少数派ですが、FOX社内にもタッカー・カールソンなどトランプ支持者がいます。この隠蔽工作はその人たちをも叩き潰すことができるのです。

③巨額訴訟で批判の声を封じ込める

FOX社と約半額で手打ちをしたということで、「裁判をしても勝ち目がないんだぞ」と圧力をかけることができます。マスコミもジャーナリストもドミニオン社批判ができなくなります。今回の裁判は、批判の声を封じ込めてしまう手段に使われたということです。

④証拠を誤魔化した

もし裁判になれば、証拠に対してドミニオン社が「その証拠は間違っていますよ」と反証する必要がありましたが、和解してしまったために、反証する必要がなくなりました。つまり証拠を誤魔化すことができたのです。

今回の和解で、不正選挙の事実がうやむやにされてしまうということが起きているのではないかと思います。



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中国軍の実力

2023-05-12 00:00:00 | 政治見解



中国軍の実力:230512情報

中国軍の無人機が台湾上空を飛行、軍用機19機がバシー海峡を通過、尖閣周辺に95日連続で武装船を確認、など中国軍の動きが活発化しているのがわかります。私には「弱い犬ほどよく吠える」典型例だと思えるのですが、客観的な評価はどうなのでしょうか。台湾独立運動家の意見を引用いたします。


■中国軍の実力は?

中国の人民解放軍の実力は過大評価されているのか、過小評価されているのか、それとも正当に評価されているのか、果たしてどうでしょうか?

アメリカ国防総省は、中国のことを「自分と同等の力を持つ挑戦者」という最も警戒感の強い言葉で表現しています。

一方で、ワシントン D. C.にあるQuincy Instituteという比較的新しいシンクタンクの東アジア部長は「米国は中国軍を過大評価している」と指摘するとともに、「国防総省が行なってきた中国軍に関する評価は軍の規模、あるいは武器の数なども含め、非常に正しく把握しているが、一方で軍内部の評価はしていない」と言っています。

軍内部の評価とは、軍の訓練、規律、士気、指揮系統、作戦計画などのことです。


■実戦経験のない軍隊

彼は中国軍が1979年から一度たりとも実際の作戦に参加していないということを指摘しています。1979年という年は、中国がベトナムと戦った中越戦争のことです。実はこれ以降、中国軍には戦争経験がありません。

しかも、この中越戦争は中国側が始めた戦争なのですが、中国は40万の大軍を動員したにもかかわらず、わずか3週間のうちに3万5,000人の戦死者を出して、ベトナムに敗北してしまいました。今の中国の軍の中には、当時の経験者がわずかしか残っていません。

要するに軍人のほとんどが戦争を未経験です。これは米軍とは大きな違いです。米軍はほぼ毎年のように、世界のどこかで戦争してきました。中国軍は実戦経験という面では、明らかに米軍に劣っているのです。


■腐敗した中国軍の内部事情

ウクライナ戦争では、ロシア軍が戦車の部品を解体して転売していたことが分かっています。部品を失った不良品の戦車で戦っていたことがバレてしまったのです。

一方の中国はそれ以上のことをやっています。兵器の部品を売ったりするほか、銃をそのまま密売することもしくありません。だから中国軍の武器にはロシア以上に不良品が多いと思われます。ロシア製ミサイルの不良品率は60%でしたが、中国はおそらく80%ほどではないでしょうか。

さらに中国の軍では、軍隊で出世しようと思ったらワイロで階級を買わなくてはいけません。例えば大佐から少将に昇進するためには、上の人間に約1.6億円を払わないと上がれないようになっているのです。だから上のランクの軍人は、日本の一般的な社長よりもずっと金持ちです。

さらに中国の軍のなかには軍専用の慰安婦もいます。

中国の慰安婦は歌舞団といわれており、歌や踊りの上手な美しい女性を集めて軍人の妻や愛人になっているのです。こんな楽園にどっぷりと浸かっている人間が、果たして「いざ戦争!」となっても戦う意思があるのでしょうか?

私は、彼らには基本的に戦う意志は全くないと思います。



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Ⅱ.日本には“ウクライナ勝利”が必須な理由

2023-05-11 00:00:00 | 政治見解



Ⅱ.日本には“ウクライナ勝利”が必須な理由
:230511情報


昨日からの続きです)


▼ウクライナ戦争勃発後の戦略観

ところが、事態は「バカげた方向」に進んでいきます。2021年1月、大統領に就任したバイデンは、私の予想通り米中覇権戦争を継続する意志を示しました。一方、ロシアに対しては、「戦略通り」和解の道を探りはじめます。

(「軍産複合体を儲けさせるために、アメリカがウクライナ戦争を煽った」という主張があります。しかし、バイデンとプーチンの動きをずっと追っていくと、バイデン政権が戦争を煽った事実はありません。)

2022年6月、バイデンとプーチンは、スイスで首脳会談を行います。これに先立ちバイデンは、ロシアとドイツをつなぐ海底パイプライン「ノルドストリーム2」事業者への制裁を解除し、「和解の意志」を示していました。

これについて、ロシア外務次官のセルゲイ・リャブコフは「二国間関係の正常化に向けて徐々に移行するチャンス」と歓迎しました。

首脳会談の直前、バイデンは、「我々はロシアとの対立を求めているのではない。我々は安定した予測可能な関係を望んでいる。」と発言しています。

では、首脳会談の後は、どうだったのでしょうか?

毎日新聞2021年6月25日から。プーチンは、いいました。
<首脳会談はきわめて建設的であり、バイデン氏がとても経験豊かだと確信した。プロフェッショナルで、建設的で、バランスの取れた人だ。(米露も含めて首脳同士の関係は)いつもプラグマティック(実務的)だ。>
<私自身、飛行機で移動する際はその影響を受けるが、バイデン氏は元気に見えた。われわれは2時間かそれ以上、顔を突き合わせて会談した。彼は物事を完全に熟知している。>
<バイデン氏はプロであり、彼と仕事をする際は何も見逃さないよう十分注意する必要がある。彼は何一つ見逃さないと断言できる。>

バイデンは、
<会談のトーンはポジティブだった。指導者同士の直接対話に代わるものはない。両国の関係は安定し、予測可能でなくてはならず、相互利益がある分野では協力すべきだ。>
<私はプーチン氏に、私の政策は反ロシアではなく、米国民のためのものだと伝えた。両国の協力が相互の利益で、世界のためにもなる分野がある。>

というわけで、米ロ関係は、ポジティブな方向に動きだしているように見えました。しかし、事実として、プーチンは2022年2月24日、ウクライナ侵攻を開始します。この状況下で、私の戦略観1は、通用するでしょうか?

繰り返しますが、私の戦略観1は、
・日本最大の仮想敵は中国である
・中国に勝つためには、アメリカと良好な関係を保ちつつ、ロシアを取り込むべきだ
です。

今、これができるでしょうか?

これはつまり、ロシアのウクライナ侵略を容認し、「ウクライナを見捨てる」ということです。そうすれば、ロシアはウクライナ全土を制圧し、そこで止まることはないでしょう。ロシアは今、ウクライナの隣国モルドバで、親欧米反ロシア政権を転覆させる工作をしています。

AFP2月21日。
<旧ソ連構成国モルドバの情報・保安当局SISは9日、ロシアがモルドバの弱体化や不安定化を狙った破壊工作を仕掛けていると発表した。SISは「ウクライナ側から提供された情報と、わが国の情報活動の両面から、モルドバの弱体化や不安定化、社会秩序の混乱を狙った破壊工作を確認した」と述べた。>

モルドバは、NATO加盟国ではありません。それで、欧米からの支援がなければ、アッという間にロシアに敗北するでしょう。

というわけで、ウクライナ侵攻後、戦略観1をつづけることは不可能になりました。

では、戦略観2は何なのでしょうか?

・ロシアーウクライナ情勢と中国ー台湾情勢は リンクしている。
・習近平は、欧米日が、ウクライナを侵略したロシアに どんな態度をとるのか観察している。
・もし欧米日がウクライナを見捨て、プーチンが勝利すれば、習近平は、「台湾に侵攻しても、中国は容易に勝てるだろう」と判断し、台湾侵攻の可能性が高まる。
・もし欧米日の支援によりプーチンが敗北すれば、習近平は、「台湾に侵攻すれば、俺も負ける可能性が高い」 と判断し、侵攻を見送る可能性が高まる。
・だから、ウクライナを支援しつづけ、勝利させる必要がある
です。

結局、ウクライナ支援は、中国の台湾侵攻を止めるため」。別の言葉でいえば、日中戦争、米中戦争を回避するためなのです。

この点を、しっかり理解しておくことが、とても大切です。


(了)



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Ⅰ.日本には“ウクライナ勝利”が必須な理由

2023-05-10 00:00:00 | 政治見解



Ⅰ.日本には“ウクライナ勝利”が必須な理由
:230510情報



ロシアによるウクライナ侵略戦争、様々な情報を分析するとそろそろ収束に向かっているのではないかと思われる節があります。その詳細については後日に譲るとして、日本の国益の観点からすれば、ロシアの事実上の「敗北」はどうしても必要と思われます。

その根拠について、ソ連崩壊時からロシアに在住し、ロシアの手の内を知り尽くした北野幸伯さんの主張を引用させていただいて考えてみたいと思います。



今日は、「重要な二つの戦略観」についてです。

▼私の戦略観1

私の戦略観1は、
・日本最大の仮想敵は中国である
・中国に勝つためには、アメリカと良好な関係を保ちつつ、ロシアを取り込むべきだ
です。

私は、この話を2002年ぐらいからはじめていました。2007年に出版した『中国ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日』では、「中国とロシアを分断させよう」と書いています。この話、私がモスクワ在住だったからしていたわけではありません。

「リアリズムの神様」ミアシャイマー・シカゴ大学教授は、『大国政治の悲劇』を出版した2001年から一貫して、「アメリカの主な仮想敵は中国」、「中国に勝つためにロシアと組め」という話をしてきました。世界一の戦略家ルトワックさんも、2013年発売の『自滅する中国』の中で、同様の主張をしています。

実際、日本、アメリカ、欧州、インド、ロシアなどで中国を封じ込めることができれば、楽勝ではないですか?


▼日中戦争勃発

私の第1の戦略観は、2012年11月に「日中戦争」が勃発したことで、さらに強化されました。もちろん、「日中戦争」は、「戦闘」という意味ではありません。

2012年11月、中国がロシアと韓国に、【 反日統一共同戦線 】創設を提案したのです。証拠


この対日戦略の骨子は、
・中国、ロシア、韓国で【 反日統一共同戦線 】を 作りましょう。
・中ロ韓で、日本の領土要求を断念させましょう。
・日本に断念させるべき領土とは、「北方4島」「竹島」「尖閣」【 沖縄 】。
・日本に、【 沖縄の領有権 】はありません!!!!
・反日統一共同戦線には、【 アメリカ 】も引き入れます!

衝撃の対日戦略。私は、気絶しそうになりました。

中国の戦略をものすごく簡単に書けば、
・日米関係を破壊する
・日ロ関係を破壊する
・日韓関係を破壊する
・日本を完全に孤立させた上で、 尖閣だけでなく【全沖縄】を奪う
となります。

これに対抗する日本の戦略、理論的には簡単でした。
・日米関係を改善する
・日露関係を改善する
・日韓関係を改善する
ことによって、【反日統一共同戦線】を【 無力化 】させる。

私は、その後一貫して【 反日統一共同戦線 】の存在と、それに打ち勝つ戦略を主張しつづけてきました。それで、裏事情を知らない人たちから批判されることもかなりあったのです。

アメリカとの関係改善はいいでしょう。
しかし、北方領土を全然返す気がないプーチン・ロシアと和解????
一貫して不誠実で反日な韓国と和解??????
なかなか理解されませんでした。

しかし、ルトワックさんが、「稀に見る戦略家」と呼ぶ安倍元総理は、理解していました。それで、
・2015年4月、アメリカ議会における「希望の同盟」演説で、日米関係が改善された。
・2015年12月、慰安婦合意で、日韓関係は一時的に改善された。
・2016年12月、プーチン訪日で、日露関係は改善された

安倍総理は、日米、日露、日韓関係を劇的に改善されることで、中国の反日統一共同戦線戦略を無力化することに成功したのです。

安倍総理、消費税を二回上げたのは、大きな間違いだったでしょう。しかし、事実として、日本を中国の恐ろしい戦略から救ったのです。

2018年10月、ペンス副大統領の反中演説で、【 米中覇権戦争 】の時代がはじまりました。安倍総理のおかげで、日中戦争は、米中覇権戦争に転化したのです。

私は以後、「中ロを分断するために、ロシアと和解しよう」と強調することは減りました。トランプさんは、反中で親ロシアだったからです。彼が、そういう「大戦略観」をもっていたかは怪しいですが、とにかく日本もアメリカも、「中国に勝てる方向」に進みはじめました。



(つづく)



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Ⅱ.中国に媚びて失笑を買ったマクロン仏大統領

2023-05-09 00:00:00 | 政治見解



Ⅱ.中国に媚びて失笑を買ったマクロン仏大統領
:230509情報


(昨日の続き)


■動詞になるマクロン大統領

さらに、今回の発言をきっかけにネット上ではマクロン大統領を皮肉った単語ができました。それは「マクロンニンーグ(Macroning)」という言葉です。この意味は、
①ナイーブ
②裏切り
③中国寄り
という意味で使われています。


■マクロン大統領は欧州を代表しているのか?

4月11日に、欧州15カ国30名の議員が対中政策諸国議員連盟IPACで共同で声明を出しました。その内容は、
①マクロンは決してヨーロッパを代表していない。
②マクロンの発言は国際社会の努力を損なった。
また、マクロン大統領への批判はこれだけではありません。

4月10日に、ヘリテージ財団サッチャーセンターは「(マクロンは)北京にとって都合の良い馬鹿者」だと批判し、4月12日にはトランプ前大統領がマクロンは「kissing Xi's Ass」だと批判しました。

さらに、マクロン大統領への批判は国内からも噴出します。同じ政権内の大臣からも批判が上がり、フランス財務大臣は「余計な事をするな」と批判しました。

その状況を見て、フランス大統領府が異例の対応を行い、マクロン大統領の発言とは違う声明を発表しました。内容は、フランスは
①台湾に関する立ち位置不変
②現状維持を支持する
③民主的台湾と交流続行
というものでした。

実際に、フランス国内でマクロンの発言を擁立する声はありません。台湾の駐フランス代表(大使)によると、
フランスの世論は台湾支持一辺倒です。


■マクロン大統領を批判しない台湾政府

多くの批判がマクロンに集まりましたが、台湾政府外交部はマクロン大統領を批判していません。台湾政府外交部は「我々はこの発言に留意している」と言っています。

僕は実は6つの理由から、マクロン大統領の発言に感謝しています。
その理由は、
①台湾を宣伝してくれたこと。台湾の外交上の勝利であると言えます。台湾の重要性を宣伝してくれるのは 台湾以外の世界の国々であること。
②マクロン大統領の発言が、逆にヨーロッパの台湾重視に繋がったこと。
③Macroningという軽蔑用語を代表するように、台湾軽視する発言はタブーになったこと。
④中国の分断戦略に 更に世界が警戒するようになること。
⑤中国の買収の手口が明らかになったこと。
⑥利益よりも国家安全が重要になるという世界の流れが更に鮮明になること。

これからの流れは独裁主義につくか、民主主義につくかこの二択となりました。
「マクロン大統領、ありがとう」


(了)


Ⅰ.中国に媚びて失笑を買ったマクロン仏大統領

2023-05-08 00:00:00 | 政治見解



Ⅰ.中国に媚びて失笑を買ったマクロン仏大統領
:230508情報


今、フランスが世界中から大バッシングを受けていることをご存知の方も多いと思います。

フランスでは年金改革問題で大規模なデモが各地で発生し英国王の訪仏が延期になるなど外交にも影響が出ていますが、それが原因ではありません。きっかけになったのは、4月7日のマクロン大統領の中国訪問です。

3年半ぶりの訪中で国賓として招待され、大変な厚遇を受けました。そこで気分がよくなってしまったのか、ある爆弾発言をしてしまいました。

今日は、最新のアジアを巡る外交情勢について、台湾独立運動家の解説をお届けします。



■マクロン大統領のインタビュー

人間は良いことをしてもあまり注目されませんが、悪いことをすると注目されやすいということがあります。最近の例では、中国に訪問したフランスのマクロン大統領です。今回、国賓として招待された仏大統領ですが、単独ではなく、財界人50人を引き連れて行ったのでした。

そして、
・エアバス160機受注
・海上風力発電分野での協力に合意など
大型の契約に成功しました。

国賓の厚遇の上に経済協力まで取り付け、気分が良くなってしまったのか、中国から帰国時にフランスの新聞社レゼコーのインタビューを受け、フランス大統領は、「台湾問題でヨーロッパは対立する米中両国のどちらにも追随すべきではない」と言ってしまいました。

'Strategic Autonomy'
つまり、
①米中と距離を置く
②台湾危機に関わらない
フランスは自主戦略と取り、アメリカには追随しない。と言ったのです。

よりによって、アメリカが台湾との連携を強化しようとしている最中に飛び出たこの発言で、西側陣営そしてフランス国内内部からも多くの批判が上がりました。


■西側諸国から批判されるマクロン大統領

4月9日には、ウォールストリートジャーナルの社説でマクロン大統領の発言が批判されます。
「中国に対する侵略の抑止力をこの発言によってわざわざ弱めた。またアメリカのヨーロッパ支援を発言によって弱体化させている」というものです。今回のマクロン大統領ほど自己中心的な発言をした西側陣営の指導者はいません。

4月10日には、フィナンシャルタイムズが「なぜ台湾は世界にとって重要か」という論評を出しました。この論評の中で強調された内容は、

①台湾は民主国家だから守る重要性があるということ。
民主国家を見捨てるのであれば いずれ自分の身に降りかかってくる。正義のために立ち上がなければ、誰も私たちのために立ち上がらない。

②台湾が中国の拡張を抑えてくれているということ。
中国の目的は人類運命共同体を構築することで、これは何を意味するかというと、すべての人類を中国がコントロールするという意味です。つまりは世界制覇。その中国の侵略に対抗する第一線に台湾がいる。台湾が中国の侵略を食い止めている。

③世界の最先端の半導体は92%は台湾が製造しているということ。
また台湾海峡は重要なシーレーンで、 世界の半分のコンテナがこのシーレーンを通っている。このシーレーンが全部中国に握られることになる。

という内容でした。
このフィナンシャルタイムズの論評は、マクロン大統領の発言によって非常に注目されることになりました。

4月10日には、米上院議員マルコ・ルビオ氏がツイッターで散々マクロン大統領を批判しました。

4月11日には、米FOXニュースにて、マイク・ギャラガー米下院議員(米国と中国共産党の戦略的競争に関する特別委員会委員長)が、「ゴミ箱に火をつけた。これは災難だ」と、マクロン大統領を軽蔑した発言をしました。


(つづく)



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プーチン失脚の危機

2023-05-02 00:00:00 | 政治見解



プーチン失脚の危機:230502情報

ロシア問題の研究家がロシア国内でのプーチン評を紹介していますので引用いたします。


プーチン失脚の時が迫ってきたとモスクワ国際関係大学元教授

実際。ウクライナの戦況を見るに、
・1月、ロシア軍のラスボス・ゲラシモフ参謀総長が、ウクライナ特別軍事作戦の総司令官に任命された。
・プーチンは、ゲラシモフに、「3月中にルガンスク州、ドネツク州全土を制圧しろ!」と命令。
・しかし、ゲラシモフはこのミッションを完遂できなかった。
・そんな中、ウクライナに、欧州から戦車や戦闘機が届きはじめた。
・ウクライナ軍は今、大規模な反転攻勢の準備を進めている。
と、こんな感じになっています。

では、クレムリン内部では、何が起こっているのでしょうか? 

外からでは、何も分かりません。しかし、ロシア語ユーチューバーの中には、「予測がよく当たる」「クレムリンの内部を知っている」と言われる人が二人います。

一人は、SVR将軍。この方は、対外情報庁の将校で、クレムリンのインサイダー情報を発信しています。どこまで本当の情報かわかりませんが、予測がよく当たり、日本のメディアも欧米メディアも、時々情報源として引用しています。

もう一人は、ソロヴェイ教授。この方は、モスクワ国際関係大学の元教授です。ウクライナ戦争勃発、ロシア軍の苦戦、動員などを、それが起きるずっと前に予測し、的中させてきました。

今回は、ソロヴェイ教授がどんな話をしているのか見てみましょう。

・4月19日にウクライナ軍の反転攻勢が はじまったかもしれない。
・ウクライナ軍に敗北すると、エリート層は、プーチンを許さない。ロシア社会も、愛国者たちも、プーチンを許さない。
・プーチンの評判は、すでに失墜している。
――(プーチンの2番目の妻とされる)アリーナ・カバエワと親しかった友人が交流しなくなった。電話でも話さなくなった。彼女はそのことをプーチンに伝えたが、プーチンは、「今はそれどころじゃない!」といい、スルーした。――
・4月17日にルガンスク州、ドネツク州を訪問したのはプーチン本人ではなく、彼の影武者である。そのことを、エリートは皆知っている。
・(民間軍事会社ワグネルのトップ)プリゴジンは、プーチン訪問に合わせてルガンスク州に来るようにいわれた。しかし、プリゴジンは、来るのが影武者であることを知っていたため、ルガンスクに来なかった。
・もうプーチン政権は、最終段階だ。
・プーチン後の最有力者は(安全保障会議書記)ニコライ・パトルシェフだ。
・ロシアのエリートたちは今、ニコライ・パトルシェフの息子ドミトリー・パトルシェフ(現農相)に接近している。(註:ニコライ・パトルシェフは高齢なので、息子のドミトリーを大統領にして、院政体制をつくるという話がある。)
・プーチンと近い友人たちは、プーチンに完全に依存している。
プーチンの弱体化は、彼らにとって、政治的、影響力の終わりを意味する。資産を失う可能性もある。
・プーチンは、パトルシェフに権力を移譲することを約束したが、その後反故にした。
プーチンは、2月の年初教書演説で、「来年の大統領選挙は予定通り実施される」と述べ、続投の意志を明確にした。
・約束とは、「ドミトリー・パトルシェフを首相に任命し、その後、辞任を宣言する」こと。(そうなると、ドミトリー・パトルシェフが大統領代行になる。)
・国際刑事裁判所が3月、プーチンに逮捕状を出したことで、プーチンが権力を移譲する可能性はゼロになった。

変化が起こるには、二つの条件がある。

一つは、軍事的破局。軍事的破局とは、たとえばウクライナ軍が(侵攻がはじまった)2022年2月24日の地点に到達すること。あるいは、ウクライナ軍がクリミアに侵攻すること。そうなるとロシアのエスタブリッシュメントは、プーチンに「お前のせいでデッドエンドだ。責任をとれ!」とつめよるだろう。

・変化が起きる二つ目の条件は、プーチンの健康が悪化して、大統領としての職務を果たせなくなること。・いつ起こるか誰にもわからないが、そんなに先のことではない。(出所)


どうでしょうか? びっくり仰天の話が多く、なかなか信じられないと思います。

しかし、既述のようにソロヴェイ教授は、これまでたくさんの予測を当ててきました。それで、皆さんにもシェアさせていただきました。


ソロヴェイ教授の予測が当たる、当たらないはともかく、戦争がはやく終わることを願います。



お知らせ:連休中はブログお休みです。5/8(月)に再開します。


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Ⅱ.「ロシア敗北」に言及したワグネルのプリゴジン

2023-05-01 00:00:00 | 政治見解



Ⅱ.「ロシア敗北」に言及したワグネルのプリゴジン
:230501情報


昨日の続きです)

▼プリゴジン、ロシアの敗北に言及

そんなプリゴジンは4月15日、爆弾発言をしています。産経新聞4月15日。

<ロシアによるウクライナ侵略で、露軍側で参戦している露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏は14日、「プーチン政権は軍事作戦の終了を宣言すべき時だ」とする声明を交流サイト(SNS)上で発表した。同氏はまた、露軍は「東部ドネツク州全域の制圧」とする主目標を達成できそうもない上、ウクライナ軍の反攻で敗北する可能性があるとも警告した。>

ロシア軍は「ウクライナ軍の反攻で敗北する可能性がある」そうです。

プーチンは1月、ロシア軍のトップ、ゲラシモフ参謀総長をウクライナ特別軍事作戦の総司令官に任命しました。ロシアのハイブリッド戦略を考案した、世界的に著名な戦略家。ロシア軍のラスボス。

プーチンは、ゲラシモフに「3月中にルガンスク州、ドネツク州を完全制圧せよ!」と命令しました。しかし、4月半ばになっても、そのミッションは完遂されていません。そして、ウクライナに、欧州から戦車、戦闘機が続々と入ってきている。そう、ウクライナは大規模な反転攻勢の準備を進めている。プリゴジンは、来るべきウクライナ軍の反転攻勢で、「ロシア軍は敗北する可能性がある」と見ている。

ワグネルは、ドネツク州の最激戦地バフムトの前線で戦っています。戦況をよく知るプリゴジンの言葉には真実味があります。では、プリゴジンは、何を提案しているのでしょうか?

<プリゴジン氏は声明で、ロシアはウクライナ領の重要地域を占領し、露本土と実効支配するクリミア半島を結ぶ陸路も確保するなど十分な「戦果」を達成したと指摘。侵攻開始から1年に当たる今年2月24日時点の前線を停戦ラインとすべきだと主張した。>(同上)

なるほど~。

ロシアは昨年9月、ルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を一方的に併合しました。しかし、ほぼ全州を支配できているのはルガンスク州だけです。つまり、プリゴジンは、「ルガンスク州ほぼ全部、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州の一部で、ロシアは停戦交渉しろ!」と。

ですが、この話は、ゼレンスキーとウクライナ国民が納得しないでしょう。

ロシアは、どういう根拠で、ヘルソンやザポリージャまで併合したのでしょうか?

「ルガンスク、ドネツクで迫害されているロシア系住民を救う」という話だったではないですか。というわけで、戦闘はつづく可能性が高いのですが、つづいた場合の結末は?

<停戦しない場合、露軍はウクライナ軍の反攻で占領地域を奪還され、威信も失う恐れがあると指摘。>(同上)

つまり、ウクライナ軍の反攻で、ルガンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン、ひょっとしたらクリミアも奪還される可能性があると。さらに、プリゴジンは、明らかに反逆的発言もしています。
<「ウクライナはかつてロシアの一部だったかもしれないが、今は国民国家だ」とも述べ、「ウクライナはロシアの一部だ」とするプーチン露大統領の持論に暗に異を唱えた。>(同上)


プリゴジン、今は戦時の貴重な戦力なので、何かされることはないでしょう。しかし、プーチンやロシアの支配層が彼を必要としなくなれば、捕まったり、殺されたりする可能性もでてきそうです。

というわけで今回は、ワグネルのトップが、「ロシア軍は負けるかもしれない」と本音を言い始めたというお話でした。早く戦争が終わることを願います。

(了)


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