帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの小町集 番外 催馬楽 新年

2014-01-01 00:02:04 | 古典

    



              謹 賀 新 年



 年の初めに催馬楽を聞きましょう。

催馬楽(さいばら)は、もと古代歌謡(民謡)で、平安時代には、宮廷や貴族の宴席などで、和琴、笛、ひちりき、琵琶等で演奏され、唄われた。

小野小町も新年にはこの催馬楽を宮廷で楽器の演奏と共に聞いたにちがいない。

 


 催馬楽 呂歌 新年


 あらたしき としのはじめにや かくしこそ はれ かくしこそ つかへまつらめや よろづろよまでに あはれ そこよしや よろづよまでに

 (新しき年の初めにヤ  斯くしコソ  ハレ  斯くしコソ 仕えまつらめヤ 万代までに アハレ そこ良しヤ 万代までに……改しき 疾しの初めにや かくしこぞ 張れ 隠しこぞ 番がえまつらめや  あはれ そこ好しや  万夜までに)。


 言の戯れと言の心

 「あらたし…新たし…改し…改めての」「とし…年…疾し…早過ぎ(おとこのさが)」「や…掛け声…感動の意を表す…疑問の意を表す」「かくし…斯くし…こうして…隠し…亡くし…掻くし…おし分けすすみ・漕ぎ・しがみつき」「こそ…強調の意を表す…子ぞ…おとこの子の君よ」「はれ…掛け声…張れ…命令・叱咤激励」「張…緊張…膨張…頑張」「あはれ…掛け声…あゝ…感嘆の意を表す」「つかへ…仕え…大君に仕え…つがへ…番へ…ふたつのものが一対となり」「そこよしや…掛け声…ここ(宮中)良しや…其処好しや」「よろずよ…万代…万夜」「までに…くらいに…ほどに…動作など程度をはっきり表す」。


 大君の長寿を願う御言祝ぎ歌……子孫繁栄を願う言祝ぎ歌。


 

   催馬楽の原文は、小学館 日本古典文学全集 催馬楽による。