時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

詐欺事件はなぜ後を絶たないのか

2006年12月17日 | 社会問題
最近は、本当に詐欺事件が多くなっている。
振り込め詐欺の被害も昨年に続いて200億円を超えたと言われているし、近未来通信の中継局オーナー話やエイワンの株式詐欺も新たに話題になっている。つい先日も、セブ島での不動産詐欺がテレビで報道されていた。ライブドアなども、一種の詐欺事件だろう。
詐欺事件が増えた背景には、犯人の側にはもちろんのこと、不幸にも被害者の側にも、汗を流すことなく手っ取り早くお金を儲けたいという思惑があることは間違いない。要するに、現在の「拝金主義」がもたらした社会現象の典型の一つであろう。
たとえば、近未来通信の投資話では、「働かなくても副収入が得られる」「月500~600万円の収入がある人もいる」と宣伝していたようだ。まともな頭で考えればありえない話だ。
エイワンの株投資話も、「新株割り当ての権利を持っている」「運用で出資金の1割上乗せが見込める」などと勧誘していたようだが、こういううまい話はそうそうあるはずがない。
この低金利の時代だ。「うまく行けば5~10%くらいの配当は期待できる」と言われれば、「その程度は可能かな」と騙されることもあるだろうが、働かなくても良い、500万の副収入などと言われて信じる方もどうかしている。
まもなく締め切る、早くしないとチャンスを逃す、などと契約を急がせたりするのも詐欺の常套手段だ。
常識的に考えてありえない話にはくれぐれも乗らないことと投資する前に自分でよく調査することだ。
また、振り込め詐欺の被害者も後を絶たない。なぜ騙されるのだろうか、大変不思議だが、たとえば痴漢や交通事故などの示談話では、騙される方にも「トラブルが表沙汰になるよりも、お金で解決してしまおう」という発想が根底にあるからではないか。
もし家族が他人に危害を与えてしまったら、相手に直接会って謝罪することや相手の健康を気遣うのが普通ではないだろうか。そして、家族に非があれば、法律に従ってできる限り罪を償うのが良識ある人間としての行為であろう。ところが、何はともあれ、とにかくお金で解決してしまおうという浅はかな発想が頭をよぎるために、騙されてしまうのではないだろうか。
また、税金還付詐欺も増えているらしい。お金が返ってくるのならと、飛びつきたくなるのが人情かもしれないが、うまい話はそんなにないのである。
どのような形の詐欺事件でも、もちろん騙すほうが悪いに決まっている。これははっきりしている。しかし、残念なことに、騙される側にも「拝金主義」という現代日本の歪んだ姿が反映しているように思われてならないのである。