赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

Ⅰ.最新のアメリカの経済動向

2023-05-21 00:00:00 | 政治見解



Ⅰ.最新のアメリカの経済動向 :230521情報

今年に入って、3月10日シリコンバレー銀行、3月13日シグネチャー銀行、5月1日ファーストリパブリック銀行と銀行破綻が度々起きています。これが何を意味するのか?

実は2023年は現時点で既に、史上最大の銀行破綻のあった2008年を上回るレベルに達しているのです。では、この2008年には何があったか?

そう、リーマンショックです。リーマンショックといえば、大恐慌以来の大不況でS&P500は最大54%も下落、多くの投資家たちを苦しめました。

景気後退への懸念が高まる今、アメリカの経済動向をどう見るべきか、国際経済学者のご意見を伺いました。



利上げ打ち止めの米国と利上げ継続の欧州

5月3日にアメリカでFOMC(連邦公開市場委員会)があり、0.25%の利上げが発表されました。翌日には、ECB(ヨーロッパ中央銀行)も0.25%の利上げを発表しています。

ECBのラガルド総裁はインフレが止まらないため、利上げはやめないとはっきり言っています。ドイツバンクの見通しだと、ヨーロッパのインフレ率は4月:5.6% → 6~7月:5.8%と、さらに上がる予想です。

しかし、ECBが今後も利上げを継続する一方で、FOMCの方は0.25%で利上げを打ち止めるというニュアンスがあります。これについて詳しくお話しします。

アメリカの商務相の発表によると2023年の1-3月期のGDPの成長率は前期比で1.1%でした。2022年と比較して若干上がっているので悪い数字ではないと思います。

やはり今、アメリカが一番心配なのは賃金です。サービス経済の方のインフレが止まらないと、全体のインフレが止まりません。

5月2日に発表された雇用統計によると、平均時給はまだ上がっていて失業率が低いため景気もいいままです。つまり、インフレがなかなか止まらないことを示しています。

これだけ見るとまだ追加利上げの可能性があるように見えるのですが今回は少し違った要素が出てきています。

シリコンバレーバンクが経営破綻、さらにファースト・リパブリック・バンクも経営破綻し、JPモルガンチェースというアメリカの一番大きな銀行に吸収、合併されることになりました。すると、中小銀行の経営破綻がこれからも起こる可能性が高まります。

中小銀行は商業用不動産に対しても貸し出し条件を非常に厳しくするでしょう。

これだけでも景気に対してブレーキ効果があるのです。なので、あまりブレーキを踏み過ぎてしまえば逆に景気が非常に悪くなり過ぎることになります。

そういうことも読み込んでいくと、今回がこの1年の利上げの最後になるのではないかという観測に至ります。

さらに、FOMC利上げの際に出された声明文では、前回まで書かれていた「追加的な政策引き締めが 適切になるかもしれない」という文章が削除されています。

つまり、市場関係者の多くがFRBの利上げは今回で最後だということを暗示しているのです。


補足:「インフレと市場二極化」――McDonald’sは減益、Tiffanyは増益...米国の現状

アメリカの労働省が5月10日に統計数字を発表しました。4月のCPI(消費者物価指数)が対前年同月比で4.9%の上昇でした。コアのCPIが5.5%ありなかなか下がりません。実際、4月の失業率が3.4%でこれは50年ぶりに低い数字です。人手不足で、賃上げ圧力は相変わらず根強い状況です。

5月3日にFOMCで0.25%の政策金利の引き上げをやりました。これ以上の金利の引き上げはないと思いますが、しばらくこの高い金利を維持していくでしょう。

それから5月8日にFRBがレポートを出しまして、銀行の融資規制が厳格化していることがはっきりしました。これは明らかに景気が悪化していく前兆です。なので、これ以上の金利引き上げは恐らくないと思います。しかしインフレが継続しているので、安易には下げられません。秋以降で今年中にでも金利引き下げがあればいい方でしょう。


(つづく)


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