BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

気 骨

2021年06月15日 | 古本
隣の市街地にあるBOOK OFFへ行ったが、本当にもう読みたい本がない。目を皿にして単行棚、文庫棚を探しても
もう読んだ本、読みたくもない作家さん、いい加減に筆を折ったらどうかという作家さん、うんざりして疲れて帰
って来る。あんなに何万冊の本が有っても、もうしゃない一応安ければ手ぶらで戻るのもなんだしという気分。
そんなんで、シーナさんもその部類だったが、220円と安かったので買ってみた。
シーナさんの家族にも変化が会ったようで、息子の岳さんは日本に戻り、2人目の孫が生まれている。娘さんの葉
さんは渡米20年、いろいろあったがニュヨークで司法試験に受かり弁護士になっていた。カミさんも毎日のように
各種の会合などに出かけていると。
シーナさんはビールの呑み過ぎで尿酸値が高く、痛風もチラホラ。そのほかとっさのウツや不眠症も。相変わらずの
生活で、そのほかは雑魚釣りや、キャンプ・たき火の遊びなどを真剣にしている。

ゆるキャラについて<ユルキャラというの、あれはいったい何なのですか。日本中どこに行ってもあのヘンなもの
がいる。お店などの宣伝用だったらしょうがないけれど、><日本人は本当に疑いを知らぬ性格のいい幼稚な民族
なんだなあ、と思うのは行政の作ったああいうものを「かわいい!」とかなんとかいって無防備に受け入れてしまう
ところだろう。>
シーナさんの気骨は失っていないらしい。
 「われは歌えどもやぶれかぶれ」 著者 椎名 誠  集英社 定価1400円+税
  ( 2018年12月10日 第1刷発行 ) 初出「サンデー毎日」

まったくモーだ。

2021年06月11日 | 新 刊
なにか新事実が出たのかも知れないと期待した。それで新刊につい手をだしてしまったが、それは期待外れに終わった。
12年をかけた圧倒的な取材とあるが、犯人を推定特定したわけではない。一時キツネ目の男が〔宮崎 学〕ではないかと
随分騒がれたが、同じ作家に遠慮したのかその話は出てこない。むしろ誤認逮捕され、デート中にさらわれ現金を取りに
いかされた青年の話が多い。この辺の事になると佐野 眞一氏の書く手口に似ている。
1984年3月に〔江崎グリコ・江崎勝久社長』を誘拐して具体的に始まった事件も2000年には全ての時効が成立した。
その間あまたの事件報道や本も出たが、結局は未だに闇の中だ。著者の岩瀬 達哉さん、この本ガッカリです。
 「キツネ目」 著者 岩瀬 達哉  講談社  定価1800円+税
  ( 2021年3月9日 第1刷発行 )

久し振りの室蘭にある新刊書店、期待したがそう大きくはなく、ノンフィクションコーナーや単行小説の棚は申し訳程度。
30分以上も車で走って来たのだからと、もう一冊買ってしまったのがこの本。
確かに外国の主に東南アジアに在する裏社会事情を書いた本だ。例の「世田谷一家殺人事件」にも触れ、犯人の名前さえ
特定しているのだが、しかしなんの証拠もない。犯人は多くの手がかりや指紋まで堂々と残しているのだが直接の決定的な
指紋捜査に行きついた事でもない。餃子の王将の社長射殺事件は「抱きつきのリン」という異名の女殺し屋だという。もっ
ともらしく書くのはこれもいつもの一橋 文哉らしい手口。古本で200円くらいで買えたなら納得するが、1500円では
割に合わない。まったくモーだ。
 「外国人ヒットマン」 著者 一橋文哉  角川書店 定価1500円+税
  ( 2019年9月19日 初版発行 )

止 揚

2021年06月04日 | 古本
氷室冴子さんの名は作家として知っていた。初めて読んだのは古本屋さんではとんと見かけなかったからだ。
岩見沢出身で札幌の大学へ。1957年生まれで51才で亡くなった。アタシより遅く生まれアタシより随分
早くに亡くなった。なんの接点も無いのは当然で、仲間内の話題にのぼったことも無い。
このエッセイを読むと、なんだかなぁー、また娘と母親の価値感違いの世間によくある人生をどう処するかと
いう話だ。そんな問題を止揚してこその作家だろうにと思うが、なんか弱い。参考になる先輩の文学なり人物は
ゴマンと居るはずだが。ペンネームはなんかミステリアスで素敵だ。
 「いっぱしの女」 著者 氷室 冴子  ちくま文庫 定価420円
  ( 1995年9月21日 第1刷発行 )                       

アドバルーン

2021年06月02日 | 古本
出久根さんのエッセイなら安心して面白く、腹も立たずに読める。
久し振りにこの言葉を見た、〔アドバルーン〕だ。中にこの名称が出てきた。それで最近はとんと見かけない。
昔テレビ番組でアドバルーンを上げる専門の会社が東京にあり、その日常を映していた。天候に左右され思い通りに
仕事がはかどらない。開店やセールなどはタイミングが限られている。そんな内容を記憶しているが、まだあるのだろうか。
大都会のタワービルやマンションなどは高すぎて、目が届かない。10階建て位なデパートもその上を見るには
近くのビル群が邪魔になる。昔はその街で圧倒的な存在だったデパートだから、アドバルーン効果もあっただろうに、
最近は垂れ幕か横断幕というところか。アタシが札幌に出てきた昭和40年前後には、丸井さんも三越さんもアドバルーン
を上げていた。丸井さんの灯台のような屋上回転ライトも10キロ離れたアタシのアパートから見えた。(最初みたとき
あれはどんな意味か分からなかった)最近はデパートの屋上遊園地も無くなった。こうして何もかも情緒が消えていく。
さてアドバルーンは、ここ最近ではあまりいい意味で使われない。特に政治の世界では党内や世論への観測気球とか、
張ったりをかますなどの意味が多い。自分だけ目立つようにと、そんなアドバルーン発言も多いが、しかしその
アドバルーンを挙げたなどの言葉を新聞記者などは書かなくなった。いまはSNSの時代だもな。
そういえば昔、セスナ機を飛ばし上空からビラを撒くなどの宣伝方法があった。みんな我先に拾ったので、宣伝効果は
抜群だろう。今そんなことしたら大ブーイングが起こるだろう。でも大量の万札を景気よくバラまいてくれたら助かるが、
之とて不公平だと諫められるだろうけど(笑)
 「風がページをめくると」 著者  出久根 達郎  ちくま文庫 定価760円+税
  ( 2006年3月10日 第1刷発行 )

悪だくみ

2021年05月30日 | 古本
読んでいてとても不愉快になる事がある。この本は正にそうだ。表紙の写真からしてずるがしこさが、悪人らしさが
まともに出ている。ただただ自分たちの強欲の為に「獣医学部」を計画しアベに頼んだ。悪だくみを働くのはただただ
金のなる6年制の学部をつくり、頭の悪い学生と親から金を搾り取る。私立大学なのだから金ををとる算段は尋常じゃ
ない。建物も身内だから相場の倍以上の建築費を出す。そして裏での当然のキックバックがあるだろう。
国や県や市からの補助金を合法的に手に入れ私用の遊びに使う。アベにはそんなお友達しかいない。
世界や日本の経済・文化・平和などの見識を持ったダチなど一人として及びじゃないワルばかり。
そんなアベ政権が7年も続き、また支持率も40パーセントの持続があった。バカじゃないの日本国民。これだけの
悪性が続いてもなお目が覚めないオメデタさ。全く嫌になる。ついでにスガの悪人相もこころが透けて見える。
どうにかならないのか、悪人たちよ、テメエの顔を鏡に映してはまともには見られんだろう。
 「悪だくみ」 著者 森 功  文藝春秋 定価1600円+税
  ( 2017年12月15日 第1刷発行 ) 副題は「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞

コクテイル

2021年05月29日 | 古本
わずか8坪の店舗面積から古本屋を開業した。まるで居酒屋「つぼ八」だ。始めるのは小さくてもいい。その分キズも浅い。
国立駅から2キロ、条件としては良くない。家賃は9万円、ガラクタな店舗だったが自分と彼女とでなんとか恰好をつけた。
その後に酒場も併設、ほぼ3年を過ぎ、高円寺に安い物件を探しあて移転。1階が4坪、2回が住居用6畳間。その後にまた
2004年、別な〔あずま商店街〕へと移転、酒場と古本と言うスタイルは変えなかった。2008年にこの本が出たのだから
4年は続いただろう。その後にどうなったがは分からない。ネットで調べると分かるだろうが、あくまでも手元にある本だけの
話しだし。
いまでは古本と酒場は珍しくない。札幌にもビール類を出すところへ行ったことが有る。ただ古本を買うだけでは済まない気が
して、結局ビールなど飲むと結構高い古本になる。そこには二度と近づいていない(笑) その店も移転したと聞いた。再開発で
ビルの取り壊しになったとか。古本と古機材と酒場、50坪から80坪くらいな家賃格安物件があるなら、アタシだっていつでも
移転しそこで再起したい。ただすぐに身体を壊し、そんな馬力はもうない。
 「高円寺古本酒場ものがたり」 著者 狩野 俊  晶文社 定価1900円+税
  ( 2008年8月8日 初版 )

トンデモ本?

2021年05月25日 | 古本
こういう本のデザインは大概トンデモ本かハウツー本だ。ではこの本はどうなのかだが、相当に怪しい。
(アタシは買ったおぼえが無いので誰かが置いて行った本だ)
ただ、ではほかの本やテレビの戦国ものはどうかというと、ほとんど信用出来ない。あれらはただ面白くするだけで信長・秀吉
・家康・光秀、竜馬だって相当にいいかげんな内容・展開が多い。NHKの大河ドラマも内容も時代考証だって映像上の都合だけだ。

しかしこの本は思い切った記述、竜馬は対面相談していた中岡慎太郎が真犯人で彼が殺ったという説だ。それ以外状況的にはありえ
ないと。また明治天皇もいつの間にかすり替えられて、理由もあるのだと。つまりアタシらがよくみる明治天皇は別人の御真影だと。
西郷隆盛の肖像も別人を合わせた合成肖像画だと喝破。つまりはあの時代写真も映像も無かったので、権力者の都合でどうにでも
なったのだと。だからアタシは「歴史」という教科が嫌いだった、というのは言い訳かな(笑)中の1冊とみた。
 「禁断の幕末維新史」 著者 加地 奨一  水王舎 定価1400円+税
  ( 2016年10月5日 第3刷発行 )

シブくてハクイ

2021年05月23日 | 古本
不肖・宮嶋のこの本、数ある中でとりわけシブくてハクイ。彼の女に対する情熱と執拗さは笑うしかない。
ソバに今は亡き勝谷誠彦氏がいたとはいえ、文章もリズミカルで面白い。最近はどうしているのか、盟友が
亡くなった今、著作権だけでも食っていけるのだろうか。
「ネェちやん撮らせんかい!」というタイトルもアタシには「ネェちゃん〇らせんかい!」という風に読める。
たんなるネトウヨ的人物に非ず、瞬間の機知に富んだ行動は戦場で亡くなった数々のカメラマンとはタイプが
違う。オンナをダマスことの創意工夫がタクマシイ、オトロシイ不肖・宮嶋氏初期の作品。
 「不肖・宮嶋の ネェちゃん撮らせんかい!」 著者・写真 宮嶋 茂樹  ザ・マサダ刊 
  ( 定価1400円+税 2000年6月1日 第1刷発行 )

基本は江戸時代の浮世絵師・歌川 広重の書いた「東海道五十三次」が元になり大正・平成の多分その場所からみたで
あろう写真を添えた本だ。その変わりようはすざましい。樹木だって生え変わっているし、建物や橋は全てコンクリート
製になっている。とりわけ道の様子で昔は人馬、いまは車用だ。それでも微かな面影があると、なんだか嬉しい。
 「江戸・大正・平成 東海道五十三次 いまむかし」 編者 マール者編集部 定価1400円+税
  ( 1997年9月20日 第1刷発行 )

高校生からの自主制作からや、正統に助監督から監督へと認められた映画人の、それぞれに一筋縄では行かなかった映画監督
の話。どうしてここにあの映画監督が取り上げられていないのかという不満はあるが、まあいいだろう。懐かしい映画の話が
たくさん出ていて、自分がみた映画の青春と重ね合わせて読んでしまった。
しかしどんなに映画の中身やその時の状況はいっぱい語られるが、やはり映画機材の話は出てこない。そうかここは大部屋
俳優と同じ程度かそれ以下の意味しかないのか(笑) 意味があると思うから、映像機材博物館なんぞやっているのだが。
 「逆回転のフィルムー70年代の映画作家たち」 著者 山口 猛  東京新聞出版局 定価1500円
  ( 昭和56年9月25日 第1刷発行 )
 

おかしな映画

2021年05月17日 | 古本
小林信彦さんの書く文章はちっとも魅力がない。いわば空手に例えるといつもパンチが寸止めのような。
渥美清さんとの若かりし頃からの付き合いで、その事実にのっとった話なのだがどうにも面白みがない。面白み
が無いのにたくさんの著作を書いているのが不思議なひとだ。アタシとの相性の問題か。
懐かしい喜劇人の名前がたくさん出てくる。ほとんどの人は子供の頃からテレビで見ていた人ばかりだ。道内の
田舎町に寄席やホールなど有るわけがない。
渥美さんといえばやはり「フーテンの寅さん」だが、会社の掟とはいえ、山田洋次監督は罪なことをした。48作
などこれはクレイジーというしかない。してまた合成や過去の作品をつなぎ合わせて49作目を撮ったのだから
もはや異状というしかない。68才で渥美さんは亡くなったが、もし生きていたら作品は続いたのであろうか。
寅さんファンも多いが、数作を除いてどこが面白いのかアタシには分からんかったとです。全作品をDVDで持って
いるある人を思い出すが、どうするのだろう。
 「おかしな男 渥美清」 著者 小林 信彦  新潮社 定価1800円+税
  ( 2000年4月15日 発行 )

残 念

2021年05月13日 | 古本
全くつまらないのにもホドがある。半径やく50メートルくらいな話を自虐的に書いて、読んでる内に
段々腹が立つってきた。なんどもぶん投げようとしたが、結局最後まで読んじまった。時間の無駄という
のはこういう事だろうと反省。しかしもう止めようと何度も思いながら棚につい手を出してしまうアタシ
ってバカにもホドがある(笑)
 「流されるにもホドがある」 著者 北大路 公子  実業之日本社文庫 定価620円+税
   ( 2017年6月15日 初版第1刷発行 )

インパラは四つ足なので速く走っても転ばない。しかも足元も見ずに前方だけをみて逃げる。四つ足の
草食動物は皆そうだという。転んだらそれで終わりだし。
池澤さんの軽い旅紀行もの。辺見庸さんとか、藤原新也さんなどとは随分違うタッチだ。
 「インパラは転ばない」 著者 池澤 夏樹  新潮文庫  定価360円
  ( 平成7年6月25日 二刷 )

佐藤泰志さん原作の映画も本も読んでるが、いつも脚本に不満を感じる。アタシならこう書くのにと不満
がつのる。もっといい映画になるのにと残念だ。もっとシナリオは練るべきとプロデューサーの菅原さん
には言いたいのだが、残念にも接点がない。
 「きみの鳥はうたえる」 著者 佐藤 泰志  河出文庫 定価650円+税
  ( 2018年8月30日 4刷発行 )