時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

高齢者医療の負担増を凍結、与党が法案提出?

2007年09月23日 | 政治問題
政府・与党は20日、2008年4月から予定していた高齢者医療費の窓口負担の1割から2割への引き上げなど、国民の負担増や給付削減につながる医療・福祉政策を凍結する方針を固めた、と報じられている。
経緯はともかく、この措置については歓迎する。
来年4月から実施予定の高齢者医療制度の内容は本当にひどいものだ。
75歳以上の高齢者は「後期高齢者」と名づけて、別の医療制度に移行する。家族の扶養になっていて、保険料を納めていない人たちにも新たな保険証が交付され、年金から保険料が徴収されるようになる。その金額は、現在の国民年金の1.3~2倍程度になる見込みだ。もし、この保険料を滞納すれば、保険証の取り上げも可能になる。現在は、65歳以上のいわゆる高齢者からは、いかなる理由があろうと保険証を取り上げることは許されていない。これは憲法で保障された生存権を守る措置だ。ところが。今後はこの精神すら踏みにじられようとしている。
また、70~74歳の高齢者は、医療費の窓口負担が、現行の1割から2割になる(高所得者は現在も2割負担)。こういう高齢者いじめの制度である。
若者や中高年には関係ないと思ってはいけない。自分もやがてこの制度のお世話になる時が来る。将来の禍根は、今の時点で断ち切っておかなくてはならない。また、高齢者を抱えている世帯では、結局、家族がその負担増を支払うことになる。世代間で、いがみ合っている場合ではないのだ。
この制度をとりあえず凍結することは、全国の高齢者とその家族にとって大変喜ばしいことである。
自民党や公明党は、昨年6月にこういう制度を自分たちで導入しておきながら、次の衆院選をにらんでの「党利党略」で凍結を主張しているわけであり、こういう下劣な下心は徹底的に批判しつつも、もし、この制度が凍結されるのなら、心から歓迎するものである。
また、今回の措置(まだ決まったわけではないが)に対して、「ばらまき型政治の復活」との批判が出始めているようである。しかし、この制度の凍結による政府の支出などは、イラクへの自衛隊の派兵、インド洋での給油支援などこ「そばらまき」にであり、これらに比べれば、微々たる金額ではないか。
そもそも、政治の本来の役割は、国民が安心して医療や福祉を受けながら暮らせることにある。テロ対策などといって、インド洋で給油活動をすることが、国民の安全を守ることに本当につながっているだろうか。使いもしない大量の戦車や戦艦が、国民の安全を守ってくれているだろうか。どれだけミサイルを配備すれば、日本の安全が守れるのだろうか。キリがないではないか。
そんなことに無駄な金を使うのではなく、教育、医療、福祉などの国民生活に密着したところに予算をつぎ込むべきだろう。また、多発している水害、地震など自然災害への備えにこそ予算を使い、国民の安全を図るべきである。
参院選において、国民は自民、公明の与党が進めてきた政治の方向に「ノー」の審判を下したわけだが、今回の高齢者医療の問題にとどまらず、予算を国民の立場で使うような抜本的な転換がいま求められていると思われる。
国民も、こういう方向に政治を動かすよう引き続き監視を強めていかなければならない。