時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

郵政民営化で起きていること

2007年10月04日 | 政治問題
郵政民営化によって、集配局や簡易郵便局が次々と廃止されていることを指摘しておいたが、それ以外にもいろいろと問題がありそうだ。
200兆円以上の郵便貯金資金の運用先は有価証券が94.5%(うち国債は83.3%)を占めており、金利変動リスクに弱い構造となっている。
そうかと言って、これだけの国債を売却して、他の資産に乗り換えようとすると、長期金利上昇/国債の暴落を招いてしまうため、手がつけられないのが実情ではなかろうか。
今、普通国債の残高は、財務省の資料によると約540兆円であり、このうち、200兆円近くを郵政が保有しているというのは、異常というほかはない。たった一つの民間企業が、日本の財政の首根っこを抑えていることになる。まるで、爆弾企業とでもいうべきである。
また、編集長がコツコツと収集している郵便切手にも影響が出始めている。
以前にも書いたが、1970年以降には、莫大な切手が発行され、切手の希少性などは完全に失われてしまった。
最近もその傾向は続いており、当時の切手は、業者間だけでなく、ネットオークションなどでも、額面割れで取引されることが多くなってきた。
切手は、郵政省(当時)によって、「切手に記された金額(額面)の範囲内で郵便に使える」ことが保証されており、民営かされた現在でも、「郵政省時代の切手は使える」ということが法律で保証されている。
したがって、企業などは、いわゆるチケットショップで額面割れの切手シートを購入し、これを台紙に貼り付けて、ダイレクトメールの郵便料金の支払いに当て、経費を浮かして来た。しかし、最近では郵政公社の経営の厳しさを反映して、ダイレクトメール等の郵便料金支払いについては、「現金しか受付けない」という事態も発生している。
要するに、郵便には額面通りに使えますよ、といって販売しておきながら、実際には使えないというケースも出てきたということである。
こうなると、郵政当局に対する一種の「債権」を意味する切手の先行きに不透明な点があることは否めない。また、ますます切手が使用されなくなり、額面割れ切手が増えることになる。
切手は、一般に郵便物に貼って使用されるものである。たとえば、80円という切手には、この郵便物を宛先まで配達するための人件費や諸経費、そして郵便局の利益が含まれている。
ところが、販売した切手が退蔵されれば、その金額が丸々郵便局の儲けになる。
その儲けを何か別のことに使ってしまったのだろうか、最近では、上記のように、一部の郵便には切手の使用を断る、現金のみ支払い可能という通知が出ている。これは、切手を購入した人たちへの背信行為であろう。
郵政民営化の記念切手の購入に、長蛇の列ができたと報じられているが、この「債券」が将来に価値を失うことがないように心から祈るしかない。