時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

労働者のたたかいと世論の勝利

2006年12月16日 | 格差社会
以前にも、松下電器の関連会社が、「偽装請負」を中止し、請負労働者を直接雇用に切り替えたとの記事が出ていたが、今度は、いすゞ自動車が、派遣労働者のほぼ全員1361人を3ヵ月間の期間従業員として直接雇用したとの報に接した。製造業では、1年以上働いた派遣労働者を直接雇用する義務があり、10月からほぼ全員を期間従業員に切り替えたそうだ。藤沢工場(神奈川県藤沢市)の954人、栃木工場(栃木県大平町)の407人が対象になるらしい。
しかし、雇用の契約期間が3ヵ月間と短く、期限切れの来年1月に、延長の再雇用契約を締結することになるという。
直接雇用によって、今まで派遣会社や請負会社にピンはねされていた給料の一部(おそらく5割以上)が労働者に直接支払われることになるため、給料は倍以上になるだろう。ワーキングプアからの脱却の一歩にまずは祝福を送りたい。
しかし、直接雇用とはいうのも名ばかりで、来年1月には早々に契約が切れ、その後の雇用の保証はない。当事者たる労働者たちは、とても安らかに新年を迎えるという心境ではあるまい。いすゞは「契約延長をお願いしていく方針」と表明しているが、この言葉を100%信用するわけにはいかない。
大企業は、長い間「偽装請負」という違法行為を犯しながら、請負労働者を食い物にして、儲けを積み上げてきた。けっして企業の「良心」に期待してはならない。
労働者は、会社に気に入られて契約を延長してもらおうなどと考えてはいけない。会社に媚を売っても、生活は守れない。とは言っても、別にケンカ腰になる必要はない。
法律や社会的道義に基づいて、勇気を奮って、堂々と自らの権利を主張しない限り、どん底の苦しみを味わうことになるのが、今の日本社会の現実である。また、それが人間として後悔のない人生を歩む唯一の道である。
契約を延長させ、更に「契約」社員ではなく、文字通りの直接雇用を実現するためには、労働者自身の雇用を守るたたかいと世論の後押しが不可欠なのである。