あびこ雅浩の日記

仙台市議会議員あびこ雅浩の活動日記。

敬老会の時期に介護保険10年を振り返る大会

2010-09-12 | 国際・政治

「介護保険10年を振り返って」  介護保険を維持・発展させる1000万人の輪in仙台
市民目線に立った改革案づくりを!! に参加。以下に会場でのメモと意見をお伝えします。

敬老会が各地で開催されている時期に高齢社会の現実を重ねるかのように開催された。

Cimg0155 高齢社会をよくする女性の会 理事長 樋口恵子氏(78歳1932年生れ) 「頼りになる介護保険、愛される介護保険」と題して基調講演。樋口氏の考え方と言動には介護保険始まる前夜からずっと注目してきている。走り始めて10年、介護保険制度への積極的な評価に同感。

介護保険には、社会的な効能・効果がある。介護を社会的な権利として利用できるようになり、介護の見える化ができ、高齢者福祉が経済活動に組み入れられた。300万人を超える国民が介護を受けることになった証拠・エビデンスが世の中を動かす。
脳血管性障害が要介護になる第一要因。「男は血管、女は骨を気をつけよ。」女は「下を向いて歩こう」ひと転び100万円也。サーチライト効果があり、虐待防止法の施行は介護保険あったからこそ。
個室化の進捗は時代の要求であり、終の棲家に相部屋は受け入れられない持論。
参加型地域民主主義を始めるきっかけと成りえた介護保険だったが、道半ば。
介護保険に従来の自治体の保健事業も組み入れてしまった。仕分けすべき時にきている。介護保険の財源に便乗した従来の保健事業は見直すべし

ヘルパーや介護福祉士等の新たな職業集団がうまれ20万人の雇用を創出。
介護は人間しかしないのだから、介護は「人間の証明」
規制緩和のモデル業界であり、経済成長戦略としての介護の産業化、経済活動化をすすめていくこと。
制度発足10年を経て、これから介護保険ルネッサンスが始まる、始める。

Cimg0157_sp0000 次に、パネルディスカッション。
パネリスト・民主党国会議員、自民党国会議員、公明党宮城県議、共産党仙台市議、社民党政審会長、みんなの党県支部長、樋口恵子氏の7名による  各政党を代表する立場でのパネラーだが、それぞれの議員がどこまで介護保険を理解し、現場を分かって取り組んでいる否かを聞く機会。解説と論評で現実は改善できないが、興味深く聞きメモする。

3000人の地方議員で全国アンケート調査し、10万項目の要望から64項目に絞り、党として政策提言。
重労働低待遇がひどい現場。処遇改善の交付金1.5万円の水準を拡充させること。県下に1万人を超える特養ホーム待機者がいるが、在宅介護を充実させるべき。小規模多機能の介護基盤の整備が必要。小規模多機能施設は県下20事業しかない。介護予防事業は包括センター業務からはずして、自治体の保健事業に分けるべきである。とは全く同感。
国会議員団のアンケート調査の結果を会場入り口で配布。アンケートの結果から利用料の減免制度をつくるべきであり自治体の責任である。仙台市には7626人も保険料が払えない市民がいる。月額1.5万円の収入もない高齢者をどう支えるか。
3823人の特養ホーム待機者いる。定員の1.5倍も。にもかかわらず3ヵ年で500床のみの整備計画。在宅サービスも足りない現状。散歩が認められない仙台市、大阪は認められている。
介護保険会計への国庫負担金の増加を国に求めるばかりで、仙台市は介護保険制度とともに保健事業予算を大きく減額している。現在はかつての半分の50億円に。そこから敬老乗車証の見直し問題も発生している。
せっかくの10年。第五の保険制度である。労働災害、医療、失業、に続くもの。自己決定権が経済制約と認定の複雑さで利用しにくい保険制度。05年改正により、予防給付が始まり保険制度の本旨を外してしまったのでないか。介護本来の目的を薄くした05改正。09年改正では認定の変更。他の行政分野が担ってできていることもある。人が生き生きと老いる社会づくりとしての12年改正を目指したい。

制度の持続可能性のための改正主旨だったが、本来の自治体の保健福祉事業が介護保険に組み入れられた。個室ユニットは個人負担が多くなり利用抑制になっている。
介護現場の労働環境の改善がなければ、事業者の経営環境も悪化する悪循環。  重度者を支える在宅介護の充実が必要。24時間訪問巡回介護、家族ケアの課題、複数ケアのパッケージ化などが課題である。

人間の尊厳の問題には政治の党派性はないもの。オールジャパンで取り組むべきテーマが明日はわが身の介護保険。

24時間巡回型介護とレスパイトケア、複合型サービスの展開に政府として取り組む方向にある。
住宅の問題。課題が残っている財源の問題をどうするかは大きな課題。国庫負担の割合をどうすべきか。
保険料負担は限界点に近づいている。公費負担割を高めること。保険を利用しなかったら被保険者に還元する制度が必要でないか。また介護ボランティアを評価する制度も。
待遇改善交付金は、現実には現場労働者は9000円のみのアップである。交付金の透明化が必要。
公費を入れるための財源はどうする。担税力がない高齢者の経済環境をどうするか。
日本は健康か要介護かのいずれか二者であり、中間層の受け入れ基盤がない。劣化する社会を食い止める政治。食事と人の縁をつくる改正に。

地域包括支援センターの機能強化が必要、地域情報の共有拠点とすること。支援センターの機能を見直し、先を見据えた事業委託内容へ精査すべし。

会場からの意見は以下のとおり。
・認知症家族の会 県支部としての提言あり。認定の問題等々。
・仙台市老人施設協 施設と在宅の整備は地域に任せてほしい。包括支援センターのバックアップを。
・介護ネットワークみやぎ 非営利組織。誰でも安心して使える保険に。コウセンチンの整備を国は進めようとしているが誤り。小規模事業者に不利な交付金制度。 公表センター、事業者情報の正確さを第三者がチェックする場が必要である。
・認知症グループホーム協議会。 寿 男性職員退社の現実に処遇の向上を。小規模が多いGHは研修制度も薄くなり専門性が蓄積されない。
・高齢者退職者連合。 地域包括支援センターの役割が不明、予防の接点としての地域との関わりや民生委員との接点がどうしているのか不明。 地域包括支援センターを評価する制度も必要でないか?
・茂庭台ボランティア 特養待機者が多いのは一人暮らしの不安、高齢世帯のみの不安からである。小規模多機能施設の整備こそ今必要。自治体単位でも整備の促進をしていくべき。高齢者は待っている。特養との入所の住み分けができるもの。
・認定に不備あり 幅のある認定評価を求めたい。

介護はそもそも、自己負担の現状から社会的保険制度としたものであり、介護はその経緯から混合介護なのだ。 この10年、家族の側の変容についていけない介護保険制度であった。想定外の家族の変容この10年。お一人様が急増する社会であり、年金だけで食べていける社会がある。政策の成果としての独り者の増加。。世界に誇る日本の5保険制度によって今の日本社会ができている。これからの現実に対応する保険制度にしていくべき。
                                                                  以上

二大政党からのパネラーがもっとも分かっていないことが会場に示されたようで誠に残念。
政府の成長戦略に位置づける介護部門。スウェーデンを視察し高齢者の特別な家と分厚い福祉を視た。寝たきりがいない国。など常識になっている情報をわざわざ持ち出すことなく、政府としてしっかりと、どう取り組んでいこうとしているのかを主張するべきであり、会場もそこが聞きたかったはず。

またもう一方は、党の指針を伝えに来たと言いながら、理屈と解説ばかりで退屈な時間。研究者崩れのような発言の連続は寒々しいばかりだった。