赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

Ⅰ.日本には“ウクライナ勝利”が必須な理由

2023-05-10 00:00:00 | 政治見解



Ⅰ.日本には“ウクライナ勝利”が必須な理由
:230510情報



ロシアによるウクライナ侵略戦争、様々な情報を分析するとそろそろ収束に向かっているのではないかと思われる節があります。その詳細については後日に譲るとして、日本の国益の観点からすれば、ロシアの事実上の「敗北」はどうしても必要と思われます。

その根拠について、ソ連崩壊時からロシアに在住し、ロシアの手の内を知り尽くした北野幸伯さんの主張を引用させていただいて考えてみたいと思います。



今日は、「重要な二つの戦略観」についてです。

▼私の戦略観1

私の戦略観1は、
・日本最大の仮想敵は中国である
・中国に勝つためには、アメリカと良好な関係を保ちつつ、ロシアを取り込むべきだ
です。

私は、この話を2002年ぐらいからはじめていました。2007年に出版した『中国ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日』では、「中国とロシアを分断させよう」と書いています。この話、私がモスクワ在住だったからしていたわけではありません。

「リアリズムの神様」ミアシャイマー・シカゴ大学教授は、『大国政治の悲劇』を出版した2001年から一貫して、「アメリカの主な仮想敵は中国」、「中国に勝つためにロシアと組め」という話をしてきました。世界一の戦略家ルトワックさんも、2013年発売の『自滅する中国』の中で、同様の主張をしています。

実際、日本、アメリカ、欧州、インド、ロシアなどで中国を封じ込めることができれば、楽勝ではないですか?


▼日中戦争勃発

私の第1の戦略観は、2012年11月に「日中戦争」が勃発したことで、さらに強化されました。もちろん、「日中戦争」は、「戦闘」という意味ではありません。

2012年11月、中国がロシアと韓国に、【 反日統一共同戦線 】創設を提案したのです。証拠


この対日戦略の骨子は、
・中国、ロシア、韓国で【 反日統一共同戦線 】を 作りましょう。
・中ロ韓で、日本の領土要求を断念させましょう。
・日本に断念させるべき領土とは、「北方4島」「竹島」「尖閣」【 沖縄 】。
・日本に、【 沖縄の領有権 】はありません!!!!
・反日統一共同戦線には、【 アメリカ 】も引き入れます!

衝撃の対日戦略。私は、気絶しそうになりました。

中国の戦略をものすごく簡単に書けば、
・日米関係を破壊する
・日ロ関係を破壊する
・日韓関係を破壊する
・日本を完全に孤立させた上で、 尖閣だけでなく【全沖縄】を奪う
となります。

これに対抗する日本の戦略、理論的には簡単でした。
・日米関係を改善する
・日露関係を改善する
・日韓関係を改善する
ことによって、【反日統一共同戦線】を【 無力化 】させる。

私は、その後一貫して【 反日統一共同戦線 】の存在と、それに打ち勝つ戦略を主張しつづけてきました。それで、裏事情を知らない人たちから批判されることもかなりあったのです。

アメリカとの関係改善はいいでしょう。
しかし、北方領土を全然返す気がないプーチン・ロシアと和解????
一貫して不誠実で反日な韓国と和解??????
なかなか理解されませんでした。

しかし、ルトワックさんが、「稀に見る戦略家」と呼ぶ安倍元総理は、理解していました。それで、
・2015年4月、アメリカ議会における「希望の同盟」演説で、日米関係が改善された。
・2015年12月、慰安婦合意で、日韓関係は一時的に改善された。
・2016年12月、プーチン訪日で、日露関係は改善された

安倍総理は、日米、日露、日韓関係を劇的に改善されることで、中国の反日統一共同戦線戦略を無力化することに成功したのです。

安倍総理、消費税を二回上げたのは、大きな間違いだったでしょう。しかし、事実として、日本を中国の恐ろしい戦略から救ったのです。

2018年10月、ペンス副大統領の反中演説で、【 米中覇権戦争 】の時代がはじまりました。安倍総理のおかげで、日中戦争は、米中覇権戦争に転化したのです。

私は以後、「中ロを分断するために、ロシアと和解しよう」と強調することは減りました。トランプさんは、反中で親ロシアだったからです。彼が、そういう「大戦略観」をもっていたかは怪しいですが、とにかく日本もアメリカも、「中国に勝てる方向」に進みはじめました。



(つづく)



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