時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

残業代が出なくなったら、早く帰る?

2007年09月13日 | 政治問題
「残業代が出なかったら、あほらしくてさっさと家に帰るインセンティブ(誘因)になる」。舛添厚生労働相が閣議後の記者会見で、一定条件を満たした会社員を労働時間規制から外すホワイトカラー・エグゼンプションについて、このような持論を展開したと報じられている。
政府は、さきの通常国会に提出した労働基準法改正案に、残業代を支払いたくない財界から強い要望があったホワイトカラー・エグゼンプションを盛り込むことをめざしたが、労働組合などが「サービス残業を助長し、過労死が増える」と反発。「残業代ゼロ法案」との批判を浴び、断念に追い込まれた経緯がある。
これに対して、舛添氏は、この制度の真意は「パパもママも早く帰って、うちでご飯を食べましょうということだ」と説明し、「家族だんらん法案」「早く帰ろう法案」などの名前にすべきだったとした。
一方、「私はずっと海外で生活してきたが、日本は労働生産性がむちゃくちゃ低い」とも指摘。ホワイトカラーの賃金は労働時間ではなく、アイデアの対価との考え方を示し、「働き方の革命をやりたい」と述べた。
記者会見の席で、「さっさと家に帰れるぐらいなら過労死は起きないはずだ」と質問されると、「時間ではかれる仕事について残業代を払わないのはもってのほかだ」と苦しい釈明したと報じられている。
実際の導入については「ホワイトカラー・エグゼンプションの問題はプラスマイナスある。今後とも審議し、検討していくのは(従来方針と)全く変わらない」と述べたという。
残業代が出なかったら、さっさと家に帰るだろうか?「国際経済学者」のお粗末さを笑うほかはない。期日の決まった業務があり、会社は少しでも仕事をさせようと、仕事の期日を短縮し、質的には少しでも高度なものを作らせようとするのは当たり前のことである。とりあえず、作ったからさようなら、というわけにいかないのが仕事である。
法案の名前を変えても内容に問題があるのだからどうしようもない。
記者団から質問のあった過労死問題の解決には程遠い法案だ。
そもそも、財界がこの制度の導入をめざすのはなぜだろうか?
企業が、きちんとした労働の対価を支払いたいと思っているからだろうか?否である。
わずかばかりの手当てと引き換えに、就業時間内には終わらないほどの仕事を押し付け、残業代の支払いを行わず、ピンハネした残業代で役員報酬の増額や企業の収益向上をめざそうというのが目的である。
労働者にとっては、踏んだり蹴ったりの法案だ。
自分は管理職なので、こういう法案が成立しても関係ないなどと思ってはいけない。若い世代の賃金抑制は、中高年の賃金抑制を招くことは当たり前である。
企業に雇われて、賃金を受け取っているすべての労働者がこぞって反対すべき悪法であることを強調しておく。

遅すぎた安倍首相の辞任

2007年09月12日 | 政治問題
安倍首相が突然辞任を表明した。
所信表明演説に対する批判記事を書き上げ、今日投稿しようと思っていた矢先だったので、原稿が無駄になってしまった。まったくけしからん話である。
そもそも、所信表明までしておきながら、代表質問の前に辞任するというのは、議会をないがしろにした態度で、到底容認できない。
とは言うものの、辞任は当然であり、歓迎する。
本人も、「今の状況で、国民の支持・信頼の上において、力強く政策を前に進めていくことは困難」と判断したということだから、自らの政策や手法が国民から支持されていないことは十分に分かっているということだ。
憲法「改正」の国民投票法案、教育基本法「改正」、防衛省への格上げなど、数々の強行採決を行い、超タカ派的な手法で国会を混乱に陥れてきた罪悪は、如何ともしがたいものがある。
実績らしい実績もなく、参院選で大敗を喫したのも当然である。
今回の辞任に当たって、拉致被害者の家族会が「支持してきたのに残念」とのコメントを出しているが、冷静に考えていただきたい。
戦後レジームからの脱却、言い換えれば、戦前の政治への回帰を目指してきた安倍首相に、北朝鮮による拉致問題を解決できるはずがないではないか。
戦前の日本の野蛮な侵略戦争をまったく反省せず、同盟国であるアメリカからさえ批判を受けてきたのが安倍内閣である。
本当に拉致問題を解決したいと望むのであれば、日本の過去の侵略戦争を心から反省し、日本軍による朝鮮人拉致問題や虐殺の歴史の反省に立って、北朝鮮との交渉に臨むことが最低限必要である。
にもかかわらず、北朝鮮のみならず、中国をはじめとしたアジア各国から反感を買い、同盟国のアメリカさえも味方に出来ない安倍政権に、拉致問題の解決を期待する方がどうかしている。
その証拠に、1年足らずではあったが、安倍政権の期間中には、拉致問題はまったく進展しなかったではないか。あの小泉首相でさえ、北朝鮮訪問によって、糸口を見出したではないか。
日本の過去の戦争行為を真に反省するところから、拉致問題の解決の糸口が見つかるのである。そういう意味では、今回の安倍首相の辞任は、拉致問題解決の第1歩と言えよう。
拉致被害者の家族会の人たちにとっては、無駄な1年になったことを本当にお気の毒に感じるが、安倍首相に対する誤った期待を捨て、これから新しい道が開かれるということを申し上げておきたい。
さて、この後自民党内で総裁選びが始まるわけだが、自民党内にはもう人材は残っていない。
まさか、「アルツハイマー」発言の麻生というわけにはいかないだろう。かと言って、他にも見るべき指導者は見当たらない。
自民党の瓦解が近いことを予感するとともに、国民に目を向けた新しい政治の幕開けになることを期待している。

完集(かんしゅう)

2007年09月11日 | コイン収集など
コレクターの用語に「完集」(かんしゅう)という言葉がある。
当然、辞書には載っていない。
何となく、完全収集の略だろうということはわかるが、一般にはほとんど使われない言葉である。
ところが、インターネットで「完集」を検索すると、驚くほどたくさんの記事が引っかかってくる。
それだけ、この「完集」という言葉も広く使われているのだろう。と思って内容を良く見ると、やはり、コインや切手、鉄道の切符、オマケのシール、カードなどのコレクターに関連する記事ばかりである。いわゆる「オタク用語」なのだろう。
さて、その領域のものを1つ残らずすべて集めたいと考えるのは、コレクターの心理である。
編集長の趣味であるコインや切手を例にとると、日本で発行されているものはすべて集めてみたいと思うのが、コレクターという人種である。
しかし、日本で発行されたコインや切手をすべて集めるなどということは、事実上不可能である。というのも、これらの中には、数枚しか現存していないものがあるからだ。また、エラーと呼ばれる正規のものから逸脱した物などもあり、入手は困難だ。そして何よりも、よほどの大資産家でもない限り、財政的に困難が伴うだろう。
したがって、多くのコレクターは、年代や種類を限定して、その範囲のものだけでも、何とか全部集めようとしたりするのが普通である。「○○銀貨を完集」などのように。
しかし、コレクターという人種は、とにかく持っていないものがあると欲しくなるのが習性のようである。
編集長は、コインや切手のコレクションをしているが、特に「完集」にはこだわっていない。無理なことにこだわっても仕方がない。「完集」は無理なのだから、特定のテーマに絞ったコレクションに徹底的にこだわるべきだが、たまに目移りがして、関係ないものを購入してしまうのもコレクターの習性なのだろう。
財布の中身と相談しながら、コレクションの充実を図るところに、コレクターの楽しみがあるのではないだろうか。
ところで、最後になったが、テレビ東京で放映されているあの「大食い選手権」では、「完食」という言葉が使われるが、これも現代の造語である。
それにしても、「完集」も「完食」もけっして美しい言葉でないことだけは、確かである。

日常生活、50歳代で7割が「不安」

2007年09月10日 | 社会問題
内閣府が行った「国民生活に関する世論調査」で、日常生活で悩みや不安を感じている人が69.5%となり、昭和56年以降で過去最高となったことがわかったという。
具体的には「老後の生活設計」を挙げる人が最も多く、政府に対して「医療、年金などの社会保障構造改革」を求める人が7割を超えた。高齢化が進む中、年金問題などで暮らしへの不安の高まりが背景にありそうだ。
調査は今年7月、全国の成人男女計1万人を対象に実施し、有効回収率は60.9%。日常生活で悩みや不安を感じている人は、平成18年10月に実施した前回の67.6%より2ポイントほど増え、69.5%だった。とくに、50歳代は顕著で、76.2%が不安を感じている。
悩みや不安の内容(複数回答)は、
・老後の生活設計:53.7%
・自分の健康:48.3%
・家族の健康:39.8%
・今後の収入や資産の見通し:39.0%
などが続いている。政府に対する要望では、
・社会保障改革:72.4%
・高齢社会対策:55.8%
・景気対策:49.6%
が上位を占めたという。
現在の生活に対する満足度については、「満足」が前回より3.8ポイント減り、62.7%。反対に「不満」が3.5ポイント増え、36.0%だったという。
日常生活で悩みや不安を感じている人が多い割には、現在の生活には「満足」な人が多いというのは、一見不思議な気がするが、日本人独特のがまん強さの現われかもしれない。
話が少し逸れるが、編集長が今朝、駅に向かう道で、60歳代の2人連れの夫人が、自動販売機の脇にある空き缶捨てから一所懸命アルミ缶を抜き出している姿を見かけた。一度見かけて、少し歩いていくと、別の場所でもアルミ缶を選びだしていたので、手に持ったアルミ缶のつまった袋はかなり大きくなっていた。
以前は、まだ薄暗い時間に、アルミ缶を集めている人に出会ったことがあるが、すっかり明るくなり、通勤者が駅に向かって歩いている時間帯に、しかもどう見ても家庭の主婦にしかみえない人たちがアルミ缶を拾い集めている姿は、これからの日本の姿を見るような気がして、ちょっと暗い気持ちになった。ちなみに、業者の買取り価格は、アルミ缶1個が約3円だそうだ。
生活が苦しくなるのは、多少の「個人責任」もあるかもしれないが、全就業者の3分の1が非正規雇用者となるような社会を法律で擁護するような仕組みに問題があるのではなかろうか。
アルミ缶を拾って生活の足しにすることをけっして否定しないが、同時に、大企業に奉仕し、私たちの暮らしを追い詰めている政治のあり方に、1日も早く気づいて欲しいと思っている。

司法試験合格者3000人は多すぎる?

2007年09月08日 | 社会問題
司法制度改革の柱として司法試験合格者を毎年3000人程度に増やす政府の基本方針について、鳩山法相は、報道各社によるインタビューで「ちょっと多すぎるのではないか」との見解を示した。また、法科大学院の現状についても「質的低下を招く可能性がある」と述べ、現在の政府の計画に疑問を呈したという。
裁判官や検察官、弁護士ら「法曹」となる司法試験合格者は現在は約1500人。2010年までに毎年3000人とするのが政府の計画。法相は「私見」と前置きしたうえで「毎年3000人増えるのは多すぎる」と発言した。
法曹人口を増やすために新設された法科大学院についても「法科大学院の発想は(修了者の)半分か、半分以上が法曹になるというもの。検事や裁判官も含め、格別に難しい試験を通った人だから信用しようという考えが、我が国にはある」との考えを述べた、と伝えられている。
しかし、現在のように犯罪が多発するようになり、1審の判決を素直に受け入れず、控訴、上告される裁判が増え、法曹関係者も多忙であろう。多少、人数を増やさないと対応できなくなるのではないかと思われる。
また、弁護士というと、一般庶民にはまだまだ敷居が高く、費用も高い。
一般庶民の抱える様々な問題に気軽に相談に乗ってくれる弁護士が身近にいることは望ましい。問題は、こうして生まれる法曹関係者が、自らの金儲けのためではなく、法の番人として、社会の秩序を守り、社会不安を取り除くための仕事をきちんとしてくれるのかどうか、ということである。
多くの合格者が出れば、それだけ、社会のために尽くそうという人材も増えるに違いない。
一方で、司法試験合格者の就職先がなかなか決まらないという問題も起きていると言われている。競争が厳しくなり、「悪徳」弁護士が生まれる余地も残されている。こういう問題にこそしっかりとした対応を行うべきであろう。

先進国中で「最低」の最低賃金

2007年09月07日 | 政治問題
厚労省の中央最低賃金審議会の答申を受け、各地方では最低賃金の改定審議が進められている。
中央最低賃金審議会が示した最低賃金の目安額は、全国平均で14円(時給)アップの687円。各都道府県をA~Dランクに分け、A(東京、大阪など5都府県)19円、B(埼玉、京都など10府県)14円、C(北海道、福岡など16道県)9~10円、D(青森、沖縄など16県)6~7円を引き上げ額の目安とした。
この目安に強制力はないが、各都道府県の地方最低賃金審議会は、おおむね目安に沿った額を最終決定するのが通例という。
以前にもこの金額の低さを指摘しておいたが、一部の地域では最低賃金で働いても、生活保護費水準にも達しないといった不条理が生じている。
しかも、先進国の中でも、日本の最低賃金の低さはとりわけ目立っている。英国やフランスは時給1200円前後の水準にあり、従来、先進国中最低だった米国も今後2年間で、5ドル15セントから7ドル25セント(約850円)に引き上げることを決めたため、早晩、日本が最低になる。
日本の最低賃金法には、決定基準に「企業の支払い能力」が考慮されると定めるなど、常に雇用者側の意向が強く反映される形で最低賃金が決められてきた。
これに対して、欧州では、決定要件に企業の支払い能力は関係なく、「尊厳ある最低限の生活が確保できる額」という概念が初めにありきだ。支払えない企業は市場から退出してもらうという考えが基本になっている。
日本が、欧米先進国に比べて、このように最低賃金が低いのは、政府の政策決定が、庶民の暮らしではなく、企業の都合を真っ先に考えているからに他ならない。もう一つは、労働組合運動などが衰退し、国民の中にも自らの権利として賃金の上昇を実現しようという意識や行動が希薄になっていることだ。
労働者は、「自己責任」という言葉で互いに競争し、ごく一部の勝ち組(こういう連中も、所詮は企業に利用されているだけなのだが・・・。)を目指して競争し、個人の努力が強調され、心身をすり減らし、結果として多くの労働者の賃金が低水準に置かれているのである。
もう一つは、大都市、地方を問わず、中小企業の経営は苦しい。これが、最低賃金の値上げの足かせになっている側面がある。しかし考えても見よう。大企業で働く労働者だけでなく、下請けの経営者(および労働者)も、大企業から下請け単価を極限まで切り下げられている立派な被害者である。経営者は、一国一城の主のつもりかもしれないが、その実態は、大企業の労働者の足元にも及ばないような生活を強いられている実態があるのではなかろうか。今後は、労働者だけでなく、中小企業の経営者たちも団結して大企業と交渉し、下請け単価の水準の引き上げなどをめざす運動が必要であろう。もちろん、政府が本当に中小企業の振興を考えるのなら、下請け代金の最低保証額などを法的に定めることも視野に入れなければなるまい。
年功序列・終身雇用の崩壊、非正規雇用の増加など、労働環境が大きく変わりつつある日本では、与野党ともに最低賃金の根本的引き上げが必要との認識では一致していると報じられているが、財界もうでで、企業から献金を受けている自民党や民主党などに、最低賃金の引き上げが打ち出せるはずがない。
どのような問題についても、声をあげ、行動しなければ、国民はジリ貧になるのを待つばかりである。そのことに早く気づいて欲しいと思っている。

農相辞任。環境相は留任?安倍内閣は退場しかない

2007年09月06日 | 政治問題
遠藤農林水産相は、自らが組合長を務める農業共済組合が国の補助金を不正に受給していた問題の責任をとって辞任した。
安倍内閣の組閣後1週間足らずの辞任で、多くの国民はもうあきれている。
首相の任命責任や政権運営能力のなさはもう明らかではないか。
これに対して、与党、公明党の太田代表もNHKの番組で「次から次とこういう問題が出ることは残念だし情けない。国民から言ったら『何をやっているんだ』ということになる」と批判を強めたというが、政権与党としての自らの責任には頬かむりであり、それこそ「情けない」話であり、「何をやっているんだ」と言いたくなる。
また、会議費を二重計上した坂本由紀子外務政務官も辞表を提出した。
しかし、これらばかりではない。
環境相の借金額のごまかしも明らかになったが、こちらはどうも留任するようだ。しかも、説明責任などという割には、まったく要領を得ず、ただ単に、借金額そのものがまちがっていたのだろうということで済ませるつもりらしい。
また、新たに就任した若林正俊農水相の政治団体の代表に、農水省の補助金の交付を受けている団体のトップが就任していることが判明したという。この代表者個人が若林氏の政治団体に献金をしたり、代表者が役員だった団体がパーティー券を購入したりしていたことも判明した。補助金を出す側の大臣が受給側から資金提供を受けていたことについて、若林氏の事務所は「不適切との指摘があれば、大臣在任中は献金の辞退を検討したい」としているが、不適切なのは当たり前である。
こういう疑惑のある人物はすべて更迭すべきであろう。
自民党の幹事長は、あの「アルツハイマー」発言の麻生太郎である。こういう陣容を組まざるを得ないところが、自民党の末期的な症状の現われである。
安倍総理には、内閣総辞職しか道は残されていない。

福祉事務所職員が生活保護の「申請は無駄」

2007年09月05日 | 社会問題
生活保護を申請するため大阪市の福祉事務所を訪れた内縁の夫婦と福祉事務所職員とのやりとりを録音したテープを、生活保護問題に取り組む弁護士が公開した。
夫婦の住居の家賃が高額であることを理由に、職員が「(申請は)無駄」などと申請書交付を渋る様子が録音されていた。窓口で対象者を絞る「水際作戦」は北九州市などで問題化しているが、詳細なやりとりが明らかになったのは極めて異例。厚生労働省も「保護受給権を侵害する行為」と指摘している。
この申請者は心身に病気があり、仕事や収入もない50代の夫と30代の妻。以前は夫が働き、家賃11万円のマンションに住んでいたが、夫は目が悪くなって仕事ができなくなった。多重債務を抱えて家賃を滞納しており、安いところへ引っ越すにも手持ち金がなかった。食事も友人からの差し入れだったという。
夫婦は6月に2回、7月に1回、福祉事務所を訪れた。録音・公開されたのは友人が同行した2回目と、弁護士が同行した3回目である。
2回目の訪問では職員が家賃を問題視し、窮状を訴える夫婦に「緊急性が高いとは思っていない」と応対し、友人が申請書をもらおうとしても、「無駄」「無意味に近い」と発言していた。申請書はこの日に交付されたが、申請は受け付けられなかった。
7月には別の職員が「指導をしている」と弁明。さらに「北九州市の水際作戦とは違う」などと、保護を受けられずに孤独死が相次いだ北九州市の対応との違いを強調していた。
夫婦は7月に申請したが、簡易保険が財産とみなされたため、いったん撤回。保険を解約して債務を返済した後に再申請し、認められた。保護開始前後に安い家賃の住居に引っ越したという。
大阪市の福祉事務所は無断で録音されたことについて、「知らなかった。言ってもらえば拒むことはなかった」と説明したという。要するに、録音されていたのなら、そういう対応はしなかったということなのだろう。
上野厚雄・市生活保護担当課長は「家賃が高額の場合、保護を受けても最低限度の生活が保障されないため、申請前に通常、転居を勧めている」と話しており、これに対し、厚労省保護課は「家賃を理由に申請を拒むことは問題がある」と指摘している。
この記事を見た多くの読者が、50代と30代の夫婦ならば、何とか働けるのではないかと思うかも知れないが、年齢に関係なく、病気や障害のために通常通りには働けない人たちもいるということをどうか理解して欲しいと思っている。そういう人たちにとって、生活保護は最後の命綱である。
今回の例では、申請書の交付そのものを拒むことはなかったようだが、全国の福祉事務所では、申請書さえ交付しないような例もある。明らかに、生活保護法違反なのだが、こういう違法行為が公然と行われているのが実態である。早急に改善すべきであろう。
同時に、いわゆる生活保護の不正受給や受給しながら就労の努力をしない受給者がいるのも事実であろう。ごく限られた例ではあるが、こういう事例が、生活保護行政への国民の信頼を失わせているのは残念なことである。
実態に即して、適切に適用されることを望んでいる。

宿題代行、夏休み最後に依頼殺到

2007年09月04日 | 社会問題
「読書感想文」から「自由研究」まで、子供たちの夏休みの宿題を片づける「宿題代行業者」が登場し、論議を呼んでいるという。メールなどで依頼を受け、アルバイトの学生らが有料で請け負う。批判の声をよそに、多くの小中学校で夏休み最後には「駆け込み依頼」が殺到しているという。
インターネット上で宿題代行サイトを主宰するのは大阪市内の20代の男性。サイトには東大、京大、阪大など全国の有名大学の学生らが多数、登録している。
算数の文章問題は1問500円、読書感想文は2万円。子供向けだけでなく、大学生のリポート(2万円~)や卒業論文(30万円程度)まで幅広く手掛ける。
夏休みの宿題の定番である工作(5万円)や自由研究(2万円)も請け負っており、これまで実際に「アリの研究」や「河川敷の水質調査」などを提供したという。
依頼するのは主に親たちで、「子供の宿題が期限に間に合わないから」と切羽詰まった理由が多いという。なかには小学生本人が依頼することもあるという。メールやFAXで受けた依頼を登録学生に発注。高額バイトとして一部の学生に人気があり、中には月20万円以上稼ぐ学生もいるという。
繁忙期は当然夏休みで、問い合わせが普段の約3倍になる。今年はこれまでに、小学生の夏休みの宿題だけで約40件の注文があったという。
こういうビジネスを立ち上げるのもいかがかと思うが、これを利用しようという親の心理もわからない。子供のためにならないことは明瞭ではないか。しかも、子供からの注文があるというからあきれてしまう。
何でもお金で片付けてしまおうという考え方にも驚くばかりである。
編集長も、宿題の絵日記には苦労した記憶がある。母親に叱られながら夏休みの終わりになって必死で書き上げた記憶がある。
宿題とは、そもそも家庭での学習習慣を身につけるために行うものであり、できなかったらできなかったで、学校で少し恥をかけばよいだけのことである。そういう経験を通して、子供も計画的に宿題をやる必要性を理解するようになるのである。
大人の世界に蔓延している「拝金主義」、「金銭至上主義」を子供の世界に持ち込むことだけは避けなければならないであろう。

改造内閣で、暮らしはどうなる?

2007年09月03日 | 経済問題
Asahi.comに掲載されている荻原博子の「がんばれ家計」というコーナーがある。
安倍改造内閣が暮らしにどういう影響があるのかがわかりやすく書かれているので、全文を紹介しておこう。
『参院選での大敗を受けて、惨敗色を一掃すべく、安倍改造内閣が発足しました。
要職には、自民党の元老院オールスターが就き、若殿をもり立てるという布陣になりました。
これで自民党は、何とか不人気を挽回(ばんかい)しようということなのでしょうが、新内閣が発足して、私たちの暮らしはどうなるのでしょうか。
まず、経済面では、大田弘子経済財政大臣が留任したことで、竹中路線には変わりがないようです。竹中路線とは、「ジャンボジェット機は、前輪が上がれば後輪がついてくる」といった成長路線で、実は、前輪(大手企業)は景気回復でどんどん上がっているのですが、後輪(庶民生活)は、上がらないどころか、ますます下がっています。特に、地方の疲弊は目を覆うばかりで、この成長路線が続く限りは、景気回復の恩恵が庶民にまわってくることはないでしょう。
財務大臣は、額賀福志郎氏。経済財政政策担当大臣の経験者ですが、KSDから1500万円の献金を受けたKSD事件の責任を取って辞職しているので、経済運営の手腕についてはよくわからないのですが、ただ、財務省と対立してまで増税にストップをかけるような人でないことは確かです。
加えて、官房長官となった与謝野馨氏が、強烈な増税・財政再建論者なので、増税路線がさらに色濃くなるかもしれません。
選挙での民意が、「生活が第一」の小沢氏についているために、自民党としても、耳障りのよい政策を取らざるをえなくなっています。ですから、今までのような、財界一辺倒ではない政策も打ち出されてくるでしょうが、ただ、基本的には、庶民のお金で財政を立て直し、成長を続けるために大企業に大盤振る舞いの路線は変わらないようです。』
全体としては、安倍改造内閣の本質を突いた論調になっている。
要するに、大企業中心、財界一辺倒の経済運営が今後も行われ、財政建て直しには庶民のお金が使われるということだ。
しかし、「生活が第一」の小沢氏というのは、どうも当っていない。
確かに参院選の際のテレビコマーシャルでは、民主党はこう宣伝したが、だからといって、民主党が過去にそういう政策を掲げて行動してきたかどうかは甚だ疑問であり、今後そういう行動を取るかどうかも定かではない。自民党と同様に、企業献金欲しさに経団連もうでを行い、経団連から通信簿をもらって喜んでいるような政党に「生活が第一」の政策が打ち出せるはずがない。
しかし、(仮に騙されているにせよ)多くの国民が「生活が第一」に賛成して民主党に投票したのだから、民主党もしばらく(次の衆院選まで)はそういうポーズを取らざるを得ないだろう。
今後の国会では、財界一辺倒の自公政権に対して、野党がそれなりに国民に目を向けた政治を進めてくれることを期待している。
話は逸れるが、「耳障りのよい」という言葉は日本語として正しいのだろうか?「耳障り」というのは、否定的な言葉だろう。「響きが良い」とか、「耳当りの良い」と言うべきではなかろうか。申し添えておく。

キヤノンは直接雇用、日亜化学は直接雇用拒否

2007年09月02日 | 格差社会
偽装請負で社会的に批判を浴びていたキヤノンが、請負労働者83人の直接雇用に踏み切った。待遇は「期間社員」ではあるが、まずは一歩前進である。
偽装請負は、実態は派遣社員であるにもかかわらず、請負契約を装い、派遣期間の制限(以前は1年間、現在は3年間)を越えて働かせる違法行為である。
キヤノンの御手洗会長(経団連会長)は、この派遣期間の制限が気に食わず、以前は派遣期間が1年間に達すれば、企業は派遣労働者に対して直接雇用の義務を負っていたものを、政府にこの期間を延長させ、現在は3年間を経なければ、派遣労働者は正規雇用に未知が開けない仕組みになっているが、御手洗会長はこれさえも気に食わず、「請負法制を見直せ」という圧力をかけている。
いずれにせよ、キヤノンは、違法な偽装請負をずっと続けてきたわけであるが、今回やっと正規雇用を受け入れたということだ。
しかし、今回の件はキヤノンが違法な請負を反省したためではない。請負労働者が労働組合を結成して会社側と交渉をして勝ち得たものである。しかも、労働組合が労働局に申告をしてから10ヵ月も経ってからやっと実現したものである。
労働者の粘り強い努力に敬意を表しておきたい。
さて、一方で、請負労働者の直接雇用を約束しておきながら、これを反故にしようという悪辣な企業も依然として存在する。
青色ダーオードで有名になった日亜化学(徳島県阿南市)だ。
以前に本紙でも、請負労働者の直接雇用に道が開かれたと報じた日亜化学であるが、労働組合との交渉の席で、突然「(直接雇用の)合意がなされたとの認識は持っていない。」などと発言し、以前の約束を反故にする態度に出ている。
昨年11月に、徳島県の立会いの下で、日亜化学と労働組合との間で、「同企業で3年以上働いてきた請負企業の労働者について、3年働いてきた経験を最も重視する採用選考を行って直接雇用する」などの3項目の合意を行い、当時、県知事も「大きな前進。全国の企業のリーディングケースになっていくのではないか」と絶賛していたが、日亜化学はこの合意の存在すら否定する開き直りの姿勢を示している。県の商工労働部は、昨年11月の合意の存在を認め、「労働者の申告に基づいて、調査に入っている。やれることをやっていきたい」と述べている。
労使関係では、労働者の立場は圧倒的に弱い。だからこそ、労働法制に基づいて、労働組合などを結成し、会社側と交渉を重ねるわけだが、今回の会社側の態度は、労働法制の根幹さえ否定する態度と言わざるを得ない。
こういう「偽装請負」や違法派遣は全国に蔓延しているに違いない。そしてそれらが、所得格差の大きな一因になっており、種々の「難民」を生み出す裁断の原因になっている。
製造業にまで広がった派遣業種に対する規制強化、派遣期間に対する制限の強化、請負、派遣労働者の待遇改善などを法的に定めることこそ求められている。
全国でこういう世論が盛り上がることを期待している。