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耐圧試験1-2次電流が一致しない!?

2017年01月23日 | eつれづれ

先の高圧気中負荷開閉器(VT.LA内蔵PAS)交流耐圧試験時の一次側励磁電流メーター値は0.362A程度の指示。

試験器AC100V側コンセントのデータロガー電流値は0.310A(310mA)の指示。

データロガーから印刷した一次側励磁電流グラフ。

この時mAメーター流れた二次側充電電流値は約4.1mAの指示。

データロガー二次側充電電流値は4.2mAの指示。

データロガーから印刷した二次側充電電流グラフ。

交流耐圧試験で1.2次側電流が一致しない?!...マァ特段、気にすることもないが...面倒なのでネットよりコピヘして理由付けをする。
試験用トランス損失は以下の3損失の合計です。
1.試験用トランスの鉄損(一次電圧・周波数・鉄心材質で決まる。一定値)
2.試験用トランスの銅損(二次側電流値の二乗に比例)
3.試験用トランス自体の内部漏洩・沿面漏洩電流(汚れや温度湿度で上昇)
新品や整備状態が良好な試験用トランスを常温低湿度で使用した場合の損失は数%ですが、古い物・・特に上面パネル(ベークライト)や二次側ブッシングに傷や汚れが付いた試験用トランスを高温高湿度で使用した場合は5~10%前後に達する場合もあります。
1.鉄損と2.銅損は気温や湿度の影響が小さく一次電圧・周波数・二次側電流が同じならばほぼ一定の値をとりますが
3.試験用トランス自体の漏洩電流は気温や湿度、汚れの影響を受け変動量も大きいので注意が必要です。
試験前にはパネルや二次側ブッシングを清掃し夏場は直射日光を避ける、保管時も含めて高湿度を避ける配慮で試験用トランス自体の漏洩電流を小さくできます。
尚、△◯□テックの耐圧試験トランスの上蓋に組み込まれた二次(漏洩)電流計は新品出荷時で2.5%以下の誤差が許容されており、古くなっても校正を受けていないものでは5%を超える誤差を生じる可能性もあるので注意が必要です。
試験時に二次(漏洩)電流計のアース端子と接地極の間に確度の高いデジタルマルチメータを割り入れしてAC電流レンジで同時計測すれば二次(漏洩)電流計の誤差を把握できます。テスターのレンジは試験用トランスの二次側最大電流値の直上レンジが適しています。
以上の通り、二次(漏洩)電流計に現れない試験用トランス自体の損失や二次(漏洩)電流計の表示誤差も存在しますので二次側VA値と一次側VA値が合致しないのは当然の事です。
耐圧試験時には二次側電流値と併せて試験用トランス一次側電流値も記録しますが、これは試験開始時(1分経過時)から試験終了直前時(10分経過時)まで二次側VA値と一次側VA値の差が一定ならば試験用トランス自体に過負荷や異常を生じなかったとする試験実効性確認のためですので、二次側VA値と一次側VA値が「ぴったり」にならなくても問題ありません。
試験中に二次側VA値と一次側VA値の「差」が変動しない事が大事なのです。
...一致しないのは、その様な意味だそうですよ。



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