赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

Ⅱ.「ロシア敗北」に言及したワグネルのプリゴジン

2023-05-01 00:00:00 | 政治見解



Ⅱ.「ロシア敗北」に言及したワグネルのプリゴジン
:230501情報


昨日の続きです)

▼プリゴジン、ロシアの敗北に言及

そんなプリゴジンは4月15日、爆弾発言をしています。産経新聞4月15日。

<ロシアによるウクライナ侵略で、露軍側で参戦している露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏は14日、「プーチン政権は軍事作戦の終了を宣言すべき時だ」とする声明を交流サイト(SNS)上で発表した。同氏はまた、露軍は「東部ドネツク州全域の制圧」とする主目標を達成できそうもない上、ウクライナ軍の反攻で敗北する可能性があるとも警告した。>

ロシア軍は「ウクライナ軍の反攻で敗北する可能性がある」そうです。

プーチンは1月、ロシア軍のトップ、ゲラシモフ参謀総長をウクライナ特別軍事作戦の総司令官に任命しました。ロシアのハイブリッド戦略を考案した、世界的に著名な戦略家。ロシア軍のラスボス。

プーチンは、ゲラシモフに「3月中にルガンスク州、ドネツク州を完全制圧せよ!」と命令しました。しかし、4月半ばになっても、そのミッションは完遂されていません。そして、ウクライナに、欧州から戦車、戦闘機が続々と入ってきている。そう、ウクライナは大規模な反転攻勢の準備を進めている。プリゴジンは、来るべきウクライナ軍の反転攻勢で、「ロシア軍は敗北する可能性がある」と見ている。

ワグネルは、ドネツク州の最激戦地バフムトの前線で戦っています。戦況をよく知るプリゴジンの言葉には真実味があります。では、プリゴジンは、何を提案しているのでしょうか?

<プリゴジン氏は声明で、ロシアはウクライナ領の重要地域を占領し、露本土と実効支配するクリミア半島を結ぶ陸路も確保するなど十分な「戦果」を達成したと指摘。侵攻開始から1年に当たる今年2月24日時点の前線を停戦ラインとすべきだと主張した。>(同上)

なるほど~。

ロシアは昨年9月、ルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を一方的に併合しました。しかし、ほぼ全州を支配できているのはルガンスク州だけです。つまり、プリゴジンは、「ルガンスク州ほぼ全部、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州の一部で、ロシアは停戦交渉しろ!」と。

ですが、この話は、ゼレンスキーとウクライナ国民が納得しないでしょう。

ロシアは、どういう根拠で、ヘルソンやザポリージャまで併合したのでしょうか?

「ルガンスク、ドネツクで迫害されているロシア系住民を救う」という話だったではないですか。というわけで、戦闘はつづく可能性が高いのですが、つづいた場合の結末は?

<停戦しない場合、露軍はウクライナ軍の反攻で占領地域を奪還され、威信も失う恐れがあると指摘。>(同上)

つまり、ウクライナ軍の反攻で、ルガンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン、ひょっとしたらクリミアも奪還される可能性があると。さらに、プリゴジンは、明らかに反逆的発言もしています。
<「ウクライナはかつてロシアの一部だったかもしれないが、今は国民国家だ」とも述べ、「ウクライナはロシアの一部だ」とするプーチン露大統領の持論に暗に異を唱えた。>(同上)


プリゴジン、今は戦時の貴重な戦力なので、何かされることはないでしょう。しかし、プーチンやロシアの支配層が彼を必要としなくなれば、捕まったり、殺されたりする可能性もでてきそうです。

というわけで今回は、ワグネルのトップが、「ロシア軍は負けるかもしれない」と本音を言い始めたというお話でした。早く戦争が終わることを願います。

(了)


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