BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

床屋さんー2

2014年11月08日 | 時と事
 店には常連らしい年輩の先客が一人いた。修正のハサミもそろそろ終わりそうだ。店内に
は「島津亜矢」が流れている。先達の隣にアタシが座ると、オヤジさんが気を利かせるつも
りかラジカセを止めようとした。アタシは大好きだからそのままにと云った。
 オカミさんは「島津亜矢」の10枚組セットを15回払いで買ったという。新聞に大きな
広告が出ていたの、月々2000円だと照れて笑った。演歌のコンサートなどにも行きた
いが、火曜定休だから、ホラああいうの土日でしょう、とは、聞くともなしに聞こえた先客と
のやりとりだった。年輩さんはカラオケが好きだという。レコードの小さい丸いやつ(CD
のことらしい)を20枚ほど持っていると話す。なんども同じような話しのやりとりでよう
やくイスから降りた。どうやら聞こえても話をえー?と一度聞き返すのがこの店のルールだ。
 オカミさんは電話を入れている。先達はどうやらどこかの老人施設に入所しているようだ。
オヤジさんは頼まれた領収書を長い時間をかけて書いている。どうも平成26年を14年と
書き、西暦とも混同しているようだ。それを見咎めたオカミさんが斜線を入れて訂正したと
イイワケして笑いをとばした。やがて施設の職員らしきお兄さんが迎えにきた。
 果たして床屋代の領収書が施設に入ると必要になるのであろうか、不思議だ。