補助参加の利益

2014-11-30 12:07:18 | 司法試験関連

民訴法42条

訴訟の結果について利害関係を有する第三者」

・「利害関係」は事実上のものでは足りず,法律上のものでなければならない。

=「法律上の」利害関係とは,法律上の「利害」に影響を及ぼす恐れがある関係という意味である。

・その影響とは「法律上の影響」を意味するか。

法律上の(=訴訟法上の)影響がある場合すなわち判決効が及ぶ場合は,共同訴訟参加(52条)が可能となるので,補助参加では事実上の影響があれば足りるとされる。

 → 裁判所の判断と補助参加人の地位との利害関係の存在は,既存当事者間の第一の訴訟での裁判所の判断が,補助参加人に関する第二の訴訟で,論理的に前提になる場合であれば良い(第一の裁判所の判断が第二の訴訟で,事実上,影響力を及ぼすことで足りるということ)。この事実上の影響力は,判決の証明効とも呼ばれる。第二の訴訟の裁判官が,第一の訴訟での判断を参考にする事で足りる。

 例:主債務者敗の判決は,保証人に訴訟法的に判決効を及ぼすことはないが,保証債務は主債務者を論理的に前提にするから,保証人には補助参加の利益がある。

 ・「法律上の利害関係」は,「訴 訟の結果」に対してなければならない。

 → 訴訟物限定説(訴訟物についての判断に限定する)

 例:保証人が訴えられた事件に主債務者が補助参加する場合は,訴訟物たる保証債務の存否そのものが補助参加人である主債務者の求償義務に直結する。

 *保証人の主債務者への求償権行使のための請求原因は,①主債務発生原因,②主債務につき保証する旨の保証契約締結の事実,③保証契約締結は書面によること,④保証契約の委託契約,⑤保証契約の主債務につき支払いを命ずる判決確定,である。

 → 訴訟物非限定説(判決理由中の判断も含む)

 <補助参加の利益が問題となる類型>

1.被参加人が敗訴すれば,補助参加申出人が求償・損害賠償,その他の一定の訴えを提起される関係にある場合

・  主債務者が保証人側に補助参加(求償を受ける)

・  第三者から追奪請求された買主に,追奪担保責任のある売主が補助参加(損害賠償を受ける)

2.第一の訴訟が第二の訴訟の先決関係等にある場合

・  保証人が主債務者に補助参加(先決的関係)

・  主観的予備的併合の関係にあるような事実上の択一関係の場合(択一的関係)

3.当事者の一方と同様の地位・境遇にある者が補助参加を申し出る場合

・ 同一事故の被害者の1人の損害賠償請求に他の被害者が参加

・  ある村の住民大会で電鉄会社による停留所設置のために寄付金を負担する旨の申し合わせがあったと主張して出納員が村民の1人に対して起こした寄付金請求訴訟において,他の村民が被告に補助参加(大決昭和8年9月9日 肯定)

・  山林の産物採取権侵害排除請求訴訟で,隣接地についても同様の排除請求を起こす計画を原告は持っていると主張して隣接地の所有者が被告に補助参加(大決昭和7年2月12日 否定)

・  キノホルム剤がスモン病の原因であるとして同剤を製造販売もしくは製造承認をした者(国)に対して起こされた損害賠償請求の被告側に,同剤を投与したことによって別訴で被告とされている者が(医師),キノホルム剤がスモン病の原因であるかの因果関係の判断が共通の争点だとして補助参加(東京高決昭和49年4月17日 否定)

・  東京高裁平成20年4月30日 百選103事件 否定例

一審被告と抗告人らとの間の基本事件保険契約による法律関係と、補助参加申出人と抗告人らとの間の本件保険契約による法律関係とは、同一被保険者につき死亡を原因とする保険金を給付する同種の保険契約関係というにすぎないものであり、相互に損害を補填し合う関係にある旨の主張立証はないから、何ら法的関連や関係がない。基本事件において、争点である被保険者である太郎に生じた本件事故が偶然な外来の事故に当たるか否かが決せられたとしても、補助参加申出人と抗告人甲野花子との間で、本件事故による太郎の死亡についての保険金支払義務の存否につき法律上何ら影響するものではなく、補助参加申出人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に何ら影響することはない。ただ、同一の争点に対する判断として、これが参考にされ、事実上影響することがあるというにすぎないのであり、このような影響を与える関係を法律上の利害関係ということはできない。

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