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帯とけの枕草子〔二百〕遊びは
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子〔二百〕あそびは
文の清げな姿
管弦の遊びなどは夜、人の顔の見えぬとき。
原文
あそびはよる、人のかほみえぬほど。
心におかしきところ
暇な空しさは夜、あの人の顔見えないとき……空虚なのは夜、あの人の彼お、見られぬほと。
言の戯れと言の心
「あそび…子供の無邪気な遊び…管弦・舞・詩歌などの遊び…行楽…暇ですることがない…何もしない空虚な状態…男女の戯れごと」「かほ…顔…彼お…あのおとこ」「見…目で見る…覯…媾…まぐあい」「ほど…程…時間…ほと…陰…女」。
『梁塵秘抄』巻第二 四句神歌 雑、にある、今様の神楽歌を聞きましょう。
遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとや生まれけむ、遊ぶ子供のこゑ聞けば、我が身さえこそ揺るがるれ。
(われは、遊びをしょうとして生まれたのだろうか、戯れをしょうとして生まれたのだろうか、遊ぶ子供の声聞けば、わが身さえこそ、動揺させられる・何もせずに死ぬのだろうか……遊びをしょうとして生まれたのだろうか、戯れをしょうとして生まれたのだろうか、あそぶ子どもの、音聞けば、わが身、小枝、子ぞ、ふるいたつ)。
この歌の「遊び」「戯れ」という言葉も、前記と同じ。複数の意味に戯れて、それぞれの意味が生かされてある。
「こども…子供…この君ども…おとこのこ」「ども…複数または親愛を示す」「身さえこそ…身でさえもだ…身、小枝、子ぞ」「こゑ…声…音…小枝…身の枝…おとこ」「こ…小…接頭語…愛称…自嘲」「ゆるがるれ…動揺させられる…揺り動く…ふるい立たつ」「るれ…る…受身または自発の意を表わす」。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・9月、改定しました)
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。