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●樋口英明さん《脱原発を妨げているのは「原発回帰にかじを切った岸田(文雄)政権でも、電力会社でもない。私たちの先入観だ」と話した》

2024年05月06日 00時00分52秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二 著) 朝日新聞出版↑]


(2024年04月25日[木])
樋口英明さん《「日本の原発はそれなりに安全だろうという先入観が脱原発を妨げる」…「原発回帰にかじを切った岸田(文雄)政権でも、電力会社でもない。私たちの先入観だ」》、この《私たちの先入観》を払しょくするために ➙ ニッポンの核発電所は「民間の耐震住宅並みの強度は達成できていますよね」という簡単な質問を電力会社や原子力「推進」委員会、キシダメ政権に尋ねてみましょう。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、
     その下で電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
    《原発訴訟で原告勝訴を決めた、たった3人の裁判長――
     その苦悩を描いたのが『原発に挑んだ裁判官』(朝日文庫、
     著・磯村健太郎山口栄二、660円)だ。元京都大学原子炉
     実験所助教・小出裕章氏が評論する》
    《本書の解説を書いている千葉大学名誉教授の新藤宗幸氏によると、
     フクシマ事故以前に提訴された原発訴訟は、国を相手にした
     行政訴訟が12件、建設・運転差し止めの民事訴訟が6件だった
     そうだ。そのうち、住民側勝訴を言い渡したのは、
     高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の設置許可の無効を確認した
     名古屋高裁金沢支部判決(川崎和夫裁判長)と、北陸電力
     志賀原発2号機の運転差し止めを命じた金沢地裁判決
     (井戸謙一裁判長)の2件だけであった。フクシマ事故以降には、
     関西電力大飯原発3、4号機訴訟で運転差し止めを認め、住民を
     勝訴させた福井地裁判決(樋口英明裁判長)も出た。
     それら3人の裁判長の苦悩と闘いを描いたのが本書である》

 内藤陽記者による、毎日新聞の記事【「原発安全」は思い込み、耐震性も低い 元裁判長、樋口氏が講演】(https://mainichi.jp/articles/20240424/k00/00m/040/075000c)。《関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め訴訟で、2014年に再稼働を認めない判決を出した元福井地裁裁判長、樋口英明氏(71)が新潟県柏崎市で講演した。樋口氏は能登半島地震(M7・6)発生時の北陸電力志賀原発の例から、原発の耐震性の低さを指摘。「日本の原発はそれなりに安全だろうという先入観が脱原発を妨げる」と主張した。講演のテーマは「能登半島地震と原発」。》《脱原発を妨げているのは「原発回帰にかじを切った岸田(文雄)政権でも、電力会社でもない。私たちの先入観だ」と話した》。

 ニッポンの核発電所の耐震性は「民間の耐震住宅並みの強度よりもはるかに劣る

   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を
    《日本では2000年以降、千ガル以上の地震が18回(ガルは揺れの
     強さを表す単位)、七百ガル以上は31回起きていることを示す。
     そのうえで、「民間の耐震住宅並みの強度は達成できていますよね
     と質問すると、社長たちは、答えに窮する。なぜなら、住友林業、
     三井ホームの耐震性は、3400ガル、5100ガルだが、伊方原発
     650ガル高浜原発700ガル日本の原発の耐震性は非常に低い
     からだ。
      国民の多くは、原発は民間住宅の何倍も頑丈に作られている
     と信じている。…三つ目に、避難計画の万全性を担保する
     ために原子力規制委員会の審査を受けろと要求する。実際には
     審査されていないからだ。国民は「えっ?避難計画は規制委の
     審査を受けたんじゃないの?」と驚き、審査してもらえとなる
     だが、専門家が審査したら、絶対に今の避難計画では通らない

   『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
     うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…

 元裁判官の樋口英明さん《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》、《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》。
 古賀茂明さん《11年の東日本大震災の最大の揺れは2933ガル(「ガル」は、地震の強さを測る単位)。21世紀最大の揺れは、08年岩手・宮城内陸地震の4022ガルだ。16年の熊本地震は1700台。今世紀の1000ガル以上の地震は18回とかなりの頻度だ。原発の耐震設計基準はと言えば、大飯原発が設計時に405ガル後に856ガルまで大丈夫だとされたが、他の原発も1000以下が多い。一方、三井ホームの耐震性は5115ガル、住友林業の住宅は3406ガルで、日本の原発がいかに地震に弱いかがわかる》。志賀核発電所では、《1号機で最大957ガルを観測し…2号機も…871ガル》。

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https://mainichi.jp/articles/20240424/k00/00m/040/075000c

「原発安全」は思い込み、耐震性も低い 元裁判長、樋口氏が講演
024/4/24 11:13(最終更新 4/24 11:13)

     (「国策である原発政策が安全性を軽視するわけがない
      というのは先入観だ」と話す樋口氏=新潟県柏崎市駅前の
      市文化会館アルフォーレで2024年4月7日、内藤陽撮影)

 関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め訴訟で、2014年に再稼働を認めない判決を出した元福井地裁裁判長樋口英明氏(71)が新潟県柏崎市で講演した。樋口氏は能登半島地震(M7・6)発生時の北陸電力志賀原発の例から、原発の耐震性の低さを指摘。「日本の原発はそれなりに安全だろうという先入観が脱原発を妨げる」と主張した。

 講演のテーマは「能登半島地震と原発」。地元住民団体「原発を再稼働させない柏崎刈羽の会」(本間保・共同代表)の主催で7日にあり、市民ら約160人が耳を傾けた。

 能登半島地震では、石川県志賀町で最大震度7、北陸電力志賀原発(同町)で震度5強を記録した。志賀原発では外部電源から電力を受ける変圧器が破損し、2万3400リットルの油が漏れた。樋口氏は原発の耐震性について「一般に考えられているよりはるかに低い」と指摘した。

 「原発に関心のない人は、日本の原発はそれなりには安全だろう思い込んでいる」とし、福島第1原発事故までは自身もその一人だったと告白。「日本の原発の最大の弱点は耐震性だが、私たちは耐震性が高い思い込んでしまっている」と話した。脱原発を妨げているのは「原発回帰にかじを切った岸田(文雄)政権でも、電力会社でもない。私たちの先入観だ」と話した。

 また樋口氏は原発の本質とは「原発は人が管理し続けなければ暴走する」「暴走時の被害は想像を絶するほど大きい」の二つだとし、「(これを理解していなければ)間違った判決や政策になると結論付けた。【内藤陽】
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●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所…「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ

2024年01月05日 00時00分19秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2024年01月04日[木])
能登半島地震の被災者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く安寧な生活に戻られることを祈念しています。
 それにしても、3.11以降でさえも、軍事費は倍増しても、防災や復興のための備えが全くなされてこなかったことが残念でなりません。アベ様をはじめ、カルトとヅボヅボな利権政党が云う「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の実情は無残過ぎる。アノ馳浩石川県知事も…。さらに、《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?

   『●西日本大豪雨…「国民の生命と財産を守るって、
     口だけじゃないか」「博打の議論なんてやっている場合か」
   『●《どうして海外に何兆円とばらまいているのに、自国の困った国民の
     暮らしに回せないのかといつも思う。優先順位が狂っているのである》
    「赤坂自民亭なもの、害遊、軍事費倍増…やってる場合なのかね。
     豪雨で久留米・田主丸や秋田などなどが酷いことになっているのに、
     何やってんの、キシダメ首相は? 軍事費などよりも、災害対応に
     予算を回しなさいよ。赤坂自民亭以降、「レッドサラマンダー」は、
     一体、何台増えたの? まさか1台増えて、2台? 」

 dot.の記事【〈能登半島地震の衝撃〉「全活断層を警戒すべき」「どこで起きてもおかしくない」 専門家が防災を促す本当の理由/野村昌二】(https://dot.asahi.com/articles/-/210490)によると、《2024年1月1日に起こった石川県能登地方を震源とする強い地震の被害が、明らかになってきている。能登半島では20年12月から群発地震が報告されており、流体の関与が指摘されてきた。今回の地震もその発生領域で起きたことから、一連の活動とみられる。ただ、流体が関与したかやそのメカニズムはまだはっきりしない。未知の断層との関連も指摘されている》。

 珠洲核発電所の建設計画の凍結、その正しい判断が、このような形で立証されたことが哀しい。
 一方、志賀核発電所の対応の酷さ。「未知の断層」がまだまだ存在する地震大国で、断層の上に志賀核発電所を造ってしまったデタラメな「利権」「裏金」党政権。

   『●金沢地裁原発差し止め判決: 井戸謙一元裁判官
    《2006年3月、金沢地裁―志賀原発訴訟で国策に逆らう判決を
     下すまでの重圧と苦悩 唯一の原発差し止め判事
     (井戸謙一元裁判長)「私がNOを突きつけた理由」》
    《再稼働差し止め求め仮処分=関電原発の7基対象に住民-大津地裁
     2011年8月2日16時6分…代理人の一人の井戸謙一弁護士は
     記者会見で「第二のフクシマを起こしてはならないという強い決意を
     政府、電力会社、国民が持つべきだ」と述べた》

   『●海渡雄一氏インタビュー「原発と司法」
   『●原発裁判はどれも完敗:
         井戸謙一元裁判官と小出裕章さんの対話

   『●そりゃぁ、東京電力原発人災以降を見ただけでも、
                       「司法」にも絶望するよな

   『●井戸謙一元裁判官再び:
          最高裁は常に国側に、そして、努力は無駄に

   『●金沢地裁原発差し止め判決: 井戸謙一元裁判官
   『●志賀原発訴訟第二ラウンド: 裁判所は信頼を回復できるか?
   『●「自民党と政治権力」
        『週刊金曜日』(2013年7月19日、952号)について

   『●「鼻血問題」: 「原発関連死」と「死の街」発言
   『●東京電力原発人災鼻血問題: 
          風評被害に矮小化していて良いのか?
   『●井戸謙一さん「高浜3、4号機再稼働差止仮処分」
        …「仮処分決定は、直ちに効果が発生」、再稼働不能』 

   『●金沢地裁・井戸謙一元裁判長「「原子炉を運転してはならない」。
                自ら発した声に法廷はどよめいていた」
   『●「効率より安全、経済より命」: 井戸謙一元裁判長、
       樋口英明・山本善彦裁判長の声は班目春樹氏には…?
   『●北陸電力志賀核発電所の原子炉直下に活断層の存在を知りながら
               …再稼働のために一千億円以上もドブガネ
    《北陸電力 志賀原発(石川県)の直下を走る断層が、地震を起こす
     恐れのある活断層と認定された。活断層が連動して動く怖さは、
     熊本地震で骨身に染みた過去に学べば志賀原発は動かせない
    《原発事故から十年たった一九九六年の四月に現地入りした時、
     何度も聞いたのは、「悲劇は終わったのではなく、続いている
     という言葉だった…福島の事故後に新たに投じられることになった
     原発の追加安全対策費二兆円を軽く超えるという。北陸電力
     志賀原発など、複数の活断層があると指摘されたのに
     一千億円以上もかけ再稼働を図るという。活断層の恐ろしさは
     その目にどう映っているのか》

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
    《原発訴訟で原告勝訴を決めた、たった3人の裁判長――その苦悩
     描いたのが『原発に挑んだ裁判官』(朝日文庫、著・磯村健太郎
     山口栄二、660円)だ。元京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏が
     評論する。…そして裁判所も一体となり…。…北陸電力志賀原発
     2号機の運転差し止めを命じた金沢地裁判決(井戸謙一裁判長)…》

   『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
     確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)

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https://dot.asahi.com/articles/-/210490

能登半島地震の衝撃「全活断層を警戒すべき」「どこで起きてもおかしくない」 専門家が防災を促す本当の理由
2024/01/04/ 07:00
野村昌二

 2024年1月1日に起こった石川県能登地方を震源とする強い地震の被害が、明らかになってきている。能登半島では20年12月から群発地震が報告されており、流体の関与が指摘されてきた。今回の地震もその発生領域で起きたことから、一連の活動とみられる。ただ、流体が関与したかやそのメカニズムはまだはっきりしない。未知の断層との関連も指摘されている。全国の主要活断層について報じたAERA 2023年3月6日号の記事を再掲する(この記事は「AERA dot.」で2023年3月3日に掲載した記事を再編集したものです年齢、肩書は当時のまま)。


*  *  *


 2023年1月、国の地震調査研究推進本部(地震本部)は「主要活断層帯」を公表した。M7級以上の地震発生の危険度を「S」「A」「Z」「X」の4段階の「ランク」で分類。最も危険度が高いのが「Sランク」で、今後30年以内に地震が発生する確率が3%以上。次いで、「Aランク」は同0.1~3%未満、「Zランク」は同0.1%未満、「Xランク」は確率不明。ランク分けされているが、未調査の地域などでも地震は発生しており、専門家は「すべての活断層に注意が必要」と警鐘を鳴らす。

 Sランク活断層がないから安心というわけではない。九州大学大学院地震火山観測研究センターの松本聡教授(地震学)は注意を促す。

「一般的にM7クラス未満の地震は、地下の断層が動いた痕跡(こんせき)が地表に現れにくく、『未知の活断層もたくさんあります。活断層が見えているところは当然ですが、見えない場所でも注意は必要。いつ、どこで起きてもおかしくありません

 実際、08年の「岩手・宮城内陸地震」(M7.2)や18年の「北海道胆振東部地震」(M6.7)などは、それまで知られていなかった未知の活断層が引き起こしたとされている。

 日本活断層学会会長で名古屋大学の鈴木康弘教授(地理学)によれば、活断層には「一定の間隔で一定の規模の地震を起こす」という「固有地震説」があり、地震本部はそれに基づいて次の活動が近いと思われるものを、SあるいはAランクとして示している。しかし、実際には固有地震説には限界があり、例えば14年の長野県北部(白馬付近)の地震は「想定外」だった。予測より小さなM6.7だったが、それでも局所的に激しい揺れが生じ、約80棟が全壊するなど大きな被害が出た。鈴木教授は言う。

「XやZランクでも、活断層である限り注意を怠ってはいけません。混乱を生じかねない予測情報の取り扱いについて、政府ははっきり見解を示してほしい」


■自分の命守る備え

 地震本部地震調査委員長で東京大学の平田直(なおし)名誉教授(地震学)も、Sランクだけを見てそれ以外の場所は安心だと思ってはいけないと強く警鐘を鳴らす。

「顕著な活断層があるところは明らかに繰り返し地震があった場所なので、それを念頭に入れて対策を取ることは大切です。しかし、未調査の地域や活断層のない所で発生する地震も多く、特定の活断層だけを見て判断するのは防災上、極めてよくありません

 平田名誉教授は、個別の活断層だけではなく、周囲の活断層も含め地域全体で見ていくことが大切だという。

 例えば、関東地域はSランクの三浦半島断層群の30年以内の発生確率は6~11%だが、区域で見ると17%、さらに関東全域で見れば50%になる。これは南海トラフ地震の発生確率(60%程度)と比べ決して低くない。地震本部は関東の他、中国、四国、九州の「地域評価」を行っていて同本部のホームページで確認できる。

「日本列島の成り立ちを考えれば、日本中どこで大地震が起きてもおかしくありません。活断層がないから安心と考えるのではなく、いつ地震が起きてもいいよう対策を取ることが大切。建物の耐震化を進め、家具の転倒防止をするなど、自分の命を守るための備えをしておくことが重要です」(平田名誉教授)

 備えても備えすぎるということはない。食料や水などの備蓄も大切だ。いつか必ず起きる大地震に備え、対策はできているか。あの日から間もなく12年。3月11日を前に、改めて見直したい。(編集部・野村昌二

※AERA 2023年3月6日号より抜粋
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●《万が一にも大事故が起きれば…。そのようないたってシンプルな理由から原発の停止を命じた裁判官がいる。元福井地裁判事の樋口英明氏だ》

2023年09月05日 00時00分21秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


―――――― (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます



(2023年09月01日[金])
「デブリに触れた排水のALPS処理水」を単純に「処理水」と表現してもいいのか。
 「下水処理水」と云う時、有機物の除去率やSSの除去率が95%程度であり、「下水処理水」中に有機物やSSが5%程度残っていることを前提としているし、通常(二次処理)、無機の窒素やリンなどは7割程度が「下水処理水」に残存していることを含意している。その上で、「下水処理水」と呼ぶ。
 「デブリに触れた排水のALPS処理水」を単純に「処理水」と云う時、トリチウムは除去されず残存していること(希釈により濃度を下げていると云う〝引っ掛け〟もあり〝安心感〟も無駄に増量)までは想像できても、(核燃料とは遮断されているので、通常の核発電所排水には含まれない)多様な放射性物質が除去できずに残存していることを人々に想像させない。「デブリに触れた排水」の一部を「ALPS処理」しただけという点も強調されることが少ない。
 濃度ではなく、ポイントは排出される放射性物質の総量。半減期の長いものは、生物濃縮され、内部被ばくのリスクも上昇するから。タンクの貯留水(原水)のトリチウムや各放射性物質のそれぞれの」を明らかにすること。海水でいくら希釈しても、「量」は不変。トリチウムについて、検出限界以下に希釈した「処理水」の濃度を測っても何の意味も無い。検出限界以下となるように大幅に「薄めて」いるのだから。タンクの貯留水(原水)中にはトリチウムだけしかなく、それが検出限界以下なのであれば、希釈して排水する意味がない。海に放流すればさらに希釈されるのだから。
 「想定外」とした、アノ無能な農水相は「汚染水」と口にしてしまい、キシダメ首相から「処理水」と修正するように、お叱りを受けたらしい。馬鹿な話しだ。不毛。あれは、「汚染水」です。「下水処理水」とは意味が違う、#RadioactiveContaminatedWater

 さて、元福井地裁判事・樋口英明さん《私が大飯原発を止めた理由は4つです》。

   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

 神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【関東大震災から100年の節目に考える地震と原発と日本/マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1168回)】(https://www.videonews.com/marugeki-talk/1168)。《ゲスト 樋口英明 (ひぐち ひであき)元裁判官》、《そもそも原発は巨大地震に耐えられるようには設計されていない。そして、大地震で原発が何らかの形で損傷を受ければ、そこから先は何が起きてもおかしくない。そして、万が一にも大事故が起きれば、取り返しのつかないほどの国富が失われ、おびただしい数の人の人生が根底から狂わせられる。そのようないたってシンプルな理由から原発の停止を命じた裁判官がいる。元福井地裁判事の樋口英明氏だ》。

   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから
   『●核発電復権? 核発電所停止期間を控除? 「狂ったゴジラ」「老朽

     原発」「寿命核発電所」を再稼働したい? 福島の「原状回復」はいつ?
   『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
     確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、北海道から
               沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
         超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう必要などない
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行
   『●《通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体に
     とって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要》
    (長周新聞)《カナダでは、重水炉というトリチウムを多く出すタイプの
     原子炉が稼働後しばらくして住民のあいだで健康被害の増加が問題に
     された。調査の結果原発周辺都市では小児白血病や新生児死亡率が
     増加し、ダウン症候群が80%も増加した。またイギリスの
     セラフィールド再処理工場周辺地域の子どもたちの小児白血病増加に
     関して、サダンプト大学の教授は原因核種としてトリチウムと
     プルトニウムの関与を報告している》

   『●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める
      政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】
   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》では
     ないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」?
   『●#zutto_uso_datta、斉藤和義さん「#ずっとウソだった」。そして、「関係
     者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった
   『●既に実害…《「汚染水放出は危険・問題派」…汚染水放出そのものが
     すでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》
   『●《「海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす」
        …「太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」》
   『●息吐く様にウソをつく…「日本の原発でそういう事態は考えられない」、
     菅直人氏についてのデマ「メルマガ事件」、「汚染水漏えい問題はない」
   『●【全責任持つという無責任】…《漁業関係者は…反対…岸田文雄首相が
       「漁業が継続できるよう、全責任を持って対応する」として押し切った》
   『●《30年以上も放出が続けば長い半減期の放射性物質の総量は増え続ける

     ことにならないか。微量でも人体に入れば内部被ばくが起きる可能性》

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https://www.videonews.com/marugeki-talk/1168


【樋口英明×宮台真司×神保哲生:関東大震災から100年の節目に考える地震と原発と日本【ダイジェスト】】
https://youtu.be/I7qgJGTKPJA


2023年08月26日公開
関東大震災から100年の節目に考える地震と原発と日本
マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1168回)


ゲスト 樋口英明(ひぐち ひであき) 元裁判官
1952年三重県生まれ。京都大学法学部卒業。83年福岡地裁判事補に任官。大阪高裁判事、福井地裁判事などを経て2017年退官。著書に『南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々』、『私が原発を止めた理由』など。


概要
 9月1日で関東大震災から100年の節目を迎える。関東大震災では10万人以上が犠牲になっているが、日本は今ふたたび、向こう30年の間に8割の確率で関東大震災をしのぐ巨大地震に見舞われることが地震調査委員会によって予測されている。果たしてわれわれは大地震への備えはできているのだろうか。

 日本は地震大国であると同時に世界有数の原発大国だ。国内にある57基の原発のうち、現在稼働している原発は11にとどまるが、休止中の原発の中にも核燃料は保存されており、大地震の際のリスクは残る。また稼働中の原発も、大地震が起きると燃料棒の中に制御棒が挿入され自動的に緊急停止するよう設計されている。しかし、原発が止まった後も核燃料は冷やし続けなければならない。しかし、原発自体は発電を停止しているため、引き続き冷却システムを稼働させるためには原発以外から電源を確保する必要がある。福島第一原発の場合も原子炉は正常に緊急停止したが、周辺一帯も停電していたことに加え、バックアップ用のディーゼル電源が津波で水没し使い物にならなかったために、核燃料を冷やし続ける方法がなくなってしまい、メルトダウンという最悪の事態に至ったのだった。

 そもそも原発は巨大地震に耐えられるようには設計されていない。そして、大地震で原発が何らかの形で損傷を受ければ、そこから先は何が起きてもおかしくない。そして、万が一にも大事故が起きれば、取り返しのつかないほどの国富が失われ、おびただしい数の人の人生が根底から狂わせられる

 そのようないたってシンプルな理由から原発の停止を命じた裁判官いる。元福井地裁判事の樋口英明氏だ

 福井地裁の裁判官だった樋口氏は2014年5月21日、関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止め訴訟において、運転を差し止める判決を下している。その理由はいたってシンプルだ。判決の中で樋口氏は、原発の耐震基準が実はとても低いという事実に基づき、耐震基準を超える地震が来る可能性が否定できない以上、原発を動かすことを認めることはできないと結論している。

 国策である原発政策に水を差す判決を裁判官が下すのは決して容易なことではない。しかし、樋口氏はそれは難しい話ではないと平然と言ってのける原発裁判では高度に科学的、技術的な評価が求められると考えられているため、専門家ではない裁判官は自身では踏み込んだ判決を出そうとせず、政府や規制当局が設定した基準を満たしていればそれでよしとする判断に傾きやすい。しかし、難しい科学論争に引き込まれれば、一般市民の常識的な判断が働かなくなると樋口氏は言う。市民感覚で普通に考えた時におかしいものをおかしいと言い切れる感性が、裁判官には必要だと樋口氏は言うのだ。

 樋口氏が原発を止める判断をした根拠は明確だ。まず、日本の原発は意外にも耐震性がとても低い。これは実際のデータに基づいている事実だ。原発の近くである程度の大きさの地震が起きると、簡単に耐震設計基準を超えてしまう。日本では震度6強に相当する1,000ガル程度の地震は珍しくないが、例えば大飯原発の2018年段階での耐震基準は、856ガルとされている。関東大震災や阪神淡路大地震、そして東日本大地震規模の震度7クラスの地震は1,500ガルを超える。正式な耐震基準からみても、日本のどの原発もスペック上、そのクラスの地震に耐えられるようになっていないのだ。それがわかっていながら、原発の稼働を継続させる判断を下すことの方がおかしいというのが、樋口氏の立場だった。

 実際、日本の原発の耐震基準はいずれも1,000ガルまでだ。ところが日本では震度7、1,500ガル以上の南海トラフ巨大地震が30年以内に発生する確率が70~80%と見積もられている。降水確率が80%と言われれば、普通の人は傘を持って家を出るのではないだろうか。

 今、福島第一原発では、破損した原子炉内の溶け出した核燃料デブリに触れた汚染水が毎日90トンペースで増え続け、今週はいよいよそれを海に放出しなければならなくなっている。ALPSという機械を使って放射性物質の大半は取り除かれ、更に汚染水は安全基準以下に希釈した上で放出しているというが、ALPSではトリチウムのほか12種類の放射性核種が取り除けないこともわかっている。

 事故から12年たった今日にいたっても、福島第一原発では廃炉はおろか溶け出した核燃料デブリを1グラムたりとも取り出すことができていないし、取り出せるメドもまったくたっていない。原発は一度事故が起きると取り返しがつかないことは、われわれが現在進行形で経験しているはずだ。

 樋口氏の指摘を待つまでもなく、地震大国の日本で原発を続けることのリスクは計り知れない。樋口氏はなぜ原発を止めたのか、そしてなぜ樋口氏にはそれができたのか、それでも日本の裁判官がなかなか原発を止められないのはなぜかなどについて、元裁判官の樋口英明氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!

2022年10月24日 00時00分17秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


―――――― (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます


(2022年10月09日[日])
何も規制しない原子力「規制」委員会…核発電「寄生」委員会。以前にもまして、再稼働や新規建設へ邁進するようだ。狂っているね、正気じゃない。初代も2代目委員長も酷かったが、3代目は輪をかけて酷い。
 (古賀茂明さん)《「不足」と言っても、冬や夏の一部地域の数日間の需要のピーク数時間だけのことである。本気で節電対策などを行えば「停電」などは容易に回避でき、原発にこだわる必要はない》というのに、単なる発電機能付き「海暖め装置」に過ぎない超危険な核発電所を再稼働、新規建設したいという。《原発は『プルトニウムをつくる装置』》(故・内橋克人さん)という疑念も、自公お維議員らの口走る敵基地攻撃や核保有・核共有という狂気から、払拭するのは困難。とても杞憂とは思えない。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》

 デモクラシータイムスの映像記事【日野行介 原発再稼働 / 調査報道記者 【著者に訊く!】 20220914】(https://www.youtube.com/watch?v=EdjaslpzpaY)によると、《原発とは何かを突き詰めていくと、壮大な欺瞞と嘘にぶちあたる健康調査の闇、避難者を追い出す棄民政策、放射能汚染の隠蔽、除染の真の意味、規制委員会という組織の欺瞞性、事故時の避難計画の杜撰…それらを問い糺すことが「調査報道記者」という仕事だと語る著者。執拗ともいえる調査と、熱い意志が結実した2冊の本についてインタビューする》。




 狂ってるね。自公政権こそ、最悪の悪夢。核発電に《寄生》するクズ。
 週刊朝日のコラム【狡猾な官邸官僚の原発解散戦略 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/wa/2022092900074.html)によると、《実は、9月上旬、私は岸田文雄総理の首席秘書官・嶋田隆氏が周囲に語った内容を記したメモを入手した。そのメモの詳細は省略するが、最大のポイントは、東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)を原子力規制委員会の最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させるという話だ。そのためには特別の法律が必要になるが、それを国会で通すという。さらに、これを東電にあらかじめ約束する代わりに、東電が来年春に行うと見込まれる電力料金値上げのうち、家庭用の値上げを止めさせる取引を行うという話も書いてある》。

 《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。》 経産省など核ムラの火事場ドロボーたちに騙されてはいけない。
 週刊朝日のコラム【室井佑月「最悪の事態とは?」】(https://dot.asahi.com/wa/2022100500020.html)によると、《これまでも政府はあたしたちにさんざん嘘をついてきたからだ。とくに、既得権益を守るための嘘は激しい。原発はその最たるものだった。クリーンで安価であるというのも嘘だったし、なにより原発を止めた時に、電気が足りないという嘘をついた過去がある。たしかに、ニュースを見れば困窮者の話題は尽きず、今年の冬は厳しそうで、それに対処すべきだろう。が、政府のいっていることが信じられない。これがすんなり日本が最善に向かえない、最悪の事態かもしれない。そうあたしは考えている。》

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https://dot.asahi.com/wa/2022092900074.html

狡猾な官邸官僚の原発解散戦略 古賀茂明
政官財の罪と罰
2022/10/04 06:00

 9月9日号の本コラムで紹介したとおり、岸田文雄総理は8月に、これまで認めていなかった原子力発電所の新増設について年末までに検討するよう指示し、原発政策を事実上大きく変更した。

 その後も政府は、電力不足を煽り、安全でクリーンで安価だという触れ込みで「次世代原発」なるものを必死に世の中に売り込んでいる。

 こうした原発推進政策は、一般には、「電力不足」への対応だと理解されているが、「不足」と言っても、冬や夏の一部地域の数日間の需要のピーク数時間だけのことである。本気で節電対策などを行えば「停電」などは容易に回避でき、原発にこだわる必要はない

 岸田内閣は、旧統一教会スキャンダルや安倍晋三元総理の国葬への批判、五輪スキャンダル、そして円安とインフレなどで満身創痍状態。支持率は内閣発足後最低水準だ。それにもかかわらず、不人気政策である原発推進の姿勢を鮮明にしているのはなぜだろうか

 実は、9月上旬、私は岸田文雄総理の首席秘書官・嶋田隆氏が周囲に語った内容を記したメモを入手した。

 そのメモの詳細は省略するが、最大のポイントは、東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)を原子力規制委員会の最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させるという話だ。そのためには特別の法律が必要になるが、それを国会で通すという。さらに、これを東電にあらかじめ約束する代わりに、東電が来年春に行うと見込まれる電力料金値上げのうち、家庭用の値上げを止めさせる取引を行うという話も書いてある

 規制委の権限を乗り越えて政府が勝手に原発再稼働を認める法律など言語道断だが、それも「一気に国会に議論してもらう」とメモにはある。経済産業省の事務方トップの事務次官まで務めた大物秘書官である嶋田氏らしい強気の姿勢だ。

 果たせるかな、9月16日に東電は、2023年4月から法人向け標準料金を値上げするが、家庭向けの値上げはしないと発表した。しかも、柏崎刈羽原発7号機の来年7月からの再稼働を織り込んで「顧客の負担軽減」につなげると説明している。メモに書いてあるとおりだ。

     (東京電力柏崎刈羽原子力発電所の5~7号機)

 何とも驚きの強引なシナリオだが、そこには、「電力不足対策」という表向きの理由とは別に、二つの隠された狙いがあると私は見ている。

 一つは、東電の取締役も経験し、秘書官就任前は次期東電会長の筆頭候補と噂された嶋田氏の悲願である東電再生である。すでに建設された柏崎刈羽原発を再稼働させれば、燃料費が浮き、経営の大幅改善が可能となるのだ。

 もう一つの狙いは、原発再稼働を国会での争点にすることだ。意外に思うかもしれないが、嶋田氏は、おそらく、「電力不足」キャンペーンで国民を騙すことができると考えているのだろう。冬や夏のピーク時に、「停電すれば死人が出る」と叫び、緊急事態に限って再稼働を認めるべきだとして、そのための法案を出せば、国民の多くは、賛成するという読みだ。野党が少しでも抵抗すれば、直ちに衆議院を解散する。前号で書いた「ジリ貧追い込まれ解散」に比べればはるかに勝利の確率が高まるという計算だ。

 国民は完全に馬鹿にされている。官邸の猿芝居に騙されてはならない。

※週刊朝日  2022年10月14-21合併号
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https://dot.asahi.com/wa/2022100500020.html

室井佑月最悪の事態とは?
しがみつく女
2022/10/06 07:00

 作家・室井佑月氏は、原発の再稼働や新増設を検討する政府に不信感を募らせる。

*  *  *

 8月24日に政府は来年夏以降、原発7基の再稼働を追加する方針を明らかにした。原発の新増設についても、検討するといった。

 理由は電気代の値上がりだ。石油や天然ガスも値上がりしている。

 背景には、ロシアのウクライナ侵攻もあるだろう。日本はエネルギー資源を他国に頼る国だから、モロに打撃を受けてしまう。岸田首相も8月24日、GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議でこう語っていた。

「ロシアによるウクライナ侵略でエネルギーの需給構造に大きな地殻変動が起こっている中、電力需給ひっ迫という足元の危機克服のため、今後、数年間を見据え、あらゆる政策を総動員して不測の事態に備えていく」

 と。それが原発再稼働や原発の新増設、という話につながった。

 じつはあたし、このことについて長い間、考えていた。きっかけはニュースで知った「原発の新増設」という言葉に驚いたからだった。

 福島であんなに悲惨な事故を起こし、結果、原発がクリーンで最も安いエネルギーであるという嘘(うそ)もバレた。なのに、またそこに戻るのか、なにを考えているのか、と驚いたのだ。

 しかし、あっという間に、日本は生活の苦しい人が増えた。賃金は上がらず物価は上がる。この国では、明日がわからない人が増えた。

 今、日本は地震の活動期。いつ巨大地震が来てもおかしくない。ロシアのことで、戦争も身近に感じる。海岸沿いのたくさんの原発に、ミサイルを落とされる、もしくは落とすと脅されたらどうなるのだ? 日本はさっさと原発依存から脱するべきだ。

 でも、こうも考えた。今年の冬、貧しさから極度な節約をし、凍死する人が現れたらどうするのだ、と。

 いつ来るか定かではない巨大地震、他国のミサイル。それらはもちろん恐ろしいが、今この国で大変な思いをしている人の方が切実に感じる。

 今を乗り越えるため、原発に頼ることも、致し方ないことなのか。

 けれど、そう言い切るのはとても難しくって。

 これまでも政府はあたしたちにさんざん嘘をついてきたからだ。とくに、既得権益を守るための嘘は激しい。原発はその最たるものだった。

 クリーンで安価であるというのも嘘だったし、なにより原発を止めた時に、電気が足りないという嘘をついた過去がある。

 たしかに、ニュースを見れば困窮者の話題は尽きず、今年の冬は厳しそうで、それに対処すべきだろう。

 が、政府のいっていることが信じられない。これがすんなり日本が最善に向かえない、最悪の事態かもしれない。そうあたしは考えている。


室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

※週刊朝日  2022年10月14・21日合併号
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●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》

2022年09月17日 00時00分02秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


―――――― (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます



(20220830[])
映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』。


【映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』】
 (https://saibancho-movie.com/
 (https://youtu.be/AlLlePkIcdE

   『●泊核発電所の運転差し止め…一方、札幌地裁は《廃炉請求については
     「必要な具体的事情が見いだせない」として棄却》ってどういうこと?

 タイトルから、『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二、朝日新聞出版)を思い浮かべました。3人のお一人が、樋口英明・元福井地裁裁判長。

 週刊朝日のコラム【『原発をとめた裁判長』の教え 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/wa/2022082500104.html)によると、《この秋にお勧めの映画がある。『原発をとめた裁判長』(監督・脚本:小原浩靖)というドキュメンタリーだ。関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止め判決と同高浜原発3・4号機の再稼働差し止め仮処分決定を出した樋口英明元福井地方裁判所裁判長が主人公である》。

 古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を。反・核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
   『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
     確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)
   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」

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https://dot.asahi.com/wa/2022082500104.html

『原発をとめた裁判長』の教え 古賀茂明
政官財の罪と罰
2022/08/30 06:00

 この秋にお勧めの映画がある。『原発をとめた裁判長』(監督・脚本:小原浩靖)というドキュメンタリーだ。関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止め判決と同高浜原発3・4号機の再稼働差し止め仮処分決定を出した樋口英明元福井地方裁判所裁判長が主人公である。

 今年の冬、夏と日本では電力危機が叫ばれた。老朽化した火力発電所の稼働などで幸い停電には至らなかったが、次の冬は、さらに深刻だと政府は危機感を煽っている。さらに、2050年にカーボンニュートラルという日本の目標達成には、火力発電を増やすのは好ましくない。再生可能エネルギーを数カ月で大幅に増やすのも困難だ。

 こうなると、原子力発電が切り札だという議論が勢いづく。ついに、岸田文雄首相も老朽原発の運転期間のさらなる延長や次世代原発の建設などの検討を宣言した。岸田政権のある関係者は、7月の参議院選挙前にこう語った。「今、原発について前のめりになることは厳禁だが、選挙に勝てば新増設も含めて原発推進に踏み込んで行く

 だからこそ、政府は再エネ拡大策をまじめにやらず、あえて電力不足を演出した。今や政府の思惑通り、世論調査でも原発再稼働に反対する意見は少数派になった。実は、そこには、「原発は『それなりに安全』なはずだという根拠なき思い込みがある。しかし、原子力規制委員会は、常に「審査基準を満たしても安全とは言えない」と言っている。本当はどうなのか。

 昨年3月の本コラムでも紹介した原発の安全に関する「樋口ドクトリン」がある。1)原発事故のもたらす被害は極めて甚大。2)それ故に原発には高度の安全性が求められる。3)地震大国日本において原発に高度の安全性があるということは、原発に高度の耐震性があるということに他ならない。4)わが国の原発の耐震性は極めて低い5)よって、原発の運転は許されない(樋口英明『私が原発を止めた理由』(旬報社))。

 11年の東日本大震災の最大の揺れは2933ガル(「ガル」は、地震の強さを測る単位)。21世紀最大の揺れは、08年岩手・宮城内陸地震の4022ガルだ。16年の熊本地震は1700台。今世紀の1000ガル以上の地震は18回とかなりの頻度だ。原発の耐震設計基準はと言えば、大飯原発が設計時に405ガル後に856ガルまで大丈夫だとされたが、他の原発も1000以下が多い。一方、三井ホームの耐震性は5115ガル、住友林業の住宅は3406ガルで、日本の原発がいかに地震に弱いかがわかる

 冬に電力が足りないと言っても、ピーク時に一部の地域で数%不足するというだけの話で、節電などで対応すれば、経済に影響が出ても大した話ではない。それに比べて、原発事故は日本の広範な地域に壊滅的打撃を与える。しかも、毎年日本のどこかで起きるある程度大きな地震が原発の敷地付近で起きれば、大事故になる可能性があるのだ。冬の数日間数%の電力が不足するというのとは全く次元が違う比較すること自体ナンセンスだ。さらに、原発は戦争で敵に狙われたらほとんど防御不能であることは規制委も認めている。

 「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい。

※週刊朝日  2022年9月9日号
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●泊核発電所の運転差し止め…一方、札幌地裁は《廃炉請求については「必要な具体的事情が見いだせない」として棄却》ってどういうこと?

2022年06月23日 00時00分14秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


(20220605[])
東京新聞の記事【泊原発、運転差し止め命令 札幌地裁、津波対策で初判断】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/180634)によると、《北海道電力泊原発1~3号機(泊村)で事故が起きれば生命や身体の安全が脅かされるとして、周辺住民ら約1200人が北海道電に運転差し止めや廃炉を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は31日、「津波に対する安全性の基準を満たしていない」などとして、現在定期検査中の3基の運転差し止めを命じた。原告側によると、津波への安全対策が不十分として運転差し止めを命じるのは初めて。2011年の東京電力福島第1原発事故後、運転差し止めの判決は3例目。初の司法判断となった廃炉請求については「必要な具体的事情が見いだせない」として棄却した》。

   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、北海道から
               沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
      かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》
    《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
     寿都町。町内に不安が広がり道や隣接自治体との亀裂も深まって
     いる巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
    《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
     突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
     地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。

   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
   『●【NNNドキュメント‛20/核のごみは問いかける 「尊重」の先には…】
        …空虚な《地域振興》なことは立候補しなくたって《学》べます
   『●《(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させて
      いただきたい》…足抜けできるのか? NUMOにからめとられて…
   『●核発電「麻薬」中毒患者・経産省の教育介入と
      大きな勘違い…《学校の授業とは国策をPRする場ではない》
   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)

 東京新聞の記事【<解説>泊原発再稼働を認めない判決 安全性を説明できない電力会社にNO】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/180645)によると、《北海道電力は保有する原発の安全性を説明する能力に欠けている―。泊原発1〜3号機の運転禁止を命じた札幌地裁判決を端的にまとめると、こうなる》。
 また、【<社説>泊原発差し止め 万が一に備えなくては】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/180982?rct=editorial)によると、《北海道電力泊原発を巡る訴訟で札幌地裁は「津波への対策が不十分」として運転差し止めを命じた。泊原発は再稼働に向けて審査中だが、万が一に備えた安全確保策の審査を迫る判決だ。…焦点となったのは津波だ》。

   『●シレ~ッと批判しているが、そんな《ずさん》な東電を〝育てた〟のは
      国や自公であり、更田豊志氏委員長ら原子力「寄生」委員会でしょ?

 核発電「寄生」委員会は、何をデッカイ面をしているのか? 《規制》するのが委員会の役目でしょ? シレ~ッと批判しているが、そんな《ずさん》な北海道電力を〝育てた〟のは国や自公であり、更田豊志氏委員長ら原子力「寄生」委員会でしょ?

 古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を。反・核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

 《原発の安全性》、「安全な核発電」…形容矛盾。「安全」と「原発」「核発電」、対局にある言葉だ。《万が一に備えた安全確保策》…《万が一》といった低いリスクではないのは明白です。《岸田文雄首相はウクライナ危機を背景に、「安全性の確認された原発の再稼働を進める」と強調》、キシダメ氏ときたらアホ丸出しだ。
 《津波への対策が不十分》…その大元にあるのはアベ様だ。アベ様は3.11東京電力人災の《最大の戦犯》。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》

 司法も酷いよなぁ。苦しむ市民を救わない司法、最「低」である

   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(1/2)
   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(2/2)
   『●やはり最「低」裁(第2小法廷・菅野博之裁判長)でした、というオチ
     …《原発事故で国の責任認めない判決 避難者訴訟で最高裁が初判断》
   『●「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」ので
          国に責任なし ―――これはあまりに酷すぎないか、最「低」裁?

 そして、最大の戦犯は未だにのうのうと政治家で居続けている。最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か?

 一方、あ~ぁな事件…。丸山知事、どうしたらそんな判断に…。
 東京新聞の記事【島根県の丸山知事が再稼働に同意「原発はなくしていくべきだが…現状では一定の役割」 中国電力島根原発2号機】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/181030)によると、《島根県の丸山達治知事は2日の県議会本会議で、中国電力島根原発2号機(松江市)の再稼働について「やむを得ないと考え、容認することとします」と同意を表明した。既に松江市も再稼働に同意しており、地元自治体による手続きがこれで終わった。中国電は2023年度中の再稼働を目指す。丸山知事は午前10時に始まった本会議で、45分にわたって再稼働の理由を説明した。その中では「不安のない生活をするには原発はないほうがよく、なくしていくべきだと私も思います。一方で、必要な電力は供給される必要がある。現状では原発が一定の役割を担う必要があると考えます」「県民の皆さんに不安や心配が残るものであり、苦渋の判断です」と述べた。島根原発は全国で唯一、県庁所在地に立地。避難計画の策定が義務づけられる30キロ圏内には島根、鳥取両県の6市があり、人口は約45万7000人。そのうち、寝たきりの高齢者や障害のある人ら避難時に支援が必要な住民は約5万2000人。30キロ圏内人口が約94万人と最多の日本原子力発電東海第2原発(茨城県)周辺の要支援者約3万8000人を上回り、避難計画の実効性が課題となっている。中国電は2015年に1号機の廃炉を決め、18年には建設中の3号機の審査を申請。3号機はほぼ完成している。2号機は21年9月に原子力規制委員会の審査で、東京電力福島第一原発の教訓を踏まえて策定された新規制基準に適合した。(小野沢健太)》。

 つぶやきで知りました。映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』(https://saibancho-movie.com/)を教えて頂きました。


【映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』】
 (https://saibancho-movie.com/
 (https://youtu.be/AlLlePkIcdE

 タイトルから、『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二、朝日新聞出版)を思い浮かべました。3人のお一人が、樋口英明・元福井地裁裁判長。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/180645

<解説>泊原発再稼働を認めない判決 安全性を説明できない電力会社にNO
2022年5月31日 16時50分

 北海道電力は保有する原発の安全性を説明する能力に欠けている―。泊原発1〜3号機の運転禁止を命じた札幌地裁判決を端的にまとめると、こうなる。

 この判断には予兆があった。北海道電は再稼働を目指した原子力規制委員会の審査で、原発敷地内の断層が地震を引き起こす活断層であるかどうかについて、何度も説明能力に疑問を持たれてきた。規制委の更田豊志委員長は、社長に人材をてこ入れするよう要求する異例の事態にもなった。

 北海道電の対応は、裁判でも同じだった。規制委の審査が進まず、住民側への反論を十分に用意できなかった。提訴から10年を超えた訴訟は、業を煮やした裁判長の「結審します」というひと言が流れを決めた

 岸田文雄首相はウクライナ危機を背景に、「安全性の確認された原発の再稼働を進める」と強調している。北海道電は規制委の審査だけではなく、裁判の場でも安全性を説明することさえできていない。原発を動かすだけの資格と能力があるのか。答えは明らかだ。(小川慎一

【関連記事】泊原発、運転差し止め命令 札幌地裁、廃炉請求は棄却
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/180982?rct=editorial

<社説>泊原発差し止め 万が一に備えなくては
2022年6月2日 07時03分

 北海道電力泊原発を巡る訴訟で札幌地裁は「津波への対策が不十分」として運転差し止めを命じた。泊原発は再稼働に向けて審査中だが、万が一に備えた安全確保策の審査を迫る判決だ。

 北海道唯一の原発である泊原発は二〇一一年の東日本大震災後、1号機から3号機まで全てが定期検査のため順次停止した。北海道電力が国の新規制基準に基づいて再稼働を申請しており、原子力規制委員会で審査が続いている。

 周辺住民ら約千二百人が原告となって訴訟を起こしたのは、端的に言えば、泊原発が安全性を欠くと考えたからだ。原発周辺や積丹半島沖の活断層などにより「想定以上の地震や津波が襲うのでは」との心配があった。

 焦点となったのは津波だ。

 原発の敷地は海面から十メートルの高さにある。大震災後に防潮堤の高さを一六・五メートルにかさ上げしたが、規制委は地盤が液状化する可能性を指摘。同電力側は「堅固な地盤に造り直す」と言うが、具体的な構造などは決まっていない。

 このため、判決は「液状化が生じる可能性がないことを相当な資料で裏付けていない」とし、「津波への安全性の基準を満たしていない」と結論づけた。

 一般的に原告側にある立証責任についても、判決は、電力会社側が主張立証を尽くさない場合「原発が安全性を欠くと事実上推定される」と述べた。

 判決は、確定しない限り再稼働を止める効力はないものの、今後の同種の裁判や、規制委の再稼働を巡る審査にも大きな影響を与えるのは必至だ。

 ロシアのウクライナ侵攻や原油高騰などで、各国のエネルギー政策が「原発回帰」に向かう可能性はあるが、日本では大震災後、原発運転を認めない判決が今回の泊のほか、大飯(福井)や東海第二(茨城)でも出ている。司法判断を軽んじてはならない。

 最新の科学的知見に基づいて常に安全性が証明、確保された状態でない限り、原発を稼働すべきでないのは当然だ。今回の判決を機に、福島第一原発事故の教訓を改めて胸に刻みたい。
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●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

2021年10月27日 00時00分55秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


―――――― (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます



(2021年10月03日[日])
週刊朝日のコラム【動かせと言って原発を止める方法 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/wa/2021092500022.html?page=1)。

 《まず、「原発はどうぞ動かしてくださいというと議論を始める。その場は国会が望ましい。大手の電力会社の社長を呼んで国民の前で議論するのだ。原発を動かすための議論なら社長たちは拒否できない。そこで、最初に、安全性について質問する。日本には地震が多いから耐震性を高めることが重要だということに同意を求めたうえで、パネルを使って、日本では2000年以降、千ガル以上の地震が18回(ガルは揺れの強さを表す単位)、七百ガル以上は31回起きていることを示す。そのうえで、「民間の耐震住宅並みの強度は達成できていますよね」と質問すると、社長たちは、答えに窮する。なぜなら、住友林業、三井ホームの耐震性は、3400ガル、5100ガルだが、伊方原発650ガル高浜原発700ガル日本の原発の耐震性は非常に低いからだ。国民の多くは、原発は民間住宅の何倍も頑丈に作られていると信じている。そこで、電力会社の社長がどんなに難しい言葉を使って、原発の敷地だけは安全ですと叫んでみても、国民は「なんだ、これは!」と驚き憤る。こんな原発は止めろということになるのは確実だ》。

 反・核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

 樋口英明さん《私が大飯原発を止めた理由は4つです。…ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》:

――――――――――――――――――――――――――――――
https://maga9.jp/210630-6/

伊藤塾 明日の法律家講座レポート
なぜ原発を止めたのか~原発の危険性について真剣に議論しよう! 講師:樋口英明
By マガジン9編集部 2021年6月30日

……

私が大飯原発を止めた4つの理由

 私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています。……
――――――――――――――――――――――――――――――


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https://dot.asahi.com/wa/2021092500022.html?page=1

動かせと言って原発を止める方法 古賀茂明
政官財の罪と罰
2021/09/28 07:00

     (古賀茂明氏)

 自民党の新総裁が9月29日で決まる。その結果によって大きく影響を受けるものがある。それは、原発政策だ。

 今回の総裁選では河野太郎氏の脱原発政策が揺らいだと話題になった。

 河野氏は、再生可能エネルギー最優先を唱えるが、再エネだけでは足りない間は、安全が確認された原発の再稼働は認めると述べた。これが脱原発からの変節だと批判されたのだ。確かに、これまでの自民党の政策と大きくは違わないように聞こえる。だが、それは本心ではないというのが私の見立てだ。

 実は、私はかねてより、「原発を動かせと言いながら廃炉にする方法を提唱している。これは、河野氏にも提案している(返事はないが気に入ってもらえると思う。)簡単に解説しよう。

 まず、原発はどうぞ動かしてくださいというと議論を始める。その場は国会が望ましい。大手の電力会社の社長を呼んで国民の前で議論するのだ。

 原発を動かすための議論なら社長たちは拒否できない。そこで、最初に、安全性について質問する。日本には地震が多いから耐震性を高めることが重要だということに同意を求めたうえで、パネルを使って、日本では2000年以降、千ガル以上の地震が18回(ガルは揺れの強さを表す単位)、七百ガル以上は31回起きていることを示す。そのうえで、「民間の耐震住宅並みの強度は達成できていますよね」と質問すると、社長たちは、答えに窮する。なぜなら、住友林業、三井ホームの耐震性は、3400ガル、5100ガルだが、伊方原発650ガル高浜原発700ガル日本の原発の耐震性は非常に低いからだ。

 国民の多くは、原発は民間住宅の何倍も頑丈に作られていると信じている。そこで、電力会社の社長がどんなに難しい言葉を使って、原発の敷地だけは安全ですと叫んでみても、国民は「なんだ、これは!」と驚き憤る。こんな原発は止めろということになるのは確実だ。

 次に、万一事故が起きた時に損害をすべて賠償するために民間の保険に入ってくださいと要求する。「極めて安全で事故が起きる確率が極めて低いなら、非常に安い保険料で保険を引き受けてくれるはずではないか。安く引き受けてくれないということは、市場では、安全ではないと評価されているからだ」と言えば、やはり社長たちは答えに窮する。国民は、損害賠償できないのに原発を動かすべきではないと思う。

     (再稼働に向けた動きが進む島根原発2号機(左)
      (C)朝日新聞社)

 三つ目に、避難計画の万全性を担保するために原子力規制委員会の審査を受けろと要求する。実際には審査されていないからだ。国民は「えっ?避難計画は規制委の審査を受けたんじゃないの?」と驚き、審査してもらえとなる。だが、専門家が審査したら、絶対に今の避難計画では通らない

 四つ目は核のゴミだ。原発のゴミも適切に処分できるんですよね、と社長に聞く。社長が頷いたら、「では、1カ月以内に最終処分までの計画を出してください」と言う。それは無理だというだろうから、では1年待つと言って、議論を終わる。

 これで、全ての原発は動かなくなり、廃炉するしかなくなる

 国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ。新政権には、是非そうした議論をして欲しい。

※週刊朝日  2021年10月8日号


古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『官邸の暴走』(角川新書)など
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●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)

2021年07月26日 00時00分14秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


(2021年07月04日[日])
マガジン9の記事【伊藤塾 明日の法律家講座レポート なぜ原発を止めたのか~原発の危険性について真剣に議論しよう! 講師:樋口英明氏】(https://maga9.jp/210630-6/)。

 《2014年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を出した樋口英明元裁判官。「原発事故によって放射性物質が拡散され生命を守り生活を維持することが困難となる危険があれば、人格権に基づいて原発の運転の差し止めを求めることができる」と話します。原発の危険性とは何か、大飯原発の運転差し止め判決に至った理由について詳しく説明してくださいました。[2021年5月29日@渋谷本校]》。
 《3・11を経験した私たちの責任 最後に責任について話したいと思います。…最後に、キング牧師の教訓に満ちた言葉を紹介します。〈究極の悲劇は、悪人の圧政や残酷さではなく、善人の沈黙である。結局、我々は敵の言葉ではなく、友人の沈黙を覚えているものなのだ。問題に対して沈黙を決め込むようになったとき我々の命は終わりに向かい始める〉》。

 反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから…。《これは高度な専門技術訴訟ではなく、理性と良識を働かせれば判断できること》。《全ての原発が全く見当外れの低い耐震性で建てられたことが、我々の世代になって初めてわかったのです。こうした原発を後世の人々に押しつけるわけにはいきません。今の時代で解決しなければならない問題です》。
 (樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。…ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》。

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
    《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
     大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
     今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
     (耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
     単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
     関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
     原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
     開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
     なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
     という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
     不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
     日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
     ロシアンルーレット状態だった。日本の国策は「安全な原発
     動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
     危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
     と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
     差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
     基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか
     これは他の原発と共通の問題だ》

   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから

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https://maga9.jp/210630-6/

伊藤塾 明日の法律家講座レポート
なぜ原発を止めたのか~原発の危険性について真剣に議論しよう! 講師:樋口英明
By マガジン9編集部 2021年6月30日

2014年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を出した樋口英明元裁判官。「原発事故によって放射性物質が拡散され生命を守り生活を維持することが困難となる危険があれば、人格権に基づいて原発の運転の差し止めを求めることができる」と話します。原発の危険性とは何か、大飯原発の運転差し止め判決に至った理由について詳しく説明してくださいました。[2021年5月29日@渋谷本校]
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大飯原発差し止め判決の理由

 2014年5月21日、私は福井県にある大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を下しました。当日、判決内容を事前に知っていたのは、裁判官3人と書記官1人だけです。福井地方裁判所の所長も、最高裁判所の長官も、原告側も、どんな判決が出るか知りませんでした。しかし、被告側は弁護士も含めて誰一人として法廷に来ませんでした自分たちが負けると分かっていたから来なかったのです
 私は訴えが提起された当初から「大飯原発が危険だと思ったら止める。思わなかったら止めない」と言っていました。その言葉に従って裁判を進めてきました。関西電力の弁護士たちは、大飯原発が危険かどうかで判断されたら負けるとわかっていたんです
 みなさんは「原発が危険かどうかで再稼働の可否を判断するのは当たり前」と思うでしょう。しかし、多くの裁判では「原子力規制委員会が定める規制基準に施設や地盤が適合しているかどうか」で判断していて、原発が危険かどうかで判断しているわけではありません。私は「大飯原発が危険かどうか」を考えて運転差し止めを決めました。極めて当たり前の裁判をしただけだと思っています。
 「危険」には2つの意味があります。たとえばお母さんが子どもに「そこの交差点は見通しが悪くて危険だから気をつけてね」と言う場合の危険は、「事故発生確率が高い」ということです。他方、「自転車で行くんだったら、危険だからヘルメットをかぶってね」と言うときの危険は、先ほどとは違います。ヘルメットをかぶってもかぶらなくても事故発生確率は変わらない。お母さんが心配しているのは、事故で子どもが頭を打って大怪我をすることです。要するに「被害が大きい」ことを危険と言ってるんです。「危険」というときには、この2つのどちらの意味かを考えなくてはいけません。
 福島第一原発事故で明らかになったことは、被害の大きさでした。しかし、本当の意味での被害の大きさを知っている人は多くありません。いったい何が起きていたのか、これは原発の仕組みに関係しています。


原発は停電しても断水してもダメ

 原発には牛乳瓶みたいな形をした格納容器があり、そのなかに原子炉圧力容器があります。この圧力容器のなかにウラン燃料が入っていて、水に漬けてあります。ウラン燃料の熱で水が沸騰して蒸気が発生し、それでタービンを回して発電しています。
 火力発電所も仕組みは一緒です。石油を燃やして水を沸騰させて蒸気でタービンを回しています。しかし、原発と火力発電所では大きな違いが2つあります。ひとつは、原発の格納容器の中には広島型原爆1千発分の「死の灰」が含まれていることです。これが大きな違いです。もう一つはエネルギー量の違いですね。
 火力発電所であれば、地震に襲われたら火を止めます。火を止めたら、その瞬間に沸騰しなくなります。原発は、制御棒をウラン燃料の間に差し込んで核分裂反応を止めても、沸騰が続いてしまいます。沸騰が続くとどうなるか。ウラン燃料が頭を出して、溶け落ちてしまいます。溶け落ちないようにするには、ウラン燃料を水と電気で冷やし続けなければいけない
 要するに、火力発電所は地震が来ても火を止めた瞬間に安全になります。しかし、原発は停電してもダメ、断水してもダメ。水と電気でウラン燃料を冷やし続けない限りメルトダウンするのです。ですから、福島第一原発は津波で停電しただけで、あんな大事故になったのです。これが原発の一番厄介なところです。


運よく助かったのは、欠陥があったから

 福島第一原発では最悪の事故が起きた、とほとんどの人が思っていますが、実はそうではありませんでした。数々の信じられないような奇跡に救われていました
 まずは「2号機の奇跡」です。2号機はメルトダウンして格納容器が水蒸気と水素でいっぱいになりました。そうなると、「ベント」といって圧力を抜くしかありません。圧力を抜けば放射性物質が出てしまいますが、圧力を抜かなければ格納容器ごと破裂してしまうからです。しかし、当時は停電していたので自動ではベントができません。放射能を浴びてしまうので人間が行ってバルブを回すこともできない。要するに何もできませんでした。
 3月15日になると、2号機の格納容器には設計基準の倍ほどの圧力がかかっていました。当時の福島第一原発の吉田所長は、「2号機の格納容器が爆発すれば、放射性物質をまき散らしてしまう。そうなれば東日本壊滅だろう」と思ったそうです。しかし、格納容器は爆発しませんでした。その理由は「よく分からない」のです。
 どこか格納容器に弱い部分があって、そこから圧力が抜けたのでしょう。そんなことは絶対にあってはいけないことです。格納容器というのは放射性物質を閉じ込めるために本当に丈夫なものでなければいけません。だけど丈夫ではなかった。いわば2号機は欠陥機であったが故に助かった。これが「2号機の奇跡」です。


奇跡が重なって免れた「東日本壊滅」

 さらに4号機でも奇跡がありました。4号機は当時発電しておらず、核燃料が装着されていませんでした。長年の運転で核燃料のエネルギー量が落ちていて、シュラウドという核燃料を入れておく場所も傷んできたので、取り替え工事を行っていました。その工事のために、原子炉ウェルというところに、水がいっぱい張ってありました。
 3月11日に停電して、4号機の使用済み核燃料を冷やすための循環水がうまく回らなくなりましたが、エネルギー量が落ちていたために、その日のうちにはメルトダウンしませんでした。しかし、4日もすれば貯蔵プールの水が減って使用済み核燃料が頭を出します。そうなればメルトダウンする。そうなると、福島第一原発から250kmが避難区域になる可能性がありました。東京も含まれています。
 しかし今、我々は東京に住めます。なぜかというと、原子炉ウェルと貯蔵プールの仕切りがずれたからです。ずれたことで原子炉ウェルの水が貯蔵プールに入り、メルトダウンを防ぎました。仕切りがずれた原因は今も不明です。本来は震災4日前に原子炉ウェルの水を抜き取る予定だったのですが、工事が遅れていたので水があったのです。ほとんど神がかり的です。さらに、貯蔵プールの上で水素爆発が起きて屋根が吹き飛んだために、放水車を使って破れた天井から水を注入することができました。
 実際には、ほかにもさまざまな奇跡が重なりました。いくつも起きた奇跡のうち、ひとつでも欠けていれば東日本は壊滅していたのです。これが、本当の福島原発事故の被害の大きさです。


原発は地震に耐えられるのか

 こういう話をすると、多くの人は「それだけ被害が大きなものなら、それなりに事故発生確率も抑えてあるはずだ」と思ってしまいます。たとえば時速300キロで走る新幹線がトラックなどと衝突したら大惨事になりますよね。ですから、そうならないように踏切をなくしています。世の中のものは大抵そうなっているので、「原発での大きな事故は滅多に起きないだろう」と考えてしまうのです。でも、本当にそうでしょうか。
 先ほど話したように、原発は停電しても断水しても過酷事故につながります。停電や断水をもたらす一番大きな要因は地震です。配電や配管に関する耐震性が高ければ、原発の事故発生確率も低くなります。では、2000年以降の主な地震の強さと原発施設の耐震性で確認してみましょう。地震の大きさは「マグニチュード」、強さは「震度」で表すことが多いですが、震度は7までしかないので耐震設計では「ガル」という単位を使います。ガルは震度と同じく地震の揺れの強さを測る単位です。
 2000年以降の地震でいうと、2016年の熊本地震はマグニチュード7.3、1740ガルでした。一番高いものは2008年の岩手宮城内陸地震で、マグニチュード7.2、4022ガルです。わが国は地震大国ですが、2000年まで地震観測網がありませんでした。全国に地震計を置くようになったのは阪神・淡路大震災以降なので、それ以前はまともな資料がないのです。
 次に、原発施設の耐震性ですが、私が判決した大飯原発3・4号機の耐震性(基準地震動)は405ガルで設計されていました。3・11当時には、なぜか700ガルに上がっています。大飯原発だけではありません。福島第一原発は建設当時270ガル3・11当時は600ガルです。東海第二原発は、建設当時270ガル3・11のときは600ガルで、今は1009ガルです。いずれも老朽化するに従って耐震性が上がっていくという不思議な現象が起きてます。それでもこの程度の耐震性しかありません。巨大地震が原発を襲ったらもう絶望的です。
 巨大地震というのは大体マグニチュード8以上をいいますが、この耐震性ではマグニチュード7あるいは6や5でも直撃すれば危ない。つまり、原発は「被害が大きくて」かつ「事故発生確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険だということです。ですから運転を止めるのは当たり前なのです。しかし、3・11以降でも原発を止めなかった裁判は数えきれないくらいあります。


原発容認派の弁解

 原発容認派は、原発は硬い岩盤の上に建っているので、地震計が置いてある地表面より揺れが小さいと弁解します。たしかに岩盤の上に直接建っている原発もありますが、そうではないものもあります。たとえば東海第二原発の場合は、岩盤は地下深く300メートルのところにあり、その上に関東ローム層があり、その上に原発が建っています。
 また、岩盤の揺れが普通の地面の揺れより小さいとも言いきれません。石川県にある志賀原発は硬い岩盤の上に直接建っていますが、能登半島地震に襲われたときの揺れは490ガルでした。一方、志賀町の地震計は540ガルを記録しています。ほとんど変わりませんでした。柏崎刈羽原発はもっと極端で、地下の岩盤で1699ガルでしたが地上では1000ガルくらいでした。硬い岩盤では揺れが小さいとは言いきれず、例外はいくらでもあります。
 もうひとつの弁解に、強震動予測という方法に則って計算すると、原発敷地に限っては将来にわたって震度6や7の地震は来ないというものがあります。しかし、それは本当に信用できるのでしょうか。東大地震研究所の纐纈一起先生が、地震はものすごく複雑な現象で、「地震は観察できない、実験できない、資料がない」と「地震学の三重苦」について話しています。観察と実験と資料というのは科学の基礎ですが、その基礎がないのに地震予知ができると考えるのには無理があります
 日本は列島全体が4つのプレートの境目に位置している世界で唯一の国。非常に複雑な地盤構造があり、世界の地震の10分の1以上が日本で起きています。日本には地震の空白地帯はありません。2000年以降だけでも、日本で1000ガル、2000ガルの地震はいくらでも起きています。こうした科学的事実に基づいて裁判をしなくてはいけません。


なぜ裁判官は原発を止めないのか

 では、なぜ多くの裁判官は原発を止めないのでしょうか。理由は簡単です。多くの裁判官は、大飯原発を例にとると700ガル以上の地震が過去に何回起きたのか、700ガルは震度いくつなのか、700ガルでは住宅が倒れるかどうか、といったことを知らないのです。それは原告側の弁護士が教えないからです。
 弁護士も裁判官も前例に従って「原子力規制委員会の独立性が高いのか」「原発の施設や敷地が規制基準に合致しているのか」ばかりに関心を払っていて、実際に起きている地震に対して原発の耐震性が高いか低いのかということには関心がなく、そのことについてまったく審理されていません
 ここに、愛媛県の伊方原発について住民らの原子炉設置取消請求を棄却した1992年の最高裁判所判決の骨子があります。法律家というのは最高裁判決を尊重するものですが、この判決では
 ①原発訴訟は高度の専門技術訴訟であり、
 ②裁判所は原発の安全性を直接判断するのではなく、規制基準の合理性を判断すればよく、
 ③その判断は最新の科学技術知見による
 と言っています。
 たとえば①では、プルトニウムと普通のウラン燃料を混ぜたMOX燃料を原発で使うと危険かどうかの判断は素人にはわからないことです。あるいは、その原発が本当に3000ガルに耐えられるかどうかが訴訟の争点だとしたら、それはとてつもなく難しい専門技術訴訟といえます。しかし「この原発敷地に限っては700ガル以上の地震は来ない」という主張が信用できるかどうか――これは高度な専門技術訴訟ではなく、理性と良識を働かせれば判断できることです。
 ②も間違いではありません。私はこれを「裁判所は原発の安全性を直接判断する必要まではない。規制基準が国民の安全を図る内容になっているかどうかを審査するのだ」と理解します。規制基準というものは、福島第一原発事故を踏まえて原発の安全性を高めるために設けられました。ですから、「規制基準の合理性」というのは、国民の安全を守れる内容になっているかどうかを考えればいいのです。
 今の規制基準は、原発ごとの最大地震動が予測できるという前提で成り立っています。しかし、先ほども話したように地震予測は不可能ですから、地震予測が可能だという前提で作られている規制基準は不合理であり、それでは国民の安全は守れません
 次に③ですが、「最新の科学技術知見」とは何でしょうか。2000年以降、1000ガル2000ガルの地震はいくらでも日本に起きています。これこそが「最新の科学技術知見」です。
 多くの法律家がこのように考えることができないのは、極端な権威主義だといえます。権威主義とは、「何を言ってるかの内容ではなく誰が言っているかを尊重することです。最高裁判所が言うのなら原発訴訟は難しい専門技術訴訟に違いない、と争点の設定まで最高裁に委ねてしまうんです。ほかにも科学より科学者を信じる「科学者妄信主義」や「頑迷な先例主義」によって、正当な判断ができなくなっています。
 もっと普通に、審判の対象となる「訴訟物」から考えればいいのです。つまり、人格権が侵害されそうになったら、人格権に基づいてその予防措置を求めることができるということです。この場合、人格権が侵害されるというのは原発事故が起きることです。そして、原発事故は停電や断水でも起こり得る。つまり配電・配管の耐震性が低ければ人格権が侵害される危険が高いということなので、それについて調べましょうという発想です。
 しかし、多くの裁判ではそのように訴訟物から考えるのではなく、過去の裁判例をみて、学者が支持しているからとか、規制基準の辻褄が合っているから、などの先例主義で判断してしまうのが現状です。


私が大飯原発を止めた4つの理由

 私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています。
 従前の裁判では、裁判官も弁護士も、電力会社が設定した「専門技術訴訟」という土俵に自ら乗り込んでいました。一部の弁護士が多くの専門書を読み、専門家に意見を聴いて、電力会社との間で専門技術論争をする。たとえば「地震動の計算方法は、武村式がいいか、入倉式がいいか」といったことです。しかし、それは学会で議論することです。原告はもちろん、裁判官やほとんどの弁護士にも分かるはずがありません。その結果、「原子力規制委員会がそう言うなら、尊重しましょう」という結果になるんです。
 武村式か入倉式か、ということは本当の争点ではありません。そういう論争はもう止めて、これからの原発差止め裁判は「理性と良識」という土俵で戦いましょう。そうすれば誰でも理解できるし、誰でも議論に加われるし、誰でも確信を持つことができます。
 昨年3月11日、樋口理論に基づき、広島地裁で伊方原発3号機の運転差し止め仮処分の申し立てがありました。この申し立て書は、住民が書いています。昔は地震観測記録がなかったのですが、今はインターネットで気象庁の地震観測記録、K-NET(防災科学技術研究所の強震観測網)などを見ることができますし、原発の設計基準がいかに低いのかも調べられます。原発の耐震性が低いということを簡単に立証できるので、住民本人でも訴状を書くことができるのです。
 その訴訟の中で、大変なことがわかりました。日本で一番恐れられている「南海トラフ地震が原発直下で起きたとしても、伊方原発の敷地には181ガルしか来ない」と四国電力が言っているのです。181ガルというのは震度5弱です。震度5弱は「棚から物が落ちることがあり、希に窓ガラスが割れて落ちることがある」という揺れです。マグニチュード9の地震というのは、3・11東北地方太平洋沖の地震と同じ。あのとき震源から380km離れた新宿でも、200ガルを超えました。普通に考えればとてつもなくおかしなことですが、専門技術訴訟にのめり込むとこういうことを見逃してしまいます。普通に考えて普通に裁判すれば、勝てると思います。


3・11を経験した私たちの責任

 最後に責任について話したいと思います。
 私が大学に入学した1972年(昭和47年)当時は、田中角栄内閣の時代でした。そのとき日本は、電源三法を作って原発を各地に誘致しました。その人たちの責任より3・11を経験した私たちの責任は、はるかに重いのです
 その理由は3つあって、一つ目は「死の灰」の問題です。30、40年前の人たちは死の灰の問題を、後世の人たちが科学的に処理してくれるのではないかと考えていました。しかし、それが不可能だということが40年の間にはっきりわかりました。二つ目は、昔の人は、原発事故は滅多に起きないし、起きたところで被害は30キロ圏内で済むだろうと思っていました。しかし、3・11を経験して、そうではないことがわかりました。
 そして、三つ目ですが、昔は地震観測網がなかったので、関東大震災の規模でも400ガルを超える程度だろうと考えられていました。大飯原発も405ガルの耐震性で建てられています。しかし、実際には日本には1000ガルどころか4000ガルの地震も起きています全ての原発が全く見当外れの低い耐震性で建てられたことが、我々の世代になって初めてわかったのです。
 こうした原発を後世の人々に押しつけるわけにはいきません。今の時代で解決しなければならない問題です。
 最後に、キング牧師の教訓に満ちた言葉を紹介します。
 〈究極の悲劇は、悪人の圧政や残酷さではなく、善人の沈黙である。結局、我々は敵の言葉ではなく、友人の沈黙を覚えているものなのだ。問題に対して沈黙を決め込むようになったとき我々の命は終わりに向かい始める





ひぐち・ひであき 1952年生まれ。三重県出身。京都大学法学部卒業後、83年4月に福岡地方裁判所判事補任官。85年4月より静岡、宮崎、大阪など各地の地方裁判所・家庭裁判所の判事補・判事を経て、2006年4月より大阪高裁判事、09年4月より名古屋地家裁半田支部長、12年4月より福井地裁判事部総括判事を歴任。14年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決、15年4月14日には高浜原発3、4号機の差し止め仮処分決定を出した。17年8月、定年退官。主な著書に『私が原発を止めた理由』(旬報社)。
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コメント
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●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから

2021年06月30日 00時00分08秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


 (2021年06月20日[日])
日刊ゲンダイのインタビュー記事【注目の人 直撃インタビュー/樋口英明氏「耐震性に着目すれば全ての原発を止められる」】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/290370)。

 《コロナ禍のドサクサ紛れに掟破りだ。福島第1原発事故の惨事を機に定めた「運転は40年までの原則が骨抜き。運転開始から40年を超える関西電力の老朽原発が23日にも再稼働する。この暴挙に、かつて原発運転を差し止めた元裁判長が「不都合な真実」を喝破する。「老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない」と――。》

   『●60年間稼働させたい高浜原発:
     「電気代が高い低いの問題とを並べて論じること自体、許されない」
   『●「老いた馬」ではなく「狂ったゴジラ」:
      「麻薬」患者の関電がプルサーマルに続いて「寿命核発電所」…
   『●「仏様のおかげ」はもう期待しない方がいい: 
     高浜原発、「このゴジラが最後の一匹だとは思えない」
   『●なぜ命を軽々しく賭して、「たかが電気」のために 
     核発電する必要があるのか? 次も神様・仏様は居るか?
   『●「あとの祭り」: 核発電「麻薬」中毒患者、増殖中
                 …どんどん壊れ行くニッポン
   『●高浜「寿命核発電所」延命、「安全より
      経済優先の時代へと逆戻り」…「規制緩和」委員会(©東新)
   『●寿命核発電所再稼働:「世界は既に廃炉時代
        時代の先端を行く方が、地域の実りははるかに多い」
   『●東京電力核発電人災から10年経って、この有様…アンダーコントロール
         どころか人災は継続中、しかも、まだ核発電を続けたいという…
   『●「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」…40年超核発電所の
         稼働という「麻薬」に手を出す核発電「麻薬」中毒者らの暴走

 「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」さえ、再稼働したいそうだ。処理水という名の汚染水を海洋放出したいそうだ。新規原発さえ、作りたいそうだ。
 狂っています、核発電「麻薬」中毒者ら

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
    《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
     大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
     今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
     (耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
     単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
     関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
     原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
     開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
     なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
     という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
     不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
     日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
     「ロシアンルーレット状態だった。日本の国策は「安全な原発
     動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
     危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
     と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
     差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
     基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか
     これは他の原発と共通の問題だ》



[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]

 樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう》必要などない。
 《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。

   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を
     取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御
     できないなんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》

   『●永渕健一裁判長、東電旧経営陣の刑事裁判で「無罪」《判決の
      中身もさることながら、その理由があまりにもひどすぎる》

   『●東京新聞の小野沢健太記者によるシリーズ記事【<原発事故
      「無罪」>】…《判決に表情変えず 遺族ら「うそー」悲鳴》
   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
   『●伊方原発3号機、広島高裁(森一岳裁判長)が運転差し止めの
     仮処分決定…種々の問題に加えて《約10秒》《2~3秒》全電源喪失
   『●森一岳裁判長《原発の危険性検証には『福島原発事故のような
     事故を絶対に起こさないという理念にのっとった解釈が必要…』》
   『●《良心に従い職権を行使する独立した存在》ではない
     大久保正道裁判長である限り、アベ様忖度な「行政判断」が続く
   『●東京電力核発電人災の刑事裁判: 東京地裁永渕健一裁判長の
     判決は、あまりに酷い理由も含めて《司法犯罪とも言える不当判決》
   『●「イチケイのカラス」第2話 ――― 裁判官らの謝罪と憲法第76条
     「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この…」
   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/290370

注目の人 直撃インタビュー
樋口英明氏「耐震性に着目すれば全ての原発を止められる」
公開日:2021/06/14 06:00 更新日:2021/06/14 06:00

     (樋口英明氏(撮影)タカオカ邦彦)

樋口英明(元福井地裁裁判長)

 コロナ禍のドサクサ紛れに掟破りだ。福島第1原発事故の惨事を機に定めた「運転は40年までの原則が骨抜き。運転開始から40年を超える関西電力の老朽原発が23日にも再稼働する。この暴挙に、かつて原発運転を差し止めた元裁判長が「不都合な真実」を喝破する。「老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない」と――。

 ◇  ◇  ◇

 ――再稼働する美浜3号機の運転開始は1976年。45年も昔です。

 45年前の家電を今も使いますか? 大量生産の家電は壊れても最新技術の製品に買い替えればいいけど、原発は大量生産できない。技術は旧態依然で、1つの計器が故障しただけで原発の「止める・冷やす・閉じ込める」の安全3原則は綻び、重大事故が起きかねません


 ――再稼働にあたり国は、1発電所につき25億円の新たな交付金を立地地域にぶら下げました。

 何を考えているのか、理解不能です。


 ――福井県知事の合意表明が4月28日。たった2カ月足らずのスピード再稼働にも驚きます。

 住民が差し止め訴訟を起こすにも、手続きには月単位の時間がかかる。それを見越した上での素早い動きでしょう。


 ――老朽原発が「高い安全性」を確保できるか否かが最大の危惧です。

 地震大国の日本で原発の高い安全性を担保するのは、信頼できる強度な耐震性に尽きます。原発の耐震設計基準を「基準地震動」と呼び、施設に大きな影響を及ぼす恐れがある揺れを意味します。美浜3号機の基準地震動は993ガル(揺れの強さを示す加速度の単位)。しかし、この国では1000ガル以上の地震が過去20年間で17回も起きているのです。


 ――具体的には?

 2008年の岩手・宮城内陸地震(M7.2)は最大4022ガル、11年の東日本大震災(M9)は最大2933ガルなどです。誤解して欲しくないのは「17カ所」で観測されたわけではないこと。東日本大震災では、震源地から離れた数多くの観測点で1000ガルを超えました。


■「原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱」

 ――基準地震動を超える地震がいつ襲ってきてもおかしくはない、と。

 しかも、美浜3号機の基準地震動は建設当時の405ガルからカサ上げされています。建物の耐震性は老朽化すれば衰えるのに、原発だけは時を経るにつれて耐震性が上がるとは不可思議です。電力会社は「コンピューターシミュレーションで確認できた」と言い張りますが、計算式や入力する数値でどうにでも変わる。住宅メーカーの耐震実験は建物を実際に大きな鉄板の上で揺さぶります。その結果、三井ホームの住宅の耐震設計は5115ガル、住友林業は3406ガル。2社が飛び切り高いのではなく、改正後の建築基準法は一般住宅も震度6強から震度7にかけての地震に耐えられるよう義務づけています。ガルで言うと1500ガル程度の地震には耐えられます。一方、日本の原発の基準地震動は、ほぼ600ガルから1000ガル程度です。つまり、原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣るのです。


 ――衝撃です。

 政府は福島の原発事故後の新規制基準を「世界一厳しい」と自負していますが、耐震性に関しては当てはまりません。


 ――いつ、その事実に気づかれたのですか。

 2012年11月に福井県の住民が中心となって関西電力を相手に提訴した「大飯原発3、4号機の運転差し止め請求訴訟」を担当した際です。原発の耐震性に着目し、調べてみると、すぐ分かりました。当時は大飯原発を含め、大半の原発の基準地震動は700ガル程度。700ガル以上の地震は過去20年間で17回どころではなく30回に跳ね上がります。毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です

     (2014年に福井地裁で大飯原発の運転差し止め判決
                     (C)共同通信社)


■電力会社の「地震は来ない」は虚妄

 ――それにしても、基準地震動の設定が低すぎませんか。

 地震学者の間では長年、関東大震災(震度7)でも400ガル程度との認識が主流で、地球の重力加速度(980ガル)以上の地震は来ないとも推測されていました。この考えに従い、昭和時代の原発は建設されたと思います。しかし、1995年の阪神・淡路大震災を契機に、2000年頃には全国の約5000カ所に地震計が設置され、観測網が整備されました。すると、震度7が1500ガル以上に相当することが科学的に判明したのです。


 ――震度の過小評価に気づけば、原発の運転は諦めるべきでは?

 そこで電力会社が「不都合な真実」を隠すのに持ち出すのが「地震予知」です。差し止め訴訟で「原発の敷地に700ガル以上の地震は来るんですか」と聞くと、関西電力は「まず来ません」と答えた。科学で一番難しいのは将来予測。中でも地震の予知は困難を極めます。考察に資するリソースも20年分しかない。「来ない」と断言できっこないのです。地震予知は「予言」に等しく、信じるか否かは「理性と良識」の問題です。だから速やかに差し止め判決を出せたのです。


 ――その2014年の福井地裁判決を、2018年には名古屋高裁金沢支部の控訴審判決が取り消しました。

 退官翌年です。あの確定した判決は、原審で指摘した危険性を認めながら突然、論旨を変えて「原発の是非は司法の役割を超えているので政治的判断に委ねる」と結論づけた。運転停止を求める住民に対して、さも「政治活動」をしているかのレッテルを貼り、論点をスリ替え、司法の役割を放棄したのです。こんな粗雑な判決を放置するわけにはいかないと思い、原発の危険性を広く訴えようと決意しました。


 ――元同僚の方々の反応は?

 特に悪い評判は聞きません。「裁判官は弁明せず」との格言を持ち出すような頭の固い人とは、あまり付き合ってこなかったからかなあ? 裁判官への政治圧力もないですよ。昔は政府方針に従わなかった裁判官が、ひどいドサ回りをさせられたのは事実。けれど、最近は露骨な左遷などありません。


■学術論争の“魔法”から目を覚ませ

 ――福島の事故後も、原発の運転差し止めを認めた司法判断は必ず上級審で覆ります。その理由をどう考えますか。

 先例主義の悪弊です。裁判官が原発訴訟を扱うのは、まれです。滅多に当たらない訴訟を担当すると、裁判官はつい過去の判決を調べてしまう。いくら司法修習生の頃に「自分の頭で考えろ」と叩き込まれても、自分の頭で考えなくなる。判例に頼れば通常は大きな間違いをせずに済むし、何より楽ですから。その傾向は上級審の裁判官ほど強い。そして、ある“魔法”も効いています。


 ――魔法とは?

 1992年に確定した伊方原発訴訟の最高裁判例です。原発訴訟を「高度の専門技術訴訟」とし、今でも最高裁は原発差し止め訴訟を「複雑困難訴訟」と呼ぶ。あくまで一般論に過ぎないのに、最高裁に言われると、住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法にかかってしまう。法廷は理解不能な専門用語が飛び交う学術論争の場となり、もともと文系の裁判官はロッカーいっぱいの専門資料にチンプンカンプン。だから、過去の判例を踏襲する判決を出しがちになるのです。

 ――困ったものです。

 裁判官を“魔法”から解き放つには、まず住民側の弁護士が目を覚まさなくてはいけない。熱意ある弁護士でも先例に縛られ、複雑な学術論争を繰り出すのが実情です。住民側弁護士が原発の危険性をシンプルかつ論理的に伝えれば、裁判官も認めざるを得ません。伊方最高裁判例には「原発の安全性の適否判断は規制基準に不合理な点があるかという観点から行うべき」と記してある。はたして地震予知を許す規制基準は合理的なのか。20年間の詳細な地震観測による新たな知見、すなわち「1000ガルを超える地震はいくらでも来ますという動かしがたい事実に基づく判断こそが合理的であり、「真の科学」と言えます


 ――なるほど。

 現在、広島地裁で係争中の伊方原発3号機の運転差し止め仮処分申し立て事件では、住民側の弁護団が耐震性に着目。四国電力の「南海トラフ地震が原発直下で起きても、伊方原発敷地には181ガル震度5弱相当しか来ない」との試算を追及し、原発訴訟にパラダイムシフトを起こすと宣言しました。あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます

(聞き手=今泉恵孝/日刊ゲンダイ)


樋口英明(ひぐち・ひであき) 1952年生まれ、三重県出身。京大法学部卒。司法修習第35期。各地裁・家裁の判事補・判事を歴任。2006年に大阪高裁判事、09年に名古屋地家裁半田支部長を経て、12年から福井地裁判事部総括判事。14年5月に大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる判決を下した。17年8月、名古屋家裁部総括判事で定年退官。現在は原発の危険性を訴える講演活動にいそしむ。今年3月出版の「私が原発を止めた理由」(旬報社)がベストセラーに。
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●「イチケイのカラス」第2話 ――― 裁判官らの謝罪と憲法第76条「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この…」

2021年04月19日 00時00分38秒 | Weblog

[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]


(2021年04月18日[日])
原作漫画が好きであればあるほど、ドラマ化において、原作に忠実でないと許せない気分に…。いくつかのポイントは導入されていても、似て非なるドラマ。漫画は漫画、ドラマはドラマと考えた方だ良さそう。

   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

   『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
     を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》
    《『イチケイのカラス』がドラマ化されるそうだ。#イチケイのカラス
     (https://www.fujitv.co.jp/ichikei/)。かなり期待できそう》

 原作漫画には、左陪席・右陪席を含めて裁判官が謝罪したり、何らかの国家権力による圧力が裁判官へ在ったり、国家権力を笠に着て虎の威を借る裁判官が出てくるわけではない。原作は、現実の裁判官の状況に、忠実。モデルのお一人が元裁判官の木谷明弁護士だけれども、この先、どうなるのかな…。

 原作の入間みちお裁判官の風貌は六角精児氏 (あるいは、斉藤暁氏、松尾諭氏) ...。坂間真平裁判官は、男性だし…。唯一、駒沢義男イチケイ部総括判事 (刑事事件一筋の判事) 役の小日向文世氏が少し雰囲気が似ている程度。執務室はかなりテレビ的。
 でも、「イチケイのカラス」第2話の後半はとても良かった。冤罪が明らかになった被告に裁判官らが謝罪する。坂間裁判官が、憲法第76条 ―――「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」――― を、冤罪を生み出しながらも虎の威を借る第1審の裁判官に、叫ぶ。
 意見陳述で被告人が無罪を主張すると、駒沢裁判官だったか、入間裁判官だったかが嬉しそうに〝ほくそ笑む〟ところも、原作で好きな部分。ニコリとし、身を乗り出すその意味は?
 漫画史上 (?) 最長のセリフ (入間裁判官の即日判決) は、ドラマでは出てくるのかな?

   『●「自衛隊、防衛出動か。射殺ですか」=「聴衆の問題意識を
          喚起する趣旨」…等々の「ト」な閣議決定を乱発
    《これは政府見解としてあまりに乱暴で一方的すぎる。事実、
     アントニオ・グテーレス国連事務総長が安倍首相との会談についての
     プレスリリースで〈特別報告者による報告書に関し、特別報告者は
     人権委員会に直接報告する、独立した専門家であると語った
     (編集部訳)と報告している。この「独立した」は日本国憲法76条が
     規定している「裁判官の独立」の「独立」と同じ意味で、何者にも
     干渉されない存在であることを説明するもの。それを「国連とは別の
     個人の資格」と訳するのは明らかにインチキだが、政府は事実を
     ねじ曲げ、閣議決定までしてしまった

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
    《憲法第76条には「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を
     行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」とある。最高裁の
     頸木(くびき)に囚(とら)われず、良識と理性に従って判決を書く
     裁判官、そんな裁判官が現れてくれることを私は願う。しかし、
     司法は紛れもなく原子力ムラの一翼を担ってきたし、フクシマ事故
     以降も変わろうとしていない。裁判官の人事権を握る最高裁が、
     フクシマ事故以降も専門技術的判断を認めるとして行政に屈服する
     限り、住民にとっての原発裁判の未来は明るくない

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https://www.fujitv.co.jp/ichikei/story/story02.html

イチケイのカラス
2021.4.12 放送 第2話

 みちお(竹野内豊)たち地裁チームと、甲子園出場経験もある井出(山崎育三郎)を擁する地検チームによる、恒例の草野球試合が行われた。坂間(黒木華)は、2打席連続ランニングホームランの井出を迎えた投手のみちおに対し、敬遠すべきだと主張する。しかし、みちおは、0.1%でも可能性があるなら勝負がしたいと言い出し……。

 その夜、坂間は、最高裁判所判事で、司法研修所時代の上席教官でもある日高(草刈民代)から呼び出され、あるパーティーに出席する。そこで坂間は、最高裁事務総局の事務総長・香田健一郎を紹介される。健一郎は、坂間が東京地裁第3支部の立て直しを任されていることを承知しており、人事局でもみちおの存在が問題視されつつあることを彼女に告げる。それを受けて日高は、みちおの問題行動に対して処分が必要だと判断した場合は人事局にあげてほしい、と坂間に指示する。

 そんな折、イチケイの部長・駒沢(小日向文世)は、合議制で扱いたい案件があるとみちおたちに告げる。それは、1審で有罪判決が下された、人気料理研究家・深瀬瑤子(前田敦子)による幼児虐待事件だった。瑤子は、当時1歳半の長女が泣き止まないことに苛立ち、激しく揺さぶるなどしてケガを負わせたことにより、傷害罪で2年6ヵ月の有罪判決を受けていた。だが瑤子は判決を不服として控訴。それを受けて高裁は、審理内容を精査し、地裁に差し戻したのだ。しかし、実はこの案件、第1審の裁判長を健一郎の息子・隆久が務めた“取り扱い要注意”案件で……。
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●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》

2021年02月10日 00時00分10秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑]


(2020年12月13日[日])
東京新聞の【社説/大飯許可違法 誰がための規制委か】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/72853?rct=editorial)。

 《関西電力 大飯原発3、4号機(福井県)の安全性に問題があるとして、大阪地裁は国の原子力規制委員会が関電に与えた原発の設置許可を取り消した。国の原子力政策を根元から揺るがす判決だ。「原子力規制委員会の判断に看過しがたい過誤、欠落がある」−。大阪地裁は、強い言葉で規制委を指弾した。原発の稼働に際し、想定すべき最大の揺れの強さを示す「基準地震動」の算定方法が、最大の争点だった》。

 琉球新報の【<社説>大飯原発違法判決 全ての原発審査を見直せ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1237175.html)によると、《日本の原子力行政が根底から否定された。関西電力 大飯原発(福井県)3、4号機の耐震性を巡る訴訟で、4日の大阪地裁判決は原発設置許可を違法として取り消した。判決は原子力規制委員会の判断に対し「地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落があると厳しく指摘した。規制委の審査が不十分であることが司法によって示されたのだ。大飯だけでなく再稼働を目指す東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)や東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)など、審査に合格した施設でも規制委の審査が十分だったのか疑問符が付く


 《どこまで巨費をつぎ込めば安定稼働できるのか》…核発電「麻薬」中毒者たち…核発電と《安全》は対極にあるものだということを決して理解しようとしない。

 同核発電所については、《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した》樋口英明元裁判長は、のちに、《基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか。これは他の原発と共通の問題だ》と仰っています。本来であれば、過去最大の地震動に、さらに、《想定外》を考慮して〝上乗せ〟すべきであるのに、なんと、関電方式では過去の地震動の平均値を基準地震動としているというでたらめ。さらには、それを許容する核発電「推進」委員会・核発電「寄生」委員会。
 樋口さんの経歴は、《<ひぐち・ひであき> 1952年、三重県鈴鹿市生まれ、京都大法学部卒。83年、判事任官。静岡、名古屋などの地裁・家裁、大阪高裁などを経て、2014年5月に福井地裁で大飯原発差し止め判決、15年4月に高浜原発再稼働差し止めの仮処分決定を出した。17年8月、名古屋家裁を最後に定年退官》。

   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
      北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
    《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
     大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
     今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
     (耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
     単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
     関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
     原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
     開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
     なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
     という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
     不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
     日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
     「ロシアンルーレット状態だった。日本の国策は「安全な原発
     動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
     危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
     と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
     差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
     基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか
     これは他の原発と共通の問題だ》


 《あの未曾有の福島第一原発事故を招いた“最大の戦犯”》元行政府の長・アベ様は司法も掌握していたようで…《大飯原発…福井地方裁判所の樋口英明裁判長…運転差止めという判決を出した原発だ。…この判決後、露骨な圧力を思わせる事態が起きる。…名古屋家裁に“懲罰左遷”》《大飯原発…福井地方裁判所の樋口英明裁判長…運転差止めという判決を出した原発だ。…この判決後、露骨な圧力を思わせる事態が起きる。…名古屋家裁に“懲罰左遷”》(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/e35cfa8de5d1762f13e0c7534b05a7bd)。
 一方、福井地裁の名判決そのものは、その後どういう経緯をたどったのか? ――― 《極めて多数の人々の生存そのものにかかわる権利と、電気代が高い低いの問題とを並べて論じること自体、許されない》…経済活動よりも生存に関わる人格権を優先。核発電「麻薬」中毒患者・関西電力の大飯原発についての福井地裁の名判決…。《住民の人格権を認めた画期的判決》でした。なのに、司法判断放棄な内藤正之裁判長、大飯核発電所《危険性は社会通念上、無視しうる程度にまで管理・統制》? 《住民の「人格権」を尊重し…大飯…の運転差し止めを認めた一審の判断は、いともあっさり覆された。「原発の是非は政治に委ねる」という裁判所。一体誰のため》(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/9e50e3695c9a006efb2a073a3fad1548)? 

 引用した東京新聞の【社説/大飯許可違法 誰がための規制委か】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/72853?rct=editorial)には、《関電幹部も悲鳴を上げているというが、再生可能エネルギーが世界の主力電源になりつつある今、安全対策に無限とも思える投資をし続けてまで原発の維持を図ることにこそ、どだい無理があるのだろう。今回の司法判断は、国の原発政策そのものにも、疑問を投げかけているようだ》。
 何度も何度もすいませんが…何度でも、貼ります。《世界は電力タダの時代に》…核発電を続けたい、という「麻薬」中毒者達の気が知れない。復興五輪」どころか、「復興原発」などというふざけた言葉も耳に入ってくる。最近は、「経済性を度外視して、核発電をやらなけらばならない」といった支離滅裂な言説も出てきているようだ。ニッポンは世界中に迷惑を振りまき続けている…。



【【金子勝の言いたい放題】NO5 世界は電力タダの時代に エネ転が拓く経済転換(飯田哲也さんと) 20191230】
https://www.youtube.com/watch?v=eMDjFFFo3qY&t=186s



【国内の発電電力量と二酸化炭素(CO2)の推移】
[https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202003/images/PK2020031002100041_size0.jpg]


 さらに、デモクラシータイムスでの対談の第二弾。


【【金子×飯田の言いたい放題】目指せ!分散革命ニューディール~電力の転換が生む新しい未来 20201024】
https://www.youtube.com/watch?v=wME6ynlCXWQ


 刑事裁判として、画期的な今回の判決。気になることは、今回の素晴らしい判決を出してくれた大阪地裁森鍵一裁判長。生まれ変わったのでしょうか? 沖縄でだけ、冷酷なのだろうか?
 《那覇地裁(森鍵一裁判長)…「県の訴えは裁判の対象にならない」として却下した。実質的な中身に立ち入らず、門前払いした。工事差し止めの仮処分申し立ても退けた》(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/922d08b904750712aeb2f6b8cac4f449)。
 琉球新報の記事【与那国陸自配備、住民の工事差し止め訴えを却下 那覇地裁「武力衝突ない」】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-201438.html)においても、《[2016年1月10日]与那国島への陸上自衛隊沿岸監視部隊配備に反対する住民30人が国を相手に駐屯地の工事差し止めを求めた仮処分命令申し立てについて、那覇地裁(森鍵一裁判長)は9日までに却下》しています。

 なんとしても、核発電「麻薬」中毒者の暴走を止めねければ…。
 東京新聞の記事【原発40年超再稼働不同意を要望 大飯判決原告、美浜議会に】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/73074?rct=national)によると、《関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の設置許可の取り消し判決を出した大阪地裁訴訟の原告の一部が8日、福井県美浜町議会に、運転開始から40年を超えた関電美浜原発3号機の再稼働に同意しないよう求める要望書を提出した。関電は美浜3号機を早ければ来年1月にも再稼働させる工程を示しており、町議会は近く同意の是非を示す見込み。町議会では、再稼働を求める請願を審査する特別委員会が今月9日に予定されている。4日の大阪地裁判決は、大飯3、4号機の耐震性が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は誤りだとして、設置許可を取り消した》。

   『●大飯原発再稼働の恐〝負〟の連鎖:
      40年間も動かした美浜原発2号炉をさらに10年稼働延長
   『●東京電力人災が続く中、なに寝ぼけてんだか!?
    《11人が死傷した関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の
     蒸気噴出事故から丸8年となった9日、同原発で追悼式典が開かれ、
     八木誠社長が慰霊碑の前で「事故の反省と教訓を風化させることなく、
     安全の実績を積み重ねるべく全力を尽くす」と再発防止を誓った》

   『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
               もし敗訴していたら大変なことに……
    《「判決を聞いて5人の仲間のことを思った」 
     原告の一人で元原発作業員の山本雅彦さん(57)=福井県敦賀市=は
     判決後の記者会見でそう話し、04年にあった美浜原発3号機の
     蒸気噴出事故で亡くなった5人の作業員を悼んだ》

   『●「原子力は血液」……ではなく、「原子力=核」は「麻薬」
   『●「けん制」? いや、「恫喝」でしょ?  
      関西電力八木誠社長が大津地裁と「地元」市民を脅す!
    《美浜原発3号機(福井県)の廃炉を検討していると一部で報じられた
     ことに対しては「検討している事実はない。活用していきたい」と述べた》
   『●「あとの祭り」: 核発電「麻薬」中毒患者、増殖中
                    …どんどん壊れ行くニッポン

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/72853?rct=editorial

社説
大飯許可違法 誰がための規制委か
2020年12月7日 07時42分

 関西電力 大飯原発3、4号機(福井県)の安全性に問題があるとして、大阪地裁は国の原子力規制委員会が関電に与えた原発の設置許可を取り消した。国の原子力政策を根元から揺るがす判決だ。

 「原子力規制委員会の判断に看過しがたい過誤、欠落がある」−。大阪地裁は、強い言葉で規制委を指弾した。

 原発の稼働に際し、想定すべき最大の揺れの強さを示す「基準地震動」の算定方法が、最大の争点だった。

 規制委は、関電が算出したデータに基づいて、福島第一原発の事故後に厳格化された新規制基準に「適合」すると判定し、二〇一七年五月に設置許可を出していた。

 しかし、大阪地裁は「関電が算定に用いた数式は、過去に発生した地震の平均値にすぎない国の審査ガイドにも、ばらつき(平均値からかけ離れた強さ)が出る恐れを考慮するとある」と指摘。「ばらつきによる上乗せの必要性を検討せずに、許可を与えたのは違法である」と断じた。

 大飯原発3、4号機に関しては、元規制委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授(地震学)も「関電の計算式では、基準地震動が過小評価される恐れがある」と、別の訴訟の法廷などでも証言に立ち、訴えてきた

 原子力規制委員会は福島第一原発の惨事を踏まえ、「想定外」による事故を二度と繰り返してはならないと、設立された機関のはずだ。過小評価の指摘を見過ごすということは、「想定外」を許容するということにはならないか。

 もしそうなら、規制委の存在自体の基盤が揺らぐ。

 関電が用いた計算式は、国内のほぼすべての原発で、基本データとして重要視されているという

 福島の事故後に各地で相次いだ運転差し止めの司法判断でも、想定される地震の揺れや火山リスク、避難方法などに関する想定の甘さが指摘されてきた。電力側のデータによって立つ現状も含め、すべての原発で、審査過程の再検証が必要だろう。

 「どこまで巨費をつぎ込めば安定稼働できるのか

 関電幹部も悲鳴を上げているというが、再生可能エネルギーが世界の主力電源になりつつある今、安全対策に無限とも思える投資をし続けてまで原発の維持を図ることにこそ、どだい無理があるのだろう。今回の司法判断は、国の原発政策そのものにも、疑問を投げかけているようだ。
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●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》

2021年01月06日 00時00分32秒 | Weblog

[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]


(2020年12月20日[日])
日刊ゲンダイの記事【「告白」あの事件の当事者/滋賀・呼吸器事件<前>「刑務官は戦う相手ではない」と…】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/282243)と、。
【「告白」あの事件の当事者/滋賀・呼吸器事件<後>「介護が必要な方の支えになりたい」】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/282567)。
東京新聞の【社説/再審の在り方 無実の人救う法整備を】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/73907?rct=editorial)。

 《2003年、滋賀県東近江市の湖東記念病院で、慢性呼吸不全で入院していた男性(当時72)が死亡。元看護助手・西山美香さんは、故意に患者の人工呼吸器を外し殺害したとして逮捕・起訴された。12年の服役後、今年3月、再審無罪が確定。西山さんが現在の思いを語る》。
 《殺害容疑をかけられて12年間服役した元看護助手・西山美香さんは今年3月、再審無罪が確定した。…西山さんの弁護団長を務めた井戸謙一弁護士は…「冤罪で絶望している人に道を開いた裁判だと思います」…判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》。
 《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い。再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減次第である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ》。

   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

 『イチケイのカラス』がドラマ化されるそうだ。#イチケイのカラスhttps://www.fujitv.co.jp/ichikei/)。かなり期待できそう。

 さて、湖東記念病院での冤罪事件。
 《やっとこの日が来た。「呼吸器事件」で殺人犯にされた西山美香さんに大津地裁は「事件性なし」と再審無罪を言い渡した。自白の誘導などで殺人事件に仕立てた捜査と司法の責任は、極めて重い。…事件発生から十七年がたっていた》、《不当な捜査を招いた真相を、裁判を通して明らかにするには至らなかった》。
 《事件を作り上げ西山さんの自由を奪った警察、検察の人権侵害は断じて許されない。それをチェックできなかった裁判所も含めて、司法の責任は極めて重い》。《最初から数えて七つの裁判体が有罪判決や再審請求棄却を続け》た節穴な裁判所。警察・検察・裁判所は何も責任をとらないつもり? 《刑事司法のよどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》をあててこそ、《西山さんが待ち続けた「名誉回復」》が叶ったといえるのではないか。何度冤罪事件を繰り返し、再審の扉を何度固く閉じれば良いのか?

   『●金沢地裁原発差し止め判決: 井戸謙一元裁判官
   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
    《原発訴訟で原告勝訴を決めた、たった3人の裁判長――その苦悩
     描いたのが『原発に挑んだ裁判官』(朝日文庫、著・磯村健太郎
     山口栄二、660円)だ。元京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏が
     評論する。…そして裁判所も一体となり…。…北陸電力志賀原発
     2号機の運転差し止めを命じた金沢地裁判決(井戸謙一裁判長)…》

   『●湖東記念病院人工呼吸器事件…冤罪服役13年、
     【元看護助手、再審で無罪が確定的に 滋賀の病院患者死亡】
   『●湖東記念病院人工呼吸器事件で冤罪服役…《刑事司法の
      よどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》を!
   『●警察・検察・裁判所は何も責任をとらないつもり? それなくして、
       《西山さんが待ち続けた「名誉回復」》が叶ったといえるのか?

 《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い。…事実上、裁判官のさじ加減次第である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ》。

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/282243

「告白」あの事件の当事者
滋賀・呼吸器事件<前>「刑務官は戦う相手ではない」と…
公開日:2020/12/05 06:00 更新日:2020/12/05 06:00

 2003年、滋賀県東近江市の湖東記念病院で、慢性呼吸不全で入院していた男性(当時72)が死亡。元看護助手・西山美香さんは、故意に患者の人工呼吸器を外し殺害したとして逮捕・起訴された。12年の服役後、今年3月、再審無罪が確定。西山さんが現在の思いを語る。

 ◇  ◇  ◇

 西山さんは男性の死亡から1年後に警察の捜査段階で「呼吸器を外した」と認めた。公判では「取調官に誘導された」と否認に転じたが、05年に実刑12年が確定、17年に満期出所した。

 同年12月、大阪高裁は西山さんの訴えを認め、再審開始を決定。昨年3月18日に最高裁で再審開始が確定し、今年3月31日に大津地裁で無罪判決が言い渡された。

「高裁で再審開始決定が出た5日後には大阪高検に特別抗告されましたから、再審無罪の確定までは不安な日々でした。鹿児島・大崎事件(第4次再審請求中=懲役10年)の原口アヤ子さんは41年間無実を訴えていますし、松橋事件(懲役13年)も無罪確定まで34年かかっています。正直、再審開始が決まったときはほっとしたと同時に、長く闘われている方には申し訳ない気持ちもありましたね。最高裁で再審開始が確定してからは、あっという間の1年でした」


■女性刑務所で支えてくれた青木恵子さん

 受刑中の不安な日々は、和歌山県の女子刑務所で出会った女性に助けられた。大阪市東住吉区の女児焼死火災で20年間服役した青木恵子さんだ。

「一緒だったのは3年間くらいでした。刑務所の工場でスポンジの包装の作業をしていたのですが、隣の席になったり、不器用な私にやり方を教えてくれたりして、話すようになりました。青木さんの亡くなった娘さんと私は4歳くらいしか違わないこともあって励ましてくれました。当時の私は自暴自棄になっていて刑務官に『私はやっていない』『早く出せ』などと言っていましたが、『闘う相手が違う。再審を訴えるなら、落ち着いた生活をしなさい』と諭してくれたんです」

 青木さんは服役中の12年に再審決定し、16年に再審無罪が決定した。

「青木さんとは今も交流があって、先日も彼女の自宅に泊まって第10次再審請求中の名張毒ぶどう酒事件の関係者に一緒に会いに行きました。彼女は強くて、冤罪で苦しむ立場の方の支援に動いています」

 西山さんの無罪判決は、患者の死因が「致死性不整脈」の可能性が高く事件性がなかったこと、自白の信用性に疑問があること、の2つが認められたのが大きかった。だが、きわめて厳しい裁判だったという。

 弁護団長の井戸謙一弁護士は言う。

「当初は、引き受けたくないと思っていました。再審無罪となる裁判は、ほとんどが取調官の暴行や脅迫によって自白させられたケース。西山さんの場合は自ら『呼吸器を外した』と話して有罪となっているので、当初は私も無実なのか分かりませんでした。ただ、殺人事件の再審に弁護士が付かないのはおかしいので、ご両親の熱意もあって、まずは記録を読み始めたのです。それで『やっていない』と確信が持てました」

 残されていた調書は不自然なものだった。=この項つづく

(取材・文=小野真依子/日刊ゲンダイ)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/282567

「告白」あの事件の当事者
滋賀・呼吸器事件<後>「介護が必要な方の支えになりたい」
公開日:2020/12/12 06:00 更新日:2020/12/12 06:00

     (再審で無罪となり、大津地裁前で万歳する
      西山美香さん(中央)ら(C)共同通信社)

■元看護助手の西山美香さん(40歳)

 2003年、滋賀県東近江市の湖東記念病院で、慢性呼吸不全で入院していた男性(当時72)が死亡した。殺害容疑をかけられて12年間服役した元看護助手・西山美香さんは今年3月、再審無罪が確定した。

 ◇  ◇  ◇

 今年3月31日、大津地裁は西山さんに無罪判決を言い渡した。西山さんの弁護団長を務めた井戸謙一弁護士は「再審無罪となる裁判は、ほとんどが取調官の暴行や脅迫によって自白させられたケース」と分析し、自ら「呼吸器を外した」と話して有罪になった西山さんの裁判は厳しいものになるとみていた。

 西山さんは任意の取り調べで、担当警察官に「人工呼吸器のアラームが鳴っていた」と認めるよう迫られた。認めれば、直ちに適切な処理をとらなかったことになる。西山さんは認めなかったが、警察官に机を蹴られたり、亡くなった男性の写真を見せられたりするうちに怖くなって供述を変えてしまう。アラーム音を聞いたことを認めたことによって看護師に対する取り調べが厳しくなり、責任を感じた西山さんが自分が故意にチューブを抜いたと供述した。結局、西山さんを逮捕起訴した証拠は自白のみだった

「裁判を受けたのは、調書を読んでいて無実を確信したから。滋賀県警愛知川署は事件当初、アラームが鳴っていたと思っていました。おむつ交換のため回ってきた看護師と西山さんらがそれに気づかず死亡させたとして、業務上過失致死容疑で捜査をしていたのです。一方、彼女たちはアラームは鳴っていなかったと主張。付き添いの家族すらも、その音を聞いていなかったことなど不自然な点はたくさんありました」(井戸弁護士)

 最終的に、患者の死因が「致死性不整脈」の可能性が高く事件性がなかったこと、自白の信用性に疑問があることから無罪となったが、この判決は大きかったと振り返る。

冤罪で絶望している人に道を開いた裁判だと思います」(井戸弁護士)

 判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している。


■やりたいことは「ふるさと納税」

 西山さんは担当刑事に「いろいろ言いたいこともある」と言う。だが、過去を恨むのではなく「冤罪で苦しむ人を救済できる、再審法の改正が進んでほしい」と冤罪支援を必要とする人には話をしにいったりしている。今月から、介護の仕事にも就いた。

「昨年1月から約1年間、リサイクル工場で働いていましたが、もともとお年寄りのお世話をしたいという思いがあって、介護が必要な方の支えになりたい。いずれはヘルパーの資格も取りたいですね。それに、両親も安心させたいですから。和歌山刑務所にいた頃も月1回、面会に来てくれて、今は裁判も終わってホッとしてくれているみたいです。今したいこと? ふるさと納税なんてやりたいですね」(西山美香さん)

 明るく話した。=この項おわり

(取材・文=小野真依子/日刊ゲンダイ)
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/73907?rct=editorial

社説
再審の在り方 無実の人救う法整備を
2020年12月12日 07時54分

 無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い。再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減次第である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ

 五日に九十五歳で亡くなった免田栄さんは死刑囚として刑事裁判史上初の再審無罪になった人だ。一九五二年に死刑が確定したが、無実を訴え続け、六度目の再審請求で再審が決定。八三年にアリバイが認められ無罪宣告された。

 獄中生活は実に三十四年これほどの人権侵害はない。免田さんは日本の人権を虹にたとえたことでも知られる。遠目には美しくとも、近づくと消える、実体がないのだと−。だが、捜査当局や司法界に、その反省は身に染みているのだろうか

 近年も郵便不正事件、布川事件東京電力女性社員殺害事件湖東病院事件など冤罪(えんざい)が相次ぐ。今も無実を訴えつつ服役する人々が存在する。

 問題の在りかははっきりしている。五百条超の条文がある刑事訴訟法のうち再審についての条文は十九のみで、七十年以上、一度も改正されたことがない

 再審を求める過程では証拠開示の規定がないし、無罪を示す証拠が検察官の手元にあったとしても開示義務はない。再審請求を受けた裁判官の裁量で具体的な進行が決まるのだ。

 日弁連によれば「裁判所の姿勢によって証拠開示が左右されており、検察官が裁判所の決定や勧告に応じない不誠実な対応を採ることもある」という。

 これは正さねばならない。再審請求の手続き段階で証拠一覧表の提出や証拠開示命令などのルールを明確化すべきである。むろん証拠物の閲覧・謄写ができる権利の法制化もいる。そのためには前提となる証拠類の適正保管や目録作成も必要である。裁判所に提出していない記録があれば、その保管も必要なのは当然だ。

 刑事訴訟法上では再審開始の決定に検察官が不服の申し立てができる。そのため再審公判の開始が遅れたり、再審開始の決定が取り消されることもある。検察官の不服申し立てを禁じてはどうか。不服があれば、再審公判の中で争えばよいのだから…。

 冤罪防止へ向けた制度をつくり直すのである。もちろん、なぜ冤罪が起きたのか、その原因究明の第三者的組織も必要と考える。無辜の人を救うための障害は撤廃されねばならない
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●東京電力核発電人災の刑事裁判: 東京地裁永渕健一裁判長の判決は、あまりに酷い理由も含めて《司法犯罪とも言える不当判決》

2020年10月02日 00時00分01秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]



【短編映画『東電刑事裁判 不当判決』YouTubeで判決を解説! 2019/11/03】(https://www.youtube.com/watch?v=VY-iMQsxkNU)という映像資料の存在を知りました。是非ご覧ください。

 《被告人全員無罪 2019年9月19日、福島第一原発事故刑事裁判の判決が下された。司法犯罪とも言える不当判決の内容を弁護士・海渡雄一が徹底解説する、前作「東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故」の改訂版。東京高等裁判所での控訴審を前に全国民必見の33分間!!》。

 東京電力核発電人災の刑事裁判。改めて、2019年9月19日、東京地裁永渕健一裁判長の判決は、あまりに酷い理由も含めて《司法犯罪とも言える不当判決》であったことが理解できます。東電旧経営陣の刑事裁判で「無罪」を言い渡した永渕健一裁判長、その《判決の中身もさることながら、その理由があまりにもひどすぎる》ことも、この映像資料から理解できます。『原発に挑んだ裁判官』ではなく、〝核発電の不条理に挑まなかった裁判官〟。核発電「麻薬」に絡めとられた、《良心に従い職権を行使する独立した存在》ではない、「司法判断」できない哀しい裁判官。
 東京高裁にもあまり期待できない…。

   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を
     取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御
     できないなんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》

   『●永渕健一裁判長、東電旧経営陣の刑事裁判で「無罪」《判決の
      中身もさることながら、その理由があまりにもひどすぎる》

   『●東京新聞の小野沢健太記者によるシリーズ記事【<原発事故
      「無罪」>】…《判決に表情変えず 遺族ら「うそー」悲鳴》
   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
   『●《良心に従い職権を行使する独立した存在》ではない
     大久保正道裁判長である限り、アベ様忖度な「行政判断」が続く



【短編映画『東電刑事裁判 不当判決』YouTubeで判決を解説! 2019/11/03】
 (https://www.youtube.com/watch?v=VY-iMQsxkNU


 東京電力核発電人災から9年が経過し、《復興五輪》だの、《復興原発》だの、この国ニッポンは哀し過ぎる。

   『●《草木のすべてにセシウムが染みついている。田畑を耕すが自分で
             食べるだけ。孫には食べさせないし、売ることもできない》
    《五輪開催年の完全版上映について「国は福島の問題を終わったこと
     と見せたいようだ福島の人たちの人生をめちゃくちゃにして
     おきながら、はしゃいでいられるのか」と語る》

   『●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック
               聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》
    《状況は、アンダーコントロール」「汚染水の影響は、港湾内の
     0.3平方キロの範囲内で完全にブロック」「健康問題については、
     今までも、現在も、将来も全く問題ありません」と。あれから6年。
     いま、私たちの目の前にある現実は、どうでしょう

   『●三浦英之記者の質問「今でも『アンダーコントロール』だとお考え
     でしょうか」? アベ様のお答え「…その中で正確な発信をした…」!?
    「アベ様のお答えの一部…「正確な情報発信した」!! COVID19問題
     と言いい、開いた口が塞がらない…。
     息吐く様にウソをつくアベ様の本領発揮」
    「アベ様口癖の「悪夢のような旧民主党政権」…あらゆる意味で、
     悪夢のような最悪な政権はもはや明白です」
    《あれから6年。いま、私たちの目の前にある現実は、どうでしょう
     メルトダウンした核燃料は所在すらつかめていません。壊れたままの
     原子炉建屋には毎日百数十tの地下水が流れ込み、ALPS処理汚染水は
     溜まり続け、漁民や住民の意思を無視して海洋への放出
     画策されています。(共同声明より)》

   『●桜井勝延氏《そこで経験したことは、国も県も政治家も、現場を見も
     しないでものごとを決定し、責任をとろうとしないという現実だった》
   『●核発電所を再稼働したい? 《女川いのちの石碑…十三番目の石碑
     …<故郷を 奪わないでと 手を伸ばす> この痛切な願い》を聞けよ!
   『●【2012年3月11日 原発の町・佐賀県玄海町で開かれた「会」】、
        「明るい未来への道筋 原発興国論!」…核発電「麻薬」中毒
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》

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●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?

2020年07月22日 00時00分54秒 | Weblog

[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]



中島邦之記者による、西日本新聞のコラム【風向計/裁判の公正らしさとは】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/620476/)。

 《同様の事例は飯塚事件大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた…加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか》。

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》

 「ちゃぶ台返し」が起こる訳だ。《飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた》。裁判の制度がこれじゃぁ、デタラメな判決が出るはずだ。
 山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。おまけに、《裁判の公正らしさ》もないのでは…。

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/620476/

風向計
裁判の公正らしさとは 中島邦之
2020/6/26 11:00
西日本新聞 オピニオン面 中島 邦之

 裁判官がある事件の判決を出したとしよう。その事件の控訴審や、再審を求める審理に同じ裁判官が関わり、再び判断するこれは、公正と言えるだろうか

 裁判には公正らしさが求められる。「公正らしさ」とは何か。「裁判官が国民に信頼されるには中立・公正であることが必要だが、それは裁判官の心の中にあり、外からは見えない。外形的にそれを担保するのが、外から公正だと見える公正らしさ」。元裁判官で法政大法科大学院の水野智幸教授(刑事法)はこう説く。

 滋賀県日野町で1984年に発生した強盗殺人事件。14年前に大津地裁の裁判長として第1次再審請求を退けた長井秀典判事が、第2次請求を審理している大阪高裁の裁判長になったのだ。これを知った弁護団は、本人が自ら辞退を申し出る「回避」を求め、高裁に要請書を提出した。

 弁護団の石側亮太弁護士は「長井氏は過去に自らが下した判断の当否を自ら審理することになり、信頼できない」と説明。さらに「憲法上も、37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利が侵害される」と憤る。

 刑事訴訟法は、通常審の一審や二審を担った裁判官が、上級審に関与することを禁じる。ところが、再審を始めるか否かを審理する再審請求審には定めがない。最高裁は59年、禁止とはしなかった。背景には、再審は通常審からつながる「上訴」ではないという論理があるとされる。

 だが、水野氏は解説する。「75年の最高裁決定によって、再審請求審では新旧の全証拠を総合評価することになり、上訴に近い性格を持つようになった。それ以前の59年の判例が今も妥当かは疑問」。その上で「裁判の公正らしさを損なわないよう、長井氏本人が回避すべきだ。しない場合は、裁判所が担当を変更するなど対応すべきだ」と指摘する。

 同様の事例は飯塚事件大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた

 根底には再審法(刑事訴訟法)の不備がある。冤罪(えんざい)から無実の人を早期救済するため(1)証拠開示の制度化(2)審理を長引かせる検察官抗告の禁止-などの法整備を日本弁護士連合会や市民グループが求めている。加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか。 (社会部編集委員)
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●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》

2020年04月29日 00時00分31秒 | Weblog

[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]


西日本新聞のコラム【〈風向計〉コロナ禍と大崎事件 中島邦之】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/603202/)。

 《これは当然なのだが、他の大切なニュースの影が薄くなっているのが気になる。例えば、森友学園公文書改ざん問題自殺した財務省近畿財務局職員の「改ざんは本省幹部の指示だった」とする手記公表後も、この問題の再調査を安倍晋三首相や麻生太郎財務相が否定している件などだ。可能な限りの自宅勤務を求められる中、私がチェックしているのが、映画監督の周防(すお)正行さんが「あたいはやっちょらん大崎事件第4次再審請求・糾(ただ)せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げたクラウドファンディング(CF)だ》。

   『●湖東記念病院人工呼吸器事件で冤罪服役…《刑事司法の
      よどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》を!
   『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…無実の者を処罰しない
              という強い意志、意欲をもって仕事にあたること》
   『●警察・検察・裁判所は何も責任をとらないつもり? それなくして、
        《西山さんが待ち続けた「名誉回復」》が叶ったといえるのか?

 《あたいはやっちょらん》…冤罪・大崎事件大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と仰っていた。三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し、という前代未聞。検察・警察・裁判所、ニッポンの行政と司法はこれでいいの?

   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
    《会見に同席した元裁判官の木谷明弁護士も「無実の人を救済するために
     裁判所はあるのではないのか。大変がっかりしている」と批判した》

   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益には再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/603202/

コラム
風向計
コロナ禍と大崎事件 中島邦之
2020/4/24 11:00

 新型コロナウイルスの感染拡大で、新聞の紙面も、テレビのニュース番組も、コロナ関連で埋まる日が続く。これは当然なのだが、他の大切なニュースの影が薄くなっているのが気になる。例えば、森友学園公文書改ざん問題自殺した財務省近畿財務局職員の「改ざんは本省幹部の指示だった」とする手記公表後も、この問題の再調査を安倍晋三首相や麻生太郎財務相が否定している件などだ。

 可能な限りの自宅勤務を求められる中、私がチェックしているのが、映画監督の周防(すお)正行さんが「あたいはやっちょらん大崎事件第4次再審請求・糾(ただ)せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げたクラウドファンディング(CF)だ。

 1979年に鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった大崎事件で殺人罪などで服役した原口アヤ子さん(92)の再審無罪に向け、弁護団の活動資金を募る。3月24日のプロジェクト開始から、わずか10日間で当初の目標額500万円を突破した。

 周防監督は痴漢冤罪(えんざい)事件を題材にした映画「それでもボクはやってない」で知られ、法務省の法制審議会特別部会委員を務めるなど日本の刑事司法の問題点を訴えてきた。アヤ子さんの長女と弁護団が第4次再審請求を申し立てた3月30日には、鹿児島市に駆けつけ、集会で「この事件のことを、とにかく多くの人に知ってほしい」と訴えた。

 大崎事件は25年前の第1次請求後、過去3回も再審開始決定が出た。そのたびに検察官が抗告し、上級審で覆されてきた。特に、昨年6月の最高裁決定は、地裁と高裁がともに認めた開始決定を取り消した初のケースとみられる。その証拠評価や事実認定のおかしさは、私も検証取材の中で痛感した。高齢のアヤ子さんの生のあるうちの名誉回復を目指す弁護団の活動資金はほぼ手出し。他の仕事ができず事務所が昨年、1千万円の赤字だった弁護士もいる。

 CFは1千万円を次の目標に定め、6月16日まで寄付を募る。「アヤ子さんの再審無罪と再審制度の法改正を実現するためさらなるご支援を」と周防監督は呼び掛ける。

 最初の目標額達成後、寄付の集まりは鈍っているようだ。いや、違う。感染が拡大し多くの人の収入が減り生活が脅かされる中で、500人が803万円(23日現在)を寄せたことは、真実究明への期待の大きさとみるべきだろう

 まずは外出自粛と「3密」の徹底回避で感染を収束に向かわせよう。「日常」に戻らなければ再審の審理も進まない。 (社会部編集委員)
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