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●《「核のごみ」を困窮する自治体に》…上田文雄さん《世代間の倫理としても未来に対して弁明できないほど、とてつもないことをしようとしている》

2024年05月19日 00時00分49秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


(2024年05月16日[木])
いつも思うのですが、足抜けできるのかねぇ…NUMOにからめとられて、カネにものをいわせて底なし沼に引きずり込まれるのでは? (こちら特報部)《上田文雄さん…は「…すきを見せた瞬間に全てをなし崩しにするのが国の常とう手段」と語る》。さらに、《「非常に姑息(こそく)と感じるのは選定地を選ぶ道筋。地域振興のアメを見せて小さな自治体に手を上げさせ自治体の意思に従ってやっているように見せるいったん手を挙げると抜け出せない悪徳商法の手法に似ている。経済的に困窮する地域を札束でひっぱたくやり方があらわになっている」》。さらにさらに、《「そもそも2000年制定の最終処分法は、10万年の管理が必要という最終処分を『地質条件に対応した人工障壁を設計すれば安全』という根拠のないことを前提にした欠陥法。多くの地質学者が指摘するように、寿都と神恵内の地層からみても適地であるはずがない」と憤る》。また、《「核のごみと対馬を考える会」の上原正行代表…「文献調査の鍵をひとたび開けてしまえば、国側はお金を使い、ごり押しで進めてくる」とし「原発を止めることもせず、何本を地層に埋めるか全体像も分からないまま進めれば、あまりに未来に示しがつかない」と語気を強めた》。

 木原育子記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「核のごみ」を困窮する自治体に…まるで「悪徳商法」 脱原発依存を貫く元札幌市長、「国のやり方」に警鐘】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/326855?rct=tokuhou)によると、《原発が出す高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」を巡り、佐賀県玄海町が第1段階の「文献調査」を受け入れる考えを表明するなど、フェーズが変わりつつある。地域の問題にとどまらない命題をどう捉えたらいいか。他地域に先駆けて調査が進む北海道で「脱原発依存」の旗印となってきた元札幌市長の上田文雄さん(75)に話を聞いた。(木原育子)》

   『●原発を動かすということ: 一握りが儲かり、日本・世界中が迷惑する話
    《核のごみ 権益守る? 最終処分場 町の一握り誘致推進 
     …二〇一一年秋、北海道北部にある人口約二千六百人の小さな町・
     幌延町(ほろのべちょう)の飲食店で、町議の佐々木忠光(62)が
     突然、「原発の事故があったばかりだぞ。何を考えているんだ」
     と声を荒らげた。町には、核のごみの最終処分技術の研究をする
     日本原子力研究開発機構深地層研究センターがある。佐々木は、
     センターの「今後を考える」会に誘われたのだった。
     「今後を考える」とは、最終処分場の誘致も視野に話そうとの意味だ》


 申し訳ないのだが、愚かな選択だと思わざるを得ない。(こちら特報部)《核のごみを巡る文献調査を受け入れた北海道寿都町神恵内村はそれぞれ、2021年度と22年度に10億円ずつ、計20億円の交付金を得たが、すでに多くを使い果たした》、《概要調査に入ると最大70億円が交付される》。佐賀県玄海町脇山伸太郎町長は交付金については関係ない、と嘯きます。関係が無いのなら、交付金など貰わなければいい。
 投票しない、または、自公お維に投票してしまうと… ➙ 空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)。
 《フィンランド処分場が建設中だが、硬く安定した地層という》…我が国では、無理。地震大国地震列島に「10,0000年」「100,0000年」に渡り地殻変動が無く、地下水と遮断できる「オンカロ」は存在しないし、存在し得ない。もともとこんな愚かな技術に頼ってはいけなかった。能登半島地震の前、2023年《昨年10月、地球科学の専門家有志約300人が処分地の選定を巡り「(国内で)地震の影響を受けない安定した場所を選ぶのは不可能」との声明を出した》(東京新聞)。ここでも、能登半島地震の「警告」を無視しようとしている。

   『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
      かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》
    《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
     寿都町。町内に不安が広がり道や隣接自治体との亀裂も深まって
     いる巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
    《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
     突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
     地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。

   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
   『●【NNNドキュメント‛20/核のごみは問いかける 「尊重」の先には…】
        …空虚な《地域振興》なことは立候補しなくたって《学》べます
   『●《(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させて
     いただきたい》…足抜けできるのか? NUMOにからめとられて…
   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ
     増を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》
   『●マンションからたれ流しにしておいて、トイレをどうするのかとか、放出
      先どこにするのかなんてナンセンス…しかも、《被爆地の長崎》で…
    「「防人の島」の《町民の皆さんがその道を選んだ》のですか?
     足抜けできるのか? NUMOにからめとられて、泥沼に足を
     突っ込み、抜け出られなくなるのではないか。しかも、被爆地の
     ナガサキで。《改めて誘致が浮上した背景には「深刻化する人口減少、
     最近までの日韓関係の悪化、観光需要の落ち込み」があるという》
     …意味が分からない? そんな理由で死の灰を受け入れるの?」

   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●山口県上関町…《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ
     捨て場…正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》
   『●《「まるで反社以下の関電」…今も経済産業省と岸田政権に守られてぬく
      ぬくと生き延びている》《関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」》
   『●長崎県対馬市長、《文献調査…「市民の合意形成が不十分だ」…処分場に
     ついて「将来的な想定外の要因による危険性が排除できない」とも語った》
   『●破綻した核燃サイクル、中間貯蔵施設は最終処分場と化す…使用済み核燃料
      プールの現状は? どこを最終処分場にするかの議論の前にやることは?
   『●トイレなきマンション問題を放置し、「原発復権」「原発回帰」する
     キシダメ政権…早晩、核燃料の交換ができず核発電は動かせなくなる
   『●NUMO「文献調査」の巨額な《原発マネー》に蝟集しても、空虚な《地域
      振興》に終わるだけで、何の解決策にもならずに地域が分断されるだけ

 古賀茂明さん《四つ目は核のゴミだ。原発のゴミも適切に処分できるんですよね、と社長に聞く。社長が頷いたら、「では、1カ月以内に最終処分までの計画を出してください」と言う。それは無理だというだろうから、では1年待つと言って、議論を終わる。これで、全ての原発は動かなくなり、廃炉するしかなくなる。国民の前で、ちゃんと議論すれば止めろと言わずに止めるのは簡単だ。新政権には、是非そうした議論をして欲しい》。
 空虚な《地域振興》ではないのか? トイレなきマンションの、まずはトイレからの垂れ流しを止めてからの議論開始ではないのか?

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/326855?rct=tokuhou

こちら特報部
「核のごみ」を困窮する自治体に…まるで「悪徳商法」 脱原発依存を貫く元札幌市長、「国のやり方」に警鐘
2024年5月14日 12時00分

 原発が出す高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」を巡り、佐賀県玄海町が第1段階の「文献調査」を受け入れる考えを表明するなど、フェーズが変わりつつある。地域の問題にとどまらない命題をどう捉えたらいいか。他地域に先駆けて調査が進む北海道で「脱原発依存」の旗印となってきた元札幌市長の上田文雄さん(75)に話を聞いた。(木原育子


◆「非対等性」を見せつける社会問題

     (北海道電力泊原発(2020年撮影))

 「利益を受ける人と、そうではない人。非対等性をこれほど見せつけられる社会問題はない」。上田さんが語気を強めた。もちろん原発のことだ。

 上田さんは2003年から12年間札幌市長を務めた一方、非正規労働者を対象にした労働訴訟などを扱う人権派弁護士の顔も持つ。

 原発問題との関わりも、労働問題の延長線上にあった。弁護士になりたてだった1978年、北海道電力が発電所位置を内陸部から泊海岸泊村)へと変更。労働者らが反原発運動に傾倒する中、上田さんが関わるのも必然の流れだった。


◆高レベル廃棄物施設「押しつけ」に反対

     (「核のごみ」の向き合い方について話す上田さん
      =札幌市内で)

 1980年代には高レベル放射性廃棄物の関連施設を巡る国の建設計画が活発化。北海道北部の幌延(ほろのべ)町は84年、貯蔵工学センター計画の誘致に手を挙げた。

 危機感を抱いた上田さんは86年、長崎に投下された原爆のプルトニウムが製造された米ワシントン州ハンフォードの核廃棄物処分研究施設などを歴訪。こう考えるに至った。「簡単なポンチ絵を描き、お金をどんどんつぎ込んで、過疎の村に押しつけようという企(たくら)みだとはっきり分かった」。以後は幌延問題で誘致反対運動を率いた。


◆「すきを見せた瞬間、国は全てなし崩しにする」

 潮目が変わったのが2000年。核廃棄物の持ち込みは受け入れ難い」と明記した北海道特定放射性廃棄物条例が制定された。

 幌延はといえば、中間貯蔵施設などで構成する貯蔵工学センター計画は撤回されたが、地層処分の技術開発を担う深地層研究センターができた。「放射性廃棄物は持ち込まない」と強調される中、上田さんは「警戒感を持って静観するしかない。すきを見せた瞬間に全てをなし崩しにするのが国の常とう手段」と語る。


◆「寿都や神恵内が適地であるはずがない」

 そんな中、道内で動きがあった。20年に寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が「核のごみ」の文献調査の受け入れを表明。全国で初めて着手され、現在も続いている。

 「非常に姑息(こそく)と感じるのは選定地を選ぶ道筋。地域振興のアメを見せて小さな自治体に手を上げさせ自治体の意思に従ってやっているように見せるいったん手を挙げると抜け出せない悪徳商法の手法に似ている。経済的に困窮する地域を札束でひっぱたくやり方があらわになっている」

 そう断じる上田さんは「そもそも2000年制定の最終処分法は、10万年の管理が必要という最終処分を『地質条件に対応した人工障壁を設計すれば安全』という根拠のないことを前提にした欠陥法。多くの地質学者が指摘するように、寿都と神恵内の地層からみても適地であるはずがない」と憤る。


◆がれき受け入れ拒否でバッシングも経験

 上田さんがバッシングにさらされた時期もあった。

 札幌市長在任時の2011年に東京電力福島第1原発事故が起きると、放射性物質が付着したがれきの受け入れ拒否を決めた。この判断を巡り、市には全国から4000通超のメールが届くなど、非難にさらされた。

 「受け入れないと判断したことが、後日に歴史的に誤りだったとしても、市民の安全が守られるから、私が批判されれば済む話。逆に、受け入れが間違いだったと分かる時にはもう遅く、市民に被害が出ている。それは私にとって堪え難いことだった」


◆「北海道会議」立ち上げ「市民自身が判断を」

     (寿都町役場(右奥)の近くに立てられた看板
      =2020年撮影)

 文献調査も同じだ。全国で最も進む寿都、神恵内の2町村の次段階は概要調査だ。その可否は知事が判断する。鈴木直道知事は反対の立場だが、上田さんは「『受け入れ難い』と明記する条例が後ろ盾になっているものの、相手(国側)は非常に巧妙。理論的にも現実的にも『受け入れ難い』と言えるように知事自身で諸外国の処分計画地を実際に見聞し、正確な知識を身に付けてほしい。選定地をどう前に進めさせるか、国は北海道を試金石としてみているだろう」と語る。

 2町村が文献調査の受け入れを表明した約半年後の2021年3月には、核のごみについて多様な立場や意見を持つ人らが参加し学び合う「核ゴミ問題を考える北海道会議」を立ち上げた上田さん。「脱原発依存社会を創っていくのは、政治家ではなく市民自身市民が自立的に判断し、自分たちの生活は自分たちの考えで守る行動ができないと簡単に壊される。自治の力を上げていくことがそれぞれの生活を守ることにつながる」と説く。

 「北海道だけではない。文献調査に名乗り出た地域の問題ではなく、原発を持たない地域ももっと主体的に考えなくてはならない。世代間の倫理としても未来に対して弁明できないほど、とてつもないことをしようとしているのだから」

 核のごみ 原発の使用済み核燃料から再利用できるプルトニウムなどを取り出した後の廃液を、溶かしたガラスと混ぜ合わせて固めたもの。「ガラス固化体」とも呼ばれる。極めて強い放射線を長期間出し続けるため、国の計画では金属の容器に入れ、地下300メートルより深い岩盤に埋めて地層処分する。ただ日本の地層は軟らかく水を通しやすい上、地震や火山活動も活発で、深い地層に埋めて安全か懸念が消えないのが現状。海外ではフィンランド処分場が建設中だが、硬く安定した地層という。

   ◇   ◇ 

◆20億円を使い果たし、次は「概要調査」も

 核のごみを巡る文献調査を受け入れた北海道寿都町と神恵内村はそれぞれ、2021年度と22年度に10億円ずつ、計20億円の交付金を得たが、すでに多くを使い果たした。注目されるのが今後の動向だ。

     (新型転換炉ふげんの使用済み核燃料が保管されている
      プール=茨城県東海村の東海再処理施設で)

 寿都町では21年3月、次段階に当たる概要調査の移行可否については住民投票をすることを定めた条例が制定された。町企画課の担当者は「町民の意思を反映させていくよう仕組み化した」と話す。神恵内村は移行可否を判断する住民投票を検討中だ。村企画振興課の担当者は「投票時期は分からないが、村長は『一つの手法としてある』と話している」と明かす。概要調査に入ると最大70億円が交付されるが、移行には知事の同意が必要とされる。

 2町村に続いて今月、文献調査を受け入れたのは佐賀県玄海町だ。原発立地自治体としては初めて。4月に町議会が請願を採択し、脇山伸太郎町長が「熟考した結果」と表明した。


◆事業者が市議の「視察」旅費を負担

 同じ九州でも違った道を選択した自治体もある。長崎県対馬市だ。昨年9月に市議会が請願採択したが、比田勝尚喜市長は反対の方針を貫いた

     (佐賀県玄海町に立地する九州電力玄海原発(2011年撮影))

 同市は昨年末、核のごみを巡る「政治とカネ」の問題でも揺れた。市議13人が21年以降に北海道の最終処分関連施設などを視察した際、最終処分事業を担う原子力発電環境整備機構NUMOが旅費を負担したこと市の政治倫理条例に反すると市の審査会が判断したのだ。

 市民団体「核のごみと対馬を考える会」の上原正行代表(79)は「条例違反で済むのか」と憤る。

 そして「文献調査の鍵をひとたび開けてしまえば、国側はお金を使い、ごり押しで進めてくる」とし「原発を止めることもせず、何本を地層に埋めるか全体像も分からないまま進めれば、あまりに未来に示しがつかない」と語気を強めた。


◆デスクメモ

 核のごみは地下に埋める地層処分が想定されるが、本当にできるか断層をくまなく把握する難しさ。断層が起こすのは揺れに地盤の動きも。ズレて漏れるとなれば取り返しがつかない。能登でも浮かんだ自然の脅威。処分地選定ばかりに躍起になり、尽くすべき議論から逃げては困る(榊)


【関連記事】「核のごみ」拒否した対馬 実はカドミウム鉱害に苦しんだ歴史 それでも廃棄物の苦労をかけるのか
【関連記事】核のごみ最終処分は「国の責任」っていうけど…大丈夫? 文献調査が進む北海道の町村で起きていること
【関連記事】核ごみ最終処分の「適地」ではないはずの玄海町がなぜ手を上げた? 町長が経緯と苦渋の心中を明かした
【関連記事】 社会 核燃料サイクル政策の破綻が明らかな理由 「26回目」核燃料再処理工場の完成延期を発表、日本原燃
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●「閉じない環」破綻した核燃サイクル…《1993年から26回の延期…核燃料サイクル政策は要の再処理工場の稼働が見通せず、「破綻」》が露わ

2024年03月24日 00時00分52秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2024年03月11日[月])
再稼働したいそうだ、バカとしか思えない…《核燃料サイクルという夢が実現できぬ中、当初想定されていなかった原発構内での核燃料の長期保管が常態化している》。
 電力各社は「乾式貯蔵施設」の計画を進めているようだが、ここでも、湯水のようにカネが注ぎ込まれ、電力料金が跳ね上がっていくことでしょう。さっさと廃炉作業を進めて、損切りすることしか手はないと思うのだが、核発電「麻薬」中毒者どもは、湯水のようにお金を垂れ流すこと、「原発マネー」に蝟集・集ることが目的化。

 《使用済み核燃料は各原発のプールにたまり続け…。プールが満杯になると、核燃料の交換ができず原発は動かせなくなる》。まずは、核発電を止めてからの話。マンションを建てる前に、トイレの場所や処理の方法、〝処理水〟の放流先を決めときなさいよ。余剰汚泥という〝廃棄物〟も出てきます。(東京新聞社説)《政府の姿勢は無責任というほかない返すあてもないのに借金を重ねるようなものだ》。だから、なんで自公お維コミに投票してしまうのか、という話でもある。
 まずは、核発電を止め、1 mgでも廃棄物の発生を抑制すべき。(東京新聞)《使用済み核燃料は各原発のプールにたまり続け、2023年3月時点で原発を保有する電力10社のプール容量の74%が埋まっているプールが満杯になると、核燃料の交換ができず原発は動かせなくなる》まずは核発電を止め、廃炉作業に着手。議論はそれから。キシダメ政権は「原発復権」「原発回帰」?? 福島を「原状回復」して見せてからのお話でしょ? 元の姿に戻して見せて下さい。

   『●破綻した核燃サイクル、中間貯蔵施設は最終処分場と化す…使用済み核燃料
     プールの現状は? どこを最終処分場にするかの議論の前にやることは?
   『●トイレなきマンション問題を放置し、「原発復権」「原発回帰」する
     キシダメ政権…早晩、核燃料の交換ができず核発電は動かせなくなる
   『●マンションからたれ流しにしておいて、トイレをどうするのかとか、放
     先どこにするのかなんてナンセンス…しかも、《被爆地の長崎》で…
    「「防人の島」の《町民の皆さんがその道を選んだ》のですか?
     足抜けできるのか? NUMOにからめとられて、泥沼に足を
     突っ込み、抜け出られなくなるのではないか。しかも、被爆地の
     ナガサキで。《改めて誘致が浮上した背景には「深刻化する人口減少、
     最近までの日韓関係の悪化、観光需要の落ち込み」があるという》
     …意味が分からない? そんな理由で死の灰を受け入れるの?」

   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●山口県上関町…《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ
     捨て場…正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》
   『●《「まるで反社以下の関電」…今も経済産業省と岸田政権に守られてぬく
      ぬくと生き延びている》《関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」》

 さて、「閉じない環」、破綻した核燃サイクル。核燃料サイクルという「環」は閉じたのか? 「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」。《原発の再稼働や新増設を進めた場合、運転すればかならず発生する使用済み核燃料の行き場をどうするのか、またその防護をどうするのか》? 「閉じない環」である第1の「環」を継続し、プルトニウムを取り出す六ヶ所村の再処理工場の稼働を目指すことを続けるそうだ。恐ろしいリスクを抱えつつ、瀕死の「ホワイト・エレファント」にエサを与え続け、エサ代を支払い続けるつもり。「もんじゅ」という悪夢に目覚めるのにこれだけの月日を費やし、誰も責任をとらず…、「第1の閉じない環」の悪夢からいつ目ざめるのだろうか? あまりに愚かすぎる。
 小野沢健太記者による、東京新聞の記事【青森・六ケ所村の核燃料再処理工場、27回目の完成延期が確実 「サイクル政策」破綻で各原発内長期保管が常態化】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/314183)によると、《原発から出る使用済み核燃料再処理工場青森県六ケ所村)は、27回目の完成延期が確実となっている。原子力規制委員会の審査が進まず、「2024年度上期(9月まで)のできるだけ早い時期」とする原燃の目標は達成が困難な状況。使用済み核燃料の受け入れの見通しが立たず、各原発では敷地内に新たな保管場所を確保する動きが相次ぐ。(小野沢健太)》。

   『●リラッキングとオンカロ
   『●原発再稼働と「軍産複合体国家・米国の商売」と
      「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」

   『●予想に反して「もんじゅ」廃炉へ、一方、
      「閉じない環」核燃料サイクルは維持するという無茶苦茶

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/314183

青森・六ケ所村の核燃料再処理工場、27回目の完成延期が確実 「サイクル政策」破綻で各原発内長期保管が常態化
2024年3月10日 06時00分

 原発から出る使用済み核燃料再処理工場青森県六ケ所村)は、27回目の完成延期が確実となっている。原子力規制委員会の審査が進まず、「2024年度上期(9月まで)のできるだけ早い時期」とする原燃の目標は達成が困難な状況。使用済み核燃料の受け入れの見通しが立たず、各原発では敷地内に新たな保管場所を確保する動きが相次ぐ。(小野沢健太


◆当初の完成予定は1993年、説明できない原燃

 「今まで何をやってきたのか」。2月29日の規制委の審査会合で、事務局の原子力規制庁の担当者はあきれた。原燃は一部の項目で説明の準備が間に合わず、具体的な議論ができなかった。関西電力出身の原燃の决得(けっとく)恭弘執行役員は「はっきり言って『自分ごと』になっていない。遅ればせながら、そう感じている」と、基本的な意識の問題をさらけ出した。

     (日本原燃の使用済み核燃料再処理工場
      =青森県六ケ所村で(2013年撮影))

 再処理工場の稼働の条件となる設備設計や工事計画の審査は申請から3年が過ぎたものの、終わりが全く見えない。東京電力出身の原燃の増田尚宏社長は、完成時期の目安を今年6月としていたが、1月にこれを撤回。9月までの目標は維持したものの、3月5日の記者会見で「大変厳しくなっている」と述べ、審査対応での能力不足は深刻だ。

 再処理工場当初の完成予定の1993年から26回の延期を繰り返してきた。政府が推進する核燃料サイクル政策は要の再処理工場の稼働が見通せず、「破綻をあらわにしている

 核燃料サイクル 原発の使用済み核燃料から再処理という化学処理でプルトニウムやウランを取り出し、混合酸化物MOX)燃料に加工して原発や高速増殖炉で再利用する仕組みで、日本政府の原子力政策の柱。高速増殖炉は使った以上のプルトニウムを生み出す夢の計画だが、原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉で頓挫した。放射性廃棄物の有害度を下げる高速炉の開発に転換したが、実用化のめどは立っていない


◆各原発内で保管施設新設が相次ぐ

 各電力会社は使用済み核燃料を再処理工場に搬出できず、急場しのぎの対応に追われている。使用済み核燃料を保管する原子炉建屋内の貯蔵プールが満杯になると、原発を運転できなくなるためだ。

 東北電力は2月、女川原発(宮城県)の敷地内に新たな保管先とする「乾式貯蔵施設」を設けると発表した。乾式貯蔵施設は、プールで十分に冷やされた核燃料を金属製の容器に密封し、空冷保管する。水がなくなれば重大事故になりかねないプール保管よりも、リスクが低い。

 東北電によると、今年9月に再稼働予定の2号機のプールは貯蔵率75%で、運転再開から4年ほどで満杯になる。乾式貯蔵施設を28年に稼働させるという余裕のない計画を示した。


◆稼働中の原発は綱渡りの状態

 稼働中の原発は、保管場所の逼迫(ひっぱく)がさらに深刻だ。関電の美浜高浜大飯(いずれも福井県)の3原発のプールは昨年末時点で85%が埋まり4~6年ほどで満杯になる

 関電は福井県に対し、県外に使用済み核燃料の中間貯蔵施設を確保すると約束したが、自前で用意できず、中国電力が新設を計画中の上関原発(山口県)で共同開発する方針。ただ、地盤調査をして建設が可能かを調べている段階で、稼働時期や貯蔵量は未定だ。

 関電は2月、3原発の敷地内に乾式貯蔵施設を設ける計画を発表。27~30年ごろの完成を目指すも、綱渡りの状態を露呈した。

 原発内の乾式貯蔵施設は他に、日本原子力発電東海第2(茨城県)で運用され、中部電力浜岡(静岡県)、四国電力伊方(愛媛県)、九州電力玄海(佐賀県)でも計画。核燃料サイクルという夢が実現できぬ中、当初想定されていなかった原発構内での核燃料の長期保管が常態化している。


【関連記事】どうする?使用済み核燃料の保管場所 満杯になれば原発は動かせない…それなのに対策は後手に
【関連記事】河野太郎氏も警鐘を鳴らした使用済み燃料プールの危険性とは 原発への攻撃はウクライナ侵攻で現実化
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●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見てみたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?

2021年08月20日 00時00分57秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2021年07月18日[日])
マガジン9のコラム【言葉の海へ 第170回:原発の今(鈴木耕)】(https://maga9.jp/210630-5/)。

 《処理汚染水海洋放出決定 …しかし、それらは安全基準以下に海水で薄めてから「海へ流す」ので環境汚染にはならないと東電も政府も言う。何度もぼくは書いたり話したりしているが、こんなおかしな話もない。「海水で薄めて海へ流す」? 海の水を海水という。海から採取した水で薄めて海へ還す。普通のリクツとはとても思えん! これをマジな顔で議論している政府や東電、そして御用学者や官僚たち。正気なのだろうか?

 反核発電に、高度な工学的知識は不要である。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから


 1兆3700億円!? デブリの一欠片をほんの少し摘み上げてバカ騒ぎ…デブリがどんな状態で何トンあるのかも不明、どこで隔離・管理するのかも不明、かつ、《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》。後藤さんらは持ち出せないし、持ち出すべきではない、という主張。いわゆる石棺方式で、その場で隔離・管理すべきだ、と。
 デモクラシータイムスの【【原発耕論 No16】福島第一のデブリ取出しを断念せよ 20210701】(https://www.youtube.com/watch?v=gN4sTsNn0vQ)によると:
《デモクラシータイムス 
 希望的観測のデブリ取り出し計画
 不透明な計画に、増え続ける汚染水と撤去費用
 仮にデブリを取り出せても、資材等と絡み合った核廃棄物の処理方法や
 管理場所すら何も決まっていない

 デブリ取り出しの難しさ、空冷化による管理を筒井さんが解説
 なし崩しの原子力政策はもういらない

 ゲスト:筒井哲郎(プラント技術者の会)
     後藤政志(元東芝 原発設計技術者)
     菅波完(高木仁三郎市民科学基金 事務局長)
 司会:鈴木 耕(デモクラシータイムス)
 収録は、2021年7月1日》


https://www.youtube.com/watch?v=gN4sTsNn0vQ

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●自公お維や寄生委、東京電力の皆さん、《どんな状態が“福島第一の
     廃炉完了”》の定義なの? 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》?

 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》。
 同じ週のマガジン9の記事【福島第一原発の「廃炉」を考える――廃炉制度研究会レポート 第2回:「事故炉廃炉」と住民参画――スリーマイルではどう決めたか⑴――①「処理水」処分決定プロセスの日米比較】(https://maga9.jp/210630-4/)によると、《作家の尾松亮さんは、法規制や政策決定プロセスなどをテーマに、東京電力福島第一原発を含む世界中の原発の廃炉について調査しています。その尾松さんが、ジャーナリストや研究者らと立ち上げた「廃炉制度研究会」の第2回オンライン報告会が5月31日に実施されました。意思決定プロセスにおける民主性の担保という観点から、福島第一原発とアメリカのスリーマイル島原発の事故後対応を比較する尾松さんのお話の内容を、2回にわけて紹介します。1回目は、処理水処分決定にいたるまでの意思決定プロセスの違いについてのお話をまとめました。(田上了子)》。

   『●「国際的に一番厳しい基準を設けている」し、
      そして「原状回復」したのならば、「そこ」に住んでみては?
   『●東京電力原発人災、支援の幕引き:
     「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●今村雅弘復興相、「本人の責任」
     「裁判でも何でもやればいい」と…「死の町」にした者こそ糾弾されるべき
   『●今村雅弘復興相「問題は激高よりも「自主避難は自己責任」発言」
                …ココで「自己責任」論に出くわすとは…
    「それにしてもこんなところで「自己責任」論が出てくるとは、
     唖然としました。《誰が好き好んで自主避難などするだろうか》!」

   『●東京電力原発人災、支援の幕引き: 
      「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
           無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の
     刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を取らなければ
        企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》ではない
           …「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」
    「《住宅無償提供打ち切りで、避難を続けるか、福島に帰るか選択に
     迫られた。家賃の支払いをめぐり被告となる人たちも出ている》…
     何という無慈悲。自主避難者を《被告》にする? デタラメ」

   『●《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!
     10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》
   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
      違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》

 さらに、〝自主避難者〟という区別・差別…区域外避難者に、どこまでこの国は冷酷なの?
 これもマガジン9のコラム【一枝通信 第7回:「原発避難者住宅追い出し裁判」傍聴記 「『戻る権利』があるように『戻らない権利もあって然るべき」(渡辺一枝)】(https://maga9.jp/210623-1/)。《5月14日、福島地方裁判所で開廷された「原発避難者住宅追い出し裁判」の傍聴に行ってきました。2011年3月11日の東日本大震災と原発事故によって、多くの人が居住地を離れて避難しました。避難者は災害救助法によって避難先で仮の住居を得ましたが、自然災害と違って原発事故による被害は、災害救助法では救済しきれない問題が多々あります被害も長期に亘ります。それなのに、福島県はたった6年で住宅支援を打ち切り、行き場がなくそのまま居住する人に対しては2倍の家賃を請求、更に裁判に訴えてまで追い出そうとしています県民を守ろうとしないばかりか、逆にいたぶっているのです。どうぞ、この裁判にご注目を。》
 東京電力や政府、福島県は、なぜ「原状回復」してくれないんですか? 10年も経ちましたけど? 「原状回復」してくれれば、区域外避難者のみなさんも喜んで古里、故郷にお戻りになるはずです。なぜ「原状回復」しないのですか? 《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》。

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https://maga9.jp/210630-5/

言葉の海へ
第170回:原発の今鈴木耕
By 鈴木耕 2021年6月30日

ぼくの「原発ファイル」

 コロナとオリンピックに頭を汚染されて、しばらくこのコラムでも「原発」に触れていなかった。むろん、原発を忘れていたわけじゃない。ぼくの切り抜き「原発ファイル」は、もう47冊目に入っている。

 新聞記事を主体に、週刊誌月刊誌などの雑誌記事、ネット情報のプリントアウト、官報からのデータや、信頼できる筋から入手した文書など、その時々の情報をピックアップして集めているものだ。今も毎朝、新聞4紙(朝日、毎日、東京、沖縄タイムス=電子配信)を読んで、目についたものは切り抜きプリントアウトする。

 原発のほかに、沖縄や憲法、その他の重要な記事は「沖縄・憲法・その他」というファイルを作っていて、こちらはもう62冊目になっている。

 自分でも、これらはかなり貴重な資料集だと思っている。なにしろ、2011年3月から始めたファイルだから、最初のころの紙面はもう茶色く褪せている。そう、あれから10年以上も過ぎたんだな。

 今めくってみると、例えば「原子力安全・保安院の人員構成」「原子力安全委員会役員名簿」「原子力発電所の災害評価」「東京電力本店会議録」「放射能を正しく理解するために・文部科学省パンフ」「第23回原子力安全委員会速記録」などなど、どこから入手したかも憶えていないものも目につく。あの頃、福島事故から1年ほど、ぼくが必死になって集めていたものだ。だから第1冊目は、こんなに分厚い。

 ファイルが47冊ということは、1年に4冊以上のファイルを作成しているということだ。その時々の、ぼくの関心のありようが伝わってくる。

 ぼくの本棚は雑多な本で溢れ返っているが、いずれぼくが死んだら、これらの本はあっさりと処分されるだろう。どう処分してもいいよ、とカミさんには伝えてある(ま、ぼくのほうがカミさんより先に逝くのは確かだと思うから)。

 しかし、このファイルだけはどこかに寄付したいなあ。きっと、それなりの資料的な価値はあると思うのだ。

 昔話はさておき、最近、まるで「コロナ禍」をチャンスとばかり、原発ムラの妖怪たちの動きが激しい。みんなの目がコロナやオリンピックに向いているのを勿怪(もっけ)の幸い、不審な動きが激しさを増している。

 目についたものを順不同でピックアップしてみよう。


処理汚染水海洋放出決定

 これは菅政権の原発に対する考え方を、そのまんま表したような決定である。

 汚染水は溜まりにたまって、貯蔵タンクは2023年には満杯になるとされる。もはや貯蔵しておくのが限界だとして、海へ流すというのだ。

 ALPSという放射性物質除去装置で、多くの放射性物質は取り除かれているという。だが、放射性物質であるトリチウムは除去できないし、他も完全処理には程遠く、多くの放射性物質の取り残しがあるとされる。しかし、それらは安全基準以下に海水で薄めてから「海へ流す」ので環境汚染にはならないと東電も政府も言う。

 何度もぼくは書いたり話したりしているが、こんなおかしな話もない。「海水で薄めて海へ流す」? 海の水を海水という。海から採取した水で薄めて海へ還す。普通のリクツとはとても思えん! これをマジな顔で議論している政府や東電、そして御用学者や官僚たち。正気なのだろうか?

 むろん、地元のみならず科学者や漁業関係者からは絶対反対の声が上がっている。さらには、国連の独立特別報告者(3名)が「放出は太平洋地域の何百万もの命や暮らしに大きな影響を与えかねない」として深い遺憾の意を表明している(4月15日)。国際的にも強い批判を浴びているのだ。


事故処理費の試算21.5兆円

 福島第一原発事故処理費は、2016年時の試算では21.5兆円になったという。費用の内訳は、廃炉=8兆円、賠償=7.9兆円、除染=4兆円、汚染土等保管費=1.6兆円。これは2016年の試算だ。政府による試算は、年が経つたびにどんどん増えていく。多分、もうじき政府が「もっと増えました」と言いだすに決まっている。

 例えば、沖縄辺野古米軍基地の建設費用は、当初(2013年)の防衛省計画では2310億円とされていた。だが沖縄県による現時点での試算では2兆5千億円ほぼ10倍に増え、工期も13年以上かかるとされている。それだって無理だとぼくは思うけれど。

 原発事故処理費はまだまだ増えるだろうし、期間も100年単位になるのは必至だ。それでもなお、原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見てみたい。多分、連中はオレの生きているうちには終わらないし、死んだ後のことなど知らねえよ。それまでは税金でいい目を見せてもらうぜとせせら笑っているのだろう。


自民原発推進派の動き

 国の基本的なエネルギー政策をまとめる「エネルギー基本計画」は、この夏に改定される予定。それに影響を及ぼそうとして自民党内に「最新型原子力リプレース推進議員連盟」なる組織が動きを活発化させている。

 要するに、「脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現」という菅首相の空疎なスローガンに乗っかって、「原発は脱炭素だから、新増設や建て替え(リプレース)を推進する」というヘリクツ集団である。稲田朋美会長に安倍晋三最高顧問という布陣の、政治的思惑だらけの組織だ。他に「電力安定供給推進議連(細田博之会長)」という議連も原発推進の動きを活発化させている。これらの「議連」というのは、それなりのスローガンは掲げるが、結局は、派閥絡みの利権集団なのだ。

 最近突然旗揚げした「『自由で開かれたインド太平洋』推進議連」というわけの分からない議連は二階俊博会長だが、安倍晋三と伊吹文明の両氏を最高顧問に祭り上げて発足。もはやこうなると、不仲を噂される二階と安倍のパフォーマンス。まるで抗争中のヤクザの組同士の手打ち式だ。でもまあ、そんなのはほっとけばいい。

 だが、「女性初の首相」を狙うという稲田朋美が動き出し、後ろ盾に安倍がつくとなると「原発推進議連」はかなり胡散臭いし、危険な臭いがするのだ。


原発事故の真相

 旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故から、今年の4月26日で丸35年が過ぎた。その事故に関する機密文書の一部をウクライナ保安庁(情報組織)が公開した。ソ連の情報機関の国家保安委員会(KGB)などの報告書だ。

 同原発は事故前からトラブルが相次ぎ、かなり危険視されていたが住民に知られることを恐れて、すべて隠蔽されていたという。事故後も隠蔽が続き、放出された放射性物質の量や構成、被害者や傷病者、死者などの詳細は隠されたままだった。今回公開されたのは、残念ながら、そのほんの一部に過ぎないけれど。

 原発に関しては、どこの国もやることは同じだ。最近、中国広東省台山原発1号機で放射能漏れ事故があったのではないかとの報道があり、事実、かなりの放射性ガスが放出されていたことが判明した。だが建設に携わったフランス電力は、例によって「多少のガス漏れはあったが環境に影響はない」とコメントしただけだった。

 日本列島は最近、やたらと地震が多い。その度に原発会社は「原発に影響はありません」と発表する。だが今年の2月13日の震度6の地震では、福島第一原発では格納容器内のデブリ冷却水の水位低下が起きていた。しかも、ここでは地震計が壊れたまま放置されていたことも判明。東電の体質は事故後も変わっていない

 電力会社の「原発に支障はない。環境に影響はない」を信じちゃいけない


40年超老朽原発、再稼働

 もう腹立たしいのも通り越して、バカ野郎!と叫びたい。

 あの「40年ルール」ってのは、いったい誰が何のために作ったのだ!

 40年間も運転し続ければ、脆性劣化と呼ばれる金属疲労が起きて危険性が増す、というのは2011年3月の福島第一原発事故の大爆発以前から、ずっと言われてきたことではなかったか。そのために、何度も過酷事故(シビアアクシデント)の瀬戸際まで行ったことがあったではないか。

 美浜原発3号機(関西電力、福井県)では、2004年8月9日に配管破断という大事故を起こし、11名が被災、うち5名が死亡している。その美浜3号機がこの6月23日に再稼働したのだ。もう一度事故を起こさないと懲りないのか!

 関西電力は、福島事故以前は発電量の約5割を7基の原発に頼っていた。しかし関電の原発は老朽化が進み、2025年には5基が40年超となる。だから是が非でも再稼働したいのだ。電源のシフトチェンジを怠ってきたツケを、原発再稼働で補おうというのだから虫が良すぎる。というより、いったいこの10年間、何をやって来たのだ!

 こんな原発に、新規制基準適合というお墨付きを与える「原子力規制委員会」にも、ぼくは不信感いっぱいである。なお、この美浜3号機再稼働に関しては、住民たちが「運転差し止め仮処分」を大阪地裁に申し立てている。地裁では勝つ可能性もあるが、日本の司法は、上級審になるにしたがって「政権忖度判決」に堕ちていく


福島第二原発、廃炉開始

 東京電力は、福島第二原発(4基)の廃炉作業を開始した。廃炉終了までには44年間かかると見積もっているという。これで、第一(6基)と併せて、東電は全10基の廃炉作業を同時並行で行うことになる。

 だが、燃料デブリ(溶融核燃料等の融合物)は致死に至る放射能を帯びており、近づくことさえできず状況すら把握できていない。第一原発は廃炉工程さえ作れない状況にあり、それと同時並行の第二廃炉など、絵に描いた餅以上だ44年どころか、100年後の日本をも汚し続けているだろう

 しかも、取り出した放射性廃棄物の行き先は決められないままだ

 よく「原発はトイレなきマンション」と譬えられるが、この強烈な「排泄物」を、東電(すべての電力会社や自民党政府)は、いったいどうしようというのだろうか。再稼働など、デブリや使用済み核燃料の廃棄処分が終わってから言え

 なお、伊方3号機(愛媛)はこの10月に再稼働、また島根2号機には規制委が新規制基準適合を与えた。もはや、原発は規制を失ったかに見える


核燃料再処理工場の闇

 みなさん、核燃料再処理工場って知っていますか? そして、この事業にいったいいくらの金が注ぎ込まれているか知っていますか?

 青森県六ケ所村にある日本原燃の「六ケ所再処理工場」のこと。要するに、使用済み核燃料を各電力会社がここへ持ち込んでガラス固化体にして処理するという触れ込みで、1993年に建設が開始された。だが、固化体は何度試みても成功しない。したがって、工場そのものも完工には程遠い。

 これまで28年間で、すでに25回も稼働延期が繰り返され、費用も当初は7600億円だったものが、いまや総事業費14兆4千億円に膨れ上がっているなんと20倍だぜ。こんなデタラメな会社が存続しているのがニッポンだ。一般の会社ならとっくに倒産、社長らは責任取って腹切りものだろう。しかも、これで収まるという可能性はほぼゼロだ。これもまた、あの辺野古基地と同じ構造である。

 また、使用済み核燃料を加工してMOX燃料(抽出プルトニウムとウランの混合燃料)にする工場の総事業費も2兆4千億円と増え続けている。まるで金をドブに捨てるようなものだが、それでも止めようとしない。いったいどこからそんな金が出てくるのか。

 とにかく、最初は低い見積もりで、完成するかどうかわからないものに予算をつける。それが何度も延期を繰り返し、工期も費用も膨大にかさんでいく日本政府や官僚の、これがやり口なのだ。一度決めたことは何があっても引き返さない。誰も責任を取らない。そのうち、立案者や実行者たちは消えていく

 日本的無責任体系の典型的な例がここにある。そう、東京オリンピックの惨状を見ていれば、これが「ニッポン病」だということがよく分かる。


その他の諸問題

 とりあえずここまで書き進めてきたが、まだ原発に関する問題は山積みだ。

 例えば、事故による障害、白血病やその他の癌の発生、原発作業員の労災の問題、子どもたちの甲状腺検査縮小への批判、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書、避難者たちへの補償の問題、同じく住宅補助の打ち切り、再生エネルギー問題、九州電力による出力制御、風評被害……などなど、触れなければならない問題は限りがない。

 しかし、今回はここまでにしておこう。原発問題となると、ぼくの文はどうしても長くなってしまうのだ。

 とくに、原発事故による放射性物質の拡散の影響、それによる疾病の増大、小児甲状腺癌の発生と検査体制の問題については、とても数十行の文章では意を尽くせない。それについては稿を改めようと思う。


鈴木耕 すずき こう: 1945年、秋田県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒業後、集英社に入社。「月刊明星」「月刊PLAYBOY」を経て、「週刊プレイボーイ」「集英社文庫」「イミダス」などの編集長。1999年「集英社新書」の創刊に参加、新書編集部長を最後に退社、フリー編集者・ライターに。著書に『スクール・クライシス 少年Xたちの反乱』(角川文庫)、『目覚めたら、戦争』(コモンズ)、『沖縄へ 歩く、訊く、創る』(リベルタ出版)、『反原発日記 原子炉に、風よ吹くな雨よ降るな 2011年3月11日〜5月11日』(マガジン9 ブックレット)、『原発から見えたこの国のかたち』(リベルタ出版)、最新刊に『私説 集英社放浪記』(河出書房新社)など。マガジン9では「言葉の海へ」を連載中。ツイッター@kou_1970でも日々発信中。
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コメント
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●「まだ復興していない。臭いものにふたをしての五輪。自分たちは除外されているように感じる」…何が復興五輪か! 原状回復して見せよ!

2021年07月27日 00時00分46秒 | Weblog

[※ 『ふくしま原発作業員日誌-イチエフの真実、9年間の記録』(片山夏子、朝日新聞出版、2020年2月刊、1700円)↑]


(20210723[])
小野沢健太記者による、東京新聞の記事【凍土壁、想定外の長期運用へ 福島第一原発汚染水対策の「切り札」、検証不十分なまま】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/117551)。
奥野斐記者による、同紙の記事【「原発事故は長期的な対応が必要」自主避難者への住宅退去請求に支援者が反発 福島県に訴訟準備も】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/117909)。
片山夏子記者による、同紙の記事【復興五輪と言われても 苦しみ続く震災者「自分たちは取り残されている」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/118111)。

 《東京電力福島第一原発で汚染水対策の切り札とされ、国費345億円を投じて造られた凍土遮水壁。東電は当初、2021年をめどに対策を終えるはずだったが、凍結から5年が過ぎても大量の汚染水は発生が続き、ゼロへの見通しすら立たない毎年億単位の維持費がかかる氷の壁は、検証不十分なまま長期運用に入る。(小野沢健太)》。
 《東京電力福島第一原発事故による避難指示区域外からの「自主避難者」が、福島県から、東京都江東区の国家公務員宿舎・東雲住宅の退去を求められており、支援者らが19日、東京・永田町の衆院第2議員会館で集会を開いた。主催グループは、同県が避難者に家賃の2倍相当の損害金を請求し追い出しをしているのは違法だと主張。県が訴訟を起こす場合は、県側に提訴する可能性もあることを明らかにした》。
 《政府が掲げた「復興五輪」の看板は、新型コロナウイルス禍でかすんでいる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から10年余り。「復興」が強調されるほど、抱え込んだ悲しみを吐き出せずにいる被災者たちがいる。(片山夏子)》

 「復興五輪」だそうだ。どこが「アンダーコントロール」なのだろうか? 未だに原子力緊急事態宣言下で…。
 核発電人災の原子力緊急事態宣言下でウラアリなオ・モ・テ・ナ・シだの、アンダーコントロールだの、果ては、復興五輪だのと嘯き、COVID19緊急事態事態宣言下でも《コロナに打ち勝った証》として五輪貴族やその取り巻きによる〝バカの祭典〟〝パソナ五輪〟を強行。一体どんな国?? 《スガさんの生命維持装置》としてのバカの祭典パソナ五輪スガ政権の祭典を強行する無為無策無能な政権。最早、殺人オリンピック

   『●無観客開催にすり替え…緊急事態宣言の最中、五輪貴族やその取り巻き
         連中による醜悪な〝バカの祭典〟〝パソナの祭典〟をやる気?
   『●《大会経費の赤字の尻拭いを背負わされるのは国民だ》 ―――
     どこまでも醜悪なバカの祭典、パソナ五輪。一体どちらが《反日的》か?
   『●《人々を苦しめているのは…満足に給付や補償をせずに自粛を強制
     する政権》(町山智浩さん)…一体どちらがバカで、《反日的》か?
   『●《「スガ総理」…内閣支持率の下落が止まらない。その要因は
     コロナ対策の度重なる不手際と、国民に我慢を強いながら五輪開催に…》
   『●この最悪なCOVID19禍、さらに、酷暑の中、開催強行…皆さん
     ご帰国の折、《反日》アスリートや《反日》ジャーナリスト製造な東京五輪

 2013年9月、世界に向けて「汚染水漏えい問題はない」と言い切ってしまったょ……以来ずっと《五輪中止を》言い続けてきたのだが…。いや、《空疎な小皇帝石原慎太郎元東京「ト」知事が五輪招致をやり始めて以来だ。2011年の東京電力核発電人災で、五輪招致など、消し飛んでいないといけないはずだったのに。

 それにしても、福島県庁の所業、冷酷過ぎやしませんか? 東電や国がさっさと「原状回復」すればいいのです(出来やしないでしょ?)。
 〝自主避難者〟という区別・差別…区域外避難者に、どこまでこの国は冷酷なの? 東京電力や政府、福島県は、なぜ「原状回復」してくれないんですか? 10年も経ちましたけど? 「原状回復」してくれれば、区域外避難者のみなさんも喜んで古里、故郷にお戻りになるはずです。なぜ「原状回復」しないのですか? 《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》。


 繰り返します、何度でも。
 国や東電のデタラメに対する答えは簡単だ、責任をもって東電や政府が「原状回復」して見せればよいだけ。元の姿に完全に戻してくれれば良いだけ。責任を果たして下さればよいだけ。《原状回復》して見せてくれれば、喜んで皆さんは元の福島の生活に戻られるでしょうよ。それに、そもそもこんな核発電人災などなければ、《福島を出た人は誰もいなかった。東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》ではない…「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」。

 あぁ、それにしても、《復興五輪と言われても》ねぇ、色々な意味で虚しくなるばかりだ。その膨大なドブガネ、真の福島復興のために使っていれば…。

   『●《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!
     10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》
   『●東京電力核発電人災後に《福島県から千葉県などに避難した住民ら
     43人が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審》で逆転判決
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●希望の牧場・吉沢正巳さん「この牛たちを見て、命の扱い方とか、
     原発があるというのはどういうことかを考えるきっかけになってほしい」
   『●《「国に法的責任はある」−原発事故で千葉県に避難した人々が
     起こした訴訟での東京高裁の判断だ。規制権限の不行使を厳しく指弾した》
   『●《宮本亞門…「…誘致のための架空のものだった。悲惨な現実を見て
     『何ということに加担してしまったんだ』と罪悪感にさいなまれた」》
    (政界地獄耳)《宮本亞門は東京新聞の取材に
     「『世界一お金がかからない五輪』や『復興五輪』を信じたが
     大会経費は倍以上に膨れ上がり福島第1原発事故の後処理も進まない
     誘致のための架空のものだった悲惨な現実を見て『何ということに
     加担してしまったんだ』と罪悪感にさいなまれた」と発言》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/117551

凍土壁、想定外の長期運用へ 福島第一原発汚染水対策の「切り札」、検証不十分なまま
2021年7月19日 06時00分

 東京電力福島第一原発で汚染水対策の切り札とされ、国費345億円を投じて造られた凍土遮水壁。東電は当初、2021年をめどに対策を終えるはずだったが、凍結から5年が過ぎても大量の汚染水は発生が続き、ゼロへの見通しすら立たない毎年億単位の維持費がかかる氷の壁は、検証不十分なまま長期運用に入る。(小野沢健太


◆冷却液で凍土、年間維持費十数億円

 凍土壁は、山側からの地下水を事故で原子炉内に溶け落ちた核燃料(デブリ)など高濃度の放射性物質が残る建屋に入れさせないようにするために造られた。1~4号機周囲(全長1・5キロ)の地中に打ち込まれた約1600本の凍結管(長さ30メートル)に、零下30度の冷却液を循環させて周辺の土を凍らせている。16年3月から凍結を始め、2年近くで全面凍結。凍らせる電気代など毎年の維持費は導入当初で十数億円かかり、東電が負担している。

     (凍結開始から8カ月後に凍った壁の状況をハンマーで確認する
      経済産業省の職員=2016年11月21日、
      東京電力福島第一原発で)

 19年12月~21年1月、凍結管の計5カ所で冷却液が漏れるトラブルが続いた。東電によると、いずれも原子炉建屋近くの道路の地下にあり、通行する車両の振動で金属部品が疲労破壊した可能性が高い。
 長期運用を想定していなかった東電は、これまでトラブルが起きてから補修してきたが、今年からは部品の交換頻度を定め、交換用の部品をあらかじめ用意する。広報担当者は「凍土壁は有効で継続して使う。適切な保守管理で長期間の運用は可能」と説明する。


◆隙間から地下水、効果は限定的

 全く水を通さないという触れ込みだった凍土壁だが実際は水を通す部分があちこちにあり、効果は限定的にとどまっている
 東電は18年3月、凍土壁によって1日約95トン分の地下水が建屋に入り込むのを防ぐことができたという試算を公表。壁がない場合は1日189トンになるとし、「半減できていると強調した。
 ただ、試算を巡っては雨が少ない時期だけを切り取って評価したことや、建屋周辺の井戸(サブドレン)による地下水のくみ上げなど他の対策の効果との区別があいまいで根拠に乏しい原子力規制委員会更田豊志委員長は「地下水対策の主役はサブドレンのくみ上げ」と断言している。
 試算公表時の会見で、東電の廃炉最高責任者だった増田尚宏氏(現・日本原燃社長)は凍土壁の効果について「検証を続ける」と明言。しかし今は「個別の対策の効果を示すことは難しい」と、広報担当者が説明を避けるようになった。


◆規制委からは代案求める声も

 政府や東電は当初、21年ごろまでに汚染水の発生を止める目標を立てていた。しかし、地下水がどこから入り込んでいるのか今も分かっていない
 15年度に1日490トン発生していた汚染水は、20年度に約140トンまで減ったもののゼロは実現できず、25年に100トンに減らす目標に後退した。東電は「25年までは現行の対策を続ける。それ以降は検討中」と歯切れが悪い。
 凍土壁の維持費は、消費者が東電に支払う電気代を通じて賄われる。規制委の検討会では「費用対効果の観点から、凍土壁をやめて鋼板やコンクリート壁などを埋め込むべきだ」との専門家の意見が根強い。この意見にも東電は「検討中」と答えるだけで、事故から10年が過ぎても汚染水対策の終わりは見えない
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/117909

「原発事故は長期的な対応が必要」自主避難者への住宅退去請求に支援者が反発 福島県に訴訟準備も
2021年7月20日 11時52分

     (集会で原発避難者への支援を訴える主催者ら
      =19日、東京・永田町で)

 東京電力福島第一原発事故による避難指示区域外からの「自主避難者」が、福島県から、東京都江東区の国家公務員宿舎・東雲住宅の退去を求められており、支援者らが19日、東京・永田町の衆院第2議員会館で集会を開いた。主催グループは、同県が避難者に家賃の2倍相当の損害金を請求し追い出しをしているのは違法だと主張。県が訴訟を起こす場合は、県側に提訴する可能性もあることを明らかにした
 自主避難者への住宅の無償提供は、2017年3月に打ち切られている。さまざまな事情で退去できない人もいるが、同県は住み続ける人に対し19年から家賃の2倍相当の損害金を請求。今月16日までに退去するよう再度、文書で通知していた。既に県は東雲住宅の4世帯には明け渡しを求め提訴している。
 集会で、「避難の協同センター」世話人の熊本美弥子さん(78)は「原発事故は長期的な対応が必要なのに、避難指示がどんどん解除されている避難者の状況に合う支援策になっていない」と指摘。
 主催グループ事務局長の瀬戸大作さん(58)は「コロナ禍で月の収入が10万円に満たない人もおり、県には避難者が安心して住める公営住宅や転居費用を用意してほしい。9月の福島県議会での県側の対応を見て、訴訟も考えたい」と話した。 (奥野斐)

【関連記事】仲間の自死、見せかけの復興「このまま戻れない」…原発事故「自主」避難者たちの不条理な現在地
 (⇨ https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/e47bc65159fbc9b4d937c1503f7d61b9 に引用済み
   『●《子どもたちに、原発が安全なエネルギーと思ってほしくない。
     同じ過ちを繰り返さないため、声を上げられなかった人たちの分まで…》
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/118111

復興五輪と言われても 苦しみ続く震災者「自分たちは取り残されている」
2021年7月21日 06時00分

 政府が掲げた「復興五輪」の看板は、新型コロナウイルス禍でかすんでいる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から10年余り。「復興」が強調されるほど、抱え込んだ悲しみを吐き出せずにいる被災者たちがいる。(片山夏子

     (「お葬式をしても仏壇を作っても、お父さん(夫)の死を
      まだ認められない。まだ戻ってきていないから…」と話す
      藤沢範子さん=福島県相馬市)


◆誰にも話せず7年超

 「今も人に話せず1人で苦しんでいる人がいると思う」。福島県相馬市の介護職藤沢範子さん(66)は、自宅の仏壇の前で静かに語った。津波に巻き込まれて戻らない夫への思いを誰かに打ち明けるまで、7年以上の月日が必要だった
 2016年8月、激しい頭痛が1分ごとに襲った。検査と治療で病院を転々とする中、吐き気や目まいも続き、うつ状態になった。
 たどり着いたのは相馬市の精神科医の蟻塚ありつか亮二医師(74)のクリニックだった。子どもたちや知人に話せなかった胸の内を泣きながら何度か話すうち、気持ちが軽くなっていくのを感じた。


◆夫見つかるまで

 「今も夫の死を認められない」。11年3月11日早朝、運転手の夫、則雄さん=当時(56)=は、体調を崩して寝ていた範子さんに、その日に限って何も告げずに仕事に出た。
 大震災以降、夫は連絡が途絶えた。翌日、隣の南相馬市の田んぼで則雄さんのダンプが見つかった。津波に巻き込まれて車体はひしゃげ、夫の姿はなかった。
 則雄さんの葬式を挙げ、仏壇も作ったが、「まだ戻ってきていないから」と手を合わせられない。「復興五輪」の言葉について記者が聞くと「私たちのことは忘れられている、取り残されていると感じる」とぽつり。「夫が見つかるまでは終わらない」と言った。


◆臭いものにふた

 原発事故による避難で、故郷に戻れない人も苦しんでいる。帰還困難区域の浪江町津島地区で生まれ育った関場和代さん(62)は17年秋から、ほとんど眠れなくなった。食べ物がのどを通らなくなり、3カ月で体重が16キロ減った。
 亡くなった津島の人たちが夢に出てきた。蟻塚医師に心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され泣きながら思いを吐露した。
 避難に伴う転居は7回に及んだ。14年に子どもたちが移り住んだ茨城県日立市に家を買った。それまで、故郷を離れて引っ越しを繰り返す中、「賠償もらえていいね」「よそ者」などと言われて傷ついた。「隠れキリシタンのように自分を押し殺して生きてきた」という。
 「地域が仲良くて自然体でいられる津島に戻りたい」。父も「帰りたい」と繰り返しながら、14年に亡くなった。愛猫の死も、大きな心の傷になった。
 夫の健治さん(66)と、津島の家の風呂から見た天の川や、モリアオガエルの卵からかえったオタマジャクシが川に落ちる音をよく思い出す。「まだ復興していない臭いものにふたをしての五輪自分たちは除外されているように感じる
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●三浦英之記者の質問「今でも『アンダーコントロール』だとお考えでしょうか」? アベ様のお答え「…その中で正確な発信をした…」!?

2020年03月12日 00時00分31秒 | Weblog


東京新聞の記事【国内全原発「廃炉に」 脱原発求める首長会議 声明】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202002/CK2020021702000126.html)。
井上能行記者による、東京新聞のコラム【【私説・論説室から】現代版「水戸黄門」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2020030202000167.html

 《脱原発を求める全国の市区町村長やその経験者らでつくる「脱原発をめざす首長会議」は十六日、福井県敦賀市で記者会見し、核燃料サイクルを柱とする原子力政策を見直し、国内の全原発を廃炉にするよう求める緊急声明を発表した。近く国に要請する》。
 《舞台は原子力規制委員会の審査会。黄門様は審査会の座長役を務める地質学者の石渡明・同委員会委員、助さん格さんは原子力規制庁の職員、悪徳商人(越後屋)の役回りは日本原子力発電(原電)だ》《黄門 黙らっしゃい。都合よく書き換えるなんてことは役人はやっても、科学者や技術者はしません。触って軟らかかったものが、よく見たら硬いなんてことがありますか》。

   『●《草木のすべてにセシウムが染みついている。田畑を耕すが自分で
         食べるだけ。孫には食べさせないし、売ることもできない》
    《五輪開催年の完全版上映について「国は福島の問題を『終わったこと』
     と見せたいようだ福島の人たちの人生をめちゃくちゃにして
     おきながら、はしゃいでいられるのか」と語る》
   『●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック
               聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》
    《「状況は、アンダーコントロール」「汚染水の影響は、港湾内の
     0.3平方キロの範囲内で完全にブロック」「健康問題については、
     今までも、現在も、将来も全く問題ありません」と。あれから6年。
     いま、私たちの目の前にある現実は、どうでしょう

    
    【【原発】菅総理に住民から怒りの声 福島の避難所(11/04/21)
     (ANN news)(https://www.youtube.com/watch?v=FuXW2pq014I)。


 東京電力核発電人災から9年が経過したのに、廃炉に向かうどころか、再稼働している国ニッポン…。アベ様独裁、自民党政権が続く限り、《全原発を廃炉にするよう求める緊急声明》は届かない。

   『●立ち止まるなら今…「原発政策を福島第一原発事故以前に
               先祖返りさせたのが自民党安倍政権」

 《黄門 黙らっしゃい。都合よく書き換えるなんてことは役人はやっても、科学者や技術者はしません。触って軟らかかったものが、よく見たら硬いなんてことがありますか》…何をいまさら言ってるのか…。原子力「推進」委員会=核発電「寄生」委員会が《悪徳商人(越後屋)》をさんざん今まで「甘やかした」ツケでしょ?

   『●当事者能力がなくなっても原発を動かしたいという中毒症状

 双葉町の一部(《復興五輪》《聖火》リレーの沿線のみ?)の避難解除がなされ、アベ様が、福島の視察先で記者の皆さんの質問に1問だけ、お答え下さったそうだ。直ぐにお立ち去りになろうとした際、三浦英之(「南三陸日記」にPCJF奨励賞@miura_hideyuki)記者が《「地元・福島の記者です。質問をさせてください」と冷静に大きな声で》呼びかけたところ、お戻りになり、お答え下さったとのこと(https://twitter.com/miura_hideyuki/status/1236446591583543296)。先日の、内閣記者会が支える《台本劇》《台本営発表》のことを気になさっておられたが故でしょうか?
 三浦記者の質問は、「ここ福島でオリンピックが開かれます。安倍首相はオリンピックを招致する際、第一原発は『アンダーコントロールだ』と言いました。今でも『アンダーコントロール』だとお考えでしょうか」?、というもの。
 アベ様のお答えの一部…「正確な情報発信した」!! COVID19問題と言いい、開いた口が塞がらない…。息吐く様にウソをつくアベ様の本領発揮。

   『●《賢くもなく笑えない嘘つきが今、日本の総理大臣…大嘘こいたのだ。
       耳を疑った…世界中に向けて堂々と、とうとうと嘘をついている!》
    「かねてより、息吐く様にウソをつくアベ様でした。モリカケ
     トドメのサクラ等、数え上げればきりがない。この記事で吉田潮氏が
     指摘しているように、「アンダーコントロール」と《大嘘こいたのだ。
     耳を疑った。この人、世界中に向けて堂々と、とうとうと嘘をついて
     いる!》。ブログ主は、その辺から、アベ様のウソ吐きに既にウンザリ
     していました。当時、メディアが「アンダーコントロール」されている
     と言われていました。《メディアコントロール》は着々と進められ、
     いまや、アベ様の数々の失敗した「政」の中で、唯一〝成功している〟
     「政」だと思います」

 あの当時、アベ様は世界に向け、状況は、アンダーコントロール」「汚染水の影響は、港湾内の0.3平方キロの範囲内で完全にブロック」「健康問題については、今までも、現在も、将来も全く問題ありませんと。…《あれから6年。いま、私たちの目の前にある現実は、どうでしょう。メルトダウンした核燃料は所在すらつかめていません。壊れたままの原子炉建屋には毎日百数十tの地下水が流れ込み、ALPS処理汚染水は溜まり続け、漁民や住民の意思を無視して海洋への放出が画策されています。(共同声明より)》。
 前掲の菅直人元首相の映像と比較して下さい。アベ様口癖の「悪夢のような旧民主党政権」…あらゆる意味で、悪夢のような最悪な政権はもはや明白です。
 三浦記者の〆の言葉「最後に為政者に一言。私たち記者は決してあなたたちの「アンダーコントロール」ではない(終)」(https://twitter.com/miura_hideyuki/status/1236446591583543296)。



【安倍首相県内を訪問 JR双葉町など視察】(テレビユー福島)
 (https://www.youtube.com/watch?v=ZncwJCmuhj8&feature=youtu.be

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202002/CK2020021702000126.html

国内全原発「廃炉に」 脱原発求める首長会議 声明
2020年2月17日 朝刊

     (記者会見する「脱原発をめざす首長会議」のメンバー
      =16日、福井県敦賀市で)

 脱原発を求める全国の市区町村長やその経験者らでつくる「脱原発をめざす首長会議」は十六日、福井県敦賀市で記者会見し、核燃料サイクルを柱とする原子力政策を見直し、国内の全原発を廃炉にするよう求める緊急声明を発表した。近く国に要請する。

 日本原燃使用済み核燃料再処理工場青森県六ケ所村)の稼働条件となる審査を原子力規制委員会が進めていることを受けた声明。

 日本原子力研究開発機構高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)はトラブルが相次ぎ廃炉となるなどしており、元東京都小金井市長の佐藤和雄事務局長は会見で「国が進める核燃料サイクルは、既に破綻している」と述べた。

 佐藤事務局長らは、運転開始から四十年を超えた原発は再稼働するべきではないとも指摘。東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ水を、海洋放出の方が確実に処理できると強調した提言案を政府小委員会が一月に大筋で了承したことを受け、放出せずに長期保管するよう求めた
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2020030202000167.html

【私説・論説室から】
現代版「水戸黄門」
2020年3月2日

 おもしろいビデオを見つけた。時代劇の水戸黄門が好きな人にはお勧めだ。

 舞台は原子力規制委員会の審査会。黄門様は審査会の座長役を務める地質学者の石渡明・同委員会委員、助さん格さんは原子力規制庁の職員、悪徳商人(越後屋)の役回りは日本原子力発電(原電)だ。原電は敦賀原発2号機が地質学的な理由から廃炉の窮地に立たされていて、その申し開きをしている。

 表現上、事実とは異なる場合があることをお断りします。

 越後屋 ボーリングデータでございます。

 助さん 以前は軟らかい粘土層があると書いておったのが、今回は硬いとなっている。

 越後屋 それは顕微鏡でよく調べたからで。新しい調査結果を入れてございます。

 格さん あったことをなかったことにしているのではないか。

 越後屋 書き換えはよくやるでしょう。

 黄門 黙らっしゃい。都合よく書き換えるなんてことは役人はやっても、科学者や技術者はしません。触って軟らかかったものが、よく見たら硬いなんてことがありますか。

 原電は東京電力などの支援を受け、東電には公的資金が投入されている。ドラマと違って、越後屋を懲らしめればすむ話ではない。

 ビデオは規制委のHPで「新規制基準適合性に係る審査会合2月07日」にある。一時間すぎからが見どころである。 (井上能行
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●原発再稼働と「軍産複合体国家・米国の商売」と「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」

2015年09月14日 00時00分55秒 | Weblog


asahi.comの記事【室井佑月「アメリカの脅威の話は、もう避けて通れない」】(http://dot.asahi.com/wa/2015090200103.html)。
東京新聞の社説【核燃料サイクル なぜこだわり続けるの】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015090702000132.html)。

 「再稼働したばかりの川内原発で、復水器に海水が混じり込むトラブルがあった。ニュースを聞いたときそれほど驚かなかったのは、慶応大学教授の金子勝さんから、「最低でも4年間停止した原発の運転が再開されたのは、世界で14基。そのすべてが運転再開後にトラブルに遭っている」(国際原子力機関や米国、カナダの規制当局のデータ)ということを教えてもらっていたからだ」。
 この数字に慄いた!! 大竹まこと ゴールデンラジオで大竹さんと室井佑月さんと金子勝さんとの会話で、この話を聞いていたので、ブログに書かないと、と思っていたところでした。

   『●川内原発再稼働: 「経済麻薬」=思考停止、
       「他の方法で経済発展する手を考えることを放棄させる」


 ……「が、メディアはこのことに触れず(東京新聞がちょろっと触れていた)。ほかの野党も、そこの部分にはそれほど突っ込まない。それほどあの国は恐ろしいのか?……各国が抑止力のために、飢えている国民をほっといても、競争するみたいに軍費に金をつぎ込むことは、正しいことなのか?
 「戦争」に参加して「商売」しましょう、という浅ましさ。死の商人山岡俊介さん曰く、「軍産複合体国家の米国商売としての戦争にわが国が引きずり込まれる…」ことの怖さ、そして、それに向かい「ハタ振る」自公支持者や財界卑しさ

   『●山岡俊介さん「軍産複合体国家の米国の
       商売としての戦争にわが国が引きずり込まれる・・・」


 「核燃料サイクルは、経済的にも技術的にも、とうに破綻しているのではないか。なのに、今さら国が関与を強め、電力会社に維持させたいのはなぜか。再処理にこだわり続けるのは、なぜなのか」。
 回らない核のサイクル。それでも、原子力発電=核発電を続け、「再処理にこだわり続けるのは、なぜなのか」? 内橋克人さんは「原発は『プルトニウムをつくる装置』」だと喝破。

   『●プルトニウム報告漏れ: 「疑念」ね~?、
     目的あっての「隠蔽」??・・・っていうのは穿ち過ぎ???

   『●核のゴミと云う地獄:「王様は裸」
   『●「回らない核のサイクル」六ヶ所村: 
       どちらも「地獄」という二択だったのか?
     「長崎の原爆は、プルトニウム型である
      抽出技術は今も昔も変わらない。/日本は、
      中曽根・レーガン関係で結んだ日米原子力協定で、
      核兵器を持たない国では唯一、再処理を認められてきた
      /ただし、抽出、精製したプルトニウムの粉末は、
      一対一の割合でウランを混ぜて保管することになっている
      濃度が高いほど、兵器に転用しやすいから。」

   『●原子力「ムラ寄生」員会ではなく、
     「風船爆弾」が語ることにこそ真実はある ~川内原発再稼働問題~

     「……内橋克人さんは「集団的自衛権の先に待っているのは、
      核兵器を持って抑止力にしようという政策
      原発は『プルトニウムをつくる装置』でもあり、
      原発を止めることは
      日本の核武装に待ったをかけることだ」と訴えた」

 ニッポンのシビリアンは……「中谷元・防衛相は……「核兵器の運搬も法文上は排除していない」」、そして、武器輸送・弾薬輸送はOK。武器の提供はNG、でも、弾薬の提供もOK、だそうです。「弾薬は武器ではない、その武器ではないもののなかに、ミサイルも入る(と言う)。それに核弾頭が載っていてもそれが(輸送可能な弾薬の範囲に)入るという。安倍内閣は、武器輸出三原則などを大胆に緩和をしていて、非核三原則があります、(だから輸送しない)と言っても、ほとんど説得力をもたない」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/39e29c617eb397df19a718406be3074a)。

   『●戦争法案・壊憲法案では核兵器も「弾薬」と解釈、
              つまり、何でもできる「積極的平和主義」


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http://dot.asahi.com/wa/2015090200103.html

室井佑月「アメリカの脅威の話は、もう避けて通れない」
 (更新 2015/9/ 4 07:00)

    (あの国は恐ろしい?)

 参院特別委員会で審議中の安全保障関連法案。作家の室井佑月氏は、アメリカが法案に影響していることをきちんと国民に伝えるべきだという。

 *  *  *

 再稼働したばかりの川内原発で、復水器に海水が混じり込むトラブルがあった。ニュースを聞いたときそれほど驚かなかったのは、慶応大学教授の金子勝さんから、

   「最低でも4年間停止した原発の運転が再開されたのは、
    世界で14基。そのすべてが運転再開後にトラブルに遭っている

    (国際原子力機関や米国、カナダの規制当局のデータ)

ということを教えてもらっていたからだ。この国は大チャレンジをするつもりだということを。あたしはそんな重要なことを、何人の国民が知っているのかと思った。国が、国民の命や生活をかけた勝負にあっさり踏み込むことも恐ろしいが、重要な真実が広がらない世の中になっていることも恐ろしいと思った。

 さて、話は安保法案に飛ぶのだが、衆議院から参議院の国会審議となって、相も変わらずこの法案がなぜ我が国のためになるのかという野党の質問に、政府はまともに答えない

 8月19日の参議院特別委員会で、生活の党の山本太郎共同代表がこんな暴露をした。

 米国の民間シンクタンクから出たレポート「アーミテージ・レポート」と、この国がやろうとしていることは、「完コピ」(完全コピー)だと。

   「憲法違反の閣議決定から今回の憲法違反の安保法制、
    戦争法制までだけを見たとしても、何だこれ、アメリカの
    リクエスト通り
じゃないか。おまけに原発再稼働、TPP、
    特定秘密保護法武器輸出三原則の廃止
    何から何まで全てアメリカのリクエスト通り
    行(おこな)っている」

   「アメリカ、アメリカ軍の要請、ニーズには憲法を踏み
    にじってでも、国民の生活を破壊してでも、
    真摯に全力で取り組む
って、
    これ、どういうことなんですか?これ、独立国家って
    呼べますか? 完全コントロールされてんじゃないかよ! 
    誰の国なんだこの国は!

 永田町ではみんな知ってることらしい永田町では常識かもしれないが、国民は知らないのだから、この国とアメリカの関係性をもっと教えてもらいたいものだ。その話をきちんとしないと、安保法案を強引に進める理由はいつまでたっても国民は理解できないに違いない。

 が、メディアはこのことに触れず(東京新聞がちょろっと触れていた)。ほかの野党も、そこの部分にはそれほど突っ込まない。それほどあの国は恐ろしいのか?

 安保賛成派は「この国が戦争に巻き込まれないためには抑止力が必要だ」と必ずいう。けど、各国が抑止力のために、飢えている国民をほっといても、競争するみたいに軍費に金をつぎ込むことは、正しいことなのか? 「この国が世界におけるリーダーシップを……」というならば、堂々と世界に向けて正しい提言をしていけばいい。しかし、それはしない。その理由として、あの国の脅威の話は、もう避けて通れないように思う。

週刊朝日  2015年9月11日号
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015090702000132.html

【社説】
核燃料サイクル なぜこだわり続けるの
2015年9月7日

 核燃料サイクルは、経済的にも技術的にも、とうに破綻しているのではないか。なのに、今さら国が関与を強め、電力会社に維持させたいのはなぜか。再処理にこだわり続けるのは、なぜなのか

 使用済みの核燃料、つまり核のごみに再処理を施して、原爆の材料にもなり得るプルトニウムとウランを取り出し、もう一度燃料として利用する-。それが核燃料サイクルだ。

 このリサイクルの輪が閉じてこそ、核の平和利用という国策は完成される。ところがその国策は、入り口でもうつまずいた。肝心の再処理工場青森県六ケ所村)完成のめどが立たない。

 当初は一九九七年の完成予定が、今は来年の三月と、二十二回も先送りされている。七千六百億円と見込まれた建設費用は、二兆二千億円にも膨らんだ

 再処理工場を運営する日本原燃は、原発を持つ電力十社が共同で設立した株式会社で、事業費は電力会社が積み立てている。

 今は「総括原価方式」で、その費用を電気料金に上乗せできる。しかし来年四月に電力の小売りが完全に自由化されると、地域独占の壁が崩れて、お互いが競争相手になり、料金値下げの圧力がかかってくる。再処理は、ますます経営の重荷になり、原燃自体を維持できなくなる恐れがある。

 日本は核兵器保有国以外で唯一、米国から再処理を許されている。政府はその権利を手放したくないために、てこ入れをしようというのだろうか。

 核燃料サイクルの新たな担い手として、政府が直接所管する「認可法人」を電力会社につくらせて、そこから日本原燃へ再処理事業を委託するかたちをとる。

 日本銀行や日本赤十字社と同じ認可法人は、国の許可なくつぶせない膨大な費用がかかっても核燃料サイクル事業を維持したいという、政府としての明確な意思表示と言えるだろう。

 だが、再処理工場だけではない。再処理してつくった燃料を燃やすべき高速増殖原型炉の「もんじゅ(福井県敦賀市)もトラブル続きで止まったままだ。それでも電気代など一日五千五百万円の維持費がかかる

 寸断され、閉じる見込みのない再処理の輪の夢からは、もう目覚めるべきである

 既に大量にたまってしまったプルトニウムや核のごみをどうするかにこそ、知恵と費用を傾けるべき時ではないか。
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●「回らない核のサイクル」六ヶ所村: どちらも「地獄」という二択だったのか?

2014年08月24日 00時00分45秒 | Weblog


東京新聞の6回シリーズ社説【回らない核のサイクル(1) プルトニウムはどこに』(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072802000152.html)、
【回らない核のサイクル(2) プルトニウムの焼却炉】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072902000170.html)、
【回らない核のサイクル(3) 「青い森」に広がる不安】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073002000132.html)、
【回らない核のサイクル(4) 大きすぎる万一の危険】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073102000141.html)、
【回らない核のサイクル(5) 電気代が支える再処理】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080102000142.html)、
【回らない核のサイクル(6) 村に吹け、新生の風よ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080202000163.html)、
【回らない核のサイクル 読者から 私にできることがある】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014081602000147.html)。

 内橋克人さんは「原発は『プルトニウムをつくる装置』」だと喝破している。
 そして、原燃のやろうとしていることはドブ金だけでなく、とてつもなく危険 

   『●「もんじゅ」の知恵ではなく、
      「絵に描いた餅」に「一日当たり五千五百万円」!
   『●プルトニウム報告漏れ: 「疑念」ね~?、
     目的あっての「隠蔽」??・・・っていうのは穿ち過ぎ???
   『●原子力「ムラ寄生」員会ではなく、「風船爆弾」が
      語ることにこそ真実はある ~川内原発再稼働問題~
   『●「原子力は血液」・・・・・・ではなく、「原子力=核」は「麻薬」


 「そんな本州の最果てに一九六〇年代末、巨大開発計画が持ち上がる。高度経済成長の真っ最中、むつ小川原開発は国策・・・・・・推進と反対に二分され、前にも増して六ケ所村は傷ついた莫大(ばくだい)な核燃マネーが流れ込み、見た目には豊かになった。しかし「進むも地獄、戻るも地獄」と元村議は目を伏せる・・・・・・六ケ所村は政治次第で生まれ変わることもできる。ただし、原発に頼らない国ならば」・・・・・・選択すべきは、少なくとも「進むも地」ではなかったはずだ。かといって「戻るも地獄」との二択でもなかったはず。「核燃マネー」に汚染され、「麻薬」中毒にかかり、何が「豊か」を見失っていた。

   ●核のゴミと云う地獄:「王様は裸」
    「核燃サイクルという王様は裸で、遠に破綻している。
     自民党や電力会社は服を着ていると言ってきたし、
     いまだに多くがそう言っている。廃棄物の処理法・場所さへ
     決まっていないのに。核燃施設が誘致されなかったら
     六ヶ所村は限界集落だった、という発言・・・・・・。行くも地獄
     引くも地獄。でも行く(誘致)地獄の先は、FUKUSIMAの
     ような取り返しのつかない大地獄だった訳。限界集落と比べて
     どうか? 限界集落という地獄を避けるためには、核関連施設の
     誘致しかなかったのか?」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072802000152.html

【社説】
回らない核のサイクル(1) プルトニウムはどこに
2014年7月28日

 ヤマセという冷たい霧が吹き寄せる青森県六ケ所村。

 太平洋につながる尾駮(おぶち)沼を馬蹄形(ばていけい)に取り巻いて、日本原燃が運営する核燃料サイクル施設は広がっている。

 原燃は、原発を持つ九つの電力会社が出資する民間の事業者だ。

 ウラン濃縮から廃棄物処分にいたる関連施設群のうち、人、モノ、カネの約七割を占めるのが、核燃料の再処理工場である。

 再処理とは、何だろう。

 原発で使用済みのウラン燃料から、再利用が可能な核分裂性のプルトニウムとウランを取り出す作業のことを言う。取り出した燃料で発電を繰り返すのが、核燃料サイクルだ。

 燃えかすの燃料棒はプールの中で冷やされたあと、指先ほどに切断し、硝酸に溶かす。次に有機溶媒(油の一種)を使ってプルトニウムとウランを分離する。プルトニウムは硝酸の方へ、ウランは油へと分離されていく。

 長崎の原爆は、プルトニウム型である。抽出技術は今も昔も変わらない。

 日本は、中曽根・レーガン関係で結んだ日米原子力協定で、核兵器を持たない国では唯一、再処理を認められてきた

 ただし、抽出、精製したプルトニウムの粉末は、一対一の割合でウランを混ぜて保管することになっている。濃度が高いほど、兵器に転用しやすいからだ。


 工場内には試験的に抽出された六・七トンのプルトニウム・ウラン酸化物粉末が保管されている。見ることはできないが、黄褐色の粉だという。

 国際原子力機関(IAEA)の査察官が数人常駐し、二十四時間体制で監視に当たっている。随所に監視カメラがある。

 「日本には核兵器級のプルトニウムはない。原爆数千発分とかいうのは誤りです」と原燃幹部

 保管場所を尋ねると「それは言わない方がいいでしょう…」。

 厚い秘密のベールに包まれたプルトニウム。猛毒の熱源その使い道は。 

(論説委員・飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072902000170.html

【社説】
回らない核のサイクル(2) プルトニウムの焼却炉
2014年7月29日

 本州最北端まで四キロ。一本釣りのマグロで知られ、海峡越しに函館の夜景を望む青森県大間町に、大間原発の建設は進む。

 普通の原発とは少し違う。

 大間原発は、プルトニウムを混ぜたMOX燃料だけを燃やすように設計された、世界初のフルMOX原発である。年に約一トンのプルトニウムを処理できる。

 運営は、電力卸売会社の電源開発Jパワー)。水力や石炭火力で日本経済を支え、大間は初めての原発だ。だが、今なぜか。

 日本原子力研究開発機構が、福井県敦賀市で新型転換炉と呼ばれた「ふげん」の解体を進めている。世界で初めて本格的にプルトニウムを使った原子炉だ。一九七八年から二十五年間運転された。

 プルトニウム239の半減期は二万四千年。直接廃棄処分にすれば、数万年単位の管理が必要になる。そこで、それを燃やして半減期の短い、別の死の灰(核分裂生成物)に変えてしまうのが、転換炉の目的だった。MOX燃料の放射線量はウラン燃料より高い。

 いわばプルトニウムの焼却炉。燃やしてさらに新たな燃料を生み出す高速増殖原型炉の「もんじゅ」(福井県敦賀市)とは、根本的な違いがある。

 当初政府は、小型の原型炉「ふげん」の次の実証炉を大間に造るつもりでいた。

 ところが、建設費が巨額で引き受ける電力会社がない。「もんじゅ」は、トラブルが続いたまま。米国は日本に、プルトニウムの蓄積を許さない。国の原子力政策は既に崩壊していた

 Jパワーは二〇〇三年まで、政府出資の特殊法人だった。

 「国と電力会社の協力を得てやりなさい-。原子力委員会の決定でした」と、大間駐在の幹部は振り返る。

 大間原発は、プルトニウム減らしという新たな国策を背負う。しかしこのまま原発を動かして、再処理も続ければ、追いつける量ではないこれをサイクル(環(わ))と言うのだろうか

 (論説委員・飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073002000132.html

【社説】
回らない核のサイクル(3) 「青い森」に広がる不安
2014年7月30日

 核燃料サイクルは本当に回らないのではないか…。六ケ所村のある青森県に不安が広がっている。

 日本原燃が六ケ所村で進める核燃料サイクルのうち、要の再処理工場、MOX燃料工場は完成の前に福島で原発事故が起きた。状況は一変した。

 「地元のためだけではない。エネルギー資源のない日本に使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルは必要だ。だから長い年月と先人の労苦で立地してきた」と県関係者は変わらぬ決意を語るが、不安は隠せない。

 そのひとつが高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題だ。

 六ケ所村では、フランスなどに使用済み核燃料の再処理を委託して出た核のごみ「高レベル放射性廃棄物」を三十~五十年保管する貯蔵施設がすでに稼働している。むつ市には再処理までの間、使用済み核燃料五千トンを備蓄する施設が建設中だ。

 いずれも核のごみを地層深く埋める最終処分場の建設地が決まるまでの中間貯蔵施設と位置付けられる

 現在、国内の原子力発電所などに保管され、再処理を待つ使用済み核燃料は一万七千トンにのぼる。最終処分の候補地は原子力発電環境整備機構NUMOが公募してきたが進んでいない。サイクルの中核、高速増殖原型炉「もんじゅ」もトラブルで停止している。サイクルが行き詰まれば、なし崩し的に青森県が最終処分を受け入れさせられるのではないか。

 豊かな自然を「青い森」として売り出し、観光にも力を入れる青森県は「最終処分は絶対に受け入れられない。これは県民との約束だ。もし核燃料サイクルが回らないなら、現在貯蔵している高レベル廃棄物も撤去を求める」と断言する。

 そうなれば六ケ所村に中間貯蔵されている核のごみさえ行き場を失って宙に浮く。リサイクルどころではない事態が今、直面している現実だ。 (論説委員・安田英昭)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073102000141.html

【社説】
回らない核のサイクル(4) 大きすぎる万一の危険
2014年7月31日

 六ケ所再処理工場の約二十キロ南に、軍民共用の三沢空港がある。「北の槍(やり)」との異名を持つ米国空軍が駐留し、F16戦闘機が実戦配備され、大陸へのにらみをきかせている。航空自衛隊や民間航空を合わせた離着陸は、年間四万回以上という。

 二〇〇七年には、その三沢基地からF16がイラク戦争に出動し、その一部がアフガニスタン東部で反政府武装勢力タリバンの拠点を攻撃した。

 そうなると気がかりなのが、核燃料サイクル施設の航空事故対策、そしてテロ対策だ。

 再処理工場の上空は飛行禁止区域になってはいる。それでも、戦闘機の墜落事故対策は福島第一原発事故以前から、安全評価の対象にされてきた。

 米国の構造物研究機関で、本物のF16を滑走させてコンクリート壁に衝突させる実験を繰り返し、主要建屋の天井や壁の厚さは一・五メートルと、原発よりも厚くした。

 しかし、実験では爆弾を積んでいたわけではなく、墜落事故への効果も定かでない。

 テロへの備えは、どうか。

 日本原燃は特別に武装した警備員の配備について「いるともいないとも言えません」(広報部)。

 仏のラアーグの再処理工場は対空ミサイルを備えている。一九七五年、英国原子力公社の再処理施設は、軽機関銃などで武装していることが明らかになった。

 その後の公聴会で市民団体などから、「このままでは、核の管理機関に強力な権限が与えられ、市民生活にさまざまな制限が課される『プルトニウム社会の到来は避けられない」との声が強まった。

 保安対策の強化などにより、六ケ所再処理工場の建設費は二兆円超と、当初の三倍に膨らんだ。原子力規制委は稼働の条件に、航空機の墜落やテロ対策のさらなる強化を求めている。そこにプルトニウムがある以上、対策に限りはないようだし、核拡散の恐れはつきまとう。

 (論説委員・飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080102000142.html

【社説】
回らない核のサイクル(5) 電気代が支える再処理
2014年8月1日

 青森県六ケ所村で核燃料サイクル施設を運営する日本原燃には、展望タワーのある三階建てのPRセンターがある。

 地上二十メートルの展望ホールから広大な施設の全景を眺めたあと階下へ下りると、パネルや映像、大型模型でプルトニウムを取り出す再処理工程など、核燃料サイクルの流れを模擬見学できる。予約すればスタッフが案内してくれる。見学者は施設の安全性を見せつけられるが、日本原燃という企業の実態は見えない

 日本原燃株式会社は一九九二年の設立で、資本金四千億円、売上高二千九百億円。二千五百人の従業員がいる大きな会社だ。八十五社が出資し大株主は東京電力、関西電力、中部電力など電力九社。原発から出るプルトニウムなどの核廃棄物を再処理するため、電力会社が共同で立ち上げた。

 不思議なのは二兆円もかけて建設した本業の再処理工場が稼働していないのに、九十億円の経常利益が出ている点。実は再処理の稼働を前提に、電力会社が巨額の資金を毎年「基本料金」としてつぎ込み、経営を支えている。その資金は消費者が電気料金で負担している。政府系金融機関も融資しており、政府が推進してきた「国策民営」会社の姿がここにある。

 四月、政府がエネルギー基本計画を発表すると、多くの関係者は「核燃料サイクル」をめぐる政府方針に変化の兆しを感じ取った。

 最優先は福島の原発事故対応で、核燃料サイクルは後回しにならざるを得ない。プルトニウムを使う高速増殖炉は実用化にはほど遠い。経済性や核不拡散、安全性を重視すると、六ケ所村での「再処理」よりも、使用済み核燃料を容器に入れて安定した地層に埋める「直接処分」が有利-との見方が徐々に強まっているのだ。そうなれば再処理工場も日本原燃も無用の長物になる

 日本原燃は二〇一四年、七十五人の新入社員を採用した。しかし再処理か直接処分か、出口は見えない。

 (論説委員・安田英昭)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080202000163.html

【社説】
回らない核のサイクル(6) 村に吹け、新生の風よ
2014年8月2日

 あるのは原野だけだった。海からヤマセ(東風)が吹きすさぶ。農業には向いていない。戦後、中国東北部から再入植した開拓民の労苦はしのぶよしもない。

 そんな本州の最果てに一九六〇年代末、巨大開発計画が持ち上がる。高度経済成長の真っ最中、むつ小川原開発は国策だった。

 太平洋ベルト地帯に集中し過ぎた重化学工業を分散させるため、青森県六ケ所村を中心に、日本最大のコンビナートを造るという。開発か、農業・漁業か。地域は割れた

 政府と県の強い働き掛けを受けて、村は結局、計画を受け入れた。

 ところが、七一年のニクソンショック、続く石油ショックが高度成長の流れを止めた。企業は来ない。代わりに持ち上がったのが、核燃料サイクル施設の建設だった

 政府と県は、過疎地に再び国策を押しつけるようにして、頓挫した巨大開発計画のツケを回してきた。推進と反対に二分され、前にも増して六ケ所村は傷ついた

 莫大(ばくだい)な核燃マネーが流れ込み、見た目には豊かになった。しかし「進むも地獄、戻るも地獄」と元村議は目を伏せる。

 新たなその国策が、またも激しく揺れている。

 福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」は、使用済み核燃料から抽出したプルトニウムを燃やして増やす、核燃料サイクルの要である。それが長年トラブル続きで、実用化にはほど遠い。

 政府は半減期の短い、別の核物質に転換するための高速炉に改造するという。そうなれば、プルトニウムを取り出す再処理工場の役目は終わり、核のごみだけが残される。個々の施設はしばらく残る。だが核燃料サイクルの輪は既に寸断されている

 強いヤマセが吹く青森県は、風力による発電能力が日本一、原発〇・三基分になる。

 例えば、大間原発の電力を全国に送り出すために建設中の送電網(大間幹線)などを拡充し、再生可能エネルギーの一大拠点に再び生まれ変われないか。雇用の維持も可能だろう。

 六ケ所村は政治次第で生まれ変わることもできる。ただし、原発に頼らない国ならば

 (論説委員・飯尾歩)=おわり

 ◆ご意見、ご感想をお寄せください。〒460 8511(住所不要)中日新聞論説室、ファクス052(221)0582へ。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014081602000147.html

【社説】
回らない核のサイクル 読者から 私にできることがある
2014年8月16日

 今回もたくさんのご意見、ご感想、そしてご示唆をいただきました。ありがとうございました。

 青森県三沢市の「核燃料サイクル阻止一万人訴訟」原告団の山田清彦事務局長からは、さまざまなご指摘をいただきました。

 青森県六ケ所村の再処理工場では、核兵器に転用しにくくするために、プルトニウムにウランを混ぜて保管することになっている。それでも核爆弾への加工は約二週間で可能

 米軍三沢基地では、ミサイルの破壊に当たる電子攻撃機グラウラーが配備。沖縄の負担軽減のためにF18戦闘機による射爆撃訓練が常態化するなど、核燃料サイクル施設が大事故に巻き込まれる恐れは、高まっている。

 再処理施設を運営する日本原燃の経営資金は「消費者が電気料金で負担している」のではなく、「電気料金に上乗せされて取られていると言ってほしい」-。

 東京都町田市の浅生忠克さん(69)は、下北半島の六ケ所、大間、東通を三度ほど回ったことがあるそうです。「荒涼の大地。国策にひかれて核関連施設立地に傾いていった事情は、現地に立てばコトバもなくワカルしかないわけで…」というのが、その時の感想でした。

 「ふだん都会の便利な暮らしに浸りきっている者が、訳知り顔に『原発や核のマネーに頼るな』とはいえません。代替案がなければ安易にものいうべからず」と、これまでは、沈黙を守り続けていたそうです。しかし今回、「下北半島で風力発電に活用できそうな土地の総面積と、そこで可能な総発電量の試算を、専門家の方にしていただいた上で、東北電力に採用を提案したい、と考えます」と、声を上げることにしました。

 国策といえば、安倍政権がトップダウンで進める集団的自衛権の行使容認に、国策としての核燃料サイクルを重ね合わせて、歴史が巻き戻されつつあるのではないか、と不安視する声も目立ちます。

 川崎市多摩区の浜本さだ子さんは「青森県の核の歴史をはじめて知りました。(中略)同じ道を逆もどりしている政権のやり方を肌で感じる八十二歳です。今くい止めねば、間にあわない。(中略)私もできることをやります」

 むろん、そんなサイクル(繰り返し)は、許されません

 (論説委員・安田英昭、飯尾歩)
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コメント
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●無責任の極み: 「政府、東電の再建計画を認定 柏崎刈羽「7月再稼働」」

2014年01月31日 00時00分19秒 | Weblog


asahi.comの社説【原発政策―政治の無責任は許されぬ】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_top_pickup、2014年1月6日(月)付)。
東京新聞の社説【年のはじめに考える 福島への想い新たに】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014010402000132.html)。
asahi.comの社説【原発輸出―立法府から再考促せ】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_top_pickup、2014年1月8日(水)付)。
asahi.comの記事【(もんじゅ君のエネルギーさんぽ)今年の再稼働どうなる?】(http://www.asahi.com/articles/ASG166D83G16UCVL022.html)。
東京新聞の記事【原発政策 政権「二枚舌」 再稼働方針は不変】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014011002000139.html)。
北海道新聞の社説【理念なき原発政策 「福島」前に後戻りするな】(http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/514655.html)。
asahi.comの記事【政府、東電の再建計画を認定 柏崎刈羽「7月再稼働」】(http://www.asahi.com/articles/ASG1H5T5JG1HULFA023.html?iref=com_top6_01)。
最後に、東京新聞の社説【東電再建計画 原発頼みは筋が通らぬ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014011602000139.html)。

 『原発政策―政治の無責任は許されぬ』のならば、そのためには自公政治家に投票していてはダメ。『年のはじめに考える 福島への想い新たに』したいけれども、どうも自公政権を支持している人たちは、東京電力原発人災を忘れたがっているようだ

   『●国際的な「恥の上塗り」な恥さらし行為:
               「安倍政権 「復興予算」を「原発輸出」に流用」

 大飯原発が再稼働する以前も、再稼働停止後も、原発ゼロでも大丈夫だったじゃないの? 一方で、電力会社と原子力「推進」委員会は再稼働をやる気満々のようだが、3.11東京電力原発人災を経験した我が国がそのようなことをすることに対して倫理的に許されるのか? 「恥」「恥ずべき行為」でしょうに。

   『●続・今年「も」電力は足りた
   『●原発推進国同士が手を携えて原発輸出、
             さらに「死の商人」へ: どうやら「恥」という概念は無いらしい

 ましてや3.11原発人災の当事者の原発再稼働を政府が認めるわけだから、「以外の言葉が思い浮かばない。『政府、東電の再建計画を認定 柏崎刈羽「7月再稼働」』に対して何も感じない自公支持者、自公議員投票者にも同じ言葉しか思い浮かばない。そして、原発輸出までしたくてうずうずしている自公政権、それでも、何にも感じませんか? それは、「将来的にトルコが「できる」余地を残す文面となっている」という如実に「核=原子力」であることを示していますのに。

   『●醜悪な構図2: 原発人災・汚染の原因者が「公的支援1兆円 裏で税逃れ」

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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_top_pickup、2014年1月6日(月)付】

原発政策―政治の無責任は許されぬ
2014年1月6日(月)付

 福島第一原発の事故に苦しむ日本が、脱原発に向かうのか、それとも元の道に戻るのか。
 今年はその分岐点になる。
 原発の再稼働に対し、新しい規制基準にもとづく原子力規制委員会の最初の判断が、春ごろ示される見通しだからだ。
 これまでに規制委に審査を申請したのは、7電力会社の9原発16基。東海地震の想定震源域にある中部電力の浜岡原発(静岡県)についても、近く申請される予定だ。

目に余るご都合主義
 歩調を合わせるように、自民党内では「早期再稼働」の声が大きくなっている。
 昨年12月25日には、原子力規制に関する党内チームの座長を務める塩崎恭久衆院議員が規制委に出向き、田中俊一委員長に、もっと国会議員や立地自治体の首長、電力会社らの意見を聴くよう迫った。
 規制委の設置にあたり、民主党政権が出した法案に「独立性が足りない」と詰め寄り、今の形に修正したのは、塩崎氏をはじめとする自民党だ。
 ところが、規制委が活断層の調査や規制基準の策定に厳格な姿勢を見せるや、原発推進派の不満が噴出する。自民党が政権に返り咲くと、影響力を行使しようとする流れが加速した。
 ご都合主義が目に余る。
 自民党の長期政権下で原発の安全神話を増長させ、必要な対策を怠ってきたことへの反省はどこへいったのか。
 ただでさえ、急ごしらえの規制委は人材が不足し、財政面での制約もある。むしろ、そうした態勢面の充実をはかることが政権党のつとめだろう。
 安倍政権は、表面的には「原発比率を下げる」と言いつつ、原発を「重要なベース電源」と位置づけ、規制委の基準に適合した原発は動かす方針だ。
 しかし、規制委が判断するのは科学的な根拠にもとづく最低限の安全確認にすぎない。事故リスクがゼロにならない以上、口先だけではなく、「原発比率を下げる」手立てを総合的に講じるのが政治の役割だ。
 そうした見取り図も示さず、再稼働の判断はすべて規制委に丸投げし、そこへの圧力めいた動きは放置する。なし崩し的な原発回帰と言うほかない。

■採算なき再処理事業
 再稼働への政権の姿勢が原発政策を無責任に「元に戻す」典型だとすれば、「元のままでやり過ごす」無責任の象徴が、使用済み核燃料を再処理して使うサイクル事業の維持である。
 巨額のコストがかかり、資源の有効活用という意義がなくなった核燃サイクル事業は、「撤退」が世界の流れだ。
 政府は、非核保有国として唯一、再処理を認められた事情から「日米による原子力協力」を掲げる。
 だが米国には、日本が海外での再処理によって核兵器数千発分のプルトニウムをため込んでいることが、他国のプルトニウム保有の口実になりかねないことへの強い懸念がある。
 再処理や核拡散問題に詳しい海外の研究者ら5人も、青森県六ケ所村にある再処理工場の稼働中止を求め、それがすぐに決められない場合は長期間棚上げすべきだ、などとする共同提案をこのほど朝日新聞に寄せた。
 「再処理しないと使用済み燃料があふれる」との政府の説明も説得力に欠ける。
 将来、地中に埋めることを前提に、当面は「乾式キャスク」という容器に入れて地上で保管する方法が海外ではすでに確立している。日本学術会議もこの方式を提言している。

■政策転換への機会に
 福島第一原発の事故収束や老朽化した原発の廃炉、代替電源の開発、送電網の再構築など、電力産業が今ほど資金を必要としているときはない。
 一方で、巨額の設備投資を電気料金で確実に回収できる総括原価方式は、廃止が決まっている。巨大な「金食い虫」になることが確実なサイクル事業を続ける余裕はないはずだ。
 政府内では過去にも政策転換が模索されてきた。それが実現しなかった背景には、使用済み燃料を再処理への「資源」として受け入れてきた青森県に「廃棄物の処分場にはしない」と約束してきた経緯がある。
 再処理をやめれば、各原発が青森県から使用済み燃料の引き取りを求められ、原発の稼働に支障が出るという恐怖心だ。
 だが、これだけ大きな原発事故を起こしたのである。切るに切れなかった不良債権を処理する機会にすべきだ。
 もちろん青森県にはていねいに説明する必要がある。乾式貯蔵についても電力消費地を含めた協議が必要だ。必要な費用を誰がどう負担するかなど課題は山積している。それでも、意味のないサイクル事業を続けるより、はるかに建設的だ。
 原発事故の後始末で、国は一歩前へと出る決断をした。原発政策全体についても、責任放棄は許されない。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014010402000132.html

【社説】
年のはじめに考える 福島への想い新たに
2014年1月4日

 時間を押し戻そうとするかのような北風が、年の瀬を駆け抜けました。三度目の年頭。もう一度、心に深く刻まなければなりません。福島を忘れない。
 オランダの首都アムステルダムの街を歩くと、三つ並んだ十字の印を至る所で見かけます。
 赤い地の真ん中に、黒っぽい横線が一本、その上に白い十字が横に三つ並ぶのは市の旗です。
 そして、二頭のライオンに挟まれて、十字が縦に三つ並ぶのが市の紋章です。

十文字が意味するもの
 三つの十字の意味はと言えば、その昔、街を襲った三つの災い、洪水、火災、感染症を表しているそうです。
 起こりうる災いの怖さを子々孫々まで語り継ぎ、常に備えを怠ることがないように、あえて十字を掲げています。
 江戸時代からオランダに多くを学び、近代化の礎にしたこの国も、災厄を歴史に刻む方法までは、教わらなかったと言うのだろうか。首都東京の中心が、忘却の波に沈み始めているようです。
 福島の事故現場は収束に向かうどころか、混迷を深めています。
 爆発を免れた4号機では、傷ついていない核燃料の取り出し作業が始まりました。
 しかし、1~3号機から溶け出した燃料は所在さえつかめません。原子炉格納容器の外に溶け落ちた恐れもある。無事故でも一基百年といわれる廃炉、解体への道は、緒に就いたとも言い難い。
 汚染水は年末年始もお構いなしに流れ出ています
 熟練の作業員は、被ばく線量が限度に達して次々に現場を離れ、作業の質は低下する。
 自治体に丸投げされた、有事の際の避難計画作りは一向に進みません。計画はできたとしても、目に見えない放射線からどこへ逃げれば安心なのか。
 使用済み核燃料の捨て場所は、どこにも見つからないでしょう。リサイクルの計画も夢物語の域を出ていません。
 十字、いやバツ印をいくつ付ければいいのでしょうか。
 これだけ多くの災いの種を抱えているにもかかわらず、政府は前政権の「二〇三〇年代原発ゼロ」から一転、原発を「重要なベース電源」と位置付けました。
 ベース電源とは、二十四時間、しかも安価に稼働させられる電源です。震災前は、原発と揚水発電以外の一般水力。そして石炭火力がそうでした。

原発こそ不安定では
 電力需要時に足りない分を補うのが、ピーク電源と呼ばれるLNGや石油火力です。
 原発は、出力調整が極めて難しく、一度運転を始めたら、二十四時間最大出力で、突っ走るしかありません。
 今、国内に五十基ある全ての原発が、再び停止しています。
 天候に左右されやすく、出力が不安定な風力や太陽光には、ベース電源の重責を担えないといわれています。
 だとすれば、無限大の安全管理が必要な、扱いにくい原発こそ、最も不安定な電源なのだと考えなければなりません。
 原発を動かさないと、LNGや石油火力の燃料費がかさみ、電力会社は年間三兆六千億円の負担増、百万キロワット級の原発一基を稼働させれば、温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)を、一年で0・5%減らせるとされています。
 原発は、本当に割安なのか。
 政府によれば、福島の賠償と除染、さらに廃炉や汚染水対策に、少なく見積もって約二十兆円の費用がかかります。
 東電の負担なら電気料金への転嫁、国が持つなら税金です。結局つけは国民に回ります。どれだけお金を使っても、福島の人たちの暮らしや風景は、もう元へは戻せません。
 現在十六基の原発が、原子力規制委員会に再稼働の申請を出しています。政権は今年を、再稼働の年にしたいのでしょう。
 原発は金のかかる危険なものだということに、国民の多くはもう気づいているはずです。
 温暖化対策ならば、再生エネルギーの普及の方が王道です。私たちは“太陽と風の年”をめざしましょう。

フクシマを心の地図に
 ドイツでは、再生可能エネルギーへの転換が着々と進んでいます。総電力の約二割を賄い、温室効果ガスを一九九〇年比で二割以上減らしています。
 市民自ら電力会社を設立し、再生可能エネルギーでつくった電力だけを地域へ供給するという、エネルギー自治も進んでいます。
 なぜでしょう。
 スリーマイルとチェルノブイリとフクシマを、心の地図にしっかりと、刻みつけているからです。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_top_pickup、2014年1月8日(水)付】

原発輸出―立法府から再考促せ
2014年1月8日(水)付

 安倍首相がトルコのエルドアン首相と会談し、日本からトルコへの原発輸出を進めることを確認した。
 経済浮揚につながるとして原発輸出に積極的な安倍政権だが、過酷事故が起きれば被害は一国にとどまらず、日本も責任を負わせられかねない
 使用済み核燃料の最終処分や管理方法の確立といった国際課題もある。日本とトルコとの原子力協定は、核燃料サイクルをめぐる記述すらあいまいだ。
 協定の発効には国会の承認がいる。与野党の議員は立法府の責任として、政府に再考を促すべきだ。
 トルコとの原子力協定で問題視されているのは、ウラン濃縮と、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理に関する記述である。将来的にトルコが「できる」余地を残す文面となっている
 いずれも核兵器の製造につながりかねない技術だけに、国際社会はきわめて神経質に対処してきた。
 今回、協定が発効したとしても、トルコが簡単に再処理できるわけではない。先の国会でも岸田外相が「日本として認めない」と答弁している。
 にもかかわらず、不明瞭な記述となったのは「肯定的な表現」を求めるトルコ側の要望を受けてのことだという。原発輸出の道筋を早くつけたい日本の前のめりぶりを表している。
 ごく一部の国に限られていた原発の利用は、ここにきてエネルギー不足に悩む新興国に広がっている。安倍首相がトップセールスで原発を売り込んでいる先も新興国ばかりだ。
 原発開発を急ぐ国々には、政情不安な地域や非民主的な政治基盤のところが少なくない。安易に原発を売り込み、相手の求める内容で協定を結べば、核不拡散への国際的な取り組みは難しさを増す。
 ただでさえ、国際原子力機関(IAEA)による従来型の査察は強制力に欠けるなどの限界が指摘されている。
 日本自体、核燃サイクルは頓挫しており、海外への再処理委託で大量に積み上がった余剰プルトニウムの確実な処理が国際的な関心事となっている。
 まずは、足元の問題解決に専心し、放射性廃棄物の管理や処分をどうするかという国際課題に正面から取り組む。それが、安倍政権の責務だろう。
 野党はもちろん、自民党内にも拙速な原発輸出や協定発効に対する慎重論があるという。与野党協力して立法府の良識を示してほしい。
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http://www.asahi.com/articles/ASG166D83G16UCVL022.html

もんじゅ君のエネルギーさんぽ)今年の再稼働どうなる?
2014年1月10日09時30分

■原発ゼロで迎えた新年

 あけましておめでとうございます。高速増殖炉のもんじゅ君ですだよ。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 じつは2014年は、1970年代以来、はじめての原発ゼロで迎えたお正月だったんだ。昨年9月に福井の大飯くん3号機、4号機が定期点検のためにストップして、そのままゼロがつづいているんだね。
 いまは暖房の必要な冬の季節だけれど、原発がなくたって電力不足にはなっていないね。このことがもっと知られるようになるといいな。

■年の瀬ぎりぎりの再稼働申請
 ところで、年末ぎりぎりにふたつの原発が再稼働の申請を出したんだよ。そのあとすぐ世間はお正月休みに入っちゃって、あまり大きなニュースにはならなかったけれどね。
 ひとつは12月25日、島根原発2号機が再稼働を申請したんだ。
 島根くんは松江市に位置していて、全国で唯一、県庁所在地にある原発なの。万が一の事故があったときに、人口の多い市街地まで10キロという近さなんだよ。

震災で被害のあった女川も再稼働?
 そしてもうひとつは、宮城県にある女川原発の2号機。こちらは12月27日と、まさに仕事納めの日に申請が出されたの。
 女川原発1~3号機は、ふくいち君とおなじように、2011年の東日本大震災で被害を受けたんだ。電力の5系統のうち四つが地震で断線して、過酷事故にもなりかねない状況だったといわれているんだよ。
 再稼働申請を出した2号機なんかは、震災で建屋の地下が浸水して、冷却水ポンプもこわれたの。国際原子力事象評価尺度(INES)では「レベル2」の事態だと認定されたんだ。

■地震・津波がくるとわかっているのに
 巨大地震と津波におそわれることのある場所だとわかっていても、女川くんは再稼働申請が出されちゃったんだ。建屋の耐震性を上げたり、防潮堤を建てたりという安全対策は計画されてはいるものの、こんなに早く再稼働を表明できてしまったことに、ボクはすこしびっくりしたよ。
 2013年10月の宮城県内の世論調査では、再稼働に反対する声が60%を超えていたから、県民の要望というわけでもないんだよね。
 いかにいま、原発をとりまく雰囲気がゆるんでいるのか、電力会社さんたちがエイヤッと申請してしまえるような政治的追い風があるのか、ということを痛感しちゃうよ。

■ずさんすぎて再稼働の許可に遅れ
 そんなわけでいまは全国で7電力会社、9原発、16基から再稼働の申請が出ているの。
 当初は再稼働の審査には半年から1年ほどがかかるといわれていたんだ。だから、早ければ昨年7月に申請した原発たちが2014年頭に再稼働をはじめるかな?という見方もあったんだけど、そうはなっていないよね。
 それは、原子力規制委員会さんは「安全に動かすためにはこれとこれを用意してくださいね」と条件を出していたのに、多くの電力会社さんが「えーい。まじめにぜんぶ準備してたら時間かかっちゃうもんね。とりあえず書類を出しちゃえ」と見切り発車で申請しているからなんだ。

■安全審査の見切り発車はやめてね
 2013年7月の申請ラッシュのときには、ボクもニュースを見ながら「あれれ? 準備が不十分なままでも再稼働の書類って受理してもらえるんだ。雑だなぁ……」とびっくりしてたんだけど、さすがにそのままでは審査はパスしないみたい。
 ただでさえ日本の安全基準は、真下の活断層ばっかり気にしていてヌケやモレが多いといわれているの。審査だけでもせめてしっかりとして、見切り発車はやめてほしいよね。
 春以降には審査の済んだ原発も出てくるかもしれないけれど、そのときには地元の人たちの「こわいよ」「ホントに大丈夫?」って声がますます重要になってくると思うよ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014011002000139.html

原発政策 政権「二枚舌」 再稼働方針は不変
2014年1月10日 朝刊

 安倍政権の原発政策で矛盾が表面化している。安倍晋三首相や自民党の石破茂幹事長は「原発依存度をできる限り低減させる」と強調するが、昨年末、政府がつくったエネルギー基本計画案では原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置付けている。原発再稼働にも突き進もうとしており首相らの言葉は「二枚舌」と批判されかねない。 (金杉貴雄

 首相は六日の年頭記者会見で、原発について「エネルギー源の多様化を図りながら、可能な限り依存度を低減するのが基本方針だ」と強調した。
 首相らは、脱原発を求める世論を意識。「首相が決断して即ゼロに」と求めている小泉純一郎元首相の影響力も考慮し、原発政策を語る時は必ず「依存度減」を強調する。石破氏も「小泉氏と方向性は変わらない」と取りつくろう
 だが、現実の対応は逆だ。エネルギー基本計画案では、民主党政権時代の「二〇三〇年代の原発ゼロ」を破棄。原発を「重要なベース電源」と位置付け「基盤となる」との表現まで追加した。「依存度を可能な限り低減」との表現も盛り込んだが、原発推進の姿勢を鮮明にした。
 政権の姿勢には、経済成長には原発による安定的な電力供給が不可欠との判断や、自民党内で電力会社と密接な関係を保つ電力関係議員が発言力を増している影響がある。
 政権は、各電力会社が原子力規制委員会に申請した再稼働の審査が終わる見込みの春ごろから、原発を再稼働させていく方針。現在の「原発稼働ゼロ」の状態を転換し、稼働率を高めていこうとしている。
 だが、エネルギー基本計画案には自民党内からも「東京電力福島第一原発事故を引き起こした過去の原発政策への反省がない」と批判の声が出ている。連立与党の公明党からも異論が出始めている。
 政府は、計画案を一月中に閣議決定する方針だったが、ずれ込む可能性もある。
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http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/514655.html

社説
理念なき原発政策 「福島」前に後戻りするな(1月11日)

 将来像も理念も十分な検証も欠いたまま、エネルギー政策が東京電力福島第1原発事故以前の状態に引き戻されようとしている
 原発を重要なベース電源と位置付けたエネルギー基本計画案、福島第1原発事故による避難住民の全員帰還を断念する復興加速指針、事故対策への国費投入を拡大する東電の新再建計画。
 政府は昨年末、議論を尽くすことなく、これらの重要な政策を矢継ぎ早に打ち出した。
 年が明け、新たな規制基準で原発再稼働を判断する原子力規制委員会の審査が始まってから半年が経過した。早ければ今春にも最初の審査結果がまとまる見通しだ。
 エネルギー基本計画案は原発依存度を可能な限り低減させるとしながら、将来の電源構成比率を示していない。時間を稼いで再稼働の既成事実を積み重ね、その結果を追認させようとする意図は明らかだ。
 これが原子炉3基の炉心溶融という大惨事を引き起こした国の政策だろうか。事故の反省も再生可能エネルギーを育てる意欲も見えない。なし崩しに原発回帰を図るようなやり方は断じて認められない。

   ◆サイクル堅持する愚◆

 日本原燃は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場(青森県六ケ所村)について、原子力規制委に審査を申請した。
 工場は20回も完成延期を繰り返し、本格操業のめどは立たない。
 それでも申請に踏み切ったのは、「核燃料サイクルの推進」を盛り込んだエネルギー基本計画案に力を得てのことだろう。
 長期にわたって巨額の費用を投じながら、展望が全く開けない国家プロジェクトの事例の中でも、核燃サイクルは最悪の見本だ。
 仮に再処理工場が稼働しても、プルトニウムを燃やす高速増殖炉が実用化される見込みはない。
 プルトニウムを通常の原子炉で使用するプルサーマル計画は安全性に疑問があり、コストも高い。
 日本は既に、核兵器に転用可能な余剰プルトニウムを国内外に44トンも抱えている。さらに増え続ければ、核不拡散の見地から国際的な批判を招くだけだ。
 核燃サイクルが破綻した現実に目をつむり、ひたすら延命を図る厚かましさには驚くほかない。
 青森県など関係自治体と代替策を話し合い、サイクル撤退の道を追求することこそ政治の役割だ。

   ◆問題多すぎる再稼働◆

 再稼働に向けた安全審査は、北海道電力泊原発を含む9原発16基について行われている。電力各社の地震や津波の想定には甘さが目立ち、安全対策への熱意がうかがえない。
 北電も原子力規制委の指摘を受け、最大津波の高さをはじめ火山噴火や竜巻被害の想定などで修正を繰り返してきた。敷地内や海底の活断層の疑いも依然残されている。
 規制委は政治的圧力や経済性に左右されぬ原則を貫き、厳格な審査に徹しなければならない。
 周辺自治体の住民避難計画作りも遅れている。泊原発から30キロ圏内の13町村は本年度内に作成する予定だが、問題はその中身だ。
 計画の基礎となる防災指針自体が急ごしらえで、規制委によってさみだれ式に追加修正された。計画はあっても、渋滞対策など詰めるべき課題が多い。訓練も不足しており、現状では実効性が疑わしい。
 政府は再稼働の問題を規制委に、避難計画を自治体にそれぞれ丸投げし、成り行きまかせの状況を静観している。無責任な態度と言わざるを得ない。
 少なくとも「原発依存度を下げる」と言うのであれば、全原発が停止している今こそ、その展望と電源多様化の具体策を示すべきだ。
 福島の事故後、国内の原発はほとんど稼働していない。政治の意思と目標が明確になれば、多くの国民は新たな挑戦に踏み出す用意がある。

   脱原発の見取り図を

 跳ね上がる安全対策費、立地対策を含む社会的コストなどを考えれば、原発は割安な電源ではない。あてのない放射性廃棄物処分、福島の事故の賠償、除染、廃炉の費用も際限なく膨らむだろう。
 復興加速指針は、政府が福島の一部地域について原状回復を事実上放棄することを意味する。
 放射能汚染によって故郷が失われ、人が住めなくなってしまうような事態をコストに換算することなど、そもそも不可能なのだ。
 一昨年、民主党政権に「原発ゼロ目標」を掲げさせた脱原発を求める民意は、決して揺らいでいない。
 将来のエネルギーの選択は結局、どのような社会に暮らしたいかという根本的な問題につながる。
 途方もない危険と巨額で無意味な負担を先送りしない見取り図を描き、真剣に到達の道筋を考える時だ。
 そのために国民が議論する機会さえ封じておいて、脱原発の目標をあっさり否定するのは、民意軽視も甚だしい。
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http://www.asahi.com/articles/ASG1H5T5JG1HULFA023.html?iref=com_top6_01

政府、東電の再建計画を認定 柏崎刈羽「7月再稼働」
2014年1月15日19時07分

 政府は15日、東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)を正式に認定した。2014年度中に柏崎刈羽原発(新潟県)の4基を再稼働させるなどして、年間で1千億円以上の経常黒字を安定して稼げるようにする。再稼働が想定より遅れた場合、電気料金を最大で1割値上げすることも盛り込んだ。
 政府は、原子力損害賠償支援機構(原賠機構)を通じて東電株の過半数を保有し、実質的に国有化している。再建計画は、除染など福島第一原発事故の対応で東電を支援する前提になっており、政府と東電は一体となって原発の再稼働を進めていく。
 新たな再建計画は、東電と原賠機構が昨年末に政府に申請していた。認可された計画では、原子力規制委員会が審査している柏崎刈羽6、7号機の7月からの再稼働をめざす。安全対策工事をしている1、5号機も15年3月までに動くと想定し、14年度は1677億円の経常黒字を見込む。

・・・・・・・・・。
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●「重要なベース電源」にまだ無駄金をジャブジャブ

2014年01月14日 00時00分28秒 | Weblog


福島民友ニュースの記事【“核のごみ”先送りは問題 独・倫理委の有識者が来日】(http://www.minyu-net.com/news/news/1216/news10.html)。
東京新聞の二つの記事【青森・六ケ所村 再処理工場の完成延期 原燃】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013122002000118.html)と
【志賀直下「活断層なし」 北陸電最終報告 敷地外は可能性】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013122002000117.html)。

 直接処分の方が、(百万歩譲って、相対的には)なんぼか「安く」て「安全」でしょうに。無駄金を危険なことにジャブジャブ捨てている。
 予想通り「矮小化」のようです。

   『●原発断層問題: 断層直上の定義とズレの許容値の議論に矮小化

 そして、きっと原子力「推進」委員会も同調するでしょうね。

   『●原子力「すいすい推進」委員会のお約束な行動パターン:
                            東電の柏崎刈羽原発再稼働審査を開始

 東京電力原発人災があろうが、原発は「重要なベース電源」で、しかも、輸出までしようというのだから、この国は狂っています。

   『●トルコ原発、「責任」を持って「死の灰」は日本に逆輸入してあげるのですか?
                                         日本で10万年管理??
   『●民主主義が瀕死の重傷・・・・・・な一年
                      ~秘密隠蔽法成立と原発再稼働・輸出へと暴走~

   『●自公議員に投票したことの意味:
           原発は「重要なベース電源」、さらに「もんじゅ」「核燃サイクル」継続

   『●国際的な「恥の上塗り」な恥さらし行為:
                        「安倍政権 「復興予算」を「原発輸出」に流用」


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http://www.minyu-net.com/news/news/1216/news10.html

核のごみ先送りは問題 独・倫理委の有識者が来日

 東京電力福島第1原発事故を受け、2022(平成34)年までに国内全原発を廃止する法制化を行ったドイツ。その政策判断に大きな影響を与えたとされるのが、有識者で構成された「安全なエネルギー供給に関する倫理委員会」の報告書だ。報告書は原発事故で「原発のリスクの大きさが証明された」として、脱原発の方針を示した。倫理委が重視したものは何だったのか。委員を務めたベルリン自由大のミランダ・シュラーズ教授(環境政策学)が来日して語った。
 都内で14日に講演したシュラーズ教授によると、倫理委はメルケル首相の委託により、原発事故直後の11年4月から5月までの約2カ月設置された。脱原発の方針は(1)ドイツの原発の安全性は高いが、事故のリスクはゼロではない(2)原発で事故が発生した場合、他のエネルギー源よりも危険(3)次世代に(原発の)廃棄物処理を残すには倫理的な問題がある―の3点から集約した。特に放射性廃棄物の処理の問題は最も重視された。シュラーズ教授は「私たちが原子力を使っているのは私たちの(生活の)ため。最終処分場はどこにもない。その廃棄物を次世代に残すのは大きな倫理的な問題。(原発のため)燃料を作れば作るほど次世代の問題が大きくなる」と述べた。

(2013年12月16日 福島民友ニュース)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013122002000118.html

青森・六ケ所村 再処理工場の完成延期 原燃
2013年12月20日 朝刊

 日本原燃は十九日、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の完成を二〇一四年十月と見込む新しい計画を、県と村に説明した。十八日に核燃料サイクル施設の新しい規制基準が施行されたことを受け、過酷事故や地震対策の追加工事を反映。これらの費用は約三百億円に上る。
 原燃は安全協定に基づく事前了解を県や村から得て、早ければ年内にも原子力規制委員会に安全審査を申請する。完成時期は今秋までの計画より一年遅れと想定したが、審査が長期化する公算が大きく、実現性は不透明だ。
 三村申吾知事は「国の基準に満足することなく、一層の使命感をもってほしい」と注文。原燃の川井吉彦社長は「重く受け止め、安全第一で取り組んでいく」と応じた。
 十九日は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設を持つ「リサイクル燃料貯蔵」(青森県むつ市)も審査の申請に備え、操業開始時期を一五年三月とする計画を県に説明した。
 新基準での原発の安全審査にかかる期間が「早ければ半年」とされていたことから、原燃は再処理工場の審査も半年間と想定。追加工事や最終検査期間は約四カ月とみて、完成時期を決めた。
 原燃は、東日本大震災クラスの地震が起きるケースで耐震性を調べ直し、想定する最大の揺れの強さを従来の四五〇ガルから六〇〇ガルへ引き上げ、余裕を持たせたと説明している。補強工事を一部の施設で実施する。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013122002000117.html

志賀直下「活断層なし」 北陸電最終報告 敷地外は可能性
2013年12月20日 朝刊

 志賀原発1号機(石川県志賀町)直下の「S-1断層」が活断層ではないかと指摘された問題で、北陸電力(富山市)は十九日、S-1断層は活断層ではないとあらためて主張する一方、原発から東へ約一・四キロの「福浦断層」は活動の可能性が否定できないとする最終報告を原子力規制委員会に提出した。北電は「安全性に影響を与えるものでない」と結論付けたが、疑問の声が上がりそうだ。
 最終報告ではS-1断層に大きくずれた形跡がないとし、活動性の目安となる十三万~十二万年前以降の活動はないと判断。敷地内の「S-6」など七本の断層も、鉱物組成などから将来の活動の可能性を否定した。
 福浦断層は南北に約二・七キロ。これまでは活動性を否定してきたが、十三万~十二万年前以降の地層が直線的ではなく、ずれでゆがんでいるとして「将来の活動の可能性を否定できない」とした。
 しかし北電はボーリング調査などを踏まえ、S-1と福浦、さらに原発の西約三・九キロにある「兜岩沖断層」(長さ約三キロ)はつながっておらず、敷地内外の断層が連動する可能性はないと結論づけた
 規制委は今後、有識者による現地調査団を派遣する。調査は来春との見方もある。S-1断層が「耐震設計上考慮すべき活断層」と判断されると1号機の再稼働は困難になる。 (坂本正範)
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●打つ手なし、それでも原発を続けたいという。アホである

2013年10月06日 07時22分28秒 | Weblog


東京新聞の記事【核のごみ満杯へ 打つ手なし 再処理技術や処分場も未定】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013092402000122.html)とasahi.comの

天声人語】(http://www.asahi.com/paper/column.html?ref=com_top_tenjin、10月3日)。

 あの小泉純一郎氏でさえ「変節」したというのに、それでも原発を再稼働したいらしい。

   『●Mr.風見鶏: 反原発をお前が言うか!?
   『●どんだけ面の皮が厚いんだか!!

再処理技術もなく、固化技術も確立されているとは言えず、最終処分場も未定。原発の燃料プールもすぐに満杯。処分場が我国に存在し得たとして、いったいどのくらいの年月を安全に管理しないといけないのか、知っているのだろうか?

   『●100万年間核のゴミを管理するなんて言うことはおこがましい
    「(日本政府の云う)100万年どころか(オンカロの)10万年間、
     核廃棄物核のゴミを管理するなんて、原発推進派は傲慢である。
     遺伝子レベルでヒトを分類・解析した結果は、一見全く関係の無い
     話のようではあるけれども、そういうことに気づかせてくれる。
     それほど長大な期間だ。100,0000年10,0000年後なんて、
     核のゴミを生み出している我々の世代の誰一人として、
     責任の取りようもない。無責任極まる。」

   『●リラッキングとオンカロ
   『●まずは第一歩目かな・・・??
   『●10万年という数字に慄く
   『●オンカロと死の灰と、フィンランドとニッポン
   『●オンカロと500%エネルギー自給率の島と自民党
   『●すぐさま廃炉作業に着手を!

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013092402000122.html

核のごみ満杯へ 打つ手なし 再処理技術や処分場も未定
2013年9月24日 朝刊

 原発再稼働をめぐる論議が高まる中、原発から出る放射線量の高い使用済み核燃料を貯蔵するスペースは既に満杯に近づきつつある。「核のごみ」が解決しないまま、原発を動かしてもいずれ行き詰まるのは明らかだ。 (梅田歳晴)

 電気事業連合会などによると、国内にある使用済み燃料は二〇一二年九月末時点で、少なくとも一万七千トン以上。電力会社は各原発の原子炉建屋内にある燃料プールでほとんどを貯蔵しているが、東京電力の福島第一、第二、柏崎刈羽、九州電力玄海、日本原子力発電東海第二でいずれも占有率が80%以上を占め、限界に近づいている。

 青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)にも容量三千トンの一時保管スペースがあるが、再処理事業の遅れで各原発から持ち込まれる使用済み燃料がたまる一方。今年九月の時点で貯蔵量は二千九百四十五トンに達し、占有率は98%に達した。

 原発の燃料プールと六ケ所村の保管スペースを合計した貯蔵容量の73%が埋まり、原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になる計算だ。

 日本は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを高速増殖炉で燃やす核燃料サイクルを原子力政策の要としているが、再処理は技術的なトラブルが相次ぎ、いまだに事業を開始していない。高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)も一九九五年のナトリウム漏れ事故後ほとんど動いていない

 高レベル放射性廃棄物の最終処分では場所すら決まっておらず、使用済み核燃料が国内の貯蔵能力を上回れば、事実上、原発の運転が不可能になる。

 京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)は「再稼働すれば行き先のない核のごみは増え続けるばかりだ。全体のグランドデザインをしっかり考える人がいなかったのではないか。これ以上、原発を再稼働させるべきではない」と、核のごみを放置し、原発を増やし続けた国や電力会社の姿勢を批判している。
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http://www.asahi.com/paper/column.html?ref=com_top_tenjin、10月3日】

2013年10月3日(木)付
天声人語

 一線を退いても、有名政治家の発言はなにかと思惑がらみで受け取られがちだ。首相経験者ともなれば、いろいろ詮索(せんさく)されるのは仕方がない。しかし、今回はまず、その中身にきちんと耳を傾けてみたい▼小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」発言である。1日の名古屋での講演でも訴えた。将来のゼロはいいが今はだめだという議論に対し、「早く方針を出した方が企業も国民もゼロに向かって準備もできる、努力もできる、研究もできる」と▼首相時代はきれいで安いエネルギーだと信じていたが、東日本大震災で疑問を抱いたという。確かに直後の11年5月には、原発の安全性を信じたのは「過ち」だったと語っている。確信を深めたのは、この8月のフィンランド視察だったようだ▼「オンカロ」という施設を見た。原発ゴミの高レベル放射性廃棄物を地下に埋めて最終処分する場だ。「トイレなきマンション」にトイレができるか、世界初の試みである。しかし、ここに埋めても放射能がほぼ消えるまで10万年かかる▼施設がそれだけの長期間もつのか。そもそも数万年後に人類はどうなっているのか。今と同じ言葉や文字を使っている保証はなにもない。彼らに危険物だということをどう伝えるのか。ほとんどSFの世界の話である。小泉氏は考え込んだだろう▼講演では経済界の原発推進論に反論した。「ゼロは無責任というが、処分場のあてもないのに進める方がよほど無責任だ」。筋が通っている。正気に返るべきなのだ。
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●破廉恥な行為: 「首相自ら途上国への原発セールスに駆け回る」

2013年06月21日 00時00分04秒 | Weblog


asahi.comの「社説 脱原発政策―廃炉促進へ専門機関を」http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup、6月3日)、東京新聞の一連の記事(「コラム筆洗」http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013060302000117.html「【社説】週のはじめに考える お地蔵さんはなぜ怒る」http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013060902000107.html、「原子炉など処分場未定 中程度汚染 事業者も決まらず」http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013061102000100.html「核燃料取り出し 20年度前半にも  課題山積のまま 前倒し」http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013061102000101.html「【社説】福島廃炉計画 言葉より成果を見たい」http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013061202000159.html「もんじゅ研究、継続を確認 文科省部会、推進の方針変えず」http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013061201001965.html)。

 税金投入には反対ではない。でも、まず、電力会社と自民党(元)議員の責任を明確化すべきだ。原子力ムラ住人の責任の明確化を。税金の投入の前に、彼らに経済的な責任も取らせるべきである。処理法も処分法もないのに、いまだに原発推進を図り、輸出までするような破廉恥なマネはやめてほしい。

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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup、6月3日】

2013年6月3日(月)付
社説
脱原発政策―廃炉促進へ専門機関を

 できるだけ早く、原発に頼らないエネルギー社会をつくる
 福島の原発事故を経験して、多くの人たちがその思いを強くした。
 ただし、原発の後始末はやっかいだ。強い放射能に汚染された構造物や使用済み核燃料の処分には、時間もお金もかかる。技術的な課題も多い。電力会社は、負担の重さから廃炉に二の足を踏みがちだ。

■先送りへの懸念
 こうしたなか、経済産業省が廃炉を促す環境づくりに乗り出した。廃炉にともなう損失の計上をめぐって、会計処理を弾力化させる見通しだ。
 方向性には賛成する。ただ、これだけで原発の処理が一気に進むわけではない。
 廃炉の決定や放射性廃棄物の管理・処理を、国が主導する仕組みに改めなければならない。あわせて、業務を担う専門機関の設立も検討すべきだ。
 日本は原発について「国策民営」をとってきた。原発は各社の資産であり、廃炉も使用済み燃料の取り扱いも、一義的には事業会社が責任を負う。
 事業者は巨額の建設費を回収するために、原発を極力長く使い、その間に廃炉費用を積み立てるのが前提だった。
 だが、事故を機に状況は大きく変わった。
 日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)は建屋の真下を活断層が走っていると、原子力規制委員会から認定された。今後も、新しい知見にもとづく規制基準を満たすことができず、廃炉を前倒しで求められる原発が出てくる。
 ところが、電力会社の経営は厳しい。火力発電の燃料代がかさみ、大手10社の3月期決算では原発を持つ9社のうち8社が赤字となった。純損失の合計は1兆6千億円近くに達する。
 このままでは、事業者の経営上の問題から、廃炉が先送りされるおそれがある。
 経産省が廃炉に対する特例を設けるのも、そのためだ。
 事業者が当初の計画より早く原発を閉める場合に、費用の積み立て不足や資産価値の目減りによる損失を、複数年度に分割して計上するのを認める方針という。

■世界では政府が関与
 世界を見渡すと、原発が国営だったなごりもあり、後処理に政府が関与する体制が目立つ。
 最終処分場の候補地選び、核不拡散やテロ対応など、国内外において粘り強い交渉や協調が求められるからだ。
 たとえば、英国は05年に「原子力廃止措置機関(NDA)」を設立し、原子力関連施設の解体にともなう政策や監視体制を一元化した。
 実際の廃炉は、国際入札を経て事業者を選び、ライセンスと目標を与え、運営が非効率にならないようにしている。使用済み核燃料のリサイクルで生じるプルトニウムの管理・処分も、NDAの管轄だ。
 ドイツでは、電力大手が所有する原発は自己負担での廃炉が前提だ。このため、メルケル政権が原発全廃を決めると、複数の社が政策変更による廃炉で損害が生じるとして、国に賠償を求める訴訟を起こした。
 一方、旧東独圏内にある老朽原発を主な対象とする廃炉専門の国営企業(EWN)があり、こちらは政府が廃炉を担う。
 そこで、電力大手も実際の廃炉作業では、将来の廃炉ビジネスをにらんで業容拡大をはかるEWNに委託するか、自ら取り組むか、損得をはかりながら両にらみで模索している。

■税金の投入も選択肢
 日本でも、原発の後始末を進めるには、会計処理の弾力運用だけでは不十分だろう。
 福島事故を教訓にすれば、新しい規制基準をクリアしても、事故の際の住民避難が現実的に難しい原発などは閉じていく必要があるからだ。
 廃炉の決定権が事業者側にある限り、こうした原発の廃炉は進まない。
 まず国が廃炉に関与するルールを定める。そのうえで、海外とも知識や情報を共有する専門機関を設立し、対象となる原発を移管すれば、効率よく脱原発を進められるのではないか。
 もちろん、処理に必要な費用をだれがどのように負担するか、各社の資産である原発をどう専門機関に引き継ぐか、など数多くの課題がある。
 廃炉費用は国民が払う電気料金から積み立てられているのだから、いっそのこと税金を投入して廃炉を急ぐ。あるいは、当面は最小限の原発は動かし、その原発も専門機関に移して、売電で得られる収益を廃炉費用にまわす――。さまざまな考え方がある。
 世界的な廃炉ビジネスへの参入を想定すれば、電力業界が率先して組織を設けてもおかしくない。原発専業の日本原電の改組も一案だろう。
 政府は早く検討の場を設け、論点を整理し、国民的な議論にかけるべきだ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013060302000117.html

【コラム】
筆洗
2013年6月3日

 高速増殖原型炉もんじゅの点検漏れ問題で辞任した日本原子力研究開発機構(原子力機構)の鈴木篤之前理事長への退職金支払いが検討されている、という記事があった▼「こういう組織が存続していること自体が問題だ」。原子力規制委員会から痛烈に批判された原子力機構は理事長辞任後も、茨城県東海村の実験施設で研究者ら三十四人が被ばくする放射性物質漏えい事故を起こしている▼解任以外、退職金を支払う規定になっているという言い訳を聞き、二年前の「更迭騒ぎ」を思い出した。更迭されたはずの経済産業省の松永和夫事務次官(当時)以下三人の幹部の退職金が千二百万円ほど上積みされた。組織上の都合で退職を求めるため、勧奨退職扱いになるという話だった▼「ほとぼりが冷めれば、三人は天下りするのだろう」。当時、小欄でそう書いたが、案の定、一年もたたずに、松永氏は損保ジャパンなどの顧問に、細野哲弘資源エネルギー庁長官はみずほコーポレート銀行の顧問に納まっていた▼高級官僚の方々は、もうほとぼりは冷めたと判断したのだろう。国民を愚弄(ぐろう)するにもほどがある安倍政権は原発の海外への売り込みや再稼働に積極的だが、原発事故が風化することを内心、歓迎しているなら大間違いだ。きのうも数万の市民が国会議事堂を囲んだ。地からわき上がる声を侮らない方がいい。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013060902000107.html

【社説】
週のはじめに考える お地蔵さんはなぜ怒る
2013年6月9日

 福島の事故などないかのように、政府は原発の輸出に突き進む電力会社はひたすら再稼働を急ぎます人はこうして、過ちを繰り返してしまうのか
 ことし三月、宮城県気仙沼市の山の手に、一軒の地蔵堂が建立されました。
 発願は俳優の滝田栄さん(62)。二十年前、母親の供養のために仏像を彫り始め、これまでに約二十体を手がけています。
 地蔵堂の建設費千五百万円は、全国からの寄付で賄いました。
 滝田さんがそこに安置した「気仙沼みちびき地蔵」は、クスノキの一木造り。高さ百三十センチの地蔵菩薩(ぼさつ)立像で、光背や台座を含めると二メートルに届きます。
 長野県原村のアトリエにこもって、四カ月で彫り上げました。
 目を閉じて、果てしない廃虚を思い浮かべた。その中に自分を立たせ、誰かに救いを求めようとした時に、地蔵菩薩の姿が見えた。
 お地蔵さんは、あらゆる命をはぐくむ大地のような力を宿し、苦悩する人々を無限の慈悲で包んでくれるといわれています。
 気仙沼のみちびき地蔵も、路傍の石地蔵のように丸い柔和な顔立ちです。
 ところが、じっと見ていると、時折不動明王のような厳しさをのぞかせることもある。作者自身もそう言います。
 なぜか。
 滝田さんは三十三歳の時、NHK大河ドラマ「徳川家康」の役作りを通じて仏教に触れ、釈迦(しゃか)の生き方に共感し、五十二歳で「レ・ミゼラブル」の舞台にひと区切りをつけたあと、インドに渡ってその足跡を追いかけました。

何を求め、何を急ぐ
 滝田さんは振り返る。
 「お釈迦様はおっしゃいました。悲しみや苦しみの原因をつくってはいけません。煩悩とか、欲とかいうのは、本当に苦しみの種をまいて歩いているようなものだから。一時のそれに目がくらみ、人生を誤るようなことをしてはいけません-。実はね、これしか言っていないんですよ」
 3・11は戦後最大の転換点だと思われます。
 日本は、私は、どこで、何を間違えたのだろうかと来し方を振り返り、本当にこのままでいいのだろうかと行く末を占うために、滝田さんはお地蔵さんを彫り、人々が集うことのできるお堂を建てたのでしょうか。
 「失敗や過ちは必ずある。でも、それを繰り返すのは無知だから。無知は罪」
 みちびき地蔵が、そう語りかけてくるようです。
 過去から学び、大切な何かを見いだして、今を改めなければいけない時なのに、なかなかそれがかないません。
 滝田さんの言葉を借りれば「原発を見ても、経済界や社会の動きを見ても、もうすでに“お金に向かって走れ”の昔」に戻りつつあるのでしょうか。
 政府の顔色をうかがいながら、電力会社はあからさまに原発再稼働を急いでいます。経営の安定が何より大事と言いたげに。
 原発事故に故郷を追われた人々がいまだ十五万人もいて、十分な補償も受けられず、「原発がなければこんな悲劇は起こんねえ」と、声を振り絞っているのにです。
 政府は成長戦略に余念なく、福島事故の原因が究明されていないにもかかわらず、首相自ら途上国への原発セールスに駆け回る。
 事故現場では、絶え間なくわき出る放射能汚染水の行き場さえ見つからず、廃炉への道筋も付かないままに。
 公表されたばかりの「環境白書」の中からは、前の年には強調された原発リスクの大きさや原子力規制行政への期待を表すくだりが、姿を消してしまっています。
 その変わり身に、慈愛あふれるお地蔵さんさえ、いや、慈愛に満ちていればこそ、いら立ち、あきれ、お不動さんの憤怒の相をのぞかせてしまうのでしょう。

津波の来ない高台で
 地蔵堂は、津波の来ない高台に建てられました。そこに人々が集まって、震災後の生き方やまちづくりについて考え、話し合ってもらえるように。
 落慶法要の当日は、抜けるような晴天でした。揺り戻される時間の中から、映画の場面が心に浮かんできます。
 宮崎駿監督のアニメ「千と千尋の神隠し」。肥え太った人々が、有り余るごちそうに群がり、むさぼるあのシーン。
 これ以上過ちを繰り返さないために、私たちはどのように暮らしていくべきか。お地蔵さんにみちびかれ、自分自身で答えを見つけなければなりません。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013061102000100.html

原子炉など処分場未定 中程度汚染 事業者も決まらず
2013年6月11日 朝刊

 原発の運転や廃炉作業で出る放射性廃棄物のうち、原子炉や制御棒など放射線量が中程度のものを地下に埋める処分場の選定作業が全く進んでいないことが分かった。これらの廃棄物は地下五十~百メートルに埋設する規定になっており、「余裕深度処分」と呼ばれるが、事業主体も決まっていない。今後本格化する廃炉作業の遅れが懸念される。 
 原発から出る使用済み核燃料は再処理され、残った放射性廃液はガラスで固めて三百メートル以深の地層に最終処分する。放射性廃棄物は、この「高レベル」と、それ以外の「低レベル」の二つに大きく分けられる。
 余裕深度処分の対象となる廃棄物は「低レベル」の範囲に含まれ、放射線量が比較的高めの部材だ。制御棒をはじめとする原子炉内の構造物や原子炉圧力容器、一定レベルの廃液などが当てはまる。
 余裕深度処分は、国の原子力委員会が一九九八年に示した「低レベル放射性廃棄物処分の基本的考え方について」という文書に初めて盛り込まれた。
 その後、電力全十社でつくる電気事業連合会(電事連)などで検討を開始。日本原燃が運営する核燃料サイクル施設(青森県六ケ所村)の敷地内で地盤などの調査に着手。二〇〇三年から長さ約一キロ、深さ約百メートルの試験坑道が掘られ、〇六年に完成した。〇七年から経済産業省資源エネルギー庁から委託を受けた研究機関が調査、研究を続けている。
 高レベル廃棄物は、原子力発電環境整備機構(NUMO(ニューモ))が候補地となる自治体を探しているが、現時点で応募はない。余裕深度処分の処分場の選定作業も放置されたままとなっている。
 現在、東海原発(茨城県東海村)、浜岡原発1、2号機(静岡県御前崎市)で廃炉作業が進行中だ。さらに、直下に活断層がある敦賀原発2号機(福井県敦賀市)や稼働四十年以上の老朽化原発が続々と廃炉になる可能性がある。
 電事連広報部は、余裕深度処分に関して「処分場の場所は現段階では決まっていない。各電力会社共通の課題として考えていくべきものと認識している」と話している。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013061102000101.html

核燃料取り出し 20年度前半にも  課題山積のまま 前倒し
2013年6月11日 朝刊

 東京電力は十日、福島第一原発の廃炉作業で、原子炉内に溶け落ちた核燃料の取り出しを、最も早くて二〇二〇年度前半に始める計画案を発表した。しかし、未解決の課題も多く、見込み通りに作業が進むか不透明だ。
 東電は建屋上部にクレーンを設け、核燃料を取り出す計画。1、2号機でそれぞれ三通り、3号機で二通りの工程を示した。作業状況を見て、どの工程で進めるか決める。
 最も早い工程では、二〇年度前半から1、2号機の核燃料を取り出し始める。米スリーマイル島原発事故を参考にまとめた従来計画より一年半の前倒しとなる。これ以外の工程では従来より二~三年遅れる。
 がれきが多く残る3号機は、早くても従来と同じ二一年度後半の開始になる。
 取り出し作業を始める前提として、格納容器を水で満たす必要がある。溶けた核燃料が出す強い放射線を遮るためだが、水漏れしている容器をどう補修すればいいか分かっていない溶けた核燃料の状態も確認できておらず、取り出し作業にどれだけの時間がかかるかも見通せていない
 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は「廃炉作業の完了時期がどうなるかは言えない」と述べた。計画案は、地元の意見を聴いた上で正式決定する。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013061202000159.html

【社説】
福島廃炉計画 言葉より成果を見たい
2013年6月12日

 メルトダウンした核燃料を一年半早く取り出せるかもしれない-。政府と東電は、福島第一原発の廃炉計画を見直して言う。だが避難を強いられた住民、また国民は、何より、着実な成果を見たい。
 福島1、2号機では、圧力容器を突き破って固まっている、核燃料の「デブリ」の回収を始める時期が、これまでの見通しより一年半ほど前倒しされるかもしれないという。
 デブリとはもともと、破片とか残骸を指すフランス語。溶融燃料は文字通りそんな状態だろう。
 前倒しと言っても、実際に作業の準備が整うまでにあと七年。しかも構内の除染が進み、建屋の上部にクレーンなどが順調に取り付けられた場合のことである。
 それよりも、溶け落ちた核燃料が、どこへ、どんな状態で散らばっているのか、現段階では分からない。作業はおろか、放射線が強く、人が近づけるような状態ではない。前倒しの見通しは、甘いというしかないだろう。
 日本で初めて廃炉作業に取りかかった茨城県東海村の東海原発は、一九九八年に営業運転を終了し、二〇〇一年に燃料棒の取り出しを終えた。だが準備作業の遅れから、原子炉の解体にかかるのは、来年にずれ込んでいる。
 一九七九年にメルトダウンを起こした米国のスリーマイル島原発では、圧力容器内の溶解だったが、すべての燃料取り出しには十一年の年月を費やした。
 八六年に大爆発した旧ソ連のチェルノブイリ原発では、核燃料は飛散状態でもあり、取り出すことをあきらめ、コンクリートで固める「石棺」にした。しかし、その石棺も腐食が進み、それをさらに覆う棺が必要になった。
 事故がなく、炉内の様子を把握できても、原発を安全に葬ることは極めて難しい。
 ましてや福島の場合、複数基爆発という世界に例のない難事業、甘い見通しは禁物である。
 事故から二年三カ月。技術大国のはずなのに、作業ロボットはなぜまだできないのか。地下水はなぜ止められないのかと、福島県民は気をもんでいるだろう。
 時間がたてば、施設全体の劣化は進む。余震のたびに、不安を募らせている人も多いに違いない。
 長期の見通しはもちろん必要である。だが今大切なのは、少しずつでも具体的な成果を示し、安心安全が近づいていると実感できることではないか。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013061201001965.html

もんじゅ研究、継続を確認 文科省部会、推進の方針変えず
2013年6月12日 20時47分

 高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県)の今後の研究計画を検討する文部科学省の作業部会は12日、夏をめどに策定する計画について今後も議論を続け、予定通り策定する方針を確認した。もんじゅは多数の機器の点検漏れが発覚し、原子力規制委員会が事実上の運転禁止命令を出したが、作業部会は研究推進の方針を変えない姿勢を示した。
 この日の会合で、文科省の担当者は「研究成果の取りまとめや、核廃棄物の減量化に向けた研究計画について引き続き議論する」と説明。異論はなかった。
 会合では、運営主体の日本原子力研究開発機構の組織見直しを集中的に議論した。

(共同)
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コメント
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●原発推進国同士が手を携えて原発輸出、さらに「死の商人」へ: どうやら「恥」という概念は無いらしい

2013年06月13日 00時00分03秒 | Weblog


原発推進仲間のフランスとの原発推進ゴッゴについてのasahi.comの記事など(http://www.asahi.com/politics/update/0607/TKY201306070074.htmlhttp://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1、6月8日)、東京新聞の記事など(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013060701002127.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013060802000125.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013060802000123.html)。

 あの菅直人元首相でさえが、「」と言ったのです。3.11東京電力原発人災で世界中の人たちに迷惑をかけた我が国が原発を推進し、輸出することに対して。

   『●再び原発人災が発生した時、原発推進派議員に何ができるのか?
   『●東京電力原発人災処理、計画性もヘッタクレもなく
   『●原発で働く: 「コスト優先」、「命は二の次」
   『●敦賀原発廃炉に向けて足踏み: 自民党による政治的圧力?
   『●原発推進のために何でもする人たち
   『●もんじゅ: 責任者に責任を取っていただきましょう
   『●「成長戦略に「原発の活用」」: あ~恥ずかしい政権、恥ずかしい国
   『●「原発さえなければ」「福島の百姓は終わりだ」: 東京電力原発人災と自殺には因果関係あり

 原発推進国同士が手を携えて原発輸出をし、さらに武器輸出三原則の緩和による「武器の共同開発」まで言い始める始末で、「原子力=核」(兵器)でもあり、まさに「死の商人」へ向かっている、と言われても返す言葉がないだろう。こういった人たちには、どうやら「」という概念は無いらしい。

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http://www.asahi.com/politics/update/0607/TKY201306070074.html

2013年6月7日13時37分
「原発は重要」日仏首脳会談、共同開発・輸出協力を確認

 安倍晋三首相は7日、オランド仏大統領と首相官邸で会談した。両首脳は「原子力発電が重要との認識で一致し、日本での核燃料サイクルや、原発の共同開発・輸出の推進について協力を確認。武器輸出三原則の緩和をふまえた武器の共同開発でも合意し、会談後にこれらを盛り込んだ共同声明を発表した。

 両首脳は会談冒頭に「パートナーシップ強化」を表明。共同声明では原発について、東京電力福島第一原発の事故もふまえて「安全性の強化が優先課題であることを共有し、原子力規制当局間の協力を拡大」と言及しつつも、仏と協力して再稼働や輸出を重視する安倍政権の姿勢を強調した。

 使用済み核燃料を処理して再び使えるようにする核燃料サイクルに関し、青森県の再処理工場の「安全で安定的な操業の開始」で一致。会談後に、日本原燃が10月の完成を目指す工場の稼働に仏アレバ社が協力する覚書が交わされた。

・・・・・・・・・。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1、6月8日】

2013年6月8日(土)付
日仏共同声明―これは原発推進政権

 フランスは世界屈指の原子力依存国家である。その国との協力の名のもと、安倍政権は、総選挙で公約した原発依存を減らす方向とは逆向きに突っ走る

 これでは原発推進政権だ。そんな風にしか見えない。

 来日したオランド大統領と安倍首相が会談し、「原子力発電が重要である」との共同声明を出した。青森県六ケ所村の再処理工場の操業開始など核燃料サイクルへの支援や、高速炉の技術開発協力、第三国への原発輸出での連携を盛り込んだ。

 福島第一原発の事故から2年あまり。まだその収束もできておらず、除染や被災者の帰還も実現していない

 福井県内の原発敷地で新たに活断層が見つかるなど、地震国ならではの危険性もあらわになった。安倍政権になってから多くの国民は原発に依存する社会からの脱却を望んでいる

 そんな中での日仏両国による「原発重視」宣言である。確かに、フランスから実績がある廃炉や廃棄物管理について知恵を借りる手はあるかもしれない。しかし、ほかは首をかしげることばかりだ。

 最大の問題は、行き詰まっている核燃料サイクル事業での協力を打ちだしたことだ

 中核を占める高速増殖炉「もんじゅ」については、原子力規制委員会が先月、1万近い機器の点検を怠っていたことを理由に使用停止を命じた。技術的にも実現のめどが立っておらず、廃炉にするのが現実的だ。

 やはりトラブル続きだった六ケ所村の再処理工場は、仮に稼働の道が開けたとしても、使うあてのないプルトニウムが増えることになる

 世界の非核国で唯一、大規模な再処理工場を持つ日本が、核保有国のフランスと協力してプルトニウムの増産に突き進むことは、核拡散を防ぐ国際体制に限りなくマイナスである。

 核保有国と被爆国とがこういう形で手を組むのでは、結局、核兵器もできる物質を持ったほうが得だとの考えが広まりかねない。日仏は、核燃料サイクルではなく、核拡散防止で力を合わせるべきだ。

 安倍政権は最近、原発推進に前のめりな姿勢を鮮明にしてきた。成長戦略の中に原発活用を位置づけ、中東、インド、フランスに続き、今月中旬に訪れるポーランドでも東欧との原子力協力をうたう。

 国民には綿密な説明を尽くさないまま、対外協力を利用して、なし崩しに原発推進へと政策のかじを切るのは不誠実というほかない
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013060701002127.html

仏大統領「原発政策で共に協力」 国会で演説
2013年6月7日 19時15分

 来日中のフランスのオランド大統領は7日、参院本会議場で衆参両院議員を前に演説し、原子力政策について「安全基準や廃炉に関し、日本とフランスは共に協力し合わなければならない」と述べ、連携強化を呼び掛けた。

 東京電力福島第1原発事故に触れて「経験を教訓とし、同じような悲惨な事故が再び起きないようにしなければならない」と強調。原発を稼働する各国に安全基準の徹底を求めていく姿勢を示した。

 1月のアルジェリア人質事件で日仏両国民が犠牲となったことには「テロに対して共に戦わなければならない」と指摘。北朝鮮やイランの核開発を「許すべきではない」と明言した。

(共同)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013060802000125.html

【社説】
日仏首脳会談 方向性が違うのでは
2013年6月8日

 安倍晋三首相は、来日したフランスのオランド大統領と日仏首脳会談を行った。原発の第三国への輸出や核燃料サイクル政策で連携することを確認したが、進むべき方向が違うのではないか。

 認識があまりに違うと言わざるを得ない。会談後の共同記者会見で、安倍首相から発せられた言葉に対してである。

 「世界の安全水準を一層高めていく観点から、日本の原子力技術への期待に応えていく」。福島第一原発でレベル7という史上最悪の過酷事故を起こし、いまだ原因も究明できず収束の道筋すら見えていない状況下にあるのにだ

 首脳会談では、米国に次ぐ世界第二の原発大国であるフランスとの間で、核燃料サイクルの技術開発で連携するとともに、アジアや中東諸国への原発輸出の拡大も目指していくとした。

 安全面で完全に信用が失われ、事実上の破綻状態にある核燃料サイクル政策を、実績のあるフランスの協力を得て維持していこうというのである。

 しかし、中核施設である日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)は、運転停止中のうえ、最近も一万点もの点検漏れが発覚し、原子力規制委員会から運転再開の停止命令を受けたばかりだ。青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理施設も、一九九七年の完成予定だったのに、技術的な問題で操業のめどが立っていない。

 民主党政権では核燃料サイクル政策は抜本的見直しの対象と見切りをつけつつあったが、安倍首相が就任すると「継続して進めていく」との立場に一転した。

 フランスは、発電に占める原発依存度が八割近い原発大国だが、オランド大統領は昨年の大統領選の公約で「二〇二五年までに五割に下げる」と表明。国内原発は実は縮小する方向なのである。それに対し、凄惨(せいさん)な事故も忘れたかのように原発再稼働を急ぐ安倍政権の姿勢は、明らかに異様だ。

 共同声明では福島原発の廃炉や除染の共同研究を進めることで合意したが、それだけで十分ではないか。避難や仮設住宅住まいがなお続く被災者に思いをはせれば何よりもフクシマの収束を優先させ、それ以前の再稼働や原発輸出などあまりに無神経すぎる

 国際社会からみて、あれだけの事故を起こしつつ、なお原発に固執する政治姿勢がどう映るのか、よく考えてみるべきだ
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013060802000123.html

【コラム】
筆洗
2013年6月8日

 「抑えきれなくなった核の力は、私たちの思考方法以外のすべてを変えた。そうして、私たちは未曽有の惨禍へと漂っていく」。知の巨人アインシュタイン博士の言葉だ▼博士は、ナチスが原子爆弾を手にすることを恐れ、米国が核開発で先手を取ることを促した。ヒロシマ、ナガサキの惨禍に衝撃を受けた博士が、一九四六年に社会に向けて警鐘を鳴らしたのが、冒頭の言葉である▼博士が懸念したのは、核を使った最終戦争だった。それは幸い、今のところ起きてはいないが、人類は違った形で核の巨大な力が暴走する恐ろしさを知ることになった。チェルノブイリと福島での炉心溶融事故だ▼核の惨禍を繰り返し目にしてもなお、思考方法を変えようとしない人が、少なからずいるようだ。安倍晋三首相とフランスのオランド大統領は、その代表だろう。両首脳はきのう、首脳会談で「原子力発電が重要であること」を確認し合い、手を携えて各国に原発を輸出していくことを約束した▼福島で炉心溶融がどのように、起きたのか。津波ではなく地震の揺れで既に損傷していたのではないか。安全対策にとり決定的に重要なことも検証せぬまま、原発を動かし、各国に売り広げようとする▼アインシュタイン博士はこんな至言も残した。「狂気…それは、同じ事を何度も繰り返しながら、違った結果を期待することだ」
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●日本原子力発電がウラン燃料を売却、一方、日本原燃は再処理計画

2013年03月07日 00時00分46秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013022102000135.html)と朝日新聞の社説(http://www.asahi.com/paper/editorial.html、2013年2月25日)、そして、西日本新聞の記事(http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/347528)。

[※ブログ主: すいません、勝手に画像を貼らせていただきます。東京新聞の同記事より]



 日本原電が一部のウラン燃料を売却したそうだ。「原発停止の長期化で経営が追い詰められている実態が浮き彫りになった」。一体どこに売却したのかも気になるところ。また、「「原発の後始末」に早く着手しなければならない」のに、原発再稼働・原発建設再開・原発輸出なんて考えているのだから、どうしようもない。
 一方、日本原燃は、「使用済み核燃料再処理工場(試運転中)で、2013年度からの3年間にプルトニウムとウランを混ぜた酸化物(MOX)の粉末を約16・3トン製造する計画を立て、9日までに原子力規制委員会に提出」した。まだ、核燃サイクルに幻想を抱き、市民に「安全神話」を押し付けようとしている。抽出されたプルトニウムの一部は核兵器にも転用され得るわけで、「原子力=核(兵器)」を理解する必要が。未だに核燃サイクルに幻想を抱いていることにウンザリ。ホントにこんなに危険な工場を動かすつもりか、正気か??

   『●「疑わしきは活断層に」: 断層の上に核燃料サイクル施設?
   『●破綻した核燃サイクル: なぜ核分裂性プルトニウムをため込むのか?
   『●「原子力」と「核」、言葉は違えど「原発=原爆」である
   『●小出裕章さん、核=原子力は「違憲」という視点

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013022102000135.html

日本原電、一部ウラン売却 東電も検討 借金返済で異例対応
2013年2月21日 朝刊

 大手電力会社が出資する日本原子力発電(東京)が、原発の燃料であるウランの一部を売却していたことが二十日分かった。保有する原発三基が再稼働する見通しが立たず、四月に支払期限を迎える銀行からの借金の返済資金を確保するため、当面使う予定がないウランの一部を手放す方向となったとみられる。
 資金繰りに苦しむ東京電力も保有するウランの売却が可能かどうか検討している。ウランは原発の運転に不可欠で調達先も限られており、電力会社が売却するのは異例。原発停止の長期化で経営が追い詰められている実態が浮き彫りになった。
 日本原電は「(ウランなどの)具体的な調達関係についてはお答えできない」(広報)として売却先などを明らかにしていない
 関係者によると、軍事転用の恐れもあるウランは、売り主との長期契約が基本。日本の電力各社は主にカナダなど海外の資源会社から輸入している。手放す場合、売り主の事業者に引き取ってもらう形があり、日本原電もこの方法を取った可能性が強い。ただ購入価格より安く売ることになるので「よほどの事態でないと売却しない」(大手電力幹部)という。
 原子力専門の発電会社である日本原電は、敦賀原発2号機(福井県)の建屋直下に活断層がある疑いが原子力規制委員会に指摘され、廃炉の可能性が浮上。残る二基も停止中で、経営の先行きが不透明になっている。
 関係者によると、四月に期限を迎える借金のうち約四百億円は、ウラン売却に加え、給与引き下げといった経営合理化などで返済資金のめどが立った。これとは別に、大手電力が支払いを保証している約一千億円の借金は、大手が四月以降も保証を続ける方向。取引銀行も融資を継続する構えだが、原発の再稼働は依然難しく、大手電力などと生き残り策を協議している。
 東電もウラン売却は「選択肢の一つ」(幹部)としている。福島第一原発(福島県)の廃炉や賠償などで巨額の資金が必要になっているためだ。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html、2013年2月25日】

社説
2013年2月25日(月)付

日本原電―原発の後始末に着手を

 原発を専業とする日本原子力発電(日本原電)の行き詰まりが表面化した。
 敦賀原発(福井県)など、保有している原発を動かすめどが立たないなかで、4月に返済期日を迎える借入金の借り換えがむずかしくなった。
 とりあえず、原電の株主で電気も買っている大手電力4社を中心に、債務保証や資金支援でしのぐ方向だという。
 だが、当事者たちも認めるとおり、「一時的な救済策」にすぎない。
 日本原電がもつ休止中の原発3基は、敷地内で活断層の存在が指摘されたり、運転期間の寿命とされる40年をすぎていたり地元自治体が再稼働に反対していたりする。今後も稼働は困難だと考えるべきだろう。
 事実上の清算処理を視野に入れざるをえない。
 やっかいなのは、ふつうの企業のように債権債務を整理して終わり、とはいかない点だ。
 使用済み核燃料の保管という問題がある。廃炉では、放射性物質に汚染された施設を、長い年月をかけて安全に処理しなければならない。すでに廃炉作業に入っている原発も1基ある。
 原電を整理する際、こうした負の資産を、責任をもって引き受ける受け皿が必要だ。
 貸手である金融機関の責任を問うにしても、新たな資金が必要になる。
 本来は事業者が廃炉に必要な費用を積み立てておくのがルールだが、予定より早く止まることもあり、原電は十分な積立金を確保できていない。
 電力業界全体も原発に代わる火力発電の燃料費増大などから経営環境が厳しくなっている。
 地域独占に安住し、もたれ合いのなかで原発依存を進めてきたツケがまわった形だが、一つのほころびが連鎖反応を呼びかねない。
 原発推進は国策でもあった。電力の安定供給に支障が出るようなシステム危機を避けるためにも、政治がきちんと関与していくべきだ。
 むろん、電力会社の経営への波及を恐れて、原発維持に動くのは本末転倒である。
 民主党政権下では、国内の原発を特定の事業体に集約し、安全管理や廃炉作業を担うといった考えも浮上していた。
 今後の原発政策全体をにらんで、原電の抜本処理を進めることが不可欠だ。
 だれが、どのように負担していくべきか。廃炉の技術や人材の確保を含めて、「原発の後始末」に早く着手しなければならない
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http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/347528

核分裂プルトニウムは5トン 日本原燃の再処理計画

 日本原燃は青森県六ケ所村使用済み核燃料再処理工場(試運転中)で、2013年度からの3年間にプルトニウムとウランを混ぜた酸化物(MOX)の粉末を約16・3トン製造する計画を立て、9日までに原子力規制委員会に提出した。粉末には核兵器の材料にもなる核分裂性プルトニウム約5トンも含まれる

 余剰プルトニウムに対する国際社会の批判は厳しい。日本は既に約29・6トン保有している上、消費が進まず増える可能性が高いため、批判がさらに強まりそうだ。

 再処理工場の完成は今年10月を目指しているが、運転開始はずれ込む可能性がある。
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●原発推進の無自覚さ: 「フクシマ」のフの字もなし

2013年02月08日 00時00分37秒 | Weblog


gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/140743)。

 選挙前からわかっていたわけで、それでも選んだのだから仕方ないのでしょうが、腹が立って仕方ない。

   『●田中優子さん「誰の名前を書くのか、その人の品格が問われている」

 さんざん原発を推進してきた自民党が何の反省もせずに、再び原発推進しようというのだから、尚更だ。原発推進派の自民党議員に投票した人たちの多くが、どうもその辺に何の痛みも感じていないのではないかと疑われるのだけれども・・・・・・残念ながら根拠を持ち合わせていない。「「原発再稼働について」は賛成35%、反対49%、「原発を段階的に減らし、将来はやめることについて」は賛成75%、反対16%と、国民の圧倒的多数は依然、原発ゼロを望んでいるのに」、自民党が大勝できたのだから、やはり選挙制度の問題か。

   『●小選挙区制という幻想: 「死票が7割も出る制度」
   『●小選挙区制という選挙制度もデタラメならば、政治家選びも未熟
   『●「原発事故は終わっていない」
   『●民意薄き圧勝: 原発推進してきた自民党
   『●石川真澄さんを思い出す: 小選挙区制、そして、低投票率

 原発推進派の自民党議員に投票した人たちの多くは、少なくとも、以下のような「フザ」けて「あまりにムチャクチャ」な「原発再稼働の理由」を気にもしないだろうし、何も感じないでしょうね・・・・・・これも推測。しっかし、酷い理由だな、「フクシマ」のフの字もない。

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http://gendai.net/articles/view/syakai/140743

自民党「原発推進」のフザケた理由
2013年1月31日掲載

「円安」だから「再稼働」

 案の定、日本は「原発推進」に逆戻りしそうだ。

 30日の衆院代表質問で、安倍首相は「2030年代に原発ゼロ」という民主党政権時代のエネルギー政策について「ゼロベースで見直す」と断言したのだ。さらに、茂木経産相は30日、電力会社の業界団体「電事連」との意見交換会を再開。民主党政権では原発事故後、一度も開かれていなかったのに、アッサリ元通りである。都内のホテル宴会場には、電力10社と電源開発(Jパワー)、日本原子力発電日本原燃の計13社の首脳が顔を揃え、茂木は「安全性を確認した原発については、国の責任再稼働をしっかり進める」と応じてみせた。

 今月22日の朝日新聞の世論調査では、「原発再稼働について」は賛成35%、反対49%、「原発を段階的に減らし、将来はやめることについて」は賛成75%、反対16%と、国民の圧倒的多数は依然、原発ゼロを望んでいるのに、選挙で圧勝したのをいいことに、一気に原発を再稼働させるつもりだ。

 フザケているのは、「円安」を理由にして原発を再稼働させようとしていることだ。

   「いま、財界や原子力村が訴えているのは、『このまま円安が続いたら、
    輸入している燃料費が上がり電気代が高騰する』『早く原発を稼働させるべきだ』
    というキャンペーンです。しかし、日銀を恫喝して円安にしたのは、安倍政権です。
    自分たちで円安を“誘導”しておきながら、燃料費が上がるとワーワー騒ぐ
    こんなマッチポンプで原発再稼働が正当化されるなんて、
    あまりにムチャクチャすぎます」(民間シンクタンク研究員)

 やはり、衆院選で自民党を勝たせすぎたのではないか。
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●「九電本店前ひろば」「経産省前テントひろば」の継続した抗議行動

2013年01月09日 00時00分30秒 | Weblog


「経産省前テントひろば」について、山岡俊介さんのアクセスジャーナルの記事(http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/、1月4日付)と東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013010502000086.html)。大都会が大量の「核のゴミ」を生み出すという東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013010590070246.html)。

 「とある暴力集団」の嫌がらせにもめげず「九電本店前ひろば」もまだ継続して続いている(例えば、『[CML 021950] 【報告】第628日目報告★原発とめよう!九電本店前ひろば★』、http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-January/021788.html)。本当にすごいことだし、頭が下がる。一方、「経産省前テントひろば」も同様である(例えば、『[CML 021908] <テント日誌 1/2(水) 経産前省テント広場―479日目>』、http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-January/021744.html)。
 こういった抗議行動の継続は、もんじゅ君の言っていた「脱原発は、三歩すすんで二歩さがる」「「さしひき1歩を積み重ねて、社会は変わっていくような気がするよ」に通ずる話だと思う。

   『●東京電力人災以降も、原発推進の姿勢を変えず

 最後の記事から、東京といった大都市が如何に、日々、「核のゴミ」を生み出し続けているかが分かる。まずは、一日でも早く全原発の停止が必要であるか、が分かる。それは可能であり、一昨年、昨年と既に実証されたことである。松下竜一さん「暗闇の思想」を実践できることは明らかだ。原発推進に最も責任があり、核兵器転用ももくろんでいる自民党に、原発再稼働・原発建設再開・原発輸出、核燃サイクルの継続などをさせてはならない、と強く思った。

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http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/、1月4日付】

2013/01/04
原発推進の安倍政権に立ち向かう経産省前テントひろば”――年始早々に決起集会
執筆者: Yamaoka (9:33 pm)

 この間、東京で反原発運動の台風の目になって来たのは、首相官邸や国会前で数万人規模の参加者を集めた「首都圏反原発連合」だが、もうひとつ「経産省前テントひろば」も欠かせない。
 福島第一原発事故が起きた2011年。この年の9月11日に経産省前に突如、脱原発を掲げるテントが立ち上がった。以後、経産省職員や警察、右翼団体の妨害にもめげず、反原発の広範な世論を背景に、運動の拠点として維持されて来た。
 本日(1月4日)午後5時、このテント前で決起集会が開かれ、寒風吹きすさぶなか200人ほどの市民が集まった。
 テント広場代表の渕上太郎氏は「481日目を迎えた。いま原発推進の自民党政権になって、新たな撤去攻撃の可能性がある。しかしテントは断固守る。自ら撤退することはあり得ない。ともに守ろう!」とあいさつ。
 続いてミニコンサート。ロックバンド「頭脳警察」のボーカル・パンタ(横左写真)が、アイドルグループ「制服向上委員会」のコーラスで、脱原発ソングを歌って場を盛り上げた。
 福島県民の女性2人(上右写真)が登壇した。

   「いま福島は“地産地消”が叫ばれ、住宅手当も打ち切られて、
    まさに収容所状態です。子どもたちは今もガラスバッジを
    持たされています。この福島の現状を忘れないでください」。
   「安倍首相の奥さんの昭恵さんは、本気で原発に反対しているらしい。
    昭恵さん、旦那を教育してください。私も夫を説得する」。

 ・・・・・・・・・。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013010502000086.html

原発推進回帰」 安倍内閣を批判 テント村市民が会見
2013年1月5日 朝刊

 経済産業省の敷地内でテントを張り、脱原発を訴える市民グループが四日、記者会見し、原発新設や再稼働を容認する姿勢を見せる安倍内閣を「原発推進の道に舞い戻ろうとしている」と批判。一方で、政権が代わったことで、テント村が撤去されるのではと危惧しているともいい、「民主的な手続きで対抗し、今後も抗議活動を続けたい」と述べた。
 代表の淵上太郎さん(70)は「東京電力福島第一原発事故は、原発が非常に危険で、人間がコントロールできない根本的な問題を抱えていることを証明した」と指摘。「安全ではない原発は動かさないでほしい。科学的に安全が保障できない原発は再稼働しないでほしい。私たちは、脱原発とわが国の民主主義をかけて、ここに存在している」と訴えた。
 原発事故で警戒区域に指定された福島県富岡町に自宅があり、水戸市内で避難生活をする主婦木田節子さん(58)は「福島原発の事故が収束していないことは、安倍さんや原発に関わる人たちは分かっているはず。一人の人間として大事なことは何かを考えてほしい」と話していた。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013010590070246.html

核のごみ 地方に負担 東京、鳥取の55倍排出 電力量で試算
2013年1月5日 07時02分

 原発で使い終わった燃料のごみ(使用済み核燃料)を、各都道府県がどれだけ出しているかを試算すると、二〇〇七~一一年の五年間では、最も多い東京は最も少ない鳥取の五十五倍にのぼることが分かった。原発を持つ電力十社への取材を基に、都道府県ごとの家庭などの使用電力量の多少に当てはめて、燃料のごみの想定排出量を算出した。 (望月衣塑子

 想定排出量は大阪、名古屋など大都市を抱える上位六都府県で全体の約41%を占めている。電力の大消費地が大量の燃料のごみを出す一方、燃料のごみを施設内で保管する原発立地自治体や、ごみが全国から運び込まれる青森県・六ケ所村に負担を強いている現状を浮き上がらせた。ふだん実感しにくいが、電力消費の多い自治体は排出量も多くなる。
 十電力会社の総排出量は五年間の合計で約三千六百三十九トン(ウラン換算)。これを都道府県ごとの家庭などの使用電力量に応じて当てはめると、想定排出量は東京が三五九・一トン、次いで大阪は三三九・五トンと算出される。一方で、最も少ない鳥取は六・五トン、次いで島根が八・一トンにとどまる。
 六ケ所村に再処理施設を持つ青森の想定排出量は計算上、二七・五トンだ。しかし、日本原燃によると、実際に六ケ所村に搬入された全国の燃料のごみは五年間で計千七十四トン。青森が排出する量の約四十倍が、全国から運び込まれていることになる。
 最大の原発立地県である福井をみると、使用電力量から試算した想定排出量は四一・三トンにとどまる。福井は関西、北陸両電力から供給を受けているが、福井に原発を持つ関西電力は、ここで五年間に計七百九十九トンの燃料のごみを出している。福井はその約半分を原発施設内に保管したままだ。
 本来、排出量が少ないはずの福井や青森などの自治体が、燃料のごみの保管で大きな負担を強いられる現状には、これまでも不満の声が上がってきた。
 福井は「電力消費地の自治体にも、中間貯蔵を含めた保管の在り方を検討してほしい」と国に繰り返し要望した。経済産業省は昨年十一月二十六日付で、全国の自治体へ「使用済み核燃料対策協議会」への参加を求める文書を送った。燃料のごみの保管や、再処理する核燃料サイクルの問題に関して、消費地の自治体も加えて話し合う見込みだった。しかし、年末の政権交代を経て、協議会の先行きは不確かな情勢だ。
 最大消費地の東京は「政権交代で国の方針が見えず、都知事が交代したいま、協議会への参加の是非は未定だ」と回答。大阪も同様で、協議会への参加意思を国に示した自治体は現在、原発関連施設を持つ福井と茨城の二県にとどまる。
 原子力資料情報室伴英幸共同代表は「安全性を考慮した場合、使用済み核燃料を原発関連施設のある自治体で保管するのは、現実的ともいえるが、不公平感は否めない。大都市をはじめ電力消費地の自治体は今後、排出した燃料への対応を真剣に考えるべきで、新たに集中貯蔵施設を建てる場合は、都市部も含めて候補地の検討が必要だ」と指摘する。

<想定排出量> 原発を運転すると必ず出る使用済み核燃料を、各都道府県がどれだけ想定上、排出しているかを示す。各電力会社が実際に出した使用済み核燃料の量を、各電力管内の都道府県がそれぞれの使用電力量の比率に応じて排出したとみて、排出量を割り当てた。

(東京新聞)
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