時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

大規模な消費税増税?

2007年10月19日 | 政治問題
経済財政諮問会議は、将来の社会保障給付費の増大と国民負担について議論した。この中で、内閣府は平成37年度までの年金を除く社会保障(医療・介護)給付と負担の中長期的な姿を提示した。経済が低成長で推移した場合は、最大28.7兆円の増税が必要になるとの試算を示した。与野党から歳出増の圧力が強まる中、国民に、増税を受け入れるかどうかの「選択肢」を示した形であると報じられている。
この試算によると、
(1)現行の給付水準を維持し、負担を増やす
(2)給付を削減し、負担を維持する
という2つのシミュレーションをもとに作成。最大で28.7兆円が必要となる増税をすべて消費税で賄うと、37年度までにほぼ11.5%分の税率引き上げが必要となるという。
この場合、所得に占める租税や社会保障費も含めた公的な支払い割合(潜在国民負担率)は51%と過半に達し、消費低下など経済環境の悪化を招く懸念が出そうだ。
ただ、負担水準を維持しても、名目経済成長率が3.2%と高水準を実現すれば、増税必要額は8.2兆円にとどまるとしている。
太田弘子経済財政担当相は「歳出を削減して財政規律を守ることが大事」と繰り返してきただけに、安易な増税、歳出拡大に歯止めをかけたいとの思いが強い。だが、先の参院選での大敗を受け、与党は歳出拡大に躍起となっている。
来年4月に実施予定の高齢者医療費の負担増も、政府・与党内で凍結に向けた議論が本格化するなど、社会保障の充実を求める声も強まる一方だ。
安倍前政権が掲げた高い経済成長を元にした「増税なき財政再建」の道筋は、今後の議論によって早期に軌道修正される可能性もありそうだと報じられている。
しかし、この分析は正しくない。
財政再建か、景気回復かという二者択一を国民に迫るやり方には反対である。
景気のカギを握るのは、GDPの約6割を占める個人消費である。この個人消費に陰りが出ているのが、今の日本経済の実態である。
この間、マスコミでも報じられてきたように、バブル崩壊以来、庶民の収入、所得は頭打ちとなり、むしろ低下しているのが現状である。ワーキングプアなども生み出している。その一方で、資本金10億円以上のいわゆる大企業は、バブル期の2倍もの収益を上げているが、税負担はむしろ低下している。
ここに大胆にメスを入れ、法人税の定率減税の廃止、税率引き上げを直ちに行い、企業が労働者に支払わずに溜め込んだカネを、企業に代わって国や地方自治体が、医療や福祉、教育などのために使い、所得税や住民税の減税を行うことによって、景気を下支えすることが重要である。
また、本紙でたびたび指摘してきたように、米軍への思いやり予算や無駄な軍事費、大型公共事業費の削減こそ急務である。
国民の暮らしを応援する方向に舵を切り替えてこそ、歳出削減と景気回復による財政再建も可能になるのである。