I WISH I KNEW HOW IT WOULD FEEL TO BE FREE/Billy Taylor
(Tower ST5111)
久々にBilly Taylorのアルバムをきいてみましょう。彼の知性あふれる端正なスタイルは結構隠れファンが多いものと思いますが、ダンシングビートでジャズロック風に演奏してしまった異色作品がこの”I WISH I KNEW HOW IT WOULD FEEL TO BE FREE”です。かつて吉祥寺のジャズ喫茶のオヤジがその著作の中で「全曲旋律の宝庫」と解説した一枚です。1967年の録音ですからプレステッジ初期から第一線で活躍して来たテイラーとしても後期の演奏です。時代の流れが、テイラーにダンシングビートをやらせてしまったという感じでしょうか?
メンバーはBilly Taylor(p), Ben Tucker(b), Grady Tate(ds)のトリオです。一聴するとラムゼイ・ルイス風にも聞こえますが、元来の端正でピアニスティックなスタイルも垣間見えなかなかの好盤に仕上がっています。クレア・フィッシャーの"PENSATIVA"に始まりタイトル曲の"I WISH I KNEW HOW IT WOULD FEEL TO BE FREE"と続くくだりは、『何じゃこの乗りは!』と思う事請け合いです。ノリノリのB-4の"Sunny"もこの演奏のジャズ・ヴァージョンとしては出色の出来に思います。テイラーのイメージを覆す一枚ですね。
原盤は"TOWER"というレーベルですが、これについては不明。所有盤はキャピトルから再発されたものかもしれません。TOWERとCAPITOLの関係ってどうなんだろう???