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●再稼働ありきの「世界最高水準の規制基準」という「世界一の無責任」さ

2014年08月14日 00時00分54秒 | Weblog


videonews.comの記事【マル激トーク・オン・ディマンド 第693回(2014年07月26日)川内原発再稼働の前に知っておくべきこと ゲスト:井野博満氏(東京大学名誉教授)】(http://www.videonews.com/on-demand/691700/003382.php)。
東京新聞の社説【原発パブコメ 広く、深く、声を聴け】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080402000128.html)。

   『●火山の巨大噴火時の緊急核燃料輸送に
          何時間、何日間? 答えは「2年以上」!
   『●原発再稼働という恥ずべき選択 ~「新基準は世界一」
           「世界最高レベル」ではなく、「世界一の無責任」~


 「単一のトラブル回避が想定されているため複合的な要因が同時発生した場合に機能するかどうか疑わしい・・・・・・「従来の安全基準に地震や津波対策が加わったものに過ぎず、これでは再稼働を前提に基準が作られていると言わざるを得ない」と厳しい評価・・・・・・いずれも従来の安全基準の手直しに過ぎず、既存の原発でもクリアできることが前提になっているため、とても安倍首相が誇るような「世界最高水準」のレベルにはなっていないと井野氏は酷評」・・・・・・したそうだ。
 再稼働ありきの「世界最高水準の規制基準」「新基準は世界一」詐欺であり、世界に向けてまたウソを発信・拡散している。「安心」を喧伝し、「安全」詐欺を働いている。そんなものを許容する「地元」であっては、絶対にいけない。原発などを再稼働しなくても、「豊かな未来」「明るい未来」「豊かな暮らし」は可能だ。

   『●川内原発を再稼働させてはいけない!:
         九州の「草の根」の勁き底力を見せるとき
   『●原子力ムラ復権阻止を! 今なら引き返せる!!
   『●原発関連交付金・固定資産税などで「財政豊かな」玄海町で、
                3.11東京電力原発人災後初の町長選
   『●「豊かな玄海町」へ:
     「原子力郷土の発展豊かな未来」「原子力正しい理解で豊かな暮らし」


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http://www.videonews.com/on-demand/691700/003382.php

マル激トーク・オン・ディマンド 第693回(2014年07月26日)
川内原発再稼働の前に知っておくべきこと
ゲスト:井野博満氏(東京大学名誉教授)

 九州電力川内原発の再稼働に向けた動きが加速している。

 原子力規制委員会は川内原発1号機、2号機の審査を終えて、7月16日に事実上の審査のパスを認める「審査書案」を公表した。8月15日までパブリックコメントを募った上で正式に審査書が確定し、地元の同意が得られれば再稼動が可能になるという流れだ。

 電力各社は電力需給の逼迫と燃料費の高騰などを理由に原発の再稼働を目論んでいるが、審査書案の公表を受けて会見した原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「原発再稼働の判断についてはコミットしない」と述べている。規制委はあくまで規制基準を満たしているかどうかを科学的な見地から判断するだけで、再稼働の判断は政府が行うものという立場だか、一方で安倍首相は規制委の決定を尊重して再稼働を行うとしており、再稼働の責任をお互いになすりつけているかのような印象は拭えない。

 しかし、われわれにとっては何をおいてもまず、今回の規制委による審査で、原発の安全性は十分に確保されたかどうかを十二分に検証する必要がある。5人の委員からなる原子力規制委員会は当初から委員の中立性に疑問が呈されていたが、今年の9月にはさらに元原子力学会会長の田中知氏が委員に就くことが決まるなど、原子力関係業界との接点が指摘される。また、委員の下で実際の審査業務に携わる原子力規制庁の職員も、福島第一原発事故の元凶の一つとして厳しく指弾された旧原子力安全・保安院からの横滑り組がほとんどだ。

 今回公表された審査書案は400ページ以上に及び、原発施設の設計の在り方から実際の施工上の対応、電源の安全確保対策、重大事故の想定や緊急時の要員確保まで記述されていて、一見するとあらゆる事態を想定しているかに見える。しかし、東京大学名誉教授で原子力施設に詳しいゲストの井野博満氏は 今回の審査書案では過酷事故への対策が不十分であると指摘する。  原発事故の対応で必要なことは、いかに原子炉を安全に「停める、冷やす、閉じ込める」かが鍵となるが、規制基準が想定している過酷事故のケースはいずれもひとつのトラブルが中心に考えられていて、それと並行して起きる可能性のあるトラブルが十分に考慮されていないと井野氏はいう。

 例えば冷却機能を喪失したケースでは、確かにそれをカバーするための対応は何重にも用意されているが、そのどれもが電力が問題なく供給されていて、対応に要する人員は常に確保されていることが前提になっているという。地震や津波で施設が損傷を受けた上に、全電源喪失に見舞われた時、何が起きるかを思い知らされた福島の教訓はどこへ行ったのだろうか。また、電源に関しても規制基準ではさまざま定められてはいるが、これも主に単一のトラブル回避が想定されているため複合的な要因が同時発生した場合に機能するかどうか疑わしいと井野氏は言う。

 さらに井野氏は今回の川内原発の場合、規制基準や審査書案を見るだけでは分からない問題もあるという。川内原発では、仮に冷却機能が失われて炉心損傷が起きても、その段階で事態の進行を押さえ込む防護機能が十分ではなく、次に生じるメルトスルーにどう対応するかという対策しか想定されていないという。つまり川内原発では重大事故の際には冷却機能を維持する対策が不十分なため、その時点での対応を諦め、その次の事態に対処することになっていて、その対応を原子力規制委員会も容認しているという。このような事実は専門家が読んで初めてわかることで、一般の人が規制基準や審査書案をいくら読んでも、知ることが出来ない。

 安倍首相が誇る世界最高水準の規制基準に関しても井野氏は「従来の安全基準に地震や津波対策が加わったものに過ぎず、これでは再稼働を前提に基準が作られていると言わざるを得ない」と厳しい評価を下す。福島事故で安全神話が崩れ、重大事故や過酷事故が起こりうるとの前提に立った原子力行政が目指されたはずだった。事故後に策定された新しい規制基準は、各数値などはより厳格になっているものの、いずれも従来の安全基準の手直しに過ぎず、既存の原発でもクリアできることが前提になっているため、とても安倍首相が誇るような「世界最高水準」のレベルにはなっていないと井野氏は酷評する。

 現在、日本の原発は全て停止している。しかし、そもそもその再稼働を誰がどういった権限で判断するのかという法的枠組みを日本は持っていない。そのため安全基準への適合の可否のみを審査しているはずの原子力規制委員会の判断が、事実上、再稼働にお墨付きを与える格好になっている。このままでは総無責任体制の下で原発だけが回り出すことになり、万が一の事故の際にもその対応が甚だ心配だ。少なくとも安倍首相は「規制委の意見を尊重して」などと逃げずに、「私の責任において再稼働しますと言えないのであれば再稼働などすべきではないだろう

 既に多方面から指摘されているように、現行の安全基準は周辺住民にとっては最も重要と言っていい、事故の際の避難計画が評価の対象からすっぽり抜け落ちてしまっている。仮に立地自治体によって作成された避難計画が現実離れした代物であっても、現行の制度ではそれを評価して適正化する組織が存在しない。とりあえず防災避難計画の作成が義務づけられているだけで、その内容は問われていないというのが実情だ。これでは安全神話に寄りかかった再稼働と言わざるを得ない。

 川内原発再稼働に向けた動きと今回公表された原子力規制委員会による審査書案を参照しながら、原発の規制の在り方、規制基準の問題点、原子力規制委員会や立地自治体の役割と責任などについて、ゲストの井野博満氏とともにジャーナリストの青木理と社会学者の宮台真司が議論した。(今週のニュース・コメンタリーはお休みします。)


プロフィール
井野博満 いの ひろみつ
(東京大学名誉教授)

1938年東京都生まれ。60年東京大学工学部卒業。65年同大学大学院数物系研究科応用物理学専攻博士課程修了。東京大学生産技術研究所助教授、同大学工学部教授、法政大学工学部教授などを経て2006年より現職。高知工科大学客員教授を兼任。工学博士。共著に『福島原発で何が起きたか――安全神話の崩壊』、『福島原発事故はなぜ起きたか』、『徹底検証 21世紀の全技術』など。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080402000128.html

【社説】
原発パブコメ 広く、深く、声を聴け
2014年8月4日

 原子力規制委員会が、川内原発の再稼働について、パブリックコメントを募っている。国民の合意なくして再稼働は許されない。規制委は広く深く積極的に意見を集め、分析を試みるべきである。

 パブリックコメントとは、国民、市民の意見である。国や自治体が何かを決めようとする時に、その意思を採り入れる手続きであり、しばしば募集されている。

 しかし、ほとんどの場合、国民、市民の関心は薄く、応募はわずかで、単に手続きとして盛り込まれているだけという、イメージが強かった。少なくとも3・11の前までは。

 それを変えたのが、前政権が一昨年、革新的エネルギー・環境戦略を決めるに当たって試みた討論型世論調査、意見聴取会、そしてパブリックコメントの三点セットである。約八万九千件もの意見が寄せられ、そのうち約九割が、将来的には原発ゼロを支持していた。

 画期的だったのは、これらの議論を検証する専門家らの会合を開いたことだ。

 意見を中立的に分析し、安全対策の実効性や発電コスト、使用済み核燃料をどうするかなど、十一の論点を抽出し、「大きな方向性として、少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいると結論づけた

 その上で政府が出した判断が「二〇三〇年代原発ゼロ」という方針だったのだ

 政権は自民党に移ったが、この時の結果が否定されたわけではない。その後このように大規模な国民意見の募集は行われていない。

 原子力規制委員会は先月十六日、鹿児島県の川内原発の再稼働を「適合」と認め、十五日までパブリックコメントを募っている。

 だが、例えば提出上の注意の冒頭に「日本語に限る」とある。「審査書案に対する科学的、技術的意見と無関係な場合」は、意見として取り扱わないことがあるという。疑問である。

 原発の安全性に関しては、世界中から広く英知を集めるのが国の方針だったのではなかったか。何が科学的、技術的なのか、だれがどのように判断するというのだろうか。このように入り口を狭められては、国民の意見を聴くのに消極的だと感じてしまう。

 原発の再稼働は、立地地域と周辺自治体だけの関心事ではない。国民的な対話の中から、論点を抽出、検証し、国民の不安や疑問を広く深く解消する作業を経なければ、原発は動かせない
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