赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

Ⅱ.日本には“ウクライナ勝利”が必須な理由

2023-05-11 00:00:00 | 政治見解



Ⅱ.日本には“ウクライナ勝利”が必須な理由
:230511情報


昨日からの続きです)


▼ウクライナ戦争勃発後の戦略観

ところが、事態は「バカげた方向」に進んでいきます。2021年1月、大統領に就任したバイデンは、私の予想通り米中覇権戦争を継続する意志を示しました。一方、ロシアに対しては、「戦略通り」和解の道を探りはじめます。

(「軍産複合体を儲けさせるために、アメリカがウクライナ戦争を煽った」という主張があります。しかし、バイデンとプーチンの動きをずっと追っていくと、バイデン政権が戦争を煽った事実はありません。)

2022年6月、バイデンとプーチンは、スイスで首脳会談を行います。これに先立ちバイデンは、ロシアとドイツをつなぐ海底パイプライン「ノルドストリーム2」事業者への制裁を解除し、「和解の意志」を示していました。

これについて、ロシア外務次官のセルゲイ・リャブコフは「二国間関係の正常化に向けて徐々に移行するチャンス」と歓迎しました。

首脳会談の直前、バイデンは、「我々はロシアとの対立を求めているのではない。我々は安定した予測可能な関係を望んでいる。」と発言しています。

では、首脳会談の後は、どうだったのでしょうか?

毎日新聞2021年6月25日から。プーチンは、いいました。
<首脳会談はきわめて建設的であり、バイデン氏がとても経験豊かだと確信した。プロフェッショナルで、建設的で、バランスの取れた人だ。(米露も含めて首脳同士の関係は)いつもプラグマティック(実務的)だ。>
<私自身、飛行機で移動する際はその影響を受けるが、バイデン氏は元気に見えた。われわれは2時間かそれ以上、顔を突き合わせて会談した。彼は物事を完全に熟知している。>
<バイデン氏はプロであり、彼と仕事をする際は何も見逃さないよう十分注意する必要がある。彼は何一つ見逃さないと断言できる。>

バイデンは、
<会談のトーンはポジティブだった。指導者同士の直接対話に代わるものはない。両国の関係は安定し、予測可能でなくてはならず、相互利益がある分野では協力すべきだ。>
<私はプーチン氏に、私の政策は反ロシアではなく、米国民のためのものだと伝えた。両国の協力が相互の利益で、世界のためにもなる分野がある。>

というわけで、米ロ関係は、ポジティブな方向に動きだしているように見えました。しかし、事実として、プーチンは2022年2月24日、ウクライナ侵攻を開始します。この状況下で、私の戦略観1は、通用するでしょうか?

繰り返しますが、私の戦略観1は、
・日本最大の仮想敵は中国である
・中国に勝つためには、アメリカと良好な関係を保ちつつ、ロシアを取り込むべきだ
です。

今、これができるでしょうか?

これはつまり、ロシアのウクライナ侵略を容認し、「ウクライナを見捨てる」ということです。そうすれば、ロシアはウクライナ全土を制圧し、そこで止まることはないでしょう。ロシアは今、ウクライナの隣国モルドバで、親欧米反ロシア政権を転覆させる工作をしています。

AFP2月21日。
<旧ソ連構成国モルドバの情報・保安当局SISは9日、ロシアがモルドバの弱体化や不安定化を狙った破壊工作を仕掛けていると発表した。SISは「ウクライナ側から提供された情報と、わが国の情報活動の両面から、モルドバの弱体化や不安定化、社会秩序の混乱を狙った破壊工作を確認した」と述べた。>

モルドバは、NATO加盟国ではありません。それで、欧米からの支援がなければ、アッという間にロシアに敗北するでしょう。

というわけで、ウクライナ侵攻後、戦略観1をつづけることは不可能になりました。

では、戦略観2は何なのでしょうか?

・ロシアーウクライナ情勢と中国ー台湾情勢は リンクしている。
・習近平は、欧米日が、ウクライナを侵略したロシアに どんな態度をとるのか観察している。
・もし欧米日がウクライナを見捨て、プーチンが勝利すれば、習近平は、「台湾に侵攻しても、中国は容易に勝てるだろう」と判断し、台湾侵攻の可能性が高まる。
・もし欧米日の支援によりプーチンが敗北すれば、習近平は、「台湾に侵攻すれば、俺も負ける可能性が高い」 と判断し、侵攻を見送る可能性が高まる。
・だから、ウクライナを支援しつづけ、勝利させる必要がある
です。

結局、ウクライナ支援は、中国の台湾侵攻を止めるため」。別の言葉でいえば、日中戦争、米中戦争を回避するためなのです。

この点を、しっかり理解しておくことが、とても大切です。


(了)



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