時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

残業代が出なくなったら、早く帰る?

2007年09月13日 | 政治問題
「残業代が出なかったら、あほらしくてさっさと家に帰るインセンティブ(誘因)になる」。舛添厚生労働相が閣議後の記者会見で、一定条件を満たした会社員を労働時間規制から外すホワイトカラー・エグゼンプションについて、このような持論を展開したと報じられている。
政府は、さきの通常国会に提出した労働基準法改正案に、残業代を支払いたくない財界から強い要望があったホワイトカラー・エグゼンプションを盛り込むことをめざしたが、労働組合などが「サービス残業を助長し、過労死が増える」と反発。「残業代ゼロ法案」との批判を浴び、断念に追い込まれた経緯がある。
これに対して、舛添氏は、この制度の真意は「パパもママも早く帰って、うちでご飯を食べましょうということだ」と説明し、「家族だんらん法案」「早く帰ろう法案」などの名前にすべきだったとした。
一方、「私はずっと海外で生活してきたが、日本は労働生産性がむちゃくちゃ低い」とも指摘。ホワイトカラーの賃金は労働時間ではなく、アイデアの対価との考え方を示し、「働き方の革命をやりたい」と述べた。
記者会見の席で、「さっさと家に帰れるぐらいなら過労死は起きないはずだ」と質問されると、「時間ではかれる仕事について残業代を払わないのはもってのほかだ」と苦しい釈明したと報じられている。
実際の導入については「ホワイトカラー・エグゼンプションの問題はプラスマイナスある。今後とも審議し、検討していくのは(従来方針と)全く変わらない」と述べたという。
残業代が出なかったら、さっさと家に帰るだろうか?「国際経済学者」のお粗末さを笑うほかはない。期日の決まった業務があり、会社は少しでも仕事をさせようと、仕事の期日を短縮し、質的には少しでも高度なものを作らせようとするのは当たり前のことである。とりあえず、作ったからさようなら、というわけにいかないのが仕事である。
法案の名前を変えても内容に問題があるのだからどうしようもない。
記者団から質問のあった過労死問題の解決には程遠い法案だ。
そもそも、財界がこの制度の導入をめざすのはなぜだろうか?
企業が、きちんとした労働の対価を支払いたいと思っているからだろうか?否である。
わずかばかりの手当てと引き換えに、就業時間内には終わらないほどの仕事を押し付け、残業代の支払いを行わず、ピンハネした残業代で役員報酬の増額や企業の収益向上をめざそうというのが目的である。
労働者にとっては、踏んだり蹴ったりの法案だ。
自分は管理職なので、こういう法案が成立しても関係ないなどと思ってはいけない。若い世代の賃金抑制は、中高年の賃金抑制を招くことは当たり前である。
企業に雇われて、賃金を受け取っているすべての労働者がこぞって反対すべき悪法であることを強調しておく。