時々新聞社

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法人申告所得額、過去最高57兆円に

2007年10月31日 | 経済問題
今年6月までの1年間に税務申告した企業などの法人の申告所得総額が、過去最高の57兆828億円(前年比13.3%増)に上ったことが国税庁のまとめでわかった。
好調な企業業績を反映し、申告所得ベースではバブル経済期を超える形となった。
申告税額は14兆4578億円(同14.8%増)で、過去15年間で最も高くなった。18兆円を超えたこともあるバブル期には及ばなかったが、これは現行の法人税の基本税率(30%)がバブル期の税率(42~40%)より低くなっているため。
この1年間の申告件数は、278万7000件で、これも過去最高。このうち累積欠損を差し引いた申告が黒字だった割合は4年連続上昇して32.4%となり、黒字申告1件あたりの所得額は過去最高の6254万円だった。バブル期には申告した法人の半数近くが黒字で、企業間の「格差」が拡大している実態がうかがえる、と報じられている。
以前から本紙で指摘しているように、一般家庭の収入が頭打ちになっている中で、企業はバブル期にも達成できなかったような空前の大もうけをしている。
どこか間違っていないだろうか。
政府の基本的な考え方は、企業が潤えば、庶民もそのおこぼれにあずかれるはずだ、という考えである。こんな発想で庶民の暮らしが改善するはずがない。
しかも、報道されているように、バブル期には企業の税負担(実効税率)は約40%であったが、小泉構造改革の中で、財界、大企業の要望を受け入れ、今や実効税率は30%にまで低下している。
政府は、口を開けば、社会保障の財源がない、消費税率を上げるしかないと宣伝し、マスコミもその論調に乗って政府のお先棒を担いでいるが、これはとんでもないことである。
ボロもうけをしている大企業の実効税率を40%に戻し、企業への各種の補助金を削減すれば、社会保障の費用などは何でもない。
また、何10億もの資産を有する企業経営者や資産家にちょっと税金をかければ済むことである。
法人税率を上げれば、企業や資産家が日本から出て行くとの議論があるがこれもまやかしである。いま企業が海外に工場などの機能を移しているのは、海外の人件費が安いからに他ならない。また、日本の市場が飽和し、日本で生産する意味がないからに他ならない。
法人税率が問題ではないのだ。その証拠に、法人税率の高いヨーロッパなどにも日本企業はどんどん進出しているではないか。
こういう財界や大企業の主張を鵜呑みにして、報道することほど危険なことはない。
いずれにせよ、企業収益が増えても、そこで働く庶民の給料は横ばいである。それどころか、非正規雇用者が増え、全体の平均収入は減るばかりである。申告所得が10%以上も伸びているのなら、正規雇用者を増やし、もうけにふさわしい給料を支払うべきである。
財政再建、社会保障費の捻出など、日本の財政運営には困難が多いと思われているが、それほど難しいことではない。
発想を転換すれば、消費税の増税に頼らなくとも、10兆や20兆の財源確保は簡単なのである。


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