時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

教育の崩壊

2007年10月11日 | 教育
コンビニからたばこを集団で万引きしたとして、足立区内の3つの区立中学校に通う2~3年の少年(いずれも14歳)3人を窃盗の疑いで逮捕したという事件があった。
中学生が万引きした場合、逮捕せずに補導で済ませるケースが多いが、同課は、3人が通う中学校から「度重なる補導や授業の妨害で学校の指導力では手に負えない」との上申書の提出を受けたことなどから、家庭裁判所による審判が必要と判断し、先月下旬に逮捕に踏み切ったという。
そもそも事件があったのは、4ヵ月も前の今年の6月である。当時13歳だった中学2年生2人とともに、同区伊興のコンビニで、レジの前のかごにあったたばこ7カートン(販売価格計2万1000円)を万引きした疑いである。
報道内容から察するに、今回の万引きが初めてではなく、たびたび補導されており、学校や家庭もいろいろと努力をしてきたがどうしようもなく、とうとう逮捕に踏み切ったという感じである。
この事件については、他のブログでもいろいろと論じられているが、まずは、親の責任をどうみるかという点であろう。未成年者の行為に対して、これらの生徒の親はどう感じているのだろうか。死ぬ気で子供と向かい合ってきたとは到底思えない。
次に、学校の問題であるが、学校としても上申書の提出は苦渋の選択だったのだろう。学校関係者の心中も察するに余りある。
残念ではあるが、矯正施設において「隔離」する以外に方法はないように思われる。「隔離」して本人たちが反省するかどうかは疑問だが、家庭や学校、社会のためにもそのほうが良いだろう。
さて、教育を巡って、足立区ではいろいろと問題が起きている。正確には、足立区はいろいろと問題を起こしている、というべきだろう。
公立小学校の学力テスト不正問題もついこの間まで報じられていた。情緒障害などのある児童3人の答案を無断で抜き取り、採点から外したとか、教育委員会が事前に校長にテスト問題を配布し、校長も学校で事前に勉強させていたとか、テストの最中に答えが間違っている個所を指で指し示して注意を促したとか、教育現場にあるまじきお粗末な内容が報じられている。
この背景には、学力テストの成績によって、各学校への予算配分を決めるという方針を区が打ち出したことにある。各学校とも、予算を取るために学力テストの成績を1点でも上げたいという「競争」の中に放り込まれたわけである。
しかも、この学力テストは、各生徒に答案が返ってこないため、生徒がどこがわかっていて、どこがわかっていないのかが生徒にも教師にもわからない。これでは、改善策の立てようもない代物だ。小中学校という義務教育の中に、このような「格差」を持ち込むことが、生徒に良い影響を与えるわけがない。
こういう区で、まともな教育ができるだろうか。
足立区では、小学校も中学校も学校は自由に選択できる。学校に格差ができるので、親たちは評判の良い学校に子供を通わせたがり、ある学校は1学年6クラス、評判の悪い学校には生徒が集まらず、1学年が1クラスという実態がある。希望した学校に入れず、評判の悪い学校に回された生徒たちは、入学した時から劣等感を持ちながら通うことになる。こんなやり方で生徒がまともに育つわけがない。
さて、万引き事件に戻るが、このような事件の背景には、足立区の教育行政の歪みも反映していると思われる。