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●2030「年代」原発ゼロと原発建設再開

2012年10月05日 00時00分25秒 | Weblog


東京新聞の二つの社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012092402000101.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012092802000119.html)と二つの記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012092802000095.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012092802000245.html)。

 2030「年代」原発ゼロというユルユルの目標さへ、アメリカの横やりで閣議決定できず、建設着工済みの大間原発島根原発は建設を続けるそうだ。民主党政権も次回の衆院選で消えるのだろうし、マニュフェスト問題を見ても明らかなように、そもそもこんな努力目標を守ることなどできもしないだろう。原発を再稼働したり、新規に動かせば、刻一刻と〝死の灰〟が原子炉の中に溜まっていく。その処理法や処分地は決まっていない。原発再稼働・原発建設再開・原発輸出なんて、いい加減にしてほしい!

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012092402000101.html

【社説】
原発建設再開 矛盾ではなく欺瞞だ
2012年9月24日

 「不断の見直し」は、もう始まってしまったのか。政府は「二〇三〇年代原発ゼロ」の看板を書き換えて、原発の建設再開を認めるつもりらしい。新増設なしは基本である。例外は許されない。
 矛盾というより欺瞞(ぎまん)である。何枚、舌があるのだろうか
 枝野幸男経済産業相は、経産省が工事許可を出した原発に関しては、それを変更する考えはないと、明言した。
 着工済みの原発は、青森県大間町で電源開発(Jパワー)が建設中の大間原発(進捗(しんちょく)率37・6%)、青森県東通村の東京電力東通原発1号機(9・7%)、そして松江市の中国電力島根原発3号機(93・6%)である。
 このうち、福島第一原発事故収拾のめどがつかない東電の東通を除く二基については、東日本大震災で中断していた建設工事の再開を認める方針という。
 「二〇三〇年代に稼働原発ゼロ」は、十四日に政府が決めたエネルギー・環境戦略の看板だ。それを実現するための二本柱が、原発の稼働期間を四十年に厳しく制限すること、そして原発の新増設はしないことではなかったか。
 例えば一〇年代に稼働を始める原発を四十年間運転できるとすれば、五〇年代まで寿命を保つことになる。誰にでもわかる足し算だ。大間と島根は新増設にほかならない
 雇用を守ることは大切だ。だからといって、政府の大方針を簡単に曲げるというのは情けない。原発や再処理施設に代え、新たな廃炉ビジネスや電源ビジネスの創出を図るのが政治の仕事である。
 そもそも「二〇三〇年代にゼロ」という期限の切り方が極めてあいまいなものであり、意見聴取会などを通じて脱原発を選択した多くの市民の不興を買った。
 使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する核燃料サイクルは、核のごみの排出元である原発の存続が前提になる。そのような“実験”の継続を認めたことも、安全と倫理を求める国民を落胆させた。
 その上、新戦略発表の翌日に、原発ゼロを骨抜きにするような経産相発言が飛び出すとは、国民の過半がゼロという目標に込めた思いを、あまりにも軽んじてはいないだろうか。
 これ以上不信が広がれば、この国の未来に大きな影が差す。民主党内でも異論はある。四十年廃炉、新増設なしの大原則は、例外なく堅持すべきである。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012092802000119.html

【社説】
どうする核のごみ だから原発は動かせない
2012年9月28日

 核燃料サイクルが行き詰まり、核のごみはたまる一方だ。ごみ処理ができない以上、原発は動かせない。だが、出してしまったものは、どうするか。
 「二〇三〇年代原発ゼロ」の閣議決定が、米国からの横やりで見送られた。その理由は、再処理施設を稼働させ続けたまま原発ゼロにすると、核兵器に転用可能なプルトニウムが国内にたまること、ひいては日本の核武装、核拡散を恐れるからでもあるという。だが、現実は違っている。

「もんじゅ」は廃炉へ
 再処理とは、発電所で使用済みの核燃料からプルトニウムやウランを取り出すことをいう。それらを新型炉で再利用するのが、核燃料サイクルの基本である。それが長年頓挫したままなのだ。
 核燃料サイクルの中心にあるのが、福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」である。ところが二十一年前に試運転を始めて以来、事故や事故隠しが相次ぎ、発電できた期間は延べ約四カ月間しかない。
 青森県六ケ所村の再処理工場も、たび重なるトラブルのため、開業が十九回も延期されてきた。十兆円ともされる事業費をつぎ込みながら、リサイクルの輪が閉じる見込みは立っていない。
 現実的に考えるなら「もんじゅ」は速やかに廃炉にし、核燃料サイクル計画は直ちに中止すべきである。欧米諸国はとうに手を引いている。
 そうなると、プルトニウムはもう増えない。だがごみの行き場がない。原発内に併設された貯蔵プールが満杯になる日は遠くない。原発ゼロだから核のごみ処理に困るのではなく、核のごみ問題が解決できないから、これ以上原発を動かすことが不可能なのだ。問題は、すでに出してしまったごみをどうするか。
 青森県と六ケ所村は、リサイクルを前提に、原発から再処理工場へすでに運び込まれた使用済み核燃料の返還を訴えている。
 当の米国自身がこの八月、使用済み核燃料の処分にめどがつくまでは、原発の新設許可を凍結する方針を打ち出したばかりではないか。米国は、ネバダ州のユッカマウンテンを処分場として選定したが、住民の強い反対もあり、オバマ政権は、この問題を白紙に戻している。
 日本でも、地下四百メートルの安全な地層内に埋設するという処分方法だけは決まっているが、処分場の候補地すら挙がっていない。

世界が頭を悩ませる
 地中での最終処分は当面考えず、将来的に取り出して適切に処理し直せるような状態で、暫定保管してはどうかという声も上がり始めている。だが、直接処分とか、乾式貯蔵とか、どのような処分方式を取るにせよ、危険な核のごみの受け入れ先が、簡単に決まるはずもない。
 世界中が使用済み核燃料の処分用地を探しあぐねる中、フィンランドだけが十二年前、オルキルオトというまちに処分用地を決定し、八年後の操業開始に向けて着々と準備を進めている。
 使用済み核燃料を再処理せずに金属製の容器に収め、四百メートルの地下に埋設、管理する。直接処分である。容器の寿命は十万年とされている。
 事業主体は、原発を持つ電力二社が共同で設立したポシヴァ社だ。立地による交付金などは一切ない。住民との徹底した対話と共存の姿勢でここまでこぎ着けた。
 日本では、やはり電力事業者でつくる原子力発電環境整備機構(NUMO)がこの十年、自治体からの応募を待ち続けている。しかし、フィンランドでは地層の古さを調査して候補地を四カ所に絞り込み、安全性や環境への影響評価などを経て、原子力施設が集まる南西部のオルキルオト地域を選定した。
 ポシヴァ社は先を急がず、大小の対話集会を根気よく開催し続けた。共同研究を進めるスウェーデンなど内外の研究機関から客観的な助言を受け、中立的な政府の規制機関の監視にさらされながら、住民との信頼関係を築いていった。その結果「自国のごみは自国で」という空気が醸成された。
 ポシヴァ本社は、現地の古い特別養護老人ホームを借り受けたものである。クリーム色の瀟洒(しょうしゃ)な外観を持つ歴史的な建物を保存する意味もあり、移転した。一階の社員食堂は市民に開放されている。

ゼロから信頼回復を
 英国やカナダ、スイスなどでも、政府や自治体が積極的に住民と事業者との間を取り持つ姿勢を強め、比較的スムーズに事が運んでいる。
 信頼と協調。3・11以降、原発や電気に関して、私たちが失ったものである。もう一度、ゼロから築き直すため、まずは公正な政府の積極的な関与が必要だ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012092802000095.html

「原発ゼロ」エネ環会議 発言わずか1回 19分で目標後退
2012年9月28日 朝刊

 「二〇三〇年代に原発稼働ゼロ」の目標を掲げた革新的エネルギー・環境(エネ環)戦略を正式決定した会議で、出席者の発言が一回だったことが内閣府が公表した議事録で分かった。会議時間も十九分のみ。中身の薄い議論で、国の重要戦略が決定された様子が浮き彫りになった。
 議事録が公開されたのは十四日に開かれたエネルギー・環境会議。この非公開の会議で三〇年代の原発ゼロが決まったが、多くの国民が求めた全ての原発からの脱却を含め、三〇年までの稼働ゼロから大きく後退した。それだけに、政策決定過程を国民が知る唯一の手段としての議事録公開が待たれていた。
 会議には野田佳彦首相や古川元久国家戦略相、枝野幸男経済産業相ら計十六人が参加。
 冒頭、議長の古川氏がエネ環戦略案を説明。「今回の戦略では(核燃料)サイクル政策の変更を決めたわけではなく、今後、議論して詰めていく方針」などと課題を先送りする考えも示し、参加者に意見や質問を求めたが、意見を述べたのは外務省の加藤敏幸政務官のみ。
 その加藤氏も「国際社会との関係でも検証を行い、不断に見直していく必要性があることを強調したい」と、戦略を見直す余地を残すよう求めただけだった。結局、会議は参加者全員が「異議なし」と戦略を承認し、野田首相があいさつを述べて終了した。
 政府関係者は「エネ環会議は閣僚の承認をもらう形式的な場。中身は事前に決まっており、あまり突っ込んだ議論はしない」と明かす。だが、今回の戦略は節電や省エネに取り組む「国民一人一人の協力が不可欠」(古川氏)で、丁寧な説明こそが重要。形式的な決定過程を公表するだけでは政策を進めるための国民の理解は得られない。 (岸本拓也
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012092802000245.html

Jパワー 大間原発 建設再開へ 経産相容認受け
2012年9月28日 夕刊

 電源開発(Jパワー)は二十八日、中断している大間原発(青森県大間町)の建設工事を年内にも再開する方針を固めた。同社幹部が十月一日に地元自治体を訪れ説明する。昨年の東京電力福島第一原発事故後、建設中の原発の工事が再開されるのは初めて。
 政府の新たなエネルギー・環境戦略では原発の新増設を認めない方針を示しているが、枝野幸男経済産業相は「建設途上のものは原則の外側にある」としてすでに着工した原発は建設継続を容認する姿勢を示していた。
 大間原発は二〇〇八年五月に着工。工事は四割程度まで進んでいたが、昨年三月の東日本大震災後に中断していた。着工済みの原発は、国による建設再開の許認可は必要なく、Jパワーの判断で再開できる。
 大間原発をめぐっては大間町など青森県の自治体が建設の早期再開を求める一方、対岸の北海道では中止を求める声が強い。函館市議会は建設の無期限凍結を求める決議を全会一致で可決している。
 大間以外で着工済みの原発は、東電東通原発1号機(青森県東通村)と中国電力島根原発3号機(松江市)。中国電は島根3号機の建設再開に意欲を示している。東通1号機に関しては、枝野経産相が「東電は原子力にどう対応するか議論できる段階ではない」と再開には慎重姿勢だ。

政府方針 矛盾抱えたまま拙速

<解説> 電源開発が、大間原発を建設すれば、四十年で廃炉にしたとしても二〇五〇年代まで稼働することになり、政府が決めた三〇年代の原発ゼロ目標は遠のく。枝野幸男経済産業相が着工原発の建設継続を認める考えを示したとはいえ、政府方針の矛盾が解消されていない段階での再開判断は、拙速との批判が予想される。
 政府は原発ゼロを目指す戦略の中で、着工済み原発の取り扱いには触れなかった。建設を認めれば三〇年代のゼロ方針が極めて難しくなる一方で、大間町や民主党議員の中には早期の建設再開を求める声もあり、問題から目を背けたためだ。
 枝野経産相は戦略が決まった翌日の十五日に青森県を訪れ、三村申吾知事らに建設再開を認める考えを伝え、矛盾を露呈。電源開発は同日、「今後のエネルギー政策の検討を確認のうえ対応する」とのコメントを発表しており、それからまだ二週間程度しかたっていない。
 原発ゼロ方針と、枝野経産相の再開容認の矛盾は解消されていない。そんな中で原発の維持推進を掲げる電力事業者の建設再開方針は、なし崩しで拙速との印象が強い。原発に頼りたくないという国民の意思からも懸け離れている。 (吉田通夫
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