時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

タミフル耐性インフルエンザウイルスの集団感染

2008年02月28日 | 医療・社会保障
インフルエンザ治療薬タミフルが効かない耐性ウイルスが今季、5人からみつかり、集団感染によるものとみられることが、横浜市衛生研究所の調査でわかったと報じられている。
耐性ウイルスによる集団感染事例の確認は、国内では初めてである。世界保健機関(WHO)に報告された。タミフルは新型インフルの治療薬として備蓄されているが、別の治療薬の備蓄増など計画修正も迫られそうだ。
同研究所によると、5人の患者は、いずれも同一区内で1月28日に受診した8~13歳の男女であり、タミフル服薬前の検体から、耐性ウイルス(Aソ連型)が検出された。
3人は同じ小学校に通い、ほかの2人は同じ病院で外来診療を受けた。いずれも血縁などはなく、同研究所は、一定の地域内で今季、耐性ウイルスによる小規模な集団感染があったとみている。
過去に国内でみつかった耐性ウイルスは、タミフル服用後に患者の体内で変異を起こして耐性を持ったか、その患者と密接に触れ合う家族が感染した事例に限られる。
今季のインフルエンザ流行はピークを過ぎており、差し迫った危機は薄いが、耐性ウイルスが広がれば、感染力が強く致死性が高い新型インフルエンザが発生した際に、最初から耐性を備えて流行する恐れが高まることになる。
WHOによると、欧州などでは、従来は1%未満だった耐性ウイルスの検出率が、今季、ノルウェーで66%、フランスで39%などと高く、広がりが懸念されている。
日本でのタミフルがあまりにも安易に処方されている。このことが、耐性ウイルスの発現を早めていることは事実であろう。
患者、国民の側にも、タミフルに対する過信があることも否めない。
耐性ウイルスの発現の恐ろしさをもっと自覚すべきである。
以前には、日本は抗生物質の使いすぎで次々と耐性菌を生み出し、更に強い抗生物質の開発に迫られ、いわゆる抗生物質と耐性菌のイタチごっこをもたらしてきた。そして現在では、MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)など抗生物質が効かない細菌も発現している。感染すれば、助からない可能性が高い。
これと同じことが、インフルエンザウイルスでも起きようとしている。
インフルエンザの予防などにタミフルを安易に用いないこと、もしインフルエンザになっても、体力があり免疫力のある若い人などにはなるべく処方しないことや、高齢者、小児などでもできる限り従来の治療法で治療することなどで、耐性ウイルスの発現を出来る限り遅らせることが重要である。
また、インフルエンザの集団発生などのために備蓄されている治療薬に、タミフル以外の薬剤を加えることも対策として必要である。
さらに、タミフル耐性ウイルスに効果のある治療薬の開発を急ぐことも重要である。
耐性ウイルスに対する患者、国民の無理解、医療関係者の無自覚、そして、政府の無策にも驚くばかりである。