11/18(金) 8:00日刊スポーツ
東京都健康長寿医療センター
循環器内科医 原田和昌副院長
季節の変わり目 体調不良をリセット<24>
仕事や行楽でいつものように外出したら、「ハアハア」と息が切れる。脚もなんだかむくんでだるい。このような症状は、一般的に「太りすぎ」や「運動不足」で起こるといわれる。
「息切れやむくみ、疲れやすいといった症状は、心不全でも起こります。特に高血圧を抱えるご高齢の方は起こしやすいので注意しましょう」と、東京都健康長寿医療センターの原田和昌副院長。循環器内科医で、心不全や高血圧の診療・臨床研究を数多く行う。
心不全とは、文字どおり心臓機能が著しく低下した状態だ。心臓の血管が詰まる心筋梗塞や、心臓ポンプの弁が狭くなって血液を送り出せなくなる弁膜症など、さまざまな原因が隠れている。中でも、「息切れ、脚のむくみ、倦怠(けんたい)感」などの症状に関わるのが、「収縮機能が保たれた心不全」(HFpEF/ヘフペフ)。
「心臓は、収縮して血液を送り出し、拡張したときに心臓に血液が流れ込む仕組みがあります。収縮する機能は保たれているのに、心臓の壁が厚くなって硬くなり、うまく拡張できないため血液を送り出せないのが『ヘフペフ』です」
ヘフペフは健康診断では見つかりにくいが、全身の血流が悪くなり、息切れ、倦怠感、脚のむくみといった症状につながる。
「高血圧の状態が長らく続くと、加齢とともにヘフペフのリスクは上がります。秋から冬にかけて寒暖差で血圧変動が起こりやすいため、血圧の管理をしっかりしましょう」と原田副院長は呼び掛ける。
(東京都健康長寿医療センター 原田 和昌医師)
循環器内科 ・重症心不全(拡張型心筋症など) の名医
東京都健康長寿医療センター 副院長
専門: 心不全、冠動脈疾患、高血圧