時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

遅すぎた安倍首相の辞任

2007年09月12日 | 政治問題
安倍首相が突然辞任を表明した。
所信表明演説に対する批判記事を書き上げ、今日投稿しようと思っていた矢先だったので、原稿が無駄になってしまった。まったくけしからん話である。
そもそも、所信表明までしておきながら、代表質問の前に辞任するというのは、議会をないがしろにした態度で、到底容認できない。
とは言うものの、辞任は当然であり、歓迎する。
本人も、「今の状況で、国民の支持・信頼の上において、力強く政策を前に進めていくことは困難」と判断したということだから、自らの政策や手法が国民から支持されていないことは十分に分かっているということだ。
憲法「改正」の国民投票法案、教育基本法「改正」、防衛省への格上げなど、数々の強行採決を行い、超タカ派的な手法で国会を混乱に陥れてきた罪悪は、如何ともしがたいものがある。
実績らしい実績もなく、参院選で大敗を喫したのも当然である。
今回の辞任に当たって、拉致被害者の家族会が「支持してきたのに残念」とのコメントを出しているが、冷静に考えていただきたい。
戦後レジームからの脱却、言い換えれば、戦前の政治への回帰を目指してきた安倍首相に、北朝鮮による拉致問題を解決できるはずがないではないか。
戦前の日本の野蛮な侵略戦争をまったく反省せず、同盟国であるアメリカからさえ批判を受けてきたのが安倍内閣である。
本当に拉致問題を解決したいと望むのであれば、日本の過去の侵略戦争を心から反省し、日本軍による朝鮮人拉致問題や虐殺の歴史の反省に立って、北朝鮮との交渉に臨むことが最低限必要である。
にもかかわらず、北朝鮮のみならず、中国をはじめとしたアジア各国から反感を買い、同盟国のアメリカさえも味方に出来ない安倍政権に、拉致問題の解決を期待する方がどうかしている。
その証拠に、1年足らずではあったが、安倍政権の期間中には、拉致問題はまったく進展しなかったではないか。あの小泉首相でさえ、北朝鮮訪問によって、糸口を見出したではないか。
日本の過去の戦争行為を真に反省するところから、拉致問題の解決の糸口が見つかるのである。そういう意味では、今回の安倍首相の辞任は、拉致問題解決の第1歩と言えよう。
拉致被害者の家族会の人たちにとっては、無駄な1年になったことを本当にお気の毒に感じるが、安倍首相に対する誤った期待を捨て、これから新しい道が開かれるということを申し上げておきたい。
さて、この後自民党内で総裁選びが始まるわけだが、自民党内にはもう人材は残っていない。
まさか、「アルツハイマー」発言の麻生というわけにはいかないだろう。かと言って、他にも見るべき指導者は見当たらない。
自民党の瓦解が近いことを予感するとともに、国民に目を向けた新しい政治の幕開けになることを期待している。