1.北九州市の文化芸術への取り組みについて
文化振興計画の策定とこれまでの経緯。2010年12月に北九州市は策定した。仙台市では2007年に芸術文化振興の指針を策定している。
芥川賞、直木賞の受賞者が最も多い北九州市。芸術文化によるまちづくりを振興計画で確認。
文化芸術施設を市長部局に教育委員会から移管して、全庁的に施設活用による文化芸術の振興を図ることとした。漫画ミュージアムも開館したばかり。
小倉城内に市役所があり芸術劇場があります。劇場の窓から撮影
福岡市は博多座などでロングラン公演など商業的興行をうっているのに対して、北九州では、来場者の統計では、市外から50%、福岡市から14%となっている。また福岡市には県の施設がありその利用がある。
ネーミングライツには、門司港のトロッコ列車があり、本ホールが2例目である。年750万円也。
2.北九州市漫画ミュージアムについて、今年8月3日に開館。市に所縁ある著名漫画家は50人以上いて、現在34名の所縁漫画家について協力を得ている。漫画アニメを通じた地域振興、文化施設としてミュージアムを整備した。基本コンセプト策定委員会の委員長は松本零士氏 。現在、年末までルパン三世展開催中。施設整備場所に苦労あり、小倉駅前の空いた商業ビルあり、漫画アニメをコンセプトにしたビルにとビルオーナーと合意。「あるあるcityビル」として通産省の整備事業予算も活用して6億円かけて整備。市の直接運営、学芸員は市の嘱託職員として開館と並行してトレーニング中。年間10万人来館を目標、あるあるビル自体も年間100万人来場目標を達成方向にある。
公のお金で漫画家を稼がせるような誤解が生まれない為にも、今後は運営形態のあり方を内部要検討である。他の類似施設、川崎市のドラえもん館、石ノ森漫画ッタンとの展示交流も行っていく。
駅前の中心市街地活性化事業として市民の認知あり。
肖像権、著作権は一時貸与されている関係にある。
3.北九州芸術劇場と運営団体の市芸術文化振興財団からのヒアリング調査と場内視察
リバーウオーク北九州の施設外装コンセプトは奇抜な形と色の造形のようだが、日本文化.伝統から着想。(漆、稲穂、瓦、漆喰)
大1269席、中700席、小216席の各ホールいずれもの稼働率は75%以上。昨年度の利用者数は29万人。使用料収入は4000万円、年間経費は11億3000万円。経済波及効果試算は20億円。
【創る観る育つ】運営の3コンセプト。
リバーウオークの一角として、中心市街地の賑わいづくりに寄与している施設。
高齢化進む北九州市にあって若者が集う場所づくり(福岡の天神地区のような?)への投資という市の考え方あり。
来年が指定管理者の契約再公募あり準備中。
劇場内の大ホールを視察。奥行が深い舞台と重厚感ある観客席が広がる内部、舞台の裏はシャワー付き控え室が並んでいました。
劇場の外観は幹線道路に面した黄色の壁のようですが、ホール内部の造りと意外感がありました。
新幹線で15分の距離にある北九州市と福岡市。お互い都市の活力づくりに文化芸術の振興を図っているが、北九州市では興行性は抑えて、現役世代や若者が集う拠点としてリバーウオークに芸術劇場を整備し今日に続いていることを知りました。仙台市では、市民会館と県民会館の改装が求められて久しいが、震災を経て復興の先に、これら施設の一体共同整備が進むよう準備していきたい。復興と再生、再興に文化芸術の拠点整備は被災地の仙台・宮城であればこそ必要であると考えます。
夏にメディアテークで開催し全国からファンを集めた[ジョジョ展]の成功から今回の北九州市の漫画ミュージアム視察となったが、漫画とアニメは今、地域振興の新たな媒体装置であり、所縁の作家を取り込んで中心街の空洞化対策とした事例に学びました。