時々新聞社

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町村官房長官「株価がなぜこれほど下がるのか」

2008年02月08日 | 経済問題
町村信孝官房長官は、6日午後の定例会見で、株価が大幅下落したことについて、「経済のファンダメンタルズは総じてしっかりしており、なぜこれほど下がるのかわからない」と述べたそうだ。
6日の日経平均株価は米リセッション懸念を手がかりに大幅続落し、646円安の安値引けとなったことを受けての発言だそうだが、現状認識の甘さを疑わざるを得ない。
株価を上げることは、本来は政府の目的ではない。市場原理に任せておけば良いことである。政府としては、企業犯罪(粉飾決済や脱税など)や違法な取引などを徹底的に監視し、国民に企業情報が正確に伝わることにのみ頭を悩ませればよいのであって、株価を心配する必要などはない。
しかし、財界、大企業、言い換えれば、資本家階級の利益を代表する現在の政府にすれば、株価を気にせざるを得ないところがつらいところでもある。
さて、「経済のファンダメンタルズは総じてしっかり」していると述べているが、そうであろうか?
先頃に開かれた通常国会の冒頭で、大田経済財政担当相は「日本はもはや経済一流ではなくなった」と述べて話題になったが、20年、30年といった長いスパンで日本経済を俯瞰すれば、この指摘はもっともである。韓国、中国、東南アジア諸国の経済発展はめざましいものがある。また、インドなどの優秀な人材にも注目が集まっている。日本の経済力、技術力の世界で占める比率はどんどん低下しているのは明瞭ではないか。
アジアでの「お山の大将」を気取っていた時代はもうとうに過ぎ去ってしまった。ほとんどの日本国民も、自らの生活実感からそのことに気づいているはずである。
いまや日本は、気位が高いだけの没落貴族に過ぎないのである。
にもかかわらず、町村長官が「経済のファンダメンタルズは総じてしっかり」していると感じるのは、大企業がバブル全盛期にさえ達成できなかったほどの空前のボロもうけを上げているという現実があり、他方では、賃金の伸び悩み、非正規雇用などで収入が増えない国民が置かれた状況を正しく認識していないことに最大の原因がある。
さて、かつて日本は「経済一流、政治は三流」と言われていたが、今や、経済も三流になってきており、サブプライム問題による信用収縮という理由だけでなく、株価の低下も長期的に見ればそこに原因があるのである。
それにしても、一国の官房長官が記者会見で株価の心配をするような、相変わらずの「政治は三流」の国であることだけは確かである。


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