時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

大阪「しがらみ」知事、就任早々の公約投げ捨て

2008年02月10日 | 政治問題
大阪府の橋下知事は、就任後初めての記者会見で「財政非常事態宣言」を行い、新年度予算から「赤字隠し」の手法をとらず、歳入の範囲で予算を編成するとした。
宣言では、財政再建団体転落を回避するための「通常よりも多い府債借り換えの手法」から決別し、「収入の範囲内で予算を組む」という原則を徹底するとした。
同時に、選挙中のマニフェストに掲げた出産・子育て支援事業など17事業も当初予算案には盛り込まない方針も表明した。いきなりの公約違反である。
ケチケチに徹して、やるべきことをやらないというのなら、(失礼な言い方だが)バカでもできることである。
厳しい財政の中で、不要・不急の事業の財源を削り、府民が望むもの、緊急を要するものには思い切った財源を投入し、結果として収入の範囲内の予算を組めばよいわけである。
実際には、ここ数代の府知事が無能であったために、予算にメリハリをつけず、相変わらずの大型開発に税金をつぎ込むような財政運営をしてきたがために、借金が膨れ上がっているわけだ。
ところが、選挙公約の最大の柱であった校庭の芝生化や保育施設の整備など、出産・子育て支援を中心とした17の重点事業をさっそく投げ捨て、「財政再建が第一。大阪府が転覆してしまっては元も子もない」と語り、2月議会で審議する新年度当初予算案にはこれらの重点事業をまったく盛り込まない考えを表明し、単なるケチケチ財政に踏み込もうとしているのが新知事である。
先の府知事選挙では、子育て支援などを前面に打ち出し、若い子育て世代の支持を取り込んで当選しておきながら、早々にこれを放棄する厚顔無恥な態度には驚きを禁じえない。
「府民に迷惑をかけると思うが、府政の大改革に必要なプロセスとして理解と協力をしてほしい」と言い訳をしているそうだが、大企業への補助金、大型開発事業、不公正な同和対策費などに手をつけるつもりもなく、早くも自民、公明の「しがらみ」に取り込まれた形になっている。
そして、関西財界も新知事に期待を表明していると報道されている。
府民か、財界か、どちらを向いた知事なのか、早くも明らかになった形だ。
以前にも書いたように、橋下知事に期待するものはまったくないが、就任後最初の記者会見でこれほど早く馬脚を現すとは編集長も思ってもいなかったので、正直驚いているが、自民、公明にすれば、安堵しているに違いない。

日の丸・君が代訴訟:再雇用拒否は違法で、都に2700万円賠償命令

2008年02月09日 | 教育
卒業式などで日の丸に向かった起立と君が代斉唱を拒否し、職務命令違反で処分されたことを理由に、東京都教育委員会が再雇用を拒否したのは違憲として、都立高校の元教職員13人が都に1人約559万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。
「都教委は職務命令違反を過大視し、ほかの事情を考慮した形跡がなく、裁量を逸脱している」と述べ、総額約2700万円の支払いを命じた。
画期的な判決である。
そもそも、「日の丸」、「君が代」をそれぞれ国旗、国歌と制定した際の政府の国会答弁でも、「教育現場などにおいて強制しない」ことを言明している。
にもかかわらず、実際の現場では職務命令という形で、教職員に強制が行われ、今回のケースのように雇用そのものを拒否されるケースもある。これは、この法律の制定時の政府見解そのものを覆すものであり、思想・信条の自由を侵害する行為である。
もっとも政府の国会答弁などは、あくまでも詭弁で、いったん決めてしまえば、あとは現場で徐々に強制していけば、国民は知らず知らずのうちに、そのことに違和感を持たなくなるという作戦にほかならないわけだが・・・。事なかれ主義で過ごすうちに、後戻りできない状態に陥ったのが、悲惨な戦争に突入していった戦前の教訓にほかならない。
こういう流れに対して、訴訟を提起した元教員の生き方は、日本人としての良識を示した行為であり、絶賛されるべきである。
判決では、職務命令については「憲法で定めた思想、良心の自由を侵害しない」と述べ、合憲と判断したという弱点があるが、全体とすれば、画期的な判決であり、都は控訴を断念し、この判決に直ちに従うべきであることを強調しておきたい。

町村官房長官「株価がなぜこれほど下がるのか」

2008年02月08日 | 経済問題
町村信孝官房長官は、6日午後の定例会見で、株価が大幅下落したことについて、「経済のファンダメンタルズは総じてしっかりしており、なぜこれほど下がるのかわからない」と述べたそうだ。
6日の日経平均株価は米リセッション懸念を手がかりに大幅続落し、646円安の安値引けとなったことを受けての発言だそうだが、現状認識の甘さを疑わざるを得ない。
株価を上げることは、本来は政府の目的ではない。市場原理に任せておけば良いことである。政府としては、企業犯罪(粉飾決済や脱税など)や違法な取引などを徹底的に監視し、国民に企業情報が正確に伝わることにのみ頭を悩ませればよいのであって、株価を心配する必要などはない。
しかし、財界、大企業、言い換えれば、資本家階級の利益を代表する現在の政府にすれば、株価を気にせざるを得ないところがつらいところでもある。
さて、「経済のファンダメンタルズは総じてしっかり」していると述べているが、そうであろうか?
先頃に開かれた通常国会の冒頭で、大田経済財政担当相は「日本はもはや経済一流ではなくなった」と述べて話題になったが、20年、30年といった長いスパンで日本経済を俯瞰すれば、この指摘はもっともである。韓国、中国、東南アジア諸国の経済発展はめざましいものがある。また、インドなどの優秀な人材にも注目が集まっている。日本の経済力、技術力の世界で占める比率はどんどん低下しているのは明瞭ではないか。
アジアでの「お山の大将」を気取っていた時代はもうとうに過ぎ去ってしまった。ほとんどの日本国民も、自らの生活実感からそのことに気づいているはずである。
いまや日本は、気位が高いだけの没落貴族に過ぎないのである。
にもかかわらず、町村長官が「経済のファンダメンタルズは総じてしっかり」していると感じるのは、大企業がバブル全盛期にさえ達成できなかったほどの空前のボロもうけを上げているという現実があり、他方では、賃金の伸び悩み、非正規雇用などで収入が増えない国民が置かれた状況を正しく認識していないことに最大の原因がある。
さて、かつて日本は「経済一流、政治は三流」と言われていたが、今や、経済も三流になってきており、サブプライム問題による信用収縮という理由だけでなく、株価の低下も長期的に見ればそこに原因があるのである。
それにしても、一国の官房長官が記者会見で株価の心配をするような、相変わらずの「政治は三流」の国であることだけは確かである。

迷惑メール

2008年02月07日 | 社会問題
インターネットなどを楽しんでおられる方は、当然メールも利用していることだろう。
どこからメールアドレスが漏れるのかわからないが、知らないうちに、いわゆる「迷惑メール」が大量に送られてくるようになる。
1日に何度かメールを開くと。その都度10通以上の迷惑メールが届いている。中身も見ずに捨ててしまうのだが、あまりに多いので無視もできなくなる。
送信元を変更して、同じタイトルのメールをたびたび送りつけてくる輩もいるので、プロバイダなどを通じて送付元を突き止めて、直接、抗議のメールを送りつけてやろうと思ったこともあるが、そんな非生産的なことに時間を使うのもばかばかしい。
いろいろ調べてみると、プロバイダで、迷惑メールやウイルスメールを削除してくれるサービスがあるのを発見した。
これに登録して迷惑メールかどうかをチェックしていると、どういう仕組みなのかわからないが、迷惑メールとその他のメールが的確に分類、区別される。
そこで、この迷惑メールだけをサーバーの段階で削除されるように設定したところ、迷惑メールがまったく来なくなり、お陰で平穏な日々を送っている。
編集長宅のメールに迷惑メールを送り続けている輩は、送ったメールがサーバー段階で削除されているとも知らないで、今も熱心にメールを送り続けているに違いない。まったくご苦労なことである。その底抜けの愚かさに最大級の拍手を送りたい。
さて、迷惑メールを送るような人物はいったいどういう連中なのだろうか?
人物像をちょっと想像してみた。
こういう連中の大半は男性である。女性でもたまにストーカーまがいの連中がいるが、圧倒的多数は男である。
しかも圧倒的に若い男が多いと思われる。
平日の昼間はもちろん、夜中にも送ってくるところを見ると、定職を持たず、暇をもてあまし、生活はかなり乱れていることが連想できる。仮に定職を持っていても、鬱屈したものを持ち、その原因が自分にあると気づかないまま、不満の多い暮らしを送っているような人物であろう。
友人も少なく、パソコンだけを通じて外の世界につながっており、性格は陰湿、執拗である。
いわゆるちょっと「危ない」人物像が想像できる。
かわいそうだと言えば、これほどかわいそうな連中はいない。
迷惑メールの発信元がばれるようなことはめったにないし、仮にばれたとしても、たいした罪に問われることもなく、社会的に制裁を受けることもない。
しかし、社会に背を向けて生きていると、近い将来、必ず社会からしっぺ返しを受けることだけは十分に認識しておいてもらいたいと思っている。
この瞬間にも、迷惑メールを送り続けている連中の惨めな5年後、10年後を(大変申し訳ないが)密かに楽しみにしている。

ちょっと笑えた話など

2008年02月06日 | その他
★ 以前は、電車が駅に近づくと、「電車とホームの間があいている所がありますのでご注意下さい」という車内放送や駅での放送が流れていた。電車とホームの間はあいているのが当たり前で、もしくっ付いていたらさぞかし大惨事になるだろうと常々思っていたが、最近は「電車とホームの間が<広く>あいている所」とアナウンスされるようになり、ちょっと安心した。何気ない言葉だが、日本語というのは難しいものだ。
★ 最近は略語が流行っていて、たとえば、KYは「空気読めない」など、とっさにはわからないようなものも多い。ところで、最近、テレビコマーシャルで「ミラバケッソ」というのがある。「未来に化ける新素材」の略だという設定だが、もしそうなら「ミラバケソ」でなければならないだろう。「ッ」はどこから出てきたのだろうか?また、この会社は、Kurarayという会社だが、カタカナで標記すると「クラレ」だそうだが、どう読んでも「クラレイ」ではなかろうか。 「イ」はどこに消えてしまったのだろうか?
★ ニュースを見ていたら、犯罪のために逮捕された20代の男性の職業が、「自称無職」と紹介されていた。「自称団体役員」とか「自称会社員」などというのは多いが、このケースでは、本当は職業を持っているのだが、何らかの理由で「無職」を自称したということだろうか。珍しい事例で笑ってしまった。
★ ネットで不動産屋のホームページを見ていたら、ある物件の説明に「○○駅から徒歩2km」というのがあった。徒歩だろうが、車だろうが、距離は変わらないと思うのでミスだろうと思ったのだが、よく考えると、車が通行可能な道を利用すると遠回りになるので5kmになるが、徒歩だと車が通れないような狭い道があり2kmで到達できるという物件もあるかもしれないので、単純なミスとも言い切れない、などと考えてしまった。おそらく、このケースは単純なミスだと思われるが・・・。
★ 生命保険の外交員が契約家庭を訪問するテレビコマーシャルがある。庭先から訪れて、縁側に座って「お元気そうでなによりです」と挨拶するのだが、この台詞はどうも違和感がある。契約者が元気で保険金を支払わなくて済み、最もうれしいのは保険会社である。
もちろん、保険というのは万一の時の備えだから、保険を掛けながら、結局は事故にも遭わず、病気にもならずに生活できることが契約者にとって望ましいことだが、生命保険の外交員からお元気で良かったですと言われると、素直に喜ぶ気になれないのは編集長だけであろうか。

何気ない日常生活だが、注意して観察していると思わぬ笑える話が転がっているものである。世知辛い世の中だが、そんなことに注意しながら暮らしていくのも楽しいかもしれない。

日本でも当たり前になったリストラ

2008年02月05日 | 経済問題
編集長は、サラリーマンであるが、数年前の会社の合併の際には大規模なリストラが行われた。
その後も、決算が発表され、ちょっと業績が悪くなると、地方にある研究所が突然に廃止されて、所属する全員が配転あるいは解雇、転職を余儀なくされ、また、部署ごとの人員削減目標が会社から提案され、年度末になるたびに、上司から何人かの解雇の指名があって、肩たたきが行われるようになった。
まるで、年度末の風物詩と化している。
最初は違和感を抱いていた社員も、年中行事のようにたびたび人減らしが行われるようになると、いつかは自分にも声がかかることに気づかず、そんなものかなと思ってしまうのだろうか。
バブル崩壊後しばらくの間は、リストラというと、遠い外国企業の話かと思っていたが、あの山一證券や北海道拓殖銀行の倒産の頃から、会社が危ないのならやむを得ないといった、リストラやむなしといった風潮が広がっているように思われる。
しかし、最近行われているリストラは、会社倒産の危機といった深刻なものではなく、あくまでも会社の業績を上げ、役員給与や配当を上積みするための人件費削減を目的としている。
この点が、以前のリストラと根本的に異なっている点である。
企業によるこういう形での人件費の削減は許されるものではないが、日常化してくると、そこで働く労働者のなかにもマンネリが生じ、これに反対しようという雰囲気はまったくなくなり、ただ、自分に白羽の矢が当らぬように祈るだけになる。あるいは、まさか自分に声がかかることはないだろうと思っているのかもしれない。
編集長の会社には労働組合もあるが、これだけリストラが繰り返されても、それに反対することはない。むしろ人事部のスピーカーの役割を務めるだけの御用組合であり、役に立たない。
最近は当たり前になってきたリストラだが、1つ1つの首切りに正当性があるかどうかをしっかりと見極め、対応することが重要と思われる。
また、マスコミなども、企業による人員削減が発表された場合は、それに合理的な理由があるかどうか、経営内容や社内体制などをよく調査して、報道して欲しいと思っている。
そうしなければ、リストラは当たり前という風潮をますます助長するに違いない。

大阪府知事選、その後

2008年02月04日 | 政治問題
みんながみんなそういうわけではあるまいが、大阪人というのは、どうしてこうもタレントが好きなのだろうか?もう少し冷静に人物や政策を見るということができないのだろうか?
はしゃいでいれば良いという県民性なのだろうか?
さて、選挙戦の最中に、東国原宮崎県知事が応援に駆けつけたそうだが、これもよくわからない。
東国原知事の場合は、いかなる既成政党の支持も受けずに、「しがらみがない」ことを売り物に当選し、当選後も是々非々で政策運営を行っている。
これに対して、橋下氏は自民、公明の支持を受け、その基礎票を土台にして当選している。このような候補者を「しがらみがない」知事が応援すること自体がおかしいと、大阪府民は思わなかったのだろうか?
しかも、自民、公明両党は、橋下氏がその削減に取り組むと言明している莫大な借金を垂れ流してきた張本人である。この点に矛盾を感じないのだろうか?
最近の報道では、知事の「府債ゼロ」宣言に対して自公両党が噛み付いたと報じられている。また、業界団体との会合には出席しないと宣言している知事に対しても自公の議員に不満が募っていると伝えられる。
また、橋下氏は岩国市長選に対して、自治体が国防に口出しするのは憲法に違反していると発言し、物議を醸している。無知としか言いようがない。
国民は、国会議員を選出することによって、間接的に国政に参加するわけだが、選ばれた議員は、国会で何をやっても良いいうわけではない。国政に不満があれば、国民は大いに声を上げ、国会の議論を国民の意思に沿う方向に転換する権利と義務を負っているのは当然ではあるまいか。
薬害肝炎の解決などは、まさにそういう国民の声と運動が実現に大きな力になった端的な例である。
さて、知事のリーダーシップというのはもちろんだが、議会や国民の声を無視して府政の運営ができるわけはない。とすれば、自民、公明両党の指示を受けて当選した橋下氏は、早晩、自公両党の操り人形にならざるを得ないだろう。しかし、自公の言いなりでは、今度は府民が納得しないだろう。こういう点が「しがらみがない」東国原氏と決定的に異なる点である。
まぁ、大阪府民もそれなりの期待をした新知事なのだから、少しくらいは府民のためになる政策を実行するかもしれない。
編集長は、この新知事にまったく期待するところはないが、腐敗した自公政治に飲み込まれてゆく新知事をじっくりと見物させていただくこととしよう。

輸入食品の検疫官300人余、自衛官24万人

2008年02月03日 | 環境・食料問題
中国製の農薬入りギョウザ事件が世間を騒がせている。
日本たばこ産業(JT)子会社の「ジェイティフーズ」が、中国の食品会社「天洋食品廠公司」から輸入した冷凍ギョーザが原因と言われている。
袋に穴が空いており、通常の残留農薬とは考えられないくらいの大量の農薬が含まれていたと報じられているので、製造後のどこかの時点で混入された可能性もあるようだが、検出された農薬が日本では手に入りにくいこと、中国では2年前に禁止されているが現在も使われているとの報道もあることから、中国国内でこんにゅうされた可能性が極めて高い。
「またか」という感じである。
日本でも、これでもかというくらいの偽装が続いているが、まして輸入品については検疫も十分ではなく、一体何が含まれているのかわからないのが現実である。
これらの被害を食い止める方法はいくつかあるが、何と言っても日本は食糧の60%以上を輸入に頼る国であることを考えると、輸入品に対する検疫体制を強化することである。
輸入食品の検査に従事する食品衛生監視員が全国の空港や港湾に配置されているが、その人数はわずか334人である。
この間、人員は大幅に増員されているが、それでも、この人数であり、輸入食品の検査率はわずか10%であり、全輸入食品に占める検査数の割合は低下するばかりである。
この検査官の人数を10倍の3000人にすれば、輸入品のうち、70%以上を検査できるようになるというが、それでも3割は検疫を素通りしてしまうことになる。
さて、いま自衛官は24万人である。これだけの人数がいて、国民の安全にどれだけ寄与しているだろうか?
こんなことに税金を投入するくらいなら、食品衛生監視員を大幅に増やし、国民の健康と安全を守るべきではあるまいか。
次に、製造会社に、信頼できる検査機関での検査結果(できれば無作為の抜き取り検査)の報告を義務付けるとともに、輸入会社や販売会社でも独自の検査体制を整えて、二重三重にチェック体制を強化することだ。
今回の件では、JTが輸入し、生協などが販売を行っていた。
JTは「検査は生協で行うとのことだったので、実施しなかった」と主張し、生協は生協で「JTで検査が行われているものと考えていた」と主張する。醜い責任のなすりあいである。
JTは医薬品の開発なども行っている大手企業であり、高度な食品の分析技術なども有している会社だ。なぜそのような会社でチャックができなかったのか、不思議で仕方がない。また、生協のような全国組織であれば、こういう検査をしてもたいして経費はかからないはずである。
生協では、ミートホープ社の偽装食品も見抜けなかったわけだが、その教訓がまったく生かされていないことは残念である。自らの店舗で販売する商品について抜き取りで検査を行い、その品質を保証することはできなかったのだろうか。
今回の件を教訓に、製造会社、輸入会社、そして販売会社の各段階で、食品分析の第三者機関を使って、抜き取り検査を行うよう希望するものである。
なお、最後になったが、根本的な問題は、食料を輸入に頼るのではなく、100%自給できるような体制をつくり、安全な食品が国内で供給できるようにすることであることは論を待たない。

キヤノンが月給つき職業訓練という偽善行為

2008年02月02日 | 経済問題
キヤノンが、フリーターや子育てを終えた女性などを対象とする職業訓練を3月1日から実施すると発表した。
キヤノンといえば、世界的な企業であり、その会長が経団連の会長を兼任しているという日本を代表する超一流企業である。同時に、偽装請負などの違法行為を繰り返し、指摘を受けてもやめようともしない、厚顔無恥な企業でもある。
さて、その超一流であり、かつ悪辣な企業である同社が、政府が4月からの実施を目指している「ジョブ・カード制度」を先取りする形で、職業訓練を実施した後、優秀な人を正社員として雇用することもあるという制度を作ったと言うニュースである。
キヤノンは訓練対象者と有期の雇用契約を結び、月額15万5000円を支給する。生産ラインの保守・点検や、ソフトウエアの作動確認、製品の調達業務などの分野で半年間鍛える。
対象は30人で、過去5年に3年以上継続して常用雇用された経験を持たない人なら応募できるという。
なかなか立派な話のように思われるが、前述のように、一方で違法な大量の偽装請負を行いながら、他方で30名を受け入れて職業訓練を施すというのはいかがなものであろう。
右手で大量の人殺しをしながら、左手で片手間の人助けをするようなものだ。
キヤノンにいま求められていることは、30名の求職者に、有給で職業訓練を施すことでは断じてない!
キヤノンがやるべきことは、違法な偽装請負や正社員のサービス残業をやめ、非正規雇用者をなくし、正規社員の雇用を増やすことだ。そして、下請けの単価を引き上げ、社員にもうけにふさわしい給料を支払うことである!
この点をキヤノンの経営者に問いたいと思う。

腐った食材を指摘した調理師が解雇

2008年02月01日 | 社会問題
豊橋市の給食会社が運営する社員食堂で調理師として働いていた男性が、腐った食材などを使わないよう会社に申し入れたところ、一方的に解雇されたとして、裁判所に地位確認などを求める労働審判を申し立てた。申立書などによると、同社は愛知県や三重県など46カ所で社員食堂を運営。腐った野菜の納品などを男性は再三指摘したが改善されず、2007年9月「営業方針に支障を来す」と解雇されたという。
事実だとすれば、まったくひどい話である。
昨今は、食の安全が騒がれている時期だけに、この調理師も黙っていては社会への悪影響も大きいと判断し、裁判に訴えたものであろう。勇気ある行動と思われる。
さて、このような粗悪な素材を用いるという手法は食品だけにとどまらない。建設、建築資材などでも最近も新たな偽装が発覚しており、さまざまな業界で蔓延していると考えるのが常識だろう。
従業員というのは、企業の中で弱い立場にあるために、企業の犯罪を告発することはなかなか難しい。仮に会社を告発したとしても、犯罪の証拠はすべて企業が握っていることから、裁判などで犯罪を立証することが困難なことが多い。同僚などに証人になってもらおうと思っても、会社側の圧力で協力が得られないことも多いだろう。
そういうこともあって、結局は、企業犯罪というのは表に出にくく、社会的に制裁を受けることは少ない。
したがって、こういう企業の犯罪については、それを告発した社員や関係者を法的に保護するとともに、告発された内容が社会的に見て重要であると判断される場合は、告発した人物を褒賞する制度、法律などがあれば、企業の深部で行われているさまざまな犯罪が明るみにされ、このような粗悪な素材を使った食品が出回るようなことがかなり防げるのではなかろうか。
こういう法律ができない理由は、日本が資本主義国であり、すべての制度が企業のために作られているためでもある。
もう一つ、もし、読者諸兄の中に自分の勤めている会社の悪業を告発したいと思っている人がいるならば、慎重に証拠集め(関係書類、社員の証言、事実の記録、写真、録音など)を行うことである。そして、職場の中で、同僚の信頼を得ておくことも重要である。
裁判になれば、自らの証言だけでは水掛け論に終わってしまい、企業犯罪を暴くことはできない。カギになるのは、書類などの証拠物と同僚の証言である。そのことを頭に入れておいていただきたい。