自分の答案を見つめ直す

2014-11-27 22:37:55 | 司法試験関連

これ、去年の今頃のエントリーですが、重要なので再掲します。これまでの途中経過を総括するうえでご参考まで。

平均点以下の答案の特徴としてよく見かけるのが,①そもそも規範を立てていない,②事実の抜書きだけで評価がなされていない,③当てはめらしきことはしているが、実は規範に対する当てはめになっていない(これは結構多い),④自分でした問題提起に対して応えていないで終える(これも多い),です。あと,⑤論理がところどころ跳んでいて,実は話が連続的に流れていないのも目立ちます。

全般的に言えることですが,自分の思うところを丁寧に説明して、「相手に分かってもらおう」という意識が非常に低い感じがします。真意を誤解されたり,上手く伝わらないときは,端的に自分が悪いのです。「分かりやすく伝えよう」という気持ちが何よりも大切です。その点を強く意識して答案を作成するようにしてください。

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賃貸借契約存続中の敷金返還請求権の確認

2014-11-27 15:26:34 | 司法試験関連

1.確認対象の適否

 ①自己の、②現在の、③権利法律関係の、④積極的確認請求か否か

2.即時確定の利益

3.方法選択の適否

賃貸借契約締結時には、賃借人から賃貸人に対し、敷金、権利金、保証金などの名目で相当額の金銭が交付される事が多い。しかし、その区別は曖昧である。重要なのは、「名目より実質」であり、契約から生じる債務を担保し終了時には返還するものとされていれば、「敷金」と判定してよい。本判例も、名目は「保証金」とされていたものを、上記の実質を持つとして、「敷金」である、との認定を先にしている。

 <敷金の性質>

→ 「建物明渡しがされた時において、それまでに生じた敷金の被担保債権一切を控除しなお残額があることを条件として」発生する(明渡時説)。

→ 条件付の権利として「現在の」権利又は法律関係である、といえる。

 <類似例>

退職金請求権の確認訴訟

退職前に将来の退職金請求権の確認を求めるケースが多い。

「賃金の後払い的正性格」を強調すれば、確認対象の適格を肯定する余地がありそうだが、裁判例は否定的。一般論として、将来の権利との理由で不適法とする。もっとも定年退職日が1ヶ月後に迫った者の訴えに関して、適法としたものがある。また、退職年齢を引き下げた就業規則の改定の無効確認の訴えや従前の年齢を退職年齢とする雇用契約上の地位を有することの確認の訴えを適法と認めたものがある(後者は、定年日が1ヶ月に迫った者に限定)

<東京地裁平成15年5月27日>

定年制を前提とする雇用契約は,法律上,期限の定めのない契約であって,定年までの期限の定めのある契約ではなく,労働者に定年とされる年齢までの雇用関係の継続を法的に保障するものではないから,定年となる年齢の確認を求める訴えは,当該定年(又は変更された定年)となる日が極めて間近に迫ったり,あるいは当該定年(又は変更された定年)に達した後に,地位の存否の確認,賃金(退職金を含む。)支払を請求する等の具体的な必要がない限り,確認の利益はないものと解するのが相当

原告Aについては,本件口頭弁論終結時から1か月以内に定年となる日が迫っており,当該日以降の地位確認,賃金支払を請求する具体的な必要があると認められ,その訴え(確認請求)は確認の利益があり,適法である。

一方,原告A以外の原告らについては,定年となる日が極めて間近に迫っているとか,各自の当該定年日以降の地位確認,賃金支払を請求する具体的な必要があるということを認めるに足りる証拠はなく,その訴えは確認の利益がなく,いずれも不適法である。

外勤制度の廃止を告げられた場合の雇用者たる地位の確認

→ 即時確定の利益ありとした

 <百選NO.28事件 東京地裁平成19年3月26日>

「確認の訴えにおける確認対象は,原則として,現在の権利又は法律関係であるのが通常である。しかし,将来の法律関係であっても,発生することが確実視できるような場合にまで,確認の訴えを否定するのは相当ではない。すなわち,権利又は法律的地位の侵害が発生する前であっても,侵害の発生する危険が確実視できる程度に現実化しており,かつ,侵害の具体的発生を待っていたのでは回復困難な不利益をもたらすような場合には,将来の権利又は法律関係も,現在の権利又は法律関係の延長線上にあるものということができ,かつ,当該権利又は法律的地位の確認を求めることが,原告の権利又は法律的地位に対する現実の不安・危険を除去し,現に存する紛争を直接かつ抜本的に解決するため必要かつ最も適切であると考えることができる。そのような場合には,確認訴訟が有する紛争の予防的救済機能を有効かつ適切に果たすことができるといえるので,将来の権利又は法律関係であっても,確認の対象として許容する余地があるというべきである」。

「即時確定の利益」は,被告が原告らの権利を否定したり,権利関係について原告らの主張と相容れない主張をし,そのために原告らの権利者としての地位に危険や不安が生じている場合などのように,一定の権利又は法律関係の存否を原告らと被告との間で判決により早急に確認する必要があり,かつ,当該確認判決を得ることによって,原告らの権利又は法的地位につき存する危険や不安が除去されることが期待し得る場合には,これを認めるのが相当」

現時点における被告のRA制度廃止に対する揺るぎない姿勢を前提にする限り,原告らが本訴提起のような対抗措置をとらなければ,被告が計画どおりに平成19年6月30日限りでRA制度を廃止し,同年7月1日以降,原告らがRAとしての地位を失うことは確実であると認めることができる。そして,RAとしての地位を原告らが失うことにより,原告らは,それまで積み上げてきた顧客との契約関係あるいは人的つながりを失い,事後に廃止の無効による地位確認等が認められても回復の困難な事態を招来することも十分に考えられるところである。

以上からすると,被告がRA制度廃止を言明している時期まであと5か月ほどを残すのみである現時点(口頭弁論終結時)において,原告らには,平成19年7月1日以降のRAとしての地位について危険及び不安が存在・切迫し,それをめぐって被告との間に生じている紛争の解決のため,判決により当該法律関係の存否を早急に確認する必要性が高く,そのことが当該紛争の直接かつ抜本的な解決のため最も適切な方法であると認めることができる。また,仮に,原告らの確認請求を認容する判決がされた場合には,被告においてもRA制度廃止の方針・内容につき再考する余地も期待することができ,RAの廃止をめぐる現在の紛争の解決のほか,廃止後の条件等をめぐる将来の紛争の予防にもつながる可能性が十分に認められる。そうだとすると,本件訴えは,確認対象の選択の点で不適切であるとはいえず,即時確定の利益についても欠けるところはないものというべきである。

確認の訴えの紛争予防的機能を強調している。

現代社会においては、権利法律関係の不明確が生じやすくなっており、その不明確自体が重大な経済的、社会的な損害をもたらすようになっている。この不明確を除去し、そのような損害に対する救済を与える為には、なるべく早期の段階で確認訴訟を認め、確認判決の予防的機能を十分に発揮させるべきであると考える。

すなわち,将来の法律関係であっても,発生することが確実視できるような場合には,確認の訴えを認めるべきである。具体的には・・・

答案上、勝負のポイントは、即時確定の利益の有無である。具体的に事実を拾い、危険の現実化の度合い、抜本的解決の必要性、現時点で解決すべき必要性など、評価することが重要である。

 

 

 

 

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